国会質問

<第183通常国会 2013年04月05日 予算委員会 19号>




○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 福島では、大震災とともに原発事故により、十五万人を超える方々が今なお困難な避難生活を送っておられます。復興庁の調査によると、震災後一年以上経過して亡くなった方が、福島県で三十五人もいらっしゃるということです。全員が原発事故に伴う避難指示区域からの避難者の方、何回もの避難所の移動や、長期の避難生活が原因とされております。
 原発事故が避難者の方の命を縮めた。原発事故の被害は今なお拡大をしている。原発事故被害者支援に万全を期すことを強く求めるものであります。
 そして、今なお放射性物質は放出をされ、汚染水を垂れ流し続けており、福島原発事故は収束しておりません。事故の現状も把握をされていない。
 そこで、参考人としておいでの田中三彦国会事故調元委員に御質問いたします。
 福島原発事故の国会事故調査委員会による調査を東京電力が妨げていたことが大きな問題となっております。東電が昨年二月、一号機の現地調査をしようとした国会事故調に対して、一号機の内部の状態や明るさについて虚偽の説明をしていた。一号機の原子炉建屋四階の調査が必要、そのように考えた理由は何なのかについてお聞きし、また、国会事故調の一号機の原子炉建屋四階の調査を東電が妨害したのはなぜなんだろうか、この点について参考人のお考えをお聞かせください。

○田中参考人 お答えします。
 一号機の四階は、非常に重要な、きょうは何度も話に上っております非常用復水器、ICというのがあります。これがどのように運転されたかというのは、先ほど少し議論がありましたけれども、あれほど簡単な話ではないというふうに理解をしております。
 その後も、一度弁が開くということがありまして、多分あそこで水素が詰まっていっただろうというふうに思っておって、細かい話はともかく、事故調としては、四階のICがどういう運転をされたか、あるいはどういうトラブルがあったかということをどうしても知りたいということがありました。
 私、個人的な見解でいいますと、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、一号機に関しては、事故のプロセスとか運転が割合単純なものですから、四階をよく精査するということがもしできれば、それは一度では済まないと思いますけれども、幾つかのポイントに分けて何度か入っていくことで、事故のプロセスが、水素爆発までに至るプロセスがどうだったかということはわかるのではないかと思っております。そういうことで、四階には、事故調に入る前から関心を持っておりました。
 一方、また事故調に入る直前に、あそこで地震が来たときに作業をしていた、四階でたまたま作業していた数名の方が、水がわっと出るのを目撃しております。そのこととICの問題が関係しているかどうかということは非常に興味深いことだったということです。
 その二つが関連しているのかしていないのか、それを知りたかったということでございますが、当時、その出水目撃情報というのは東京電力は存じていないはずです。それは、東京電力には話をしたけれども相手にされなかったという、津波のせいだろうという、何かよくわからないそういう話だったということで、特に関心がなかったということです。
 ですから、私たちは、一号機の四階を見たいということに際して、その理由を説明しておりません。東京電力は、恐らく我々が入る前に既に二度、あるいは三度かもしれませんが、入っております。これは、やはり東京電力も四階に非常に関心、注目を持っていた証拠だと思います。
 そういうことを含めて、私たちが入るということで、何か変なものを引き出されるんじゃないかということもあったのかもしれません。その辺のことは推測になりますけれども、どういう理由で私たちが妨害を受けたかわかりませんけれども、午前中に申し上げましたように、あれは明らかに、我々が入ることに対する意図的な阻止であったというふうに私は感じております。

○塩川委員 今お話しいただきましたように、地震直後の出水と非常用復水器の破損の関連があるのではないのか、つまり、地震動というのが事故原因と大きなかかわりがあるのではないのか、こういう重大な問題が指摘をされたのを東電がごまかした、虚偽の説明でこれを行わせなかった、この点が極めて問われているわけであります。
 事故原因の究明が行われていないということが前提にあるわけで、もともと、一号機というのが、二号機、三号機と比べても非常に短時間でメルトダウンに至り、水素爆発を起こしたわけですが、その真相はわかっておりません。今申し上げましたように、地震動によって非常用復水器が損傷したことを否定できないわけで、こういう国会事故調の重要な指摘を棚上げにすることはできません。
 東電が経産省の指示を踏まえて調査をしたと言いますけれども、東電関係者だけの話を聞いただけで、国会事故調の関係者の方の話なんか聞いていないわけですから、これでどうして真相を解明することになるのか、こういう点でも、この国会で真相を解明することが必要だ。
 この点で、地震動が事故原因であれば、規制基準づくりそのものが問われてくるわけで、委員長として、ぜひとも、国会としての事故原因の真相究明という点でいえば、田中三彦参考人の御出席を改めて求めると同時に、東電側の説明を行った担当者、玉井元部長の出席を求める、証人喚問をきちっと行って、この場で問題についてきちんと明らかにしていく、このことが必要だと思いますが、いかがでしょうか。

