国会質問

<第183通常国会 2013年05月21日 総務委員会 7号>




○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 電波法の審議に関連して、最初に、地上デジタル放送送信所のスカイツリー移転に伴う電波障害についてお尋ねをいたします。
 東京スカイツリー開業から、あしたで一年になります。地上デジタル放送について、東京タワーから東京スカイツリーへと送信所が移転することになっています。
 そこで、お尋ねしますが、東京スカイツリーからの試験電波発出に伴う受信障害に関する問い合わせの件数が幾つか、また障害対策の件数は幾つに上っているか、そして、実際移転の時期というのはいつとなっているのか、以上三点についてお答えください。

○吉崎政府参考人 放送事業者におきましては、昨年十二月から、スカイツリーから試験放送をしております。視聴者に受信状況の確認をお願いしたいということでやっておるものでございますけれども、コールセンターへの相談は相当な数になっておりまして、対策の必要な施設というのは、五月十九日までの累計で約十一万三千件でございます。
 この原因につきましては、ブースター障害が約七割、それからアンテナの受信レベルが下がっているというのが約三割でございます。また、地域としましては、東京都が約四割、千葉県と埼玉県が約二割となっております。
 十一万三千件の要対策施設でございますけれども、五月十九日までにこの九五%が対策工事を完了いたしております。また、工事日が確定しているものも含めると、九九%を超えております。
 現在、いろいろと試験電波を出して、そして要対策のものをなるべく早目に把握するということを放送事業者の方が一生懸命努力しているところでありまして、行政としましては、それを今見守っているという状況でございます。

○塩川委員 問い合わせの件数そのものはちょっと手持ちの資料がないようですので、移転の時期というのはどんなふうになっているんでしょうか。

○吉崎政府参考人 放送事業者の方におきましては、五月中を目途にして進めているということでございまして、それができるかどうかということを今見守っているという状況でございます。

○塩川委員 総務省として、やはりここをしっかりとやらなきゃならない。
 総務省は、放送事業者の責任で視聴者への影響に対策を講じることを免許変更許可の要件としております。
 そこで、受信障害を残さないように国としてどのように取り組むのか、この点についてお答えいただけますか。

○橘大臣政務官 今ほど塩川委員からお話がございましたように、今回のスカイツリーへの送信所移転につきましては、受信対策をしっかりやって、移転前に、受信障害が発生するものをできるだけなくしていく、そういう条件をつけて、そして、アンテナの方向調整等の受信対策が必要な場合は、その対策を適切に実施するようにということでお願いをしているところであります。
 したがいまして、移転前に、受信障害が発生する施設を最大限見つけて対策をしておくことが必要と私どもも考えております。
 このため、放送事業者さんと毎日毎日の姿というものを綿密に打ち合わせさせていただいておりますし、移転リハーサルについても、先週の土曜日は午前九時から午後三時、六時間、そして、きょう、現在も午前九時から午後三時、六時間、さらに、五月二十四日、二十六日、今週の金曜日、日曜日ということで、午前九時から午後七時まで十時間という形で時間を延ばしながら、そういう問題が生じないように、啓発も含めて取り組んでいるところでございます。
 最後まで、こういった要対策施設の増加の状況を把握しながら、また、移転後の事後対策の実施体制等についても確認をしながら、移転によって最終的に視聴者の皆様に混乱が生じないように、しっかりと放送事業者の皆さんの責任と負担によって対策を進めていただくよう働きかけもし、また、打ち合わせも綿密に行っていきたいと考えております。

○塩川委員 受信障害世帯が解消されたことをもって東京スカイツリーへの移転を許可する、こういう立場でぜひ、視聴者に混乱を与えない、負担も強いることがない、こういうようにあらゆる対策をとっていただきたいと思います。
 法案について質問いたします。
 今回の電波法改正は、消防救急無線と移動系防災行政無線のデジタル化に対する財政支援が可能となるよう、電波利用料の使途を拡大するものであります。アナログ消防救急無線のデジタル化については、アナログ消防用無線の周波数帯の使用期限が二〇一六年の五月三十一日までとされております。
 そこで、お尋ねしますが、二〇一三年の三月末時点での消防救急無線のデジタル化の進捗状況、着手件数と整備の完了したもの、これがそれぞれどうなっているのかについて教えてください。

