国会質問

<第183通常国会 2013年06月13日 本会議 32号>




○塩川鉄也君 私は、日本共産党を代表して、電気事業法の一部を改正する法律案に対して、反対の討論を行います。(拍手)
 本法案は、電力自由化などの電力システム改革を進めるというものですが、改革すべきは、我が国の戦後六十年にわたる、九電力の地域独占、民営の発送配電一貫体制という電力独占によるガリバー支配です。主要国では特異なこのシステムを根本的に変革し、再生可能エネルギー電源を初め、技術進歩を生かし、国民が選択できる二十一世紀型の持続可能なエネルギーシステムに転換することです。
 しかし、本法案は、こうした改革方向を実現するものではありません。以下、三つの理由で反対するものであります。
 第一に、東日本大震災と東電福島第一原発事故を契機とすると言いながら、その教訓を酌み取っていません。国の責任を曖昧にしたまま、東電を絶対潰さないとして国費で支え、全国の原発の再稼働と電気代値上げで原資を賄う原子力損害賠償支援機構のスキームを温存したままであります。
 我が国最大の電力会社で、実質破綻している東京電力、並びに、原発のあり方をどうするのか、この二つの大問題こそ、電力システム改革の出発点です。
 事故から二年以上たっても、原発事故は収束していません。十五万人を超える避難者や事故被害者の生活と権利は回復していません。賠償は進んでおりません。これらの方々の存在を忘れた電力システム、原発政策は、その立脚点を危うくするものと言わざるを得ません。
 第二に、小売料金等の全面自由化などのプログラムを規定する附則第十一条は、小泉構造改革や規制緩和政策の失敗、アメリカにおけるエンロン破綻事件や大停電など市場原理主義、規制緩和による安定供給などの危険性を拭えないものです。
 欧米での電力自由化の経験を見ても、全面自由化は少数派です。電気料金の総括原価主義、ブラックボックスの開示や最終保障サービス等の制度設計について、参考人質疑でも危惧が示されました。全面自由化ありきの法案は、問題があります。
 第三に、発送電分離を掲げながら、法的分離の名で、持ち株会社グループ一体経営によるガリバー支配の実質を維持しかねないものです。電事連の望む規制なき独占にならない保証がないのであります。
 そもそも、本法案は、骨太方針や成長戦略の柱の一つとされております。そこでは、原発の再稼働は、政府一丸となって地元対策を行い、原発輸出は、官民一体、政府全体として支援するとしております。これは、電力独占と原子炉プラントメーカーを中心とする、いわゆる日米原発利益共同体によるインフラシステム輸出のための市場確保を最優先とするものです。
 しかし、福島県民の願いは、県内全原発の廃炉であります。国民の願いは、脱原発の方向であります。これらの願いに逆行する原発政策と一体の電力システム改革は、結局、再び電力のとりこに陥らざるを得ないものとなるでしょう。
 本来あるべき電力改革は、原発事故の教訓を踏まえ、原発ゼロに向け、東電と送電網を公的管理下に置き、明確な発送電分離によって、電力独占への民主的規制と国民的監視による電力民主化を進めるものでなければなりません。
 以上、反対討論を終わります。(拍手)