国会質問

<第183通常国会 2013年06月04日 経済産業委員会 17号>




○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。
 きょうは、質疑順序について御配慮をいただきまして、ありがとうございます。
 参考人の皆様には、大変お忙しい中、当委員会に御出席いただき、貴重な御意見をいただいたことに改めてお礼を申し上げるものであります。
 早速質問いたしますが、最初に、四人の参考人の皆さんにお尋ねしたいと思います。
 今回の電力システム改革の法案というのは、やはりその契機となっている一つが福島原発事故の問題であります。発電電力量の三分の一を担う東電、実質上破綻状況にある、そういった東電改革のあり方の問題や、発電ゼロでも電力会社を通じて電気料金の上乗せを強いるような日本原電のあり方の問題、何よりも国民的な議論となっています原発のあり方そのものをどうするのか、こういったことが今大きな問題となっているにもかかわらず、今回のこの電力システム改革の法案については、この東電のあり方、原電のあり方、原発のあり方というのが直接触れられるものとなっていない。これは、法案として極めてリアリティーに欠けているんじゃないのか。
 この点での皆さんの御認識、法案としての妥当性も問われているのではないのかと率直に考えるところですが、皆様のそれぞれの御意見を賜りたいと思います。

○松村参考人 東電改革あるいはその東電の賠償スキームのあり方に関してまだ重要な問題が残っているというのは、そのとおりだと思います。原電のことをおっしゃいましたが、恐らくこれは料金システムのことをおっしゃったのではないかと思います。料金システムにも問題があるのではないか。あるいは、原発政策のあり方というのについてもまだ決まっていないじゃないか。そういうことがあるのに、それに一切触れないで電力システム改革がということに関しては、私は、それは極めて自然な姿だと思いますし、法案としての欠陥だと思っておりません。
 私は、そのようなものがどのようなものであろうと柔軟に対応できるようなシステムをつくるというのが今回の改革の目的であって、今御指摘になった点が重要でないとは決して思いませんが、並行に、あるいはシステム改革の後に、どのようなタイミングであったとしても、そのような重要な問題が残っているというのは事実だとしても、システム改革自身の内容に影響を与えるようなものではない。それがどのようなものになったとしても、効率的で柔軟に、安定供給と低廉な電力供給を確保するということのために行われているものだと思いますから、これらに触れられていないということが法案の問題であるとは私は思っておりません。
 以上です。

○柏木参考人 先ほどもちょっと述べましたけれども、私は、原子力は選択肢の一つとして残すべきだという強い意思を持っています。
 ただし、この法律は、原子力の是非にかかわらず、メリットオーダーでの広域的な電源の運用と、それから分散型電源に代表される小規模の高効率な電源、これの公平性を担保するということになりますと、別に原子力が今後どうなろうと、進むべきシステム改革と原子力との整合性というのはそれほどリンクしたものではないというふうに私は理解をしております。
 もし、原子力を国策としてまだやるということであれば、これは先ほど言ったようなオークションスタイルでゼロ入札をやるとか、いろいろな手も考えていけるというふうに思っています。

○金子参考人 先ほど来お話しさせていただいたように、この電気事業法の一部改正の法律自体の欠陥ではないんだと思うんです。本来的に言えば、原子力損害賠償法及び原子力損害賠償機構法の附則、当時自民党が野党でしたけれども、その圧力で民主党が受け入れた形で出てきた中には、一年後の見直し規定というのが入っているわけです。それが行われていないということに大きな問題があるんだと思うんです。つまり、幾つかの法律のやるべきことの要請が同時並行で進まないとそれぞれの法律が有効性を持たない、そういう関係なのではないでしょうか。
 そういう意味では、東京電力の問題でいえば、原子力損害賠償機構法の附則にあった一年後の見直し規定を早期に実施するということが求められているのではないかというふうに思っております。