○山本委員長 後刻、理事会で協議させていただきます。

○塩川委員 そういう点では、一度国会事故調は区切りになっていますけれども、第二次の国会事故調をつくるような必要もあるんだ、こういう重大な問題だということを指摘し、こういう事故原因究明に当たっての現場の保全などもしっかりと行うことが求められているということを強調しておくものであります。
 この東電の調査妨害事件に関しても、格納容器において地震動による損傷がなかったかどうかが焦点となっております。地震国の日本においては巨大地震を想定した原発対策が必要であり、これは他国にはない最重要課題であります。
 ここにパネルを用意いたしましたが、世界の地震活動の分布と原発立地を示す地図であります。一九〇〇年から二〇一〇年の間に世界で起きたマグニチュード五・五以上の強い地震が起きた地点と原発の立地を一枚の世界地図に重ねたものであります。
 日本を初め、環太平洋地震帯では大地震が頻発をしております。原発大国でありますアメリカは、地震地帯に原発がほとんどありません。フランスなどにはそもそも地震地帯がないというのが、この地図でも見てとれるわけであります。
 総理にお尋ねいたしますが、こういった地震地帯で原発の立地が集中しているのは日本だけだ、これは余りにも異常だとは思いませんか。総理のお考えをお聞かせください。

○安倍内閣総理大臣 日本は世界の中において有数な地震国であるがゆえに、原子力発電所の地震に対する安全性はより厳しいものが求められるというふうに認識をしております。
 東日本大震災の教訓も踏まえて、世界最高水準の安全を目指すという考え方のもとで、今回、地震対策を強化した新たな、極めて厳しい規制基準を原子力規制委員会において策定をしているところでございます。

○塩川委員 世界有数の地震国の日本ではより厳しいものが求められる、そのとおりなんです。これからの話じゃないんですよ。まずは、これまでがどうだったかということが問われているんです。そういう点でも、地震地帯で人口密集地域、そこに原発が集中立地をしている、そういうことになれば大きな危険性が伴うというのが普通の受けとめであります。
 日本に立地している原発で、大地震に見舞われる危険性がないと断言できる原発はありません。一九九五年の阪神・淡路大震災以来、日本は地震活動期に入ったと言われ、巨大地震によって原発事故が引き起こされる原発震災の危険が指摘をされてまいりました。二〇〇七年の中越沖地震では柏崎刈羽原発が被災をし、多くの設備が壊れ、火災や放射能漏れが起こるなど、原発震災が現実の危険となりました。だからこそ、我が党は、巨大地震に伴う原発の危険性について追及をしてまいりました。
 二〇〇四年に、スマトラ沖地震、津波によって、インドのマドラス原発が損傷する事故がありました。このことにも注目をして、我が党の吉井英勝衆議院議員が二〇〇六年十二月に質問主意書を提出しております。パネルを見ていただきたいんですが、タイトルそのものが、「巨大地震の発生に伴う安全機能の喪失など原発の危険から国民の安全を守ることに関する質問主意書」、これを平成十八年の十二月に行っております。この答弁書は、第一次安倍内閣のときであります。ですから、安倍首相及び甘利経産大臣のもとで閣議決定されたものであります。
 赤い線を引いたところを読み上げますと、質問主意書の方では、「外部電源が得られない状態が生まれ、内部電源も」「働かなくなった時、機器冷却系は働かないことになる。 この場合、原子炉はどういうことになっていくか。原子力安全委員会では、こうした場合の安全性について、日本の総ての原発一つ一つについて検討を行ってきているか。 また原子力安全・保安院では、こうした問題について、一つ一つの原発についてどういう調査を行ってきているか。」このように質問をいたしました。いわば、今回の福島原発事故の進展に符合する、全電源が喪失をし、機器冷却系が働かず、炉心の損傷、そしてメルトダウンに至る事態を予想した質問でありました。
 これに対する答弁書は、「地震、津波等の自然災害への対策を含めた原子炉の安全性については、」「御指摘のような事態が生じないように安全の確保に万全を期しているところである。」このようになっております。内閣総理大臣安倍晋三の名前での答弁書であります。
 そこで、総理にお尋ねいたしますが、対策を求める指摘をしていたにもかかわらず、総理が、安全対策は万全だ、こういう答弁書を書いたというのは、政府が、全電源喪失によってメルトダウンに至る過酷事故、シビアアクシデント、これが起こらないという立場だったからではありませんか。

