国会質問

<第183通常国会 2013年04月15日 予算委員会第三分科会 2号>




○塩川分科員 日本共産党の塩川鉄也です。お世話になります。
 きょうは、群馬県上空及び島根、広島、山口県境上空の米軍機の飛行訓練問題について質問をいたします。
 沖縄普天間基地へのオスプレイ配備をきっかけに、米軍は、米軍機の低空飛行訓練ルートを明らかにいたしました。実際、三月に本土で訓練飛行を行ったオスプレイは、オレンジルート周辺を飛行しておりました。私は、予算委員会の基本的質疑でも、住民生活の頭の上で横暴勝手に米軍機が低空飛行している問題について中止を求めましたが、きょうは、いわゆる低空飛行訓練ルートとは別に、本土上空で米軍機の訓練飛行が住民生活に多大な被害をもたらしている問題について取り上げたいと思います。
 その場所の一つが、冒頭申し上げましたように、島根・広島・山口県境の上空で、地元では米軍の呼称を使ってエリア567などと呼ばれております。もう一つが、前橋市や渋川市、高崎市など群馬中央の上空で、ホテルエリアなどと呼ばれております。
 この間、私、それぞれの地域での現地調査も行ってまいりました。
 資料をお配りしたんですけれども、一枚めくっていただいて、ページが下に打ってある一のところです。
 左側が群馬県がつくった資料です。「米軍機等の騒音・飛行に係る苦情件数について」ということで、群馬県が住民の方、県民の方から受けた件数ですけれども、下の方、平成二十二年度から見ますと五百二十六件、二十三年度には六百件、平成二十四年度には千二十六件と、一年間で大変多くの騒音被害があるという苦情が県に寄せられている。
 右側の方が島根県の作成した資料ですけれども、「米軍機等の目撃等件数」ということで、平成二十二年度、二十三年度、二十四年度と見ますと、下から二つ目の欄が件数ですけれども、二十二年度では二百九件、二十三年度では二百四十件、二十四年度では五百六十二件となっています。
 もう一枚めくっていただいて、二ページのところが、これは広島県の「米軍機低空飛行目撃情報について」の集計表です。ちょっと字が小さ過ぎるので読み取れないんですけれども、二十二年度、二十三年度、二十四年度の上半期の数字を見ますと、二十二年度が一千四百七十九件、二十三年度が二千四十八件、二十四年度の上半期が一千十二件、こういう件数が、目撃情報あるいは騒音被害の苦情という形でそれぞれの県に寄せられている件数であります。
 広島の場合には、特に県西部の廿日市市や北広島町に集中しているということも、この市町村別の一覧表から見ていただけると思います。
 こういう苦情というのは、防衛省にも直接寄せられているわけですね。防衛省が作成をしております米軍機の飛行に係る苦情等受付状況表というのがあります。これは資料にはつけておりませんけれども、その中では、例えば苦情の件数について、各地方防衛局に住民から直接寄せられた米軍機飛行に関する苦情を記録したものです。それぞれ、防衛省が、米軍機かどうか米軍に問い合わせをして確認しております。
 これは、防衛省の地方防衛局とか防衛事務所だとか、あるいは基地、駐屯地に寄せられた苦情を集計しているという形になっておりますので、例えば外務省とか、あるいは市町村とか都道府県とかに寄せられた苦情というのは集計されていないんですね。ですから、防衛省の出先などに直接寄せられたものを集計した件数ですから、市町村、都道府県の集計の件数というのは、そこでの大きな差があるということも見ていただければと思います。
 そこで、防衛省にお尋ねしますが、この防衛省作成の苦情等受付状況表において、群馬県における苦情件数、二〇〇八年度から二〇一二年度までの各年度の苦情受け付け件数が群馬県において何件かということをお示しください。