○辰巳参考人 ありがとうございます。
 自由化がもし進んだときに、やはりそれは消費者が選択することで決まるというふうに私も思っておりますもので、各電力会社さんがどういうふうな政策をおとりになっても、きちんと説明さえ受けていればそれを選択される。だから、原子力の発電を使いたくないという消費者がふえれば、もちろんそれは選択されない電力会社さんになるだろうし、それでも使いたいという人たちはそういうふうに選ばれるだろうしというふうなことで決まるんじゃないかなと思っておりまして、先にどうこうじゃなくて、選択が結果をつくり出すというふうに考えられませんでしょうかということです。
 以上です。

○塩川委員 ありがとうございます。
 次に、金子参考人にお尋ねいたします。
 先ほどのお話にもありましたように、今回のシステム改革の問題と、原賠法、特に機構法の附則、これについてのしかるべき執行状況なしに、本来機能し得ないものではないのかというお話がございました。
 そういう点でも、この原賠機構のスキームそのものを改めて再検討することが必要だと思っておりますし、やはりメガバンクなどの利害関係者、債権放棄を求めることなどの責任と負担を求めて、何よりも原発事故被害者の皆さんの全面賠償や、あるいは除染の取り組み、生活再建支援、こういったことにつなげていくような取り組みが必要で、そういう点でも、東電とエネ庁のやり方に対して厳しい批判も寄せられているところであります。
 そういう点でも、東電の破綻処理等特別な公的管理が必要だと考えておりますし、こういった電力独占への民主的規制や国民的な監視、電力の民主化、これこそ今求められていると思うんですが、その点についての参考人の御意見をお聞かせいただけないでしょうか。

○金子参考人 普通に考えればわかることで、今の東京電力の状態を三年後の小売の自由化までも延長してみた状態で、十分に期待に応え得る状況だろうか、それが五年後になったからといって改善するだろうかと。
 福島第一原発の一から四号機は一応廃炉が決定していますが、ほかは廃炉にできないんですね。なぜかといえば、廃炉費用、簿価上の残存価値とそれから廃炉の積立金の不足額とを含めて、一気に特別損失が表面化するために廃炉にもできないし、動かすこともできない。コストに当面見合うと考えている柏崎刈羽一号機、七号機でさえ、安全投資をすれば、恐らく十一円は簡単に超えてしまうし、事業報酬率を乗せて将来の安全投資をそこに含めようとしたら、とてもコストに見合う状況ではない。そうしたら、もう一度リセットボタンを押すことが非常に必要で、実は、そのプロセスで発送電分離をやっていくことも順番的に言えば可能になっていくんだろうと思うんです。
 形の上で新しい会社、新会社に移行するプロセスがありますので、そこでも、原発をどういう形で処理し、発送電をどういう形で分離する、誰が負担を負うかということは、附則の中にある、全てのステークホルダーが負担を負うときにどういう負担でやったら合理的にできるかということを、一応国会が議論をして決めていただくというのが大事なことなんじゃないかなというふうに思っています。

○塩川委員 ありがとうございます。
 次に、小売料金の自由化の関係ですけれども、四人の参考人の皆さんにそれぞれお伺いしたいと思っているんですが、一つは、電力の小売料金との関係で、総括原価方式の問題と、やはり消費者、国民への情報開示の問題というのが重要だと考えております。
 総括原価が、一面では、地域独占のもとで利益確保の源泉となっていて、消費者、国民からブラックボックスじゃないかという批判も厳しく寄せられてきたところであります。例えば下河辺委員会の報告の中でも、東電は、販売電力量では六割以上を占める大企業等との取引である自由化部門を優遇していて、実質、東電の営業利益の九割を家庭などの規制部門で得ていた、こういうことが開示をされることで初めて明らかになりました。こういう点でのブラックボックスの中身の問題が問われてくるわけで、総括原価主義のあり方の問題が一つあります。
 一方で、総括原価の場合では、電力の独占のもとで、独占の横暴勝手に対して、これを抑止し、独占価格にメスを入れるという公益性を担保する側面もあわせ持っているのではないかという議論もあるところであります。
 そこで、こういった小売料金の自由化という場合に、総括原価の問題をどういうふうに考えるのか。その点でも消費者、国民への情報開示がしっかりと保障されなければいけないと考えますが、その点についての参考人の御意見をお聞かせください。