○安倍内閣総理大臣 志位議員の御質問にも答弁したとおりでございますが、原発の安全性について、国会事故調や政府事故調からも指摘されているとおり、複合災害という視点が欠如していたことや、規制組織の独立性が十分ではなく、いわゆる安全神話に陥ってしまった点、政府として深く反省しなければならない、このように思いますし、また、国民の皆様に対しましても、申しわけない思いでございます。
 こうした反省を踏まえ、昨年九月に原子力規制委員会が新たに設置をされ、原子力規制の抜本的な見直しが進められているところでございます。原子力発電所の安全に関する新基準については、ことし七月までの改正原子炉等規制法の施行に向けて、シビアアクシデント対策の実施や津波対策の強化などを盛り込む方向で、現在、原子力規制委員会において検討中であります。
 原子力発電所は、安全の確保が最も重要でありまして、今までの反省も踏まえて、基準を策定していきたいと思います。

○塩川委員 いや、反省を口にされますけれども、しかし、この答弁書では、原発そのものに過酷事故が起こり得る、こういう視点が欠落をしている、この点が極めて問われているんじゃないでしょうか。
 この間、一九七九年のスリーマイル島の原発事故、一九八六年のチェルノブイリ原発事故において、炉心を著しく損傷する事故、メルトダウンに至る過酷事故、シビアアクシデントが現実のものとなりました。世界では、二度にわたる過酷事故、シビアアクシデントを踏まえ、独立した規制機関の確立とシビアアクシデント対策は国際的な基準となってまいりました、そのときに、日本ではどうだったか。
 田中原子力規制委員会委員長にお尋ねをいたしますが、一九九二年五月二十八日の原子力安全委員会において、重大な決定を行っております。この決定では、「シビアアクシデントは工学的には現実に起こるとは考えられないほど発生の可能性は十分小さい」として、「原子炉の設置または運転を制約するような規制的措置が要求されるものではない。」としていました。
 つまり、この決定で、過酷事故対策については規制は行わない、事業者任せにする、こういうことを決定していたわけであります。このことが、結果として、この福島事故につながってしまったのではありませんか。その点についての認識を伺いたい。

○田中政府特別補佐人 今御指摘の点については、かつての原子力安全委員会決定の中にそういった記述があることは承知しております。そのことが、福島の事故を見れば、誤りであったということであります。
 したがって、新しい基準においては、そういったシビアアクシデントが起こり得るとして、起こさないためのバックフィット規制、今までは事業者の自主努力に任せているようなところがありましたけれども、今度は、法的にそれをきちっと対応することを求めるバックフィット規制を行っていくということで、なおかつ、そういったアクシデントは、幾ら規制を高めていっても、ある程度そういう可能性もあるんだという認識のもとで、より一層の安全を高めていく努力をしていくという姿勢で今臨んでいるところでございます。

○塩川委員 今、田中委員長から、この過去の原子力安全委員会の決定、要するに、過酷事故は起こらない、事業者任せにする、規制を行わないんだというやり方が誤りだったということを述べられました。
 一九八六年のチェルノブイリ事故の教訓を踏まえたIAEAの一九八八年の報告は、このシビアアクシデント対策を求めていたわけで、アメリカやEUは受け入れ、日本は受け入れなかった。二十年以上前から指摘をされていたのに、対策を放置したというのが日本であります。
 重ねて総理にお尋ねしますが、こういうシビアアクシデントは起きないとした政府の政策というのがこの福島の事故につながったんだ、そういう反省はお持ちでしょうか。

