国会質問

<第183通常国会 2013年06月19日 経済産業委員会 20号>




○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 きょうは、オスプレイを含む米軍機の飛行と原発問題について質問をいたします。
 危険なオスプレイの配備、訓練について、住民、自治体から厳しい批判の声が上がっております。意見書等の採択を行った自治体が全国で二百を超え、沖縄では島ぐるみの反対運動となっております。
 ことし三月以降、本土においても岩国基地を拠点にオスプレイの訓練飛行が繰り返されております。岩国基地を拠点にして、愛媛県、高知県などのオレンジルートでの訓練飛行などが実施をされております。その中には夜間訓練も含まれています。
 そこで、高知県は繰り返し、オスプレイを含む米軍機の低空飛行訓練、特に夜間の低空飛行訓練を即時中止することを国に要望しております。そして、少なくとも訓練飛行前に飛行に関する情報を提供することを求めています。
 例えば、高知県の要望書で、米軍機の訓練飛行に関する情報提供について、三月十三日に出されたものがありますが、ここでは、「飛行訓練の情報は、消防防災ヘリやドクターヘリの航行の安全性を確保するため大変重要であり、関係機関に対して周知を行う時間も必要なことから、オスプレイに限らず他の米軍機による訓練につきましても、ルートや飛行日時など可能な限り詳細な情報を、時間的な余裕を持って提供するように、米側に対し求めていただきますよう、あわせてお願い申し上げます。」このようにしております。
 そこで防衛省にお尋ねをいたします。
 防衛省は、高知県が求めているこのような米軍機訓練飛行のルートや飛行日時など、可能な限り詳細な情報を訓練飛行前に提供するよう米軍に働きかけておりますか。

○前田政府参考人 お答えいたします。
 今御指摘のございました米軍の飛行ルートでございますが、米軍が飛行訓練の目的達成、あるいは飛行の安全確保、さらには住民の皆様への影響抑制等の必要性を安定的に満たすという観点から、一定の飛行経路を念頭に置いて飛行することがあるというふうに承知しておりますけれども、その具体的なルートについては、米軍の運用に係る事項であり、防衛省として必ずしも承知しておらないことから、お答えすることは困難なわけでございます。
 他方で、オスプレイの飛行訓練等に関する地元の皆様からの御懸念の声があること、これは踏まえておりまして、オスプレイの訓練等に係る情報が得られた場合には、速やかに関係自治体にお知らせをしてきたところでございます。
 今後とも、米側から得られた情報については速やかにお知らせをしてまいりたい、かように考えてございます。

○塩川委員 例えば、三月一日に小野寺防衛大臣は、今後、飛行ルートを含めて自治体にしっかり説明していきたいということから、このような飛行ルートなど、米側には情報提供を求めていきたい、このように述べているのは、そのとおりですね。

○前田政府参考人 お答えいたします。
 今も申し上げましたとおり、私どもも地元の皆様方の御懸念については十分承知しておるところでございまして、可能な限り情報が得られるような努力は常日ごろから行ってきているところでございます。
 大臣がお答えしたのも、そのような趣旨を踏まえて、日々努力しているという趣旨をお答えしたものというふうに承知しております。

○塩川委員 防衛省として、飛行ルートなど、米軍機の訓練飛行についての情報提供を米軍に求めているということです。実際には、地元自治体が要望するような情報は提供されておりません。
 国交省にお尋ねします。
 航空法に基づき、米軍機も、国交大臣に飛行計画、フライトプランの提出が義務づけられております。その飛行計画には、運航開始時間とか出発地とか飛行ルートとか目的地などを記入することになっていると思いますが、相違ありませんか。

○高橋政府参考人 お答え申し上げます。
 先生の御指摘のとおりでございます。

○塩川委員 重ねて国交省にお尋ねします。
 在日米軍基地からの米軍機の飛行計画はどのように国交省に提出をされているんでしょうか。その仕組みを説明してください。

○高橋政府参考人 お答え申し上げます。
 在日米軍基地から出発します米軍の飛行計画につきましては、当該基地近傍の自衛隊の部隊を経由して国土交通大臣に提出されることとなっております。
 具体的には、自衛隊の飛行計画を取り扱うコンピューターシステムを経由して私どものシステムに提出されているところでございます。