○松村参考人 まず、下河辺委員会のことをおっしゃったんですが、恐らく東京電力に関する経営・財務調査委員会の報告書のことだと思うんですが、私も携わっておりますので、そのような引用の仕方は私は若干ミスリーディングじゃないかと思っています。
 それはどうしてかというと、結果的に、確かに、小売部門では大口からの収益が小さくて、小口、家庭用でほとんど稼いでいたというんですが、しかし、その要因を考えてみると、例えば今般の値上げというのを考えてみれば、東京電力もそうですが、関西電力も九州電力もほかの電力会社もみんな共通なんですけれども、自由化部門の方が値上げ率が高いんですね。
 なぜ自由化部門の方が値上げ率が高いかというと、燃料費が上がって、燃料費が上がった分の料金を転嫁する、こういうことになると、必然的に全てのお客さんに同じだけ上げるという形になり、もともと料金水準が高かった、つまり、大口では必要なかった固定費が幾つか入ってしまう、配電系統の固定費とかが入ってしまう小口の料金がもともと高かったので、上乗せしても値上げ幅が小さくなり、大口のところは大きくなる、こういう構造になっているんですね。
 東京電力の場合には、柏崎刈羽が中越沖地震でとまりました、その結果として燃料費が大幅に上がりました、しかし、値上げ申請はしませんでした。もし値上げ申請していたとすれば、恐らく自由化部門の方が高い値上げ率になった。家庭用もそうなったというのは、それを効率化でのみ込んでしまったということをした結果として、必要な値上げ率が、本来であれば高かったところというのは低く出てしまった。しかし、それは値上げを回避したという結果にすぎないと思います。
 恣意的なやり方で、独占力を行使して家庭用からたくさん取っていたということではなく、その点については、規制部門に対して、不利益をこうむらないようにちゃんとルールが定められていますから、そのようなルールを逸脱して独占的に取ったというのではなかったと私は認識しております。
 ちょっと横道にそれましたが、情報開示に関しては、規制料金に関して情報開示をするのは当然のことです。それは今まで以上に求めていかなければいけません。自由化した後でも一定の規制料金は残るだけでなく、託送料金のところは規制料金としてしばらく残りますから、このための情報開示制度というのはきちんと充実させていかなければいけないし、現在の料金値上げ申請の過程で出てきた消費者のいろいろな不満というのをきちんと取り込んで、情報開示がきちんとされることになるものだと思います。
 一方で、規制でない料金に関しては、例えばトヨタ自動車が、自分の原価というのがどうなっているのかというのを詳細に消費者に開示しなければいけないということがないのと同様に、十分な競争メカニズムが働いて、独占的な地位にあるという状況でなくなれば、そこの情報開示は普通の市場と同じものになるという形になると思います。
 あくまで情報開示は、規制料金の部分と、それから、十分な競争が働いていないという期間の限定的な話として充実させていかなければいけないと考えております。
 以上です。