○安倍内閣総理大臣 先ほども答弁させていただきましたように、いわゆる安全神話の中に我々は陥ってしまった、このことによって、防げたものが防げなかったかもしれない、そういう反省の中から、政府事故調においても、また国会事故調においても調査が行われたというふうに承知をいたしております。
 今後、その反省を踏まえて、厳しい安全基準をつくっていかなければならない、このように考えているところでございます。

○塩川委員 いや、そもそも、何度も指摘をされながらシビアアクシデント対策を放置してきた。歴代自民党政権ですよ。その自民党政権の政府の対応が事故につながったんだ。このことへの反省なしに今後の対策はあり得ないということは、重ねて申し上げておくものであります。
 これからどうするかというのが問われてまいります。
 福島第一原発では、注入している冷却水が格納容器から漏れて、高濃度の汚染水としてふえ続けております。一号機、二号機、三号機の格納容器が壊れているためであります。
 このパネルは、東電が作成をいたしました福島第一原発の炉心損傷状況の推定図であります。メルトダウンによって燃料が溶けて、圧力容器の底から下に落ちている。冷やすために水を入れているわけですが、格納容器から漏れ続けているというのが現実であります。
 東電の廣瀬社長にお尋ねをいたしますが、この格納容器はどこが壊れているんでしょうか。水漏れ場所というのは特定できているんでしょうか。

○廣瀬参考人 お答え申し上げます。
 一号機、二号機、三号機の格納容器からの水漏れにつきましては、現在、ロボットを中に入れるとか、それから小さな穴をあけて、そこからスコープでのぞくというようなことをやっておりまして、大分漏えい箇所を絞り込みつつあるところでございます。
 引き続き、しっかり調査してまいりたいと思っております。

○塩川委員 水漏れ場所は特定できたんですか。

○廣瀬参考人 いまだ特定はできておりません。引き続き調査してまいる所存です。

○塩川委員 格納容器の壊れた場所などがまだ解明されていないんです。
 原発事故は収束しておりません。なぜ壊れたかということも未解明だということです。
 そこで総理にお尋ねしますが、総理は、施政方針演説で、原発の安全性については原子力規制委員会の専門的な判断に委ね、安全と認められた場合には、その判断を尊重し、再稼働を進めると述べました。
 また、総理は、我が党の志位委員長の代表質問に対して、原子力規制委員会において、事故の検証等も踏まえ、過酷事故も踏まえ、あらゆる事態を想定した原発の安全に関する諸基準について現在検討が行われていると、過酷事故も踏まえた安全基準の検討について言及をしております。
 ここで総理が言う、再稼働の前提としての安全というのは、シビアアクシデントというのはそもそも起きないということを前提にしているものなんでしょうか。

○茂木国務大臣 委員も御案内のとおり、安全性の確認につきましては、独立した規制委員会において行います。そして、今まさに、この新安全基準、作成中でありますが、そこの中には、シビアアクシデント対策、さらには、その時々の最高水準の知見も盛り込んでいく、いわゆるバックフィット、こういったものも入れた基準を現在作成中だ、そのように承知をいたしております。

○塩川委員 福島原発事故のように、格納容器が壊れて放射性物質が外に出ることがないという基準なんでしょうか。メルトダウンはあっても格納容器は壊れないという基準なんでしょうか。

○田中政府特別補佐人 炉心が溶融するようないわゆるシビアアクシデント、炉心損傷などが起こった場合でも、それが拡大しないようにいろいろな対策を整えますが、仮に格納容器が破損した場合でも、大規模な破損にならないように、格納容器の、要するに閉じ込め機能を失わないようにするために、今、フィルタードベントといったようなものを設けて格納容器を保護するようなシステムも、今回の新たな規制基準では要求させていただくことにしております。

○塩川委員 それはどんなことをするんですか。格納容器の閉じ込め機能を維持するためにベントなどと言いますけれども、それは、具体的には、格納容器が壊れないというために何をするということなんですか。

○田中政府特別補佐人 炉心が溶融して、格納容器に大量の放射性物質が充満したままで格納容器が壊れますと、重大な放射能の漏えい事故になりますので、そういうことにならないように、今回の事故でも、格納容器の圧力が上がって、いわゆる格納容器の一部破損というか漏えいが起こったということですから、そういうことにならないように、そういう放射性物質を取り除くようなフィルターをつくる、いわゆるフィルターを通して、それから中の圧力を下げるようなシステムをつくるということであります。