○前田政府参考人 お答えいたします。
 防衛省におきましては、今先生お話しのとおり、米軍機の飛行に伴う地方自治体あるいは住民の皆さんからの苦情をお受けいたしました場合には、米軍に対してまずその内容を通知いたします。それから、飛行の有無等の事実関係の問い合わせというのをいたします。その結果について、地方自治体等に情報提供をしているところでございます。
 お尋ねのございました、私ども防衛省が把握いたしております群馬県における苦情件数について申しますと、二〇〇八年度、平成二十年度に百三十七件、二〇〇九年度、平成二十一年度に百六十四件、二〇一〇年度、平成二十二年度は百五十八件、二〇一一年度、平成二十三年度が百九十三件、最後に二〇一二年度、平成二十四年度でございますが、これは、三月の集計がまだ出てございませんので二月末までの集計なんでございますが、二百三十六件、こういう数字になってございます。

○塩川分科員 年々ふえている件数、そういう意味では、苦情として受けとめている住民の方が非常にふえてきているということが見てとれます。
 これは、群馬県の集計と違うのが、群馬県は個々に、一件一件数え上げるんですけれども、防衛省の場合は、例えば、群馬県から百件の苦情がまとめられてきた場合には、一件というカウント、つまり、県から寄せられた苦情の件数ということですから、それが一件ということで、そういう点では防衛省の件数としては非常に少なくならざるを得ないんですけれども、これはこれとして防衛省の集計のあり方ですけれども、率直に言って、実態を反映していると言えないんじゃないかなということを言わざるを得ません。
 それで、そういった苦情について、住民の方からの具体的な声も苦情等受付状況表には書いてあります。
 その中では、例えば、二〇一一年二月十五日の群馬県から寄せられた苦情受け付けにおいては、群馬県からのコメントがそこに記載されているんです。そこでは、昼夜を問わず、長時間にわたり、県民の不安をあおるような飛行を行っていることは極めて遺憾である、本日も県内公立高校の入試日である、昨日も相当な苦情を受けたため、特に配慮していただくよう重ねてお願いをする。
 つまり、ここにあるのは、県立高校の入試日に米軍機が飛んでいた、その大きな騒音被害で受験生が大変困った、保護者の方からも、こういうのはやめてくれ、こういう声が殺到したということを群馬県が訴えているという中身であります。
 また、島根県でも同様の苦情が防衛省に多数寄せられておりますけれども、島根県経由で浜田市から出された声として、あさひ子ども園、幼稚園と保育園が一緒になっているところですけれども、このあさひ子ども園では、子供は給食中に飛行機の騒音に驚き、恐怖の余り泣き出し、しばらく給食が食べられなかった、午後のお昼寝の時間に昼寝もできなかった。これが実態なんです。
 ですから、大臣にお尋ねしますけれども、このように、県立高校の入試の日に飛んで回る、ヒアリングなどそれこそ集中しなければいけないときに爆音が響く、こんなことはあってはならないと思いますし、子供が泣き出すようなこういう爆音被害というのは許されない、余りにもひどい被害ではないかと思いますが、大臣の率直なお気持ちをお聞かせください。

○岸田国務大臣 まず、今委員の方から、調査あるいは集計の実態につきましてお話をいただきましたが、いずれにしましても、私ども、地方の方々から多くの、そしてさまざまな苦情が寄せられているということについては当然承知をしておりますし、こうした問題は、地方にお住まいの方々にとって大変な問題であるという認識を持っております。
 こうした認識のもとに、米軍機による飛行訓練ですが、日米安保条約の目的達成のために不可欠な訓練であるという前提を体しつつ、政府としては、米軍の飛行訓練に際しましては、安全面に最大限の考慮を払うとともに、地元住民に与える影響を最小限にとどめるよう、引き続き、安全面への最大限の配慮を日米合同委員会等さまざまな場面を通じましてしっかり申し入れていかなければならない、このように認識をしております。