○市橋政府参考人 お答えいたします。
 消防救急無線につきましては、平成二十八年五月末までにデジタル化するということになっておりまして、整備の進捗状況につきましては、全国の消防本部のうち整備済みの割合は一五・三%、百十八本部となっておりまして、これに着手済みの団体を加えた場合には、四〇・六%、三百十三本部となっているところでございます。

○塩川委員 十年以上前からデジタル化を呼びかけてきたのに、現時点、整備済みというのは一五・三%にとどまっていると。何でこんなふうに進んでいないんでしょうか。

○市橋政府参考人 各消防本部におきましては、消防救急無線のデジタル方式への整備期限であります平成二十八年五月三十一日までにデジタル方式への整備を終了させるよう、それぞれ整備計画を策定いたしまして、それに沿って整備が進められているところでございます。
 各地方公共団体、それぞれ事情がございます。財政状況あるいは更新のタイミングなど、それぞれございますので、それによりまして、整備に着手する時期というのは異なってきておりますけれども、先ほど申し上げましたように、平成二十五年四月一日現在で、全体の四〇・六%の消防本部が整備に着手しているというふうなことでございまして、期限に向けて着実にデジタル化が進んでいるというふうに認識しているところでございます。

○塩川委員 着手から完了までという期間が、一年のところもあるし、大きいところは三年近くかかるようなところもあるということを聞きました。そういう点でも、大臣、お尋ねしますけれども、今現在、引っ越しをしてもらったその跡地の利用については、こうこう使いますということが決まっているわけではありませんから、そういう点でも、こういう二〇一六年五月末のデジタル化移行の期限というのを延長するという選択肢というのはないんでしょうか。

○新藤国務大臣 もう必要性等は重ねませんが、これは、二十八年の五月三十一日までに全ての団体で整備が終了する、それぞれの団体において計画をつくっていただいているわけであります。我々も、それに対してさまざまな支援を行っていこう、こういうことで新たな取り組みも打ち出しました。したがって、ぜひ目標達成に向けて努力をしていきたい。
 また、さらにいろいろな働きかけ、特に、アドバイスや、技術的な相談、こういったものも我々はやっていく必要があるだろうということでありまして、きめ細かな対応をしながら目的達成に向けて努力したい、このように考えています。

○塩川委員 期限を切って進めるということであれば、例えば、国や、跡地を利用するような事業者の費用負担によって、デジタル化の取り組みが進んでいない財政力の弱い団体に対しての思い切った財政支援をとる、こういうことなども、より踏み込んだ取り組みが求められているんじゃないかと思うんですが、その点はいかがでしょうか。

○新藤国務大臣 これは先ほどもお答えいたしましたけれども、地方財政措置といたしましては、緊急防災・減災事業それから防災対策事業、こういったものを整備しております。さらには、もともとから、緊急消防援助隊設備整備費補助金による措置、こういったものもありました。そして、今回の新たな財政支援制度を入れたわけであります。
 ですから、これは私たちもいろいろな相談には乗っていきたい、このように考えております。

○塩川委員 防災対策の一環としての取り組みでもあります。
 私、防災対策という点で関連してお尋ねしたいのが、コミュニティーFMの問題であります。
 東日本大震災では、住民への情報はさまざまなツールを通じて提供することが欠かせない、このことが明らかになりました。その中で、地域に密着をした情報提供を行う役割を発揮してきたのがコミュニティーFMであります。
 最初に大臣に、このコミュニティーFMの役割についてどのようにお考えか、どのように評価をされておられるのか、この点をお伺いしたいと思います。

○新藤国務大臣 コミュニティーFMは、地域の活性化、それから、きめ細かな町の情報を必要とする人たちに送る、また、放送そのものが町のコミュニティーをつくっていただく、こういう意味において非常に有効だと思っています。
 また、私は今、ラジオ放送が防災にどのような役割を果たすか、そういった強靱化に資するための検討会というのを省内に立ち上げました。その際にも、災害時にラジオ放送が非常に役に立ったということが明らかになっております。
 ですから、通常の親しみを持つコミュニティーの一部になっている放送が、非常時には自分たちのライフラインにつながっていく、こういう効果も期待できるのではないかという意味において、まちづくりやコミュニティーの形成、そして非常時の防災面での支援、こういった意味で非常に有効ではないかな、このように考えております。

