国会質問

<第183通常国会 2013年05月27日 参議院・政治倫理の確立及び選挙制度に関する特別委員会 8号>




○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 三月の東京地裁の判決を受けまして、超党派による議員立法でこの法案が提案をされました。この後の本会議で全会一致で成立することになるでしょう。そうしますと、この夏の参議院選挙で成年被後見人の皆さんの選挙権が回復をするということになります。
 私は、あの判決直後に院内で報告集会が行われたときに、原告の名児耶匠さんともお会いをいたしました。選挙へ行きますかという質問に答えて、行きますと、本当に満面の笑みで答えられたのを覚えておりますけれども、政府が控訴をして、夏の選挙できないんじゃないかと大変心配をしておりましたけれども、あの笑顔にこたえることができるということを、大変、立法府に身を置く者としてうれしく思っておりますし、これを取りまとめられた提案者の皆さんの御努力にも敬意を表したいと思います。
 在外日本人の選挙権に係る二〇〇五年の最高裁判決が、選挙権を議会制民主主義の根幹を成すものとして「国民の選挙権又はその行使を制限するためには、そのような制限をすることがやむを得ないと認められる事由がなければならない」としました。地裁判決がこれを踏まえて成年被後見人の選挙権を喪失させたのは違憲だと断じたのは、非常に私は重要だと思っております。
 この選挙権を行使するには投票機会の保障が不可欠でありますし、これなしに選挙権の保障はありません。投票所のバリアフリーやアクセスの問題はもとより、障害者にも選挙情報がきちっと届くということが大事な点だと思います。この点は衆議院の審議でも述べられたことでありますけれども、再度、提案者に確認をしたいと思います。

○衆議院議員(塩川鉄也君) 井上委員にお答えいたします。
 井上委員におかれましては、二年前に成年被後見人の選挙権回復を求める裁判が起こされて以来、三回にわたり法務委員会や当委員会で取り上げ、この件について尽力してまいったことはよく承知をしているところであります。
 衆議院でも答弁のありましたとおり、選挙権は国民固有の権利として憲法に保障されております。この憲法上の権利行使には投票機会の保障が不可欠であり、これなしに選挙権の保障はありません。
 我が党日本共産党は、これまでも障害者の参政権の保障を一貫して主張してきており、障害者の投票機会を現実に保障する制度の拡大等にも取り組んでまいりました。今回、選挙権が回復する成年被後見人に限らず、障害者を含む有権者全体の投票機会を保障されることが必要であります。選挙権を実質的に保障するため、投票所のバリアフリーアクセスの問題を改善していくことは重要であります。また、投票の前提として候補者等の情報を入手することは不可欠であり、障害者にも選挙情報が届くようにすることは大事な点であると考えております。

○井上哲士君 この選挙権の保障を実質的に進めていく上でも、これを奪ってきたことへのきちっとした反省が必要だと思うんですね。
 先ほど提案者からも、今にして思えばこの成年後見制度ができたときにきちっとやるべきだったという反省を込めた答弁もございました。立法府がこの成年被後見人から選挙を奪ってきたということを反省をして全会一致でこの法改正を今やろうとしているわけですね。これまで総務省は法律でこうなっていますということでこれを合理化をしてきたわけですが、法を作る立法府がそれを変える以上は、法を執行してきた行政府は当然私は控訴を取り下げて当たり前だと思うんですけれども、その点いかがでしょうか。