国会質問

<第183通常国会 2013年04月10日 経済産業委員会 7号>




○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 きょうは、福島第一原発における地下貯水槽からの汚染水漏れ問題について質問をいたします。
 この間、トラブルが相次いでいるのが福島第一原発で、仮設配電盤のショートによる使用済み燃料プールの冷却中断、さらには今回の、地下貯水槽から放射能汚染水が漏れ出すという問題がありました。
 これは、東電の責任とともに、原子力規制委員会、そして経済産業省の責任も問われる問題であります。ひいては事故収束のあり方が問われる問題、この立場で質問をいたします。
 最初に確認をいたしますが、この地下貯水槽からの汚染水漏れの現状と原因について、お願いいたします。

○山本政府参考人 お答えさせていただきます。
 福島第一原子力発電所の地下貯水槽からの漏えいの経緯でございますけれども、まず、四月五日に、ナンバー2と呼ばれます地下貯水槽におきまして、汚染水の漏えいが確認をされてございます。それから、翌日の六日でございますけれども、今度はその隣にありますナンバー3の地下貯水槽で汚染水の漏えいが確認をされました。さらに、先ほど申しましたナンバー2の地下貯水槽から漏えいが確認されておりましたので、あいておりましたナンバー1の地下貯水槽の方に移送をしておりましたけれども、四月九日に移送先のナンバー1の地下貯水槽においても漏えい、放射性物質が検出された、こういう経緯のものでございます。
 原因につきましては、私ども規制委員会、規制庁としましても、四月七日に、原因究明について検討するようにという指示はしているところでございますけれども、現在、東京電力において調査中でございまして、具体的な原因はまだ明らかになってございません。東京電力の原因調査について、規制委員会といたしましても、しっかり中身を確認し、しっかり行うよう指導していく、こういうことを進めたいと思っております。

○塩川委員 一号、二号、三号基で汚染水漏れが起こる、その原因については現時点で明らかになっていない。改めて、事故が収束していないということが浮き彫りとなりました。七カ所ある地下貯水槽全てに汚染水漏れが起こるのではないかということが危惧される事態であります。
 そこで、そもそもこういった施設をつくるに当たって国も関与してきているわけですが、この地下貯水槽の設計寿命、耐用年数は何年か、この点についてはどのように東電から話を聞いているのか。

○高原政府参考人 東京電力からは、地下貯水槽につきまして、通常、約二十年間使用可能と評価していたということを聞いております。
 以上でございます。

○塩川委員 資源エネルギー庁から、東京電力の資料として、貯留タンクの設計寿命、耐用年数というペーパーをいただきました。これを見ますと、地下貯水槽については、当社、東電ですね、当社による劣化評価の結果、適切に管理を行うことで少なくとも十年以上使用可能ということも書かれております。今、二十年というお話がありました。しかし、実態は、水を入れたらすぐ漏れてしまったということであります。こういう点でも、こういった東電の計画について認めてきたのが国の問題として挙げられるわけであります。
 あわせて、鋼鉄製タンクの設計寿命、耐用年数というのはどうなっていたかわかりますか。

○高原政府参考人 おおむね五年と聞いておりました。
 以上でございます。

○塩川委員 この東電提出、エネ庁からいただいた資料でも、鋼鉄製タンクについては、耐用年数は、十年以上使用可能といいながら、ゴムパッキンの耐用年数が五年程度ということも挙げられているわけであります。
 そういう鋼鉄製タンクの耐用年数、今のようなお話ですが、本当に大丈夫なのか。そういう点について、今、実態がどうなっているか、はっきりとつかんでいるんでしょうか。総点検も必要だと思うんですが、その点はいかがですか。

○高原政府参考人 ゴムパッキンの耐用年数は五年程度でございますけれども、耐用年数以降につきましては、接合部、外面の漏えい防止措置などによりまして耐久性を確保することといたしておりまして、当時、原子力安全・保安院がこれを確認したところでございます。
 今後も定期的に点検、補修を行うことによりまして、当該接合部も含めましてタンクの耐久性に問題がないことなどを確認いたしまして、汚染水の管理に万全を期してまいりたいというように考えております。
 以上でございます。

○塩川委員 鋼鉄製タンクの実際の漏えい状況がどうなっているのか、こういうことについての点検というのは、規制委員会、あるいは事故収束にかかわる経産省としてきちっと行っているんでしょうか。

○山本政府参考人 タンクにつきましては、先ほど御指摘のありましたように、鋼製のタンクでございまして、特にその接合部の経年劣化が非常に心配されるところでございますから、したがって、タンクの貯留状況、そういったものを東京電力にしっかり監視させるというのが基本でございます。
 私どもの規制委員会としましても、東京電力の監視状況、適切に行っているかどうか、こういったものを確認しておるところでございます。

