国会質問

<第183通常国会 2013年05月17日 本会議 25号>




○塩川鉄也君 私は、日本共産党を代表して、いわゆる消費税転嫁法案に対する反対討論を行います。(拍手)
 転嫁できない消費税に四半世紀にわたり苦しめられ続けてきた、中小零細業者の悲痛な叫びが聞こえますか。
 二十四年たった今なお、零細な事業者ほど消費税の転嫁ができず、身銭を切った納税を迫られています。転嫁できていなくても赤字事業者であったとしても納税を迫る消費税は、まさに、営業破壊税ともいうべき、弱い者いじめの税金だということを最初に指摘し、以下、法案への反対理由を述べます。
 反対理由の第一は、本法案が、消費税の二段階の大増税を前提としているからです。
 いわゆるアベノミクスのもと、急激な円安と外資の流入によって、輸出大企業を中心に株価と収益が急速に回復しています。しかし、労働者の賃金や下請単価は上がらず、国内設備投資は連続してマイナスが続いています。これらは、日本経済の構造が、自動車産業を初め、海外に生産拠点を張りめぐらした多国籍企業を中心としたものに変化したことを反映したものであり、二〇〇二年から二〇〇七年まで続いた、雇用拡大なき景気回復と似た状態です。仮に、こうした経済情勢のもとで消費税の大増税を強行すれば、雇用の七割を支える中小零細業者の営業は破壊されます。貧困と格差を拡大し、内需を一層冷え込ませることは明白であります。
 反対理由の第二は、消費税の転嫁を阻害する最大の要因である、大企業と中小企業の圧倒的な力の差を背景とした下請いじめ構造を何ら改善するものではないからです。
 本法案により是正されるのは、消費税分の価格への転嫁を拒否したという、形式的、表面的な事例にすぎません。
 しかし、実際の事業者間取引では、消費税分も含めたコストダウン要請が、重層的な下請構造の下位に行くほど、苛烈に押しつけられているのです。
 経済産業委員会の参考人質疑でも、不当な買いたたきなのか自由な価格交渉なのかを判断するのは非常に困難だとの指摘がありました。独禁法により優越的地位の濫用は禁止されていますが、これまでに買いたたきを理由とした摘発例はわずか一件。下請法でも一件にすぎません。下請いじめ構造そのものにメスを入れることなしには、横行する買いたたきに対し実効ある措置がとれないばかりか、かえって下請いじめを潜在化、巧妙化させることにもなりかねません。
 反対理由の第三は、下請いじめ構造の是正がないままで、消費税還元セール等の宣伝、広告を禁止するという、筋違いの規制を行っているからです。
 景品表示法のガイドラインにより、消費税分値引き等の宣伝は既に禁止をされ、これまでも公正取引委員会が改善指導を行ってきたではありませんか。
 ところが、消費者担当大臣は、私の質問に対し、現行制度の執行状況について何の検証も行っていないことを認めながら、反省もなく、開き直りました。さらに、規制され得る宣伝の文言について、担当審議官が答弁内容を変更した問題でも、わかりやすく言い直しただけだと、言い逃れを繰り返すばかりです。全くもって無責任な態度だと言わざるを得ません。
 最後に、中小企業の営業も国民生活も底なしの泥沼に突き落とす消費税の大増税はきっぱり中止することを求め、反対討論を終わります。(拍手)