○柏木参考人 これまでは、安定供給という大きな目的のもとで大きな投資をする、それがきちっと回収できない限り事業者がなかなか経営ができないという話で総括原価方式がとられていた、公共性が高い電力だからこそというふうに思っています。ですから、これからは、公共性が高いところは依然、総括原価方式のようなものをやはり残していって、全てを市場に任せるということは極めて危険なものだというふうに私は理解をしています。
 例えば、送配電システムは公益性が高い、よってここは総括原価方式を導入する、ただし、きちっとした透明性と開示をしていく。特にまた、その潮流の開示をしながら、どこの位置に置いたら託送料が、発電システムの位置によっても託送料金が違うような形で、持てる送配電システムを十二分に使い尽くすようなことまでやはり開示していくということが、総括原価方式をとるに当たっても必要不可欠なものだ、こういうふうに思っているわけです。
 ただ、電源に関しては、これから大規模なものが新しく建っていくということはかなり厳しい状況になってくるだろうと思っていまして、そうなりますと、比較的リードタイムの短い分散型電源、これのネットワーク、こういうものに関しては、もう市場原理、熱をうまく使い尽くすとか。ただ、その中に、分散型の中にも固定価格買い取りという異常な、まあ劇薬が入っていますから、市場原理で競争できる電源に関しては市場がそれで決めていく。
 だから、公共性と、市場を重視するものと、やはり少しそこら辺のすみ分けをしていく必要があるだろう、こう思っています。

○金子参考人 総括原価主義というものに対して、全ての規制を取り除けばいいというような議論、私もそういう議論には賛成ではありませんが、現状では、家庭用から高い収益を上げているというのも現実でありますから、こういう面もきちんと改善していくためにも、小売の自由化というのはある程度効果があるだろうと思うんですね。
 ただ、私は、今とても必要なことは、地域独占とこの総括原価が重なって作用しているということの問題があると思うんですね。それ以外に選択肢がないということが一つ重要だと思います。その意味で、この電力システム改革は非常に重要な意味を持つだろう。
 それから、もう一つ重要なことは、現状で燃料費の上昇を見ていると、シミュレーションの数字を見ていると、非常に石油火力をたくさん使っているんですね。どんどんふえているんですね。もちろん、ベース電力として石炭を使っているので、次にガスが来てという話なんですけれども。
 例えば、私の個人的な範囲で、きちんとした調査をしているわけではないんですが、多くの企業が非常に良質で効率のいい自家発電を持っているにもかかわらず何にも言ってこないと言ってくるわけです、PPSじゃないから。でも、かつては買ったこともあるわけです。先ほど申し上げたように、ある一定の規制機関でそういうものを掘り起こしていかないと、小売の自由化も有効なものにならないのではないか。人によってすごく数字に幅があって、資源エネルギー庁の人に言っても、十分に自分たちが把握しているとは思わないけれどもこれが数字ですみたいな言い方をしていて、現実には数字が、真っ当なものが出てきていない。
 その意味で、もう一度、そういう地域独占がゆえに、それを守るがゆえに燃料費もわざわざ高いものを使っているように私には見えているので、もっと改善の余地があるのではないか。今、ガスの調達価格等はやっていますけれども。そういう点でも、この改革が有効に働くように、もう少し配慮してほしいというふうに思っています。