○塩川分科員 地元からの苦情は承知をしている、大変な問題だということは認識をしておられる、そうであれば、ぜひ調査をやっていただきたいんですね。
 というのは、それぞれの当該の県や市町村にしてみると、被害が大変大きい、こういう実態について国がきちっと受けとめてくれていないんじゃないのかという強い思いがあるわけです。だからこそ、今、島根県などは九カ所に騒音測定器を設置する。それに先駆けて、浜田市も独自に騒音測定器を設置する。群馬県も前橋市、渋川市に騒音測定器を設置する。これは、記録で客観的に騒音被害があるんだということを明らかにして、国にぜひとも対応してもらいたい、国としても調査をしてもらいたい、そういう声として上がっているものです。
 浜田市などの島根県西部の五市町が対策協議会を立ち上げましたけれども、それもぜひ国に動いてほしいという趣旨で行われているわけですから、こういう米軍機の被害の問題について実態調査をぜひやっていただきたい、防衛省などとも連携してやっていただきたいと思うんですが、その点はいかがでしょうか。

○岸田国務大臣 先ほども申し上げましたように、こうした問題は地元にとって大変大きな問題であると認識をしております。
 そして、実態把握のために調査をすべきだという御指摘をいただきましたが、この御指摘、ぜひ御提案として受けとめたいと存じます。
 いずれにしましても、防衛省ともよく連携いたしまして、適切に対応していきたいと考えています。

○塩川分科員 実態把握、提案として受けとめたいというお話ですから、ぜひ具体的に実施をしていただきたい、このことを申し上げ、こういった被害の実態がどんなことで行われているのかについて少しお聞きもしたいわけです。
 こういう米軍機による被害が集中している空域の特徴が何なのかということであります。
 資料の三ページの左側に、これは防衛省からいただいた自衛隊の訓練空域の範囲及び空域図についてであります。これで見ていただくと、特に白抜きの部分が高高度の訓練空域ですけれども、多くは海上に設定されております。
 防衛省に確認でお聞きしますが、本土の陸上部分で自衛隊高高度訓練空域と低高度の訓練空域が重なっているのは、先ほど紹介した島根・広島・山口県境の高高度の訓練空域のQ、ケベックと通称していますけれども、及び低高度の7、同様に、群馬上空の場合であれば、H、ホテルエリアとエリア3に該当する、その二カ所だけだと思いますが、この点はいかがでしょうか。

○佐藤(正)大臣政務官 塩川委員御指摘のとおり、本土の陸上部分において、自衛隊高高度訓練・試験空域と自衛隊低高度訓練・試験空域が上下に重なっているのは、エリアQとエリア7及びエリアHとエリア3の二カ所であります。

○塩川分科員 確認いたしました。
 下の部分が低高度で上が高高度になる。そうすると、地表面から上、約二万三千フィート、七千メートルの高さまで一体的に訓練で使えるような、そういう地域となっているということが見ていただけると思います。
 次に国交省にお尋ねしますが、今言ったQと7、Hと3がそれぞれ重なる空域というのは、それぞれ米軍の進入管制空域に対応している、その空域の中にそのほとんどがあると思いますが、それぞれどこの進入管制空域かをお答えください。

○重田政府参考人 お答えします。
 御指摘のエリアQとエリア7が重なる空域につきましては、一部を除き、米軍が岩国で進入管制業務を行っております岩国進入管制空域の中にございます。
 一方、エリアHとエリア3が重なる空域につきましては、米軍が横田で進入管制業務を行っております横田進入管制空域の中にございます。