○塩川委員 在日米軍基地の近傍の自衛隊の部隊を経由して国交大臣に届けられる。その際に、自衛隊の中にあります飛行管理情報処理システムというコンピューターシステムを介して国交省の方に届けられているということでよろしいですね。確認です。

○高橋政府参考人 お答え申し上げます。
 自衛隊におけるシステムの名称については私ども承知しておりませんけれども、コンピューターシステムを介して私どももいただいております。

○塩川委員 例えば、米軍岩国基地から米軍機が訓練飛行する場合に、その飛行計画は自衛隊のどこの基地に提出されているんでしょうか。

○高橋政府参考人 私は、具体的な基地の名称については存じ上げません。

○塩川委員 在日米軍基地から出発する米軍機の飛行計画は、米軍から自衛隊に提出をされ、国交省に通報する仕組みになっております。その飛行計画には、答弁にありましたように、飛行開始時間や飛行ルートも記載されています。
 防衛省にお尋ねします。
 防衛省は、米軍に訓練情報の提供を求めているが詳しい情報が得られないとしていますけれども、そもそも、米軍の訓練飛行情報は、飛行計画という形で既に防衛省・自衛隊自身が保有しております。防衛省が飛行ルートなど、米軍機の訓練飛行についての情報提供を米軍に求めているというのであれば、みずから保有している米軍機の訓練情報を明らかにすればいいのではありませんか。

○前田政府参考人 お答えいたします。
 今先生の御指摘、また国交省の方からお答えのございました点でございますが、実際には、国土交通省の窓口が置かれていない米軍の飛行場を離陸する米軍機の飛行計画について、米軍から国土交通省に対して通報するわけなんですけれども、そういうケースにおいて、便宜上、自衛隊の部隊が飛行計画の入力作業をするという場合がございます。
 なお、そういった飛行場でない米軍基地の場合には、離陸する情報、飛行計画を直接国土交通省に通報するケースもあるというふうに聞いております。
 したがいまして、いずれにしても、米軍機の飛行計画全てが防衛省を経由しているということではないということを御理解いただきたいと思います。

○塩川委員 答えていないんですけれども。
 ちょっとその前に、では確認です。米軍の岩国基地から飛び立つ米軍機の飛行計画については、空自の春日基地に提出されると承知していますけれども、そのとおりでいいですか。

○前田政府参考人 お答えいたします。
 岩国について申し上げますと、今申し上げました飛行計画の入力作業をする場合には、これは春日の部隊が行うというふうに承知をしております。

○塩川委員 空自の春日基地に提出されて、それが自衛隊のコンピューターシステムに送られ、そこから国交省のコンピューターシステムに提出されているという経緯であります。
 つまり、地元自治体は、少なくとも事前に訓練のルート、時間を教えてくれと言っているわけですよ。防衛省も、防衛大臣を初めとして、飛行ルートなどについては米軍に情報提供を求めていきたいと言っているわけです。しかし、実際には、米軍の訓練飛行、オスプレイを含む米軍機の訓練飛行などが岩国から行われるときには、その飛行計画が事前に空自の春日基地に届けられておるわけですから、防衛省・自衛隊の中に既に事前に情報があるわけですよね。
 だったら、それをしっかりと出すということこそ地元自治体の要望に直ちに応える道であるわけで、あたかも訓練情報が手に入らないかのように振る舞っているというのは余りにも対応としてはおかしな話でありまして、地元自治体の情報提供要請に応えないというのは極めて不誠実な対応だとは考えませんか。

○前田政府参考人 お答えいたします。
 少し繰り返しになってしまうかもしれませんが、私どもが行っておりますのは、国土交通省の窓口が置かれていない米軍の飛行場を離陸する米軍機の飛行計画につきまして、便宜上、自衛隊の部隊がこの飛行計画の入力の作業をするという実務を担当いたしております。
 したがいまして、当該飛行計画の受理者は国土交通省であるということになりますので、その内容について防衛省が申し上げる立場にはないのではないかというふうに考えております。