○塩川委員 改めて、こういう地下貯水槽の問題が起こっているわけですから、鋼鉄製タンクの現状についてどうかということを確認する指示とかというのは出されているんですか。

○山本政府参考人 点検の実施に加えまして、もちろん経年的な劣化も想定されますから、そういう経年劣化を踏まえた保守管理、こういう計画を東京電力でしっかりつくらせて、それで対応する、こういう指示をしておるところでございます。

○塩川委員 この間、事故収束、それから廃炉に向けた中長期ロードマップもつくられ、これも踏まえた経済産業省の原子力安全・保安院としての中期的安全確保の考え方が示されて、これに基づいて東電としての実施計画などもつくられてきているわけであります。そういう点でいいますと、これらの施設について、地下貯水槽や鋼鉄製タンクの耐用年数などについても認めてきたのが経済産業省の原子力安全・保安院だったわけであります。その点での責任も問われてくるわけです。
 この東電の計画に対して当時の原子力安全・保安院が評価を行っているわけですけれども、それを見ますと、この地下貯水槽の構造強度について、地下雨水貯留排水設備、あるいは管理型の廃棄物最終処分場との比較で評価を行っております。つまり、水漏れしても汚染が直接問題とならない洪水調整用の地下雨水貯留排水設備や、固形物を入れる管理型廃棄物最終処分場と同様の遮水シートで対応することを、信頼性を有するといって評価したのが経済産業省の原子力安全・保安院だったわけであります。
 こういった経済産業省原子力安全・保安院の対応というのは適切だったんでしょうか。

○山本政府参考人 当時の規制当局でございました原子力安全・保安院の評価並びにその対応については、今現在、原子力規制委員会の方で引き続いて対応させていただいております。
 御指摘のように、当時の原子力安全・保安院では管理型の貯水槽の技術などを参考に評価がなされたものと承知をしてございますけれども、委員御指摘のように、今回こういう漏えいが起きているということになってまいりますと、やはり設計上の問題あるいは管理上の問題、施工上の問題があったのではないかと考えられますので、そういった技術的な問題点については、これから原因究明をしっかり行うことによって、技術的な課題、問題点を明らかにして対応していきたいというふうに考えておるところでございます。

○塩川委員 もともと、原子炉等規制法の六十四条にあります危険時における応急の措置に基づいて、経済産業省原子力安全・保安院は中期的安全確保の考え方を示し、法律上の要求は満たさないけれども、応急の措置として、地下貯水槽の設置等々、東電としての計画の提出を求め、それらの施設の設置について容認をしてきたわけであります。
 一昨日、原子力問題調査特別委員会では、国会事故調の元委員の方の参考人質疑が行われました。そこでは、大熊町の商工会の会長で、フラワーショップを経営しておられた蜂須賀礼子さんも意見陳述をしておられました。
 蜂須賀さんは、毎日報道される原子力発電所のトラブル、事故原因があやふやにされた中でのトラブル、何一つ私たちの心に安心がありません、電力会社においては、トラブルが起きるとただ謝るばかり、二年たっても全て仮設設備、なぜに本格的な整備、設備ができないのでしょうか、私たち避難者は、国の命令で避難させられました、国民の命を守るための命令ならば、今の電気事業者の危機管理の甘さに対しても強い命令を出すべきだ、このように述べておられました。
 茂木大臣にお尋ねいたします。
 事故から二年もたつのに、事故収束対策、安全確保対策を応急措置のままにしてきた、これが今回の事態になっているんじゃないのか。また、その対策を東電任せにしてきたということが今回の事態につながっているのではないのか。この点についての大臣の認識を伺いたい。

○茂木国務大臣 福島第一原発におきまして、汚染水の漏えい、そしてまた電源を一時失う、こういった事故、トラブルが相次いでいることに加えて、貯水槽の水位の低下の報告であったり、その対応がおくれるなど、東京電力の対応がこれまで後手後手に回ってきたことについては極めて遺憾だと思っております。
 このような状況を踏まえまして、一昨日、私から広瀬社長に対しまして直接、社長自身が陣頭指揮して、全社一丸となって事態の収拾、再発防止に向けてしっかり取り組むよう指示をしたところであります。
 具体的に四点申し上げました。その一つは、電源の多重化など機能喪失を起こさないための体制の構築、そして二つ目は、汚染水を外部に漏らさないための万全な対策の措置、三つ目は、今回の汚染水の周辺環境への影響に加え、中長期的な汚染水の管理、貯蔵に係る取り組みについての専門家による検証、四番目が、海外専門家による助言を踏まえた検証と結果の公表、さらには国際的な共有ということであります。
 そして、地下の貯水槽の汚染水、実際に水漏れが起こっているわけであります。今後はこれを地上の鋼鉄製のタンクに移送する、一号から七号まで全て含めて、今入っている一、二、三、六も含めて移送を進めるという方向で東電に指示をいたしております。当面の対策としてはそういうことであります。
 ただ、中長期的な対応につきましては、地下水の流入の抑制、そして最終的には阻止をしていかなければならない。さらに、放射性物質を可能な限り除去してタンクに管理、貯蔵するための多核種除去装置の早期稼働、そして多核種除去装置でも除去できないトリチウムをどのように処理するかの課題に対応する必要がある、こんなふうに考えております。
 やってきたこと、振り返ってみまして、リスクに対する考え方、こういったところに私はやはり甘さがあったのではないかなと思っております。そうならないように万全の指導を行っていきたいと思っております。