○辰巳参考人 どうもありがとうございます。
 うまくお答えできるかどうかわからないんですけれども、料金の審査委員会というのがありまして、今回の値上げに関してやはりその委員会が機能しているというふうに私はとても思っております。今まで総括原価方式で料金が決められていたということに関しても、全てが出てきたわけです、その総括原価方式で何が積み上げられていたかというのが。
 だから、それが見える形になったということはすごく有効なことであって、今もお話がありましたように、効率化等に関しても、家庭から日銭が稼げるから、だから少々のことぐらいいいかというふうな格好での、通常の企業がなさるような効率化をどこまでされていたかというふうなことも、非常に疑問な点がいっぱい出てきているんですね。
 だから、そういう意味では、こういう、料金をちゃんと、規制がゆえに審査されている仕組みというのは、非常にいいことだというふうに私は思っております。
 だからこそ、先ほどから話題になっております原子力発電に関しても、原子力発電がとまったから、燃料をLNGにかえるがゆえに、燃料費が上がったから値上げをお願いしますというふうに説明されますと、消費者というのは、ああ、じゃ、自分たちが一生懸命節電して、燃料費をたくさん使わなくすれば電気代もそんなに上がらないのかななんというふうに思いがちなんですけれども、それ以外に、働いていない、発電していない原子力発電のコストが随分かかっているから、少々の私たちの節電でも上げるのをとめられないんだというふうなお話をされると、とても理解が難しいんですよね。
 だから、そういう意味で、いろいろなことが表に出てきた、ああそうか、働かない原子力発電のお金まで料金で負担させられていたんだというふうなこともわかってきたということで、とてもよかったと思います。
 これがもし自由化になって、そういう話が全て隠れてしまって、例えばトヨタさんのお話も出ましたけれども、料金がどういう積算のもとに出ているかというのがわからなくなることは、やはり私たちとしては、知ってしまった以上、もう少し知りたいというふうに思いますもので。それは、もしかしてですけれども、声として消費者の側から出てくれば、答えざるを得なくなる、隠しておくことができなくなるというふうな状況も起こるかもしれないというふうに思いますし、その前に、そういうふうに声を出す消費者というのは非常に少ないです。
 だから、本当に競争が働くと、先ほどの効率化の話のようなことが起こりますもので、企業内でもどうしてもコストを下げざるを得なくなりますので、そういう意味では、そこまではやはりもう少しきちんと見ていく必要があるなと私もすごく思っておりますので、最初の意見陳述のときにもそういうふうに申し上げたつもりでおります。
 以上で、お答えになったかどうかわからないんですけれども、よろしくお願いします。

○塩川委員 ありがとうございました。
 以上で終わります。


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○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 きょうは、電気事業法改正案の審議に当たりまして、参考人の皆さんには、お忙しい中をお越しいただき、貴重な御意見を賜り、本当にありがとうございます。
 最初に、池辺参考人にお尋ねいたします。
 池辺参考人に関してのコメントなど、当委員会の調査室が集めた中で、拝見して目にとまった一つに、日経ビジネスのインタビュー記事がございました。そこでは、通信自由化にあって電力自由化にないものとはという問いがありまして、これに対して池辺参考人が、非対称規制だ、この規制は、独占企業に対して規制を課すことによって他の事業者の事業を営みやすくするものだと述べておられます。
 この通信自由化に当たっての非対称規制とはどのようなものだったのかについて、まず御紹介いただけないでしょうか。

○池辺参考人 お答え申し上げます。
 通信の場合の非対称規制といいますと、例えばでございますけれども、NTTのケーブルがございまして、それを新規参入事業者さんが借りたいというときに、基本的には、それは貸し出さないといかぬ。あるいは、建物、電話局がございますけれども、これも、やはり通信の場合は百年かかってそういう拠点のインフラ設備、電話局をつくってきたわけでございまして、新規参入事業者さんが急にそういう拠点をつくろうと思ってもなかなか大変なわけでございます。そういう場合に、我々はコロケーションと呼んでおりますけれども、いわゆるスペースを新規参入者さんが貸してくれと言われた場合に、それは基本的には貸さないといかぬ、こういうルールでございます。
 費用に関しても、将来コストダウンされるであろうという費用で貸さないといかぬということになっておりまして、これは、今まで独占的にやってきた事業者にとっては、本当につらいといいますか、ということでありますけれども、通信の場合は、そういう方法を導入しながら競争の活性化を図ってきたということが現状でございます。
 以上でございます。

○塩川委員 ありがとうございます。
 このインタビュー記事でも、通信の場合、自由化から二十七年がたって、ようやくNTTグループのシェアが六割まで下がった、非対称規制を導入し、独占企業が占めるシェアをこれくらいまで落とさないことには、本物の競争は起きない、現在の電力市場には、当社の自助努力だけにはどうにもならない壁がある、本気で競争を起こすのかどうかは国の決断にかかっている、このように述べておられます。
 今回の電力システム改革の制度設計というのが、この点で、電力自由化に当たっての非対称規制について、国の決断というのはどうだったのか、率直に御意見をお聞かせいただけないでしょうか。

