国会質問

<第183通常国会 2013年06月12日 経済産業委員会 19号>




○塩川委員 私は、日本共産党を代表して、電気事業法の一部を改正する法律案に対して反対の討論を行います。
 電力システム改革は、三・一一東日本大震災と東電福島原発事故を直接の契機とするもので、その教訓を踏まえたものでなければなりません。
 改革すべきは、我が国の戦後六十年にわたる、主要国では特異な地域独占、民営の発送配電一貫体制という電力独占によるガリバー支配です。このシステムを根本的に変革し、再生可能エネルギー電源を初め技術進歩を生かし国民が選択できる二十一世紀型の持続可能なエネルギーシステムに転換すべきです。
 しかし、本法案は、こうした大方向への改革方針を具体化するものとは言えず、以下三つの理由で反対します。
 第一に、福島原発事故の教訓を酌み取っていない、破綻が明らかな原子力損害賠償スキームを温存したまま電力改革だけを切り離して進めるものだからです。
 我が国最大の電力会社で実質破綻している東京電力並びに原発のあり方をどうするのか、この二つの大問題こそ電力システム改革の出発点です。
 原発事故は収束していません。十五万人を超える避難者や事故の被害者の存在を忘れたエネルギー、原発政策は、その立脚点を危うくするものと言わざるを得ません。
 第二に、小売料金等の全面自由化を初めとする附則は、小泉構造改革論者の失敗、エンロン破綻事件や米国の大停電など市場原理主義、規制緩和の危険性を拭えないものだからです。
 欧米での電力自由化の経験を見ても、全面自由化は少数派です。電気料金の総括原価主義、ブラックボックスの開示や最終保障サービス等の制度設計に当たって、全面自由化ありきの法案は問題があります。
 第三に、発送電分離を掲げながら、法的分離の名で、持ち株会社グループ一体経営によるガリバー支配の実質を維持したい電事連の望む規制なき独占にならない保証がないからであります。
 そもそも本法案は、日米原発利益共同体の市場確保を最優先に、原発の再稼働、原発輸出と一体となった成長戦略の柱の一つとされております。
 しかし、本来あるべき電力改革は、三・一一原発事故の教訓を踏まえ、先月末の本会議で主張したように、原賠機構スキームの見直し、大規模集中電源から小規模分散電源の二十一世紀型電力システムへの移行及び明確な発送電分離によって東電と送電網を特別な公的管理下に置き、電力独占への民主的規制と国民的監視による原発ゼロに向けた電力民主化を進めるものでなければなりません。
 なお、修正案は、以上の反対理由を変更するものではないので賛成できません。
 以上、申し述べて、反対討論を終わります。(拍手)