○塩川委員 事故の対応について東電は後手後手だったという話がありました。
 最後におっしゃった、リスクに対する考え方に甘さがあったというのは、東電に甘さがあったのか。私は、経産省そのものに甘さがあったんじゃないのか、事業者任せにしたということもあり、何よりも、応急の措置のまま二年間ずっと推移してきた、そういう経済産業省を含めた国の対応に問題があったのではないのかと考えますが、その点はいかがですか。

○茂木国務大臣 当省としてとり得べき対応、これからも万全の体制で、今まで以上の緊張感を持って臨んでいきたいと思っております。
 ただ、安全性の評価、これを一義的に行うのは規制委員会であります。そのことはぜひ御理解ください。

○塩川委員 もともと、事故収束、廃炉に向けての取り組みは経産大臣自身も副責任者ですから、大きな役割を果たしているわけで、そういう立場でこれまでの国の対応がどうだったかということが問われているわけであります。
 先ほど馬淵委員とのやりとりでもありましたけれども、もう東電任せにしない、そういう点でも、国が前面に立ってやるべきことは全てやる、こういう立場で臨むというお考え、対応、それでよろしいんでしょうか。

○茂木国務大臣 廃炉に向けたプロセス、そしてこういった地下水の問題、国としてやるべきこと、前面に立って対応していきたいと思っております。

○塩川委員 先ほどの馬淵委員とのやりとりの中で、大臣が、地下貯水槽の汚染水、これが入っているものは全て鋼鉄製のタンクに移送する、鋼鉄製のタンクの建設も前倒しをし、今後、地下貯水槽は使わないというお話をされておられました。当然の措置だと思います。
 その際に、五月中に地下貯水槽から汚染水を移すというふうにおっしゃったと私は受けとめたんですが、大臣は、その後のやりとりでも、放射性物質が漏出して地下水とまざっている可能性は否定できないということもおっしゃっておられたわけです。そうしますと、汚染水が地下水とまざっている可能性が否定できないのであれば、五月中と言わずに、もう直ちに地下貯水槽の汚染水の移送ということを行う必要があるんじゃないかと思うんですが、その点はいかがでしょうか。

○茂木国務大臣 対応について若干整理して申し上げますと、まず、地下貯水槽第一と第二の汚染水が合計で今七千立米あるわけでありますけれども、これは速やかに鋼鉄製の地上タンクに移送させる。作業はもう始まっていると思います。そして、地下貯水槽第三と第六につきましては、当分の間、監視強化を継続いたします。しかしながら、万が一、何らかのトラブルがあった場合にも即時に鋼鉄製タンクへの移送が可能となるように、早急にタンクの増設を進めるよう指示をいたしました。
 それで、五月中には、全ての地下貯水槽の中の汚染水、つまり三と六の話でありますが、これが万が一の際にも鋼鉄製タンクに余裕を持って貯蔵できるよう地上のタンクを増設させて、その後は地下貯水槽は使用しないこととするということでありますから、今、汚染水が出ている一、二につきましては、タンクの容量に余裕がありますから、すぐに持っていきます。そして、三と、二から六に移した部分が二千ぐらいあります。この部分につきましては、まず監視をします。監視をしますけれども、基本的には移します。これは、タンクができていなかったら移しようがありませんから、タンクができた順に速やかに移していきます。

○塩川委員 馬淵委員とのやりとりで、馬淵委員が政府内で収束作業に当たっていたときに、東電に遮水壁の建設を要求すると、決算もあるのでということで渋ったというやりとりがありました。これが事実であるとしたら非常に重大だと思っております。
 つまり、事故収束作業を事業者に任せるということは、一刻も早い事故収束や安全確保策よりも、その事業者のコストを優先するという事態も招くことになりかねない。そういう点でも、事業者任せにせず、国が責任を持って対処する必要がある。これこそ今求められていると思うんですが、その点について大臣から一言いただいて、終わりたいと思います。

○茂木国務大臣 この問題、安全性の確保を第一に取り組みたいと思っております。

○塩川委員 終わります。