国会質問

「しんぶん赤旗」2013年4月6日付・「論戦ハイライト」より




歴代自民政権の対応/原発事故招いた/衆院予算委/塩川議員の質問


 5日の衆院予算委員会で福島原発事故と原発再稼働問題を取り上げた日本共産党の塩川鉄也議員。福島原発事故に反省もなく、新たな「安全神話」を繰り返す安倍政権の姿が浮き彫りになりました。

 塩川氏は、東京電力が国会福島原発事故調査委員会の調査を妨害した問題を取り上げました。

 同事故調の田中三彦元委員は、1号機4階における地震直後の出水と非常用復水器の関連を調べることで、地震動で重要機器が破損したかを明らかにしたかったとして、東電の対応は「明らかに意図的な阻止(調査妨害)だったと感じている」と述べました。

 塩川氏は、地震にかかわる「事故原因は究明されていない」と述べ、真相究明のため、東電の国会事故調担当だった元部長の証人喚問を要求するとともに、「第2次国会事故調」による再調査と現場の証拠保全を求めました。

地震地帯に密集

 塩川氏は、世界の地震活動の分布と原発立地を示したパネルを示し、「地震地帯で原発の立地が密集しているのは日本だけだ。異常だと思わないのか」と質問。安倍晋三首相は「世界最高水準の安全を目指す」などと、破綻ずみの「安全神話」にしがみつく姿勢を示しました。

 日本共産党はこれまで巨大地震に伴う原発の危険性をとりあげ、吉井英勝衆院議員(当時)が質問主意書(2006年12月)で巨大地震による電源や冷却機能の喪失を警告していました。しかし、当時の安倍内閣は答弁書で「安全の確保に万全を期している」と無視していました。


 塩川 全電源喪失によってメルトダウンに至る過酷事故は起こらないとの立場だったからではないか。

首相 「安全神話」に陥っていた点を深く反省しなければならず、国民にも申し訳ない。


 旧原子力安全委員会も1992年5月28日、「シビアアクシデントは工学的には現実に起こるとは考えられないほど発生の可能性は十分小さい」としていました。

 塩川 過酷事故対策の規制は行わず、事業者任せにすると決定していた。反省はあるのか。

田中 福島の事故をみれば誤りであった。(過酷事故の)可能性はあるという認識で努力していく。

 塩川 歴代自民党政権の対応が事故につながった。このことへの反省なしに、今後の対策はありえない。

収束宣言撤回を

 原子力規制委員会が検討している新しい「規制」基準はどうか――。

 規制基準をつくるというのなら、事故原因の究明が前提です。ところが塩川氏が原子炉格納容器で壊れている場所の特定ができているかとただすと東電の広瀬直己社長は「特定できていません」と答えました。

 安倍首相は「安全と認められたものから再稼働を進める」と繰り返しています。

 塩川 再稼働の前提としている「安全」はシビアアクシデント(過酷事故)は起きないことを前提としているのか。

茂木敏充経産相 安全基準のなかにはシビアアクシデント対策も盛り込んでいる。


 では、福島原発事故のように放射性物質が放出されない基準となっているのか――。

 田中俊一原子力規制委員会委員長は、格納容器が壊れないようにするため、放射性物質をフィルターを通して外に出すことを明らかにし「(放出する放射性物質は)最悪の見積もりでも福島の事故の100分の1程度になる」と説明しました。

 塩川 放射性物質を外に出すことを前提にしている。住民に放射性物質を外に出すことをがまんしてくれと言うのか。

首相 そうならないように最大限の努力をしていく。


 塩川氏は「放射性物質を外に漏らすことを前提にした過酷事故対策はおかしい」と追及。自民党の福島県議会議長が、原発増設を求めたことを反省し、廃炉を求めていることを紹介し、「収束宣言の撤回、再稼働は許さない、『原発ゼロ』の政治決断を求める」と締めくくりました。