○塩川委員 フィルターはあるけれども、放射性物質が外に出るということになるんじゃないですか。

○田中政府特別補佐人 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、その場合でも、最悪の見積もりでも、大体、福島の事故の百分の一程度、通常のフィルターの機能が、性能を上げれば、さらにもう一桁低くなるということであります。
 ただし、申し上げておきたいのは、それだけ出してもいいというような基準を要求しているわけではなくて、そういうところに至らないようにするために、できるだけの対策をまず立てていただくということが最大の眼目であります。仮にそういうことをしても、そういう事態が起こった場合でも、福島の百分の一以下になるようにするというのが、今私どもが求めている規制基準の骨格であります。

○塩川委員 極めて重大であります。
 メルトダウンをしても格納容器が壊れないという対策として、放射性物質を外に出すということを前提にしているということですよ。福島で排出された放射性物質の百分の一とかいったって、どういうふうにそれを管理するのか、そんなことが本当にできるのか。
 そもそも、原発の安全対策としてきた、とめる、冷やす、閉じ込めるという原則のうち、究極の、閉じ込めるという原則を破って、原発の敷地外に放射性物質を放出するということになるわけです。これが対策なんですよ。
 総理にお尋ねしますけれども、原発立地地域の住民は、こういった際に、格納容器が壊れないようにするからといって、放射性物質は外に出しますということを我慢してくださいということを言うんですか。

○茂木国務大臣 これまでの反省も踏まえて、万全の安全対策を規制委員会の新しい基準のもとでやっていきます。
 そして、田中委員長の答弁にもありましたように、百分の一だからいいということではないんです。ただ、我々は、これからは安全神話には寄りかからないということで、二重にも三重にも対策をとるということを田中委員長も先ほど申し上げたんだと思います。

○塩川委員 いや、起こっている事態はメルトダウンなんですよ。メルトダウンのときに福島の百分の一に抑えられる、そういった保証は一体どこにあるのか。この間、指摘をしましたように、地震国の日本で、単純にこういった基準というのを当てはめるということは許されない。
 そういう点でも、総理に重ねて伺いますけれども、放射性物質を外に漏らすことを前提にしたシビアアクシデント対策というのはおかしいんじゃないですか。改めて。

○安倍内閣総理大臣 田中委員長、また茂木大臣からお答えをしておりますように、百分の一ならいいということではもちろんありません。そうならないように最大限の努力をしていくということでありますし、そして同時に、安全神話の中においてそういうことは起こらないんだという前提には立たずに、そうした危険を排除するために何重もの安全策をとっていくということではないかと思います。

○塩川委員 いや、漏らすことを前提にしたシビアアクシデント対策でいいんですか、そういうことを原発立地地域の住民に説明する、そういうことでいいんですか。おかしいんじゃないのか。このことを聞いているんですが、いかがですか。

○山本委員長 茂木経済産業大臣。(塩川委員「いや、総理、総理ですよ」と呼ぶ)
 技術的な話です、まずは。

○茂木国務大臣 漏らすことを前提にしておりません。漏らさない、そして、そういった事故は起こらない、こういう世界最高水準の安全基準をつくっております。
 その一方で、さまざまな対策をとりながらも、最初から、絶対物事は起こらないんだ、こういう前提で考える、これによって起こった今回の反省も踏まえた対応をしているということであります。

○塩川委員 いや、それ自体が、過酷事故が起きても大丈夫だという新たな安全神話になりかねない、同じ過ちを繰り返すものだ、このことを強く言わざるを得ません。
 そもそも、この福島の皆さんの声がどこにあるのか。福島県議会の斎藤健治議長さん、しんぶん赤旗の日曜版でもインタビューに応じていただきましたが、「原発事故が起きるまで私は、原子力発電所をばんばんつくろうとしてきました。二〇一〇年の十二月議会では自民党を代表し本会議で「福島第一原発に七、八号機をつくりなさい」と質問したほどです。 しかしあの原発事故が起き、「とんでもないことを言った」と反省し、今は「県内の全原発を廃炉にしろ」と主張しています。」これこそ福島県民の声であります。
 こういった声に応えて、原発再稼働は反対、県内十基の原発廃炉、こういう福島県民の声に応えるべきであり、事故は収束していない……

○山本委員長 塩川君、時間ですよ。

○塩川委員 この点でも、事故収束宣言を撤回し、再稼働などは許されない、即時原発ゼロの政治決断こそ行い、このことを強く求めて、質問を終わります。