○塩川委員 地域の活性化やコミュニティーづくりに資するもの、また、防災あるいは災害時に対しての積極的な役割についての評価の御答弁がありました。こういう役割を持つコミュニティーFMが、非常に地域に根差して広がっていくということが求められていると思います。
 それとの関連で、今回の東日本大震災では臨時災害FMが活用されました。やはり、地域の災害情報などについて、あるいは避難所の状況や、あるいはさまざまな支援物資がどうなっているのか、どこどこに行けばこんな情報がある、こういうことについて、まさにきめ細かに届けていたのが臨時災害FMでありました。
 今現地でこれから本格的に復興に向かおうか、こういうときに、では臨時災害FMをどうしていくのか。積極的な役割を果たしているにもかかわらず、臨時災害FMのままでずっと続けるということでもありませんので、コミュニティーFMへの転換をしようとしても、資金難の問題がありますし、実際、復興なしに資金の確保も困難ということもありますし、そういう点でも何らかの支援策、対策が求められているときではないのかと思うんですが、この点についての大臣のお考えをお聞かせいただけないでしょうか。

○新藤国務大臣 まず、東日本の大震災の被災地においては、二十八自治体が臨時の災害放送局を開設いたしました。そのうちの十三自治体は既に廃止されましたけれども、そこから九自治体がコミュニティー放送に移行したということでありまして、そうした取り組みを続けていただいているということであります。それから、二十八自治体のうちの十五自治体は、いまだに臨時災害放送局を継続中ということなんであります。
 災害時における避難というか、復興のフェーズというのがあります。最初の段階では全てが遮断されちゃいます、テレビも見られません。そうすると、そこで唯一の情報源がラジオだったんですね。ですから、こういったものも踏まえて、今後、自治体からいろいろな御要請があれば、それに対しては我々もいろいろな相談に乗っていきたい、このように考えております。

○塩川委員 コミュニティー放送の普及の課題として、首都圏や近畿圏など都市部においては、周波数の逼迫により新たな開局が困難な状況にあるとされております。実際にそういう話も、この間伺ってまいりました。
 そこで総務省にお尋ねしますが、コミュニティー放送局の開局相談が寄せられた市区町村数というのは幾つになっているのかを、全国で幾つか、あと、関東地方、近畿地方、それぞれどのぐらいになっているのかについて教えていただけますか。

○吉崎政府参考人 コミュニティー放送局は増加してまいりました。その結果、御指摘のように、首都圏、近畿圏で周波数が逼迫してまいりました。そこで、東京二十三区とその周辺については平成九年九月、大阪市とその周辺につきましては平成十年四月に、これ以上の周波数の割り当ては困難であるという旨の報道発表をしました。
 ところが、その後も開局相談は続いておりまして、過去五年間で見ますと、関東地方では四十四の市町村、そして近畿地方では二十の市町村から相談が寄せられております。そして、これら全部を含めまして、全国では百三十八という数字になっております。

○塩川委員 関東地方で四十四、都県別に見ると、例えば新藤大臣や柴山副大臣の地元の埼玉でも八つの市町村からの要望が、まあこれは、行政からですとか、あるいは市民の方から相談があった、それを市区町村単位で集計したという数字でありますけれども、非常に、地域に根差したコミュニティー放送をやってみたい、やりたいという声というのが広がっていることを示しているわけであります。
 しかしながら、今の答弁にもありましたけれども、既に十年以上前から周波数が逼迫をしているということで、例えば関東電気通信監理局が、平成九年、一九九七年の九月二十九日の報道発表で、東京二十三区及びその周辺については、これから申請されても当面周波数が選定できない状況にあるという、いわゆる周波数逼迫宣言というものを出しているということをお聞きしましたが、一九九七年といえばもう十五年も前から逼迫をしていたのに、総務省はこの間何をやってきたんでしょうか。

○新藤国務大臣 これは、お叱りを受けている。ニーズが高い、状況がわかっている、必要性がある、にもかかわらず実際のインフラが用意できない、こういう部分であります。ですから、我々としても累次にわたっていろいろな検討を進めてきたということであります。
 先ほども言いましたが、私どもは今、そういった観点も含めて、放送ネットワークの強靱化に関する検討会、こういうものをやっております。議論の真っ最中です。コミュニティーFMの一層の普及に向けた取り組み、こういったものもその検討会の中で議論になっております。過日、コミュニティーFMの協会の方にもおいでいただいて、我々もプレゼンも受けました。そして、今後、電波帯も含めて、どこでどういうふうに維持できるのか、いろいろな工夫をしなきゃならない、こういうことはあります。
 まずは有識の皆さんで御検討いただいておりますから、その中からよい答えが出てくることを期待しておりますし、我々も研究を進めていきたい、このように考えています。

