国会質問

<第183通常国会 2013年05月17日 経済産業委員会 12号>




○塩川委員 私は、日本共産党を代表して、いわゆる消費税転嫁確保法案に対する反対討論を行います。
 消費税の転嫁問題は、増税後に起こり得る懸念ではありません。消費税導入から二十四年間たった今なお、零細な事業者ほど、消費税を価格に転嫁できず、身銭を切った納税を迫られているのです。
 政府は、消費税は消費者が負担する仕組みだと説明していますが、中小企業、零細業者も負担させられているというのが実態です。国税分のみに限っても、年間三千億円を超える消費税の新規滞納が発生していることが、転嫁困難な実態の一端を示しています。
 消費税を転嫁できていなくても、赤字事業者であったとしても、納税を迫るのが消費税です。まさに営業破壊税ともいうべき消費税の増税は、地域経済も国民生活も底なしの泥沼に突き落とすものだということを最初に指摘し、以下、法案への反対理由を述べます。
 反対理由の第一は、本法案が消費税の大増税を前提としているからです。
 消費税の増税を強行すれば、雇用の七割を支える中小零細業者の営業は破壊されます。貧困と格差を拡大し、内需を一層冷え込ませることにもなります。デフレ不況からの脱却を言うのであれば、消費税の増税をきっぱりやめるべきです。
 第二は、消費税の転嫁を阻害する最大の要因である、大企業と中小企業の圧倒的な力の差を背景とした下請いじめ構造を何ら改善するものでないからです。
 本法案により是正されるのは、消費税分の価格への転嫁を拒否したという形式的、表面的な事例にすぎません。しかし、実際の事業者間取引では、消費税分も含めたコストダウン要請が、重層的な下請構造の下位に行くほど苛烈に押しつけられているのです。この構造そのものにメスを入れることなしでは、かえって下請いじめを潜在化、巧妙化させることにもなりかねません。
 第三は、下請いじめ構造の是正がないままで、消費税還元セール等の宣伝、広告を禁止するという筋違いの規制を行っているからです。
 景品表示法のガイドラインにより、消費税分値引き等の宣伝は既に禁止されています。実際に、消費税ゼロセールなどの宣伝に対し、公正取引委員会が改善指導を行ってきました。
 本法案は、これら現行制度の執行状況について、何ら評価や検証も行わないままで、屋上屋を架すような新たな規制を講じるものです。無責任な対応だと言わざるを得ません。
 自民、公明、民主三党提出の修正案については、これら法案の問題点を改善するものではないため、賛成できません。
 以上、反対討論といたします。(拍手)