○塩川分科員 今確認しましたように、資料の四ページ、五ページに地図があります。四ページの方が群馬上空ですけれども、濃いグレーの線が横田の進入管制空域です。オレンジの部分というのが高高度の訓練空域、そして赤が低高度の訓練空域。つまり、高高度と低高度が重なるところ、オレンジと赤で囲まれた部分というのは、すっぽり横田の進入管制空域に入っております。
 同じように、五ページの方で見ていただきますと、これは島根・広島・山口県境のところですけれども、一番外側の枠、濃いグレーのところが岩国の進入管制空域で、その中に、赤のところが低高度の訓練空域、オレンジのところが高高度の訓練空域に対応していますので、両方重なっている部分というのが赤で囲まれた部分ということになります。
 実際に現地に行きますと、ここの重なっている部分において訓練飛行が集中しているということが実態としてよくわかりました。
 ですから、このように、米軍の進入管制空域があって、その中に高高度と低高度の訓練空域が二階建てであって、そこの部分で訓練飛行が集中をしていることが共通しているということが見ていただけると思います。
 そこで防衛省にお尋ねしますが、我が党の井上哲士参議院議員が、AIP、航空路誌に基づく自衛隊の訓練空域に対しての米軍の使用に当たっての調整の実績のデータを出していただきました。
 そこで、この自衛隊の訓練空域、エリアQ、エリア7、エリアH、エリア3におけるAIPに基づく米軍機使用に係る調整実績がどうなっているかを、二〇一二年三月から二〇一三年二月までの一年間についてお示しいただきたいと思います。

○佐藤(正)大臣政務官 お答えいたします。
 国土交通省が公示しております航空路誌に示されているとおり、米軍機が自衛隊の訓練空域を使用する際には、使用統制機関として指定された自衛隊の部隊が米軍からの調整を受けております。
 御質問の平成二十四年三月から平成二十五年二月までの一年間について、米軍からの調整実績は、資料により確認できた範囲で空域ごとに申し上げれば、次の日数となっております。
 エリアQ、二百十八日間。エリア7、二百十八日間。エリアH、六十九日間。エリア3、六十五日間。このうち、エリアQ及びエリア7については、平成二十四年三月及び四月の調整実績が不明であるため、同年五月から平成二十五年二月までの十カ月間に調整を受けた実績を申し上げております。

○塩川分科員 お答えいただきましたように、エリアQ、エリア7については三月、四月分が不明ということですので、実際には飛んでいるでしょうから、もっと日数が多いんですよね。つまり、一年間をとってみると、エリアQ、エリア7においては二百十八日間プラスアルファということですから、大変多くの日数ですし、群馬上空のエリアHまたエリア3についても、重なるのが六十五日間。
 いずれにしても、これは全部、上下で使っている日が対応関係にあるんですよ。つまり、エリアQとエリア7、二百十八日ずつなんですけれども、全部同じ日なんです。つまり、同じ日に上下とも使っているということがこの調整実績でも見てとれますし、同様のことは群馬の上空でも言えるわけであります。
 これはそういうことだと思うんですが、わかりますか。

○佐藤(正)大臣政務官 お答えいたします。
 先般、自衛隊の訓練空域、試験空域を米軍が使用する際の調整実績を提出させていただき、今説明させていただいたところでありますが、御指摘のとおり、エリアQ、エリア7については、米軍からの自衛隊側に対する空域使用調整があった日は同一の日にちであり、エリアH及びエリア3についても、四日間を除いて同じ日ということは認識しております。

○塩川分科員 ですから、米軍の方はもう一体的に高高度、低高度を一緒に使っているということがこういう調整実績でも見てとれるわけです。それは資料の三ページの右側に書いたとおりであります。特定の訓練空域で、高い頻度で米軍が使用しております。
 そこで防衛省にお尋ねしますが、つまり、自衛隊訓練空域において米軍機が飛行する日程というのは事前に調整が行われています。何日前かというのはわかりませんけれども、事前に調整が行われているということであれば、地元自治体の方からすれば、いつ飛ぶんだと。いや、試験日は困るとか、大事な日があるとかいうことについては、そもそもやめてくれと言うのが基本ですけれども、少なくともいつ飛ぶのかは事前に教えてほしいという強い要望があるわけです。
 ですから、自衛隊として、米軍が飛ぶ日について調整しているわけですから事前にわかるわけで、こういった米軍機の訓練飛行の日程については地元自治体に事前に連絡する、そういうことというのはこれまで行っているんでしょうか。

○佐藤(正)大臣政務官 お答えいたします。
 米軍の訓練空域の使用につきましては、米軍の運用に関する情報であり、これを事前に公表することは差し控えさせていただいております。
 なお、一般論として、当時の天候などさまざまな要因によって、事前の調整の内容と実際の訓練の実績は必ずしも一致するものではないというふうに承知をしております。