○塩川委員 その意味では、十五年間も放置をしてきたというような実態にもあるわけですから、それはしっかり受けとめていただきたいと思います。
 それで、日本コミュニティ放送協会、こういうコミュニティーFMが多く加盟されている団体から私も直接お話を伺いましたし、総務省大臣宛ての、コミュニティー放送にかかわる要望書というのも出されているとお聞きします。
 その要望書の中では、関東、近畿、東海地方の都市部などでは、FM放送用周波数が逼迫をし、割り当て可能周波数がなくなっている状況にあるため、コミュニティー放送を開設したくとも開設できないという状況にあると訴えています。
 コミュニティー放送への周波数割り当てを求める要望にどう応えるのか。
 先ほどの答弁で、放送ネットワークの強靱化に関する検討会の話がございました。強靱化の名前はいかがかなと私は思っておりますけれども、ここでも、AMラジオの補完としてのFMラジオの放送の議論もあると承知をしております。
 何よりも周波数帯の問題で考えますと、そもそも、地上デジタル放送のアナログからデジタルへの移行に伴って跡地利用が行われることになる、その跡地利用としてマルチメディア放送というのが想定をされていた。それが、実際には、当初の想定よりも手を挙げる方が少ないという状況にもある。
 そういう意味でいえば、その周波数帯というのが、ちょうどFMにもそれなりに対応し得るような周波数帯でもあると思いますから、そういう点でも、そもそも、地デジの移行に伴った跡地利用としての周波数帯の利用として、やはりきちんと踏み込んでコミュニティーFMの活用が可能となるよう周波数帯を確保していく、こういうことは当然できることではないかなと思うんですが、その点はいかがでしょうか。

○新藤国務大臣 名称は強靱化ということでありますが、これは防災対策を考えようということと、それから、今後のラジオというものをどのようにこの国において業として展開していくのか、こういう議論もしているわけであります。その中の一環として今のようなコミュニティーFMの話も出てきていると御理解をいただきたいと思います。
 それから、いわゆるV―LOW帯、新しく設定する部分における、それは地デジの今のお話もそうなんですけれども、あかしていく、そういう部分での活用というものも考えられるのではないかという検討は入っております。

○塩川委員 ちょうどきょうの日本経済新聞にコミュニティーFMの記事が載っておりました。東京、大阪で開局、総務省、来年からということがありますけれども、こういうことが具体的に動いているということでよろしいんでしょうか。

○吉崎政府参考人 V―LOW帯の活用につきましては、現在の検討会の中で議論を進めているところであり、なるべく早期に結論を得たいというふうに考えております。

○塩川委員 そういう点でも積極的な活用ということを大いに図っていただきたいと思っています。何よりもこの間対応してこなかったということがあるわけですから、そういう地域のニーズに応えた取り組みに一歩踏み込む、その点での決意をもう一度大臣に伺いたいと思います。

○新藤国務大臣 まさに技術の革新、それから工夫によっていろいろな可能性が広がっていくわけであります。そして、政策の優先度がまたこれによって極めて上がっているわけであります。防災も含めて、また地域のコミュニティー、それから地方の自立という意味におきましても、その町の皆さんが快適に、そして利便性の高い暮らしを送れるためにも、このコミュニティーFMというのはその役割の一つを果たせるのではないかと期待をしております。
 ですから、私としても、ぜひ、今までの検討を踏まえつつでありますが、よりこの話が進むように取り組んでまいりたい、このように考えています。

○塩川委員 ぜひ、そういう対応として前に進めていただきたいと思います。
 最後に、民主党、みんなの党提出の電波法改正案が出されております。オークションの導入を内容とするなど、考えを異にするものであり、我が党としては同意することができません。通信・放送委員会の設置法案につきましては、放送行政の透明性の確保という観点から望ましいものであり、我が党として賛成をしたい。このことを申し述べ、質問を終わります。