○池辺参考人 このたびの制度改正でありますけれども、我々も、電力システム改革専門委員会で、オブザーバーとして出席させていただきまして、いろいろな我々の実情を、それから意見を申し上げさせていただきました。私の感じでございますけれども、我々の主張をキーワードとしてはたくさん取り入れていただいたと思っております。
 そういう意味で、今までよりも我々の事業をさらに成長させる施策が、今回、資源エネルギー庁さんによって考えられたのではないかなと思っております。
 電力事業というのは、六十年かかってこういう仕組みができてきたと思っております。そういう中で、やはり、急に一遍にということにはなかなかいかぬのじゃないかなと私も思っておりまして、そういう意味では、今回の制度改正のいろいろな項目を我々は活用させていただいて、まずは、お客さんの期待に応えられるような拡大に努力していきたいと思っております。
 以上であります。

○塩川委員 ありがとうございます。
 重ねて池辺参考人にお尋ねしますが、この間、二〇〇〇年代での自由化範囲の拡大なども行われてまいりました。ただ、実際、新規参入の事業者が決して大きくふえているわけではないという現状にあります。
 そういう点で、やはり、発送電分離の問題、法的な分離ということで行うのを今回の法案として組み込まれているわけですけれども、この法的分離、つまり発送電分離をいわば先に行わないと新規の参入が大きく進まないんじゃないのかということなども思うんですが、こういうことについてはどのようにお考えでしょうか。

○池辺参考人 先ほど御説明申し上げましたけれども、例えば系統の中立性、公平性、透明性というようなところは、やはりそこが担保されないとなかなか正常な競争ができないのではないかなと思っております。
 そういう意味で、外国の例を見ますと、いわゆる独立規制機関というものが、結構な体制で、全体が公平にされるかどうかというのを、きっちりと組織ができていると思っております。そういう中で、ヨーロッパにおいても、各国のエネルギー、電力の供給の公平性、透明性というのが非常にダイナミックに担保されているのではないかなと私は思っております。
 そういう意味で、工程表の中で、二年後にそういう機関が実現されるというのがうたわれております。新電力としては、そういう規制機関の中で、中立、公正、透明性がさらに担保されることを期待申し上げているということでございます。
 以上であります。

○塩川委員 ありがとうございます。
 次に、八木参考人と種岡参考人にお尋ねいたします。
 今、電気料金につきましても、その内訳はどうなっているのかというのが、やはり大停電あるいは福島原発事故を機に、多くの需要家の方、利用者、消費者の方の関心となっております。
 午前中にも、消費生活アドバイザーの辰巳参考人から、電気料金の使用量のお知らせについて見たことがありますかというお話がありまして、実際になかなかそういうのに触れる機会がないということなんかもありまして、ああそうかと思って、私も手元にありましたこの電気料金、御使用量のお知らせ、これは東電ですけれども、関電ではございませんが、これなんかを見ますと、料金の内訳なども書かれているわけです。ここでは、再生可能エネルギー発電の賦課金等ということで、私のうちの場合、五月分は百六十九円なんですけれども、こういうふうに出てくるわけですね。
 そういったときに、原発に係るいろいろな経費というのがあるわけです。こういった経費についてもこのような料金の内訳として明示をするということが、消費者、需要家の皆さんにとってみても大きなプラスになるのではないのか。実際、原発関連の賦課金ということでいえば、使用済み燃料再処理等発電費とか、特定放射性廃棄物処分費とか、原子力発電施設解体費、電源開発促進税等々あるわけですけれども、そういう点で、需要家への情報開示として、電気料金内訳として明示することを行ったらどうか。こういう点での電事連、関電としてのお考えもお聞かせいただきたいと思いますし、また、労働組合としても、需要家、消費者の立場に立っての提言として、こういうことについてどのように受けとめておられるのか、このことについてお聞かせください。