○塩川分科員 事前調整したけれども飛ばなかったという日があるかもしれないけれども、しかし、事前に飛ぶとわかっているわけだから、だったら運用云々じゃなくて、そもそも住民の皆さんから、地元自治体から、事前にはせめて教えてくれという要望があるわけですから、これに応えることこそ今国がやるべき第一の仕事じゃありませんか。
 そういう点でも、今後、地元自治体から事前に教えてくれという要望があったら、それに応えていついつ飛びますということを連絡する、そういうことはできないんですか。

○佐藤(正)大臣政務官 繰り返しになりますが、運用に係る事項につきましては、これまでどおり、事前の公表というものは差し控えさせていただきたいと思っております。

○塩川分科員 いや、実害がもたらされているんですよ。それこそ県立高校の入試の日だとか、子供たちが泣き叫ぶようなこととか、ガラスが壊れるとか土蔵が壊れるようなことも低空飛行のルートでありましたけれども、こういった空域において実害が生じているわけですから、やめてくれと言うのが当然の要求だと思いますけれども、少なくともいつ飛ぶのかということを明らかにするのは最低限の仕事じゃないのか、このことを強く申し上げておくものであります。事前に日程がわかっていても地元自治体には連絡をしない、こういう姿勢では、そもそもこういう自治体の理解が得られないというのは当然のことであります。
 このような空域において、実際、米軍の場合、どこの部隊のどのような機種の米軍機が飛んでいるのか。エリアQ、エリア7を主に使用しているのはどこの部隊のどのような機種の米軍機でしょうか。また、エリアH、エリア3を使用しているのはどこの部隊のどのような機種の米軍機でしょうか。お答えください。

○前田政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほども少し申し上げましたが、防衛省におきましては、米軍機の飛行に伴って自治体あるいは住民の方々から苦情をお受けしました場合に、米軍に対してその内容を通知いたしますとともに、飛行の有無の事実関係を問い合わせてございます。その結果については自治体等に情報提供させていただいているところでございますが、他方で、防衛省の問い合わせに対する米軍の回答につきましては、所属部隊や機種が含まれている場合もございますけれども、飛行の有無のみ、すなわち、飛んだ飛ばないということだけの場合も多々ございます。
 このようなことから、防衛省として、米軍機の所属部隊や機種について全てを把握することはなかなか難しいということを御理解願いたいと思います。

○塩川分科員 わかっているところで教えてください。

○前田政府参考人 繰り返しになりますが、所属部隊や機種等については米軍の運用にかかわることでございまして、防衛省として全てを把握することが難しいということをぜひ御理解いただきたいと思います。

○塩川分科員 例えば防衛省が取りまとめている苦情等受付状況表の中でも、米海兵隊岩国基地からの回答として、当基地の所属機だ、こういう回答というのは寄せられているわけですよね。

○前田政府参考人 先ほどもお答えいたしましたけれども、所属部隊あるいは機種を通知してもらうこともございます。今先生おっしゃいましたように、例えば一例を申しますと、岩国基地の所属のFA18戦闘機二機である、こういった通報がなされることもございますが、なされないことも多々ある、こういうことでございます。

○塩川分科員 ですから、群馬上空についても、米空母艦載機、そういう回答は地元自治体にもしていますよね。

○前田政府参考人 群馬県のケースにつきましては、所属部隊あるいは基地の情報が寄せられたという事実を承知いたしておりません。

○塩川分科員 現場ではそういう説明も行われているわけで、それすらわからないというか、それすら説明しないということ自身が自治体の不信になっているんですよ。それを重く受けとめなくちゃいけない。
 このエリアQと7、それからエリアHと3の訓練空域において、今、自衛隊戦闘機の訓練飛行というのは行われているんでしょうか。

