国会質問

<第183通常国会 2013年04月26日 経済産業委員会 10号>




○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。
 きょうは、参考人の皆さんにそれぞれ貴重な御意見を賜り、本当にありがとうございます。
 冒頭の意見陳述や同僚委員の質疑の中で、今の中小企業が置かれている実態、また消費税の転嫁が困難な実情についてのお話を伺いました。重複しない範囲で何点かお尋ねをしたいと思っております。
 最初に、中小企業団体を代表しておられる大和田参考人と岡本参考人にお尋ねをいたします。
 中小企業の景況が厳しい、将来の期待はあるけれども、現況は非常に厳しい、地方には景気回復の実感がない、原材料高や燃料高が経営を圧迫している、こういうお話がございました。だからこそ、中小業者は、消費税の価格転嫁が困難な状況にもあるんだということであります。
 実際に価格転嫁が困難という具体的な事例についてなんですけれども、特に、消費者との関係もこれはこれであるわけですけれども、BツーBの取引先から消費税の転嫁が認められないような事例があるということもお話しでございました。
 この点で、具体的な事例などについて、御認識のところに関してお答えいただけないでしょうか。

○大和田参考人 大和田でございます。
 実態でございますけれども、会員の中小企業の皆さん方からは、既に消費税引き上げを見込んだ値引き要請が来ておるということは、先ほども申し上げたところでございます。
 先ほどお配りしました資料の二ページ目の一番下に記載している事例をごらんいただきたいと思います。
 消費税率の八%への引き上げを見込んで、消費税の引き上げ直前に値下げを要求するものではなく、今の段階から見積もりの再提出を求めているという行為がもう既に行われているということを先ほども申し上げました。事実、まだ一年前になるわけですけれども、既に、業種、業態に関係なく、数件の実例を私自身聞かされております。
 ただ、その内容等につきましては、この場で公表はちょっと差し控えさせていただきますけれども、実は一昨日も、得意先に参りましたら、もう来ているんだよということで、何回提出したのと言ったら、今度で二度目なんというような話もしておりましたので、これが実態ということで、多分、我々のところに入っているということは、全国的に見ても相当の数がある、そういうふうに私は認識をいたしております。
 以上でございます。

○岡本参考人 我々、食料品の中では、皆さんもよく御存じのとおりに、お弁当は昼前に買えば六百円だ、これが一時に行ったら四百円になっておった、一時半になったら二百円だというのが実情であります。売れなければ、値段を下げてでも売ってしまわなければお金にならないというのが実情であります。
 弁当だけじゃありません。豆腐やコンニャクも同じでございます。したがって、転嫁対応は非常に難しいだろうと思います。
 以上です。

○塩川委員 ありがとうございます。
 次に、岡本参考人にお尋ねいたします。
 大和田参考人のお話の中に、公正取引委員会の調査のこともございました。公取の調査に本当のことを書くと大変なことになるということがありましたけれども、公正取引委員会の書面調査なども行われますが、取引先に対して、名簿を公取に提出して、それで書面調査で答えてもらう。ですから、逆に特定されてしまうことが推測をされるので、答えるのは怖いとかという話なんかも私も直接お聞きしているわけです。
 岡本参考人として、公正取引委員会の調査の現在のやり方について、こんな問題点があるんじゃないか、あるいはこういう改善策が必要なのではないか、このことについて、お考えがありましたらお聞かせいただけないでしょうか。

○岡本参考人 公正取引委員会に訴えるためには、対象取引のみならず、それ以外全ての取引相手を失う覚悟が必要であります。書面調査においても本当のことを書くと困るというわけで、ちゅうちょしているのが実態であります。
 そうすると、中小企業の声なき声をすくい上げる仕組みとしては、大規模な覆面調査や、転嫁調査員による大企業への定期的な調査、強力な監視などをしていただいて、それを補っていただくしか方法はないのではないかと思います。
 以上です。

○塩川委員 ありがとうございます。
 清水参考人にお尋ねいたします。
 今、中小企業団体から、消費税の価格への転嫁は困難だ、取引先、特に強い大手との関係で転嫁は困難という実情にあるというお話もございました。
 流通ですから、それとの関係がどのような形で当てはまるかというのはまた違う形態だと思いますけれども、大手から見て、消費税の価格転嫁が困難だという中小企業の声、こういうものについてどのように受けとめておられるでしょうか。