○塩川委員 フライトプランには、飛行の経路について、ルートを書くようになっているんですよ。ですから、そういう情報が防衛省・自衛隊の中にあるんでしょう。それを地元自治体の要望に応えて答えるということが何でできないんですか。

○前田政府参考人 お答えいたします。
 繰り返しになって恐縮でございますが、防衛省といたしましては、そのような際の飛行計画は、入力作業を国土交通省にかわって行っている立場でございますので、そこで知り得た情報をどうするかという問題についても、これは防衛省としては申し上げる立場にないということを御理解いただきたいと思います。

○塩川委員 政府全体として対応していくということで言っているわけですから、そもそも情報を事前に持っているのに出さないということ自身がおかしい。そういう点でも、地元自治体の要望に応えないという姿勢は極めて不誠実だと言わざるを得ません。
 高知県など自治体が求めているこういったルートとか飛行日時など、可能な限り詳細な情報を事前に明らかにしてくれ、こういう要望に対してしっかりと応えるべきだし、そもそも、こんなこともできないのであれば、危険なオスプレイの飛行について、それこそドクターヘリや防災ヘリと接触するんじゃないか、そういう懸念があるから自治体が要望しているわけで、こういうのに応えられないようなオスプレイを含む米軍機の低空飛行そのものは認められないということを強く言わざるを得ません。
 この間、こういう米軍機が原発上空を飛行している事例というのが明らかになっています。
 防衛省にお尋ねします。
 防衛省が作成をしている「米軍機の飛行に係る苦情等受付状況表」における原子力施設上空の米軍機飛行の記録はどのようになっておりますか。

○前田政府参考人 お答えいたします。
 今先生お尋ねになりました原子力関連施設上空の飛行についてでございますが、平成十九年度以降においては、そうしたケースで計六件の苦情がございます。苦情の内容といたしましては、施設上空の飛行を避けてほしいという旨の内容でございます。
 なお、防衛省といたしましては、これらを受け、米軍に対してその内容を通知するとともに、配慮を求めたところでございます。

○塩川委員 資料を配らせていただきました。そこの一枚目と二枚目が、今紹介しました防衛省が作成しています「米軍機の飛行に係る苦情等受付状況表」です。
 一枚目、この左から二つ目の枠、「苦情等申出者」のところを見ると、東通原発。つまり、東北電力の東通原発。その右側、「飛行日時」平成十九年四月三日において、二つ飛ばして「苦情等の概要」を見ると、ジェット機二機が来たと。「苦情等の内容」のところ、最初の三行だけ見ますが、「本日の昼と夕方の二回、戦闘機が原子力発電所上空を通過及び旋回した。」ということで、一番右側の「備考」欄に、防衛省が米軍に確認をしています。米軍から回答があって、「第三五戦闘航空団所属F16戦闘機は、苦情発生場所の北部上空におりました。」というので、米軍自身が飛んでいるということを認めています。
 二枚目は日本原燃です。「飛行日時」が平成二十一年の十月二十六日の九時四十八分ごろということで、右側から二つ目の枠のところ、「苦情等の内容」を見ると、本日九時四十八分ころ、グレーのジェット機が原燃施設、再処理施設の上空を通過したということで、一番右側の欄、「備考」欄にあるように第五空軍から回答があって、「同時刻、当該地域に米軍機がいた。遺憾です。」こんなふうに出てくるわけです。
 このように、米軍機が現に原子力施設上空を航行しているということを米軍自身も認めています。
 それと、原子力規制庁が作成しております原子力施設付近上空の航空機飛行確認連絡票というのがあります。これは資料の三枚目ですけれども、原子力規制庁は、前身の原子力安全・保安院時代から、原子力事業者にこの施設付近上空の航空機飛行確認連絡票の提出を求めてきました。
 そこで防衛省に確認します。
 資料の三枚目で出てくる平成二十五年三月三十日の伊方発電所上空を南方向から北方向へ飛行したこの航空機について、これは資料ではお配りしていませんが、写真が掲載されております。この伊方原発上空を飛行した航空機は米軍機ではないかと思いますが、その機種、所属部隊がどこかを教えてください。

○