○佐藤(正)大臣政務官 お答えいたします。
 御指摘のエリアQと7、あるいはエリアH及び3、この四つの訓練空域においては、現在、航空自衛隊の戦闘機は訓練飛行を行っておりません。

○塩川分科員 ですから、一九七一年の雫石の自衛隊機と民間航空機の衝突事故によって、民間航空路線と自衛隊の訓練空域は完全に分離をするということで、多くの自衛隊の戦闘機の訓練空域は海上に出ました。陸上に残っているというのはほとんどなかった。それすら本来の趣旨からいったら問題があった。こういう中で、自衛隊の戦闘機は訓練をしていないのに米軍機だけが行っているということであります。
 大臣にお尋ねしますけれども、多くの住民の方々が生活をしているその頭の上で米軍機の訓練が行われている、自衛隊の戦闘機の訓練さえ行っていないのに米軍機の訓練飛行を容認しているというのは余りにもおかしいんじゃないですか。中止ということを強く求めるべきだと思いますが、認識、対応をお聞きしたいと思います。

○岸田国務大臣 一般的に、米軍が訓練を通じてパイロットの技能の維持及び向上を図るということは、即応態勢という軍隊の機能を維持する上で不可欠な要素であり、日米安全保障条約の目的達成のために極めて重要であると考えます。
 この日米安全保障条約が、我が国の安全並びに極東の平和及び安全の維持に寄与するため、米軍の我が国への駐留を認めているということは、米軍が低空飛行訓練も含む軍隊としての機能に属する諸活動を一般的に行うこと、これを前提としていると考えています。
 ただし、だからといって、米軍が全く自由に飛行訓練を行ってよいというわけではありません。我が国において公共の安全に妥当な考慮を払って活動すべきものであるということ、これは言うまでもないことであります。
 政府としては、米軍の飛行訓練に際して、安全面に最大限の考慮を払うとともに、地元住民に与える影響を最小限にとどめるよう、これまでも申し入れは行っておりますが、引き続き、安全面への最大限の配慮を日米合同委員会等さまざまな場を通じてしっかりと申し入れていかなければならない、このように認識をしております。

○塩川分科員 安全面で対策をとる、配慮するといいながら、実際には具体的に何も現場では行われていないんですよ。好き勝手に、横暴勝手に飛んでいるわけですから。こういうことに対して、おかしい、待ったをかける、こういうことこそ日本政府の代表として行うべきことじゃないですか。
 実際に、AIPの調整実績で、例えば二百十八日間飛んでいるといっても、それ以外の日も飛んでいたりするんですよ。防衛省が取りまとめている苦情等受付状況表なんかを見ると、例えば去年の八月の二十一日とか二十二日には苦情が来ていて、これは米軍が飛んだということを米軍側に確認しているんですよ。でも、その日は調整実績のない日なんですよ。それこそ本当に好き勝手に飛んでいるというのが今の米軍機の実態であって、こういうことを放置していていいのかということがまさに問われるんじゃないでしょうか。
 この米軍の進入管制空域も自衛隊の訓練空域というのも、基本は空の安全を確保する、空の交通整理の仕組みであります。これはこれで当然必要な措置ではありましょうが、しかし、そのもとで暮らしている住民の皆さんに対しての安全確保の仕組みというのはこういう空域設定の中にはないわけですから、こういうことのままで、飛ぶ方だけは大いにやってもらうような、容認するような姿勢ということは認められない。
 こういった訓練飛行の中止と同時に、こういう空域設定そのものも撤廃をすべきだ、こういうことを強く思いますが、最後にお聞きして、終わりにします。

○岸田国務大臣 まず、御指摘の点は、地方の住民の皆様方にとってこれは大変な問題であるという認識を持っております。
 そして、その中で、先ほど委員の方からもこの実態把握について御指摘がありました。ぜひ、防衛省とも連携しながら適切に対応したいと思っておりますが、そうした実態を把握した上で、米国側にはさまざまなルートを通じて申し入れを行っていかなければいけない、御指摘を受けて改めて強く感じております。

○塩川分科員 終わります。