○清水参考人 本件につきましては、私どもは直接、公正取引委員会との話は具体的にはしておりませんけれども、公取の取引部長、幹部の諸君とは、しょっちゅう協会に出向いていただいて、意見交換をしたり、公正取引の問題で間違いの起こらないようにということで、会員企業にも全部参加してもらってやっております。
 ただ、公正取引委員会の存在、これの役割、これは、本件、消費税の転嫁問題について、具体的に大きな不祥事の問題は現在まで余り聞いたことはないので、問題が起これば、あるいはそれを防止するためにあらかじめどういう方法があるかということは、また公取の責任者、担当者とよく話し合ってみて、我々の立場で本件についてどれだけ貢献できるか、防止できるか等々は、意見交換で万全を期したいと思います。
 先ほどからの中堅、中小の代表の方のいろいろな御心配、御意見がありますので、不祥事、あるいは過度な影響、御負担をかけないように、先ほどから申し上げているように、我々はどちらかというと中堅以上、大企業が多いので、よく話をして万全を期したいと思います。
 今後とも、公取あるいは経済産業省、消費者庁ともども連携をとりながら、消費税に対する私どもの役割、責任を痛感して果たしていきたいと思いますから、よろしく御指導をお願いいたしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○塩川委員 ありがとうございます。
 重ねて清水参考人にお尋ねいたします。
 消費税増税についてですけれども、参考人が会長を務めておられるチェーンストア協会でも、昨年末の要望書では、経済状況が好転するまで消費税増税は凍結をすべきだ、こういう要望もなされておられます。清水参考人御自身も、報道、インタビューなどで、デフレがとまらない中での増税は無謀だということをおっしゃっておられるということもお聞きしております。
 消費税増税そのものについて、こういう経済状況を踏まえて今はどのようにお考えか、お聞かせいただけないでしょうか。

○清水参考人 消費税法案が通過のときに、前提条件として、経済情勢を配慮しながら最終的な実施時期の決定をするということが含まれておりましたので、我々としてはそういう意見を申し上げておるわけです。
 問題は二つあって、二度にわたって、来年の四月に五%から八%、翌年の十月に一〇%、これは、その都度、大変な労力と費用、値段のつけかえとか労力もかかるし、経費もかかる。これは一遍に、五から一〇に、一年半我慢してもらってやったらどうかということも、景気情勢とつけ加えて意見を出しているわけです。
 ただ、一方、先ほど冒頭に申し上げたように、我が国の消費税は世界一低いということと、日本の高福祉に対する負担の割合。
 消費税を実施した平成元年から本年二十五年までの消費税の税収総額は、二百六十三兆に及びます。さらに、国家財政の税収から見たら大変大きな税源です。一%で二兆五千億ですから、一〇%になりますと二十五兆円の税収。今、四十兆ちょっとです。最高六十兆を超えておったんですが、今は税収が落ちて、何か法人税をまた下げるということで、大丈夫かなと心配するんですが、消費税については、申し上げたように、一〇%までは当然我々は義務として、もっと強い言葉で言えば、喜んで受け入れ、協力しなきゃいかぬという信念を私は持っています。
 だから、正直、悩んでいますよ。というのは、景気情勢で見送ることがあると言っているけれども、五%の低い消費税で高福祉が支えられるか。高齢者の介護、医療、それから年金の問題、あるいは失業手当とか、生活保護とか、至れり尽くせりの高福祉国家を支える財源をどうするかということを考えますと、先ほど申し上げた消費税の世界の平均値までは国民は覚悟すべきだろう。そうでなければ、現在の生活水準を引き下げるか。はっきり申し上げて、一割、国民の生活水準を引き下げる、そうしたら一〇%の消費税の財源なんて何でもない、あの戦争が済んだとき、あるいは戦争中のことを考えてみろというのが偽らざる私の意見であります。
 ただ、今の若い人にこれが通るか通らぬか、これは甚だ疑問でありますけれども、やはり勇気を持って、この国をどうするかということを、我々のような最後の生き残った者が、たとえ非難を浴びようが、そしりを受けようが、もっと強い言葉で言えば、もう殺されてもいいからこの国の将来についてのあるべき姿を言えばいい。
 それから見れば、景気がちょっと悪いから消費税のアップを見送るなんというのは、今私の申し上げていることからいえば、逆にやるべきではない。一〇%までは予定どおり頑張ってやれと言いたいところですが、じっと我慢しているわけです。
 どうぞよろしくお願いします。

○塩川委員 終わります。ありがとうございました。