○八木参考人 お答え申し上げます。
 電気料金をできるだけお客様にわかりやすく御説明するという御趣旨だと思いますが、私どもも、関西電力といたしましても、このたびの電気料金の値上げを申請させていただいた節にも、公聴会等で多くのお客様からわかりやすい説明というようなことの御要望がございまして、私どもとしても、御指摘のように、まず電気料金をできるだけ御理解賜れるような形で説明していくということ。その中では、御指摘のような、御家庭にお送りさせていただきます料金の明細書、あるいは、今スマートメーター等を当社の場合では約二百万台ほど設置いたしておりますが、そうしたお客様はインターネットで御自分の御使用の状況とかが見える形とか、そんなことでいろいろやっております。
 そうした中で、御指摘のような、料金の中身を、できるだけ明細を詳しくしていくという方向性については、私どもとしても、考え方としては一定の理解ができるところでございます。
 ただ、どこまでの分をお見せしていくかというのは、いろいろと私ども、皆さんの御意見を伺いながら、今後の検討課題という形で検討させていただきたいと思います。
 以上でございます。

○種岡参考人 お答えを申し上げます。
 電気料金の内訳、お使いいただいている皆様によりわかりやすく情報開示をしていくということは極めて重要なことだというふうに思います。したがいまして、さまざまな場面を通じて電気料金の内訳がわかるようなそういう仕組みをつくっていくということは極めて重要なことだというふうに承知をしておるところでございます。
 毎月お知らせをする検針のお知らせの中にどこまで情報として入れ込んでいくのか、これは一概に判断しかねるところもあるかというふうに思いますので、まさに総合的に経営の方で御検討いただくということが適切なのではないかというふうに思います。

○塩川委員 はい、わかりました。
 続けて、八木参考人にお尋ねいたしますが、東電の電気料金の値上げ審査の際に、発電をしていない原発への多額の購入電力料が計上されていることが問題になりました。関電におかれても、日本原電敦賀の一、二号機や北陸電力の志賀原発の二号機について、合計で四百六十六億円ということが入っている、購入電力料を支払うことを原価に盛り込んでいるわけであります。
 これについて、内訳で、原電の方に幾ら、北陸電力の方に幾ら、そういう開示というのは少なくとも直ちにできることではないかなと思うんですが、この四百六十六億円を二つに分けるということなんかをぜひやっていただくというのはいかがでしょうか。

○八木参考人 私ども、今の御指摘のように、関西電力といたしましては、敦賀発電所あるいは北陸の志賀発電所、これは停止しているにもかかわらず料金を払っているということに関しまして、これは、基本的には私どもが、例えば日本原電さんの敦賀などは共同で開発した電源でありますので、ある意味では一部自前の電源という理解もできますので、当然のことながら、これを停止していても、安全に維持するための費用、これは運転する燃料費は当然払っておりませんが、こうした費用はお支払いさせていただくということで今計上させていただいております。
 これは、合計で購入電力料という形で対外的にお示ししておると思いますが、個別の具体的な明細の開示については、たしかまだそこまではしていなかったと思います、ちょっと十分把握しておりませんが。そういったことについては、今後の課題ということにさせていただきたいと思います。

○塩川委員 原電と北陸電力の二つに分けるぐらいはすぐできることだと思いますが、ぜひ具体的に、後でもお示しいただけないでしょうか。そのことだけ。

○八木参考人 まだその点につきましては、ちょっと今後の課題ということで、検討は十分させていただきたいと思います。
 以上でございます。

○塩川委員 電気料金の値上げの問題につきましては、昨年の東電の値上げに関しての西澤社長の発言というのが大変大きな反響となりました。
 昨年四月、東電は家庭部門の電気料金の値上げに先立って自由化部門の値上げを実施したわけですが、東電の西澤社長は、この自由化部門の電気料金の値上げ方針発表の際に、電気料金の値上げは事業者としての義務というか権利だ、このように発言をし、値上げに同意しない需要家には電力の供給停止もあり得ると表明をしたわけであります。
 平均一七%にも及ぶ一方的で大幅な値上げに、多くの需要家から困惑と批判の声が上がりました。五十キロワット以上は需要家が電力供給先を選択できる自由化部門だといいながら、実質、自由化とは名ばかりじゃないのか、需要家には選択肢がない、こういう声も上がっているわけで、こういう状況で値上げは権利と言われるというのは非常に需要家の皆さんからすれば心外だという声が上がっても当然のことだと思うんですが、こういうことについては電事連の会長としてはどのように受けとめていらっしゃいますか。

○八木参考人 お答え申し上げます。
 東京電力の西澤社長がどういう思いでそういう御発言をされたかについては私は承知しておりませんので、その点についてのコメントは差し控えさせていただきますが、私ども電気事業者といたしましては、いずれにしても、電気料金のお願いというのは、大変厳しい経済情勢の中で、お客様の生活や産業活動に多大な御迷惑をおかけするという、これは大変苦渋の決断でございます。
 したがいまして、みずからの経営効率化の努力を徹底的にやった上で、なおかつ、引き続き私どもが電力の安全、安定供給という使命を果たしていく、そのためにどうしても必要な部分についてのお願いということで電気料金のお願いをさせていただいております。
 そういう意味では、私どもとしては、大変お客様に御迷惑をおかけするということについては申しわけない気持ちでいっぱいでございまして、改めておわびを申し上げたいと思いますが、そういう意味では、一方で、引き続き電力をしっかりと安定供給させていただくための必要なものという点での御理解も賜りますようよろしくお願い申し上げます。
 以上です。

○塩川委員 清水参考人にお尋ねいたします。
 電気料金につきまして、大口の需要家と小口の需要家に差があるんじゃないか。例えば、特別高圧と高圧で単価が違う。これは、電力会社の方からすれば、変電設備の違いなどもあるからということもあるそうなんですが、需要家の方からすると、中身はなかなかよくわからない。
 そういう点でいいますと、大手と中小の事業者において差がついているんじゃないのか、こういう懸念の声なんかも聞くんですけれども、そういった現状についてどのように、受けとめとして、お考え、お感じのところがありましたら御紹介いただけないでしょうか。

○清水参考人 私のところに限って言いますと、高圧電力の契約をしておりまして、小口の契約については、それぞれの会社の内容をちょっと把握しておりませんので、私どもとしてはわかりかねます。
 以上です。

○塩川委員 電気料金の値上げの問題というのがそれぞれの経営に対して大きな影響を与えている。全体として、今円安の中で輸入原材料の高騰の影響もありますし、そういう中で電気料金が上乗せされるということは、経営としても深刻な状況にもつながってくるんだろうと思うんです。
 こういうものがきちんと実際に価格などに転嫁ができているのかどうか、こういう経営の実態について、今、御社あるいは同僚の会議所の会員の方々の声でお聞きになっているところがあれば御紹介いただけないでしょうか。

○清水参考人 私の印刷業界に限ってお話を申し上げると、今回、私のところは一月から値上げになっていますけれども、電気料金でいいますと、単価でいうと二五%値上げです。基本料金は据え置きになっていますから、一七%値上げしているんですね。一般的に我々が買っている印刷の資材でいうと、いきなり一七%値上げするというものは私は経験したことはないんですね。
 ですから、これをそのまま、これがコストの全てではありませんけれども、お客様の方にすぐに転嫁するというのはなかなか理解が進んでいないということでございますので、私は大変厳しい状況に置かれているということであると思います。
 以上です。

○塩川委員 時間でもありますので、終わりにします。
 貴重な御意見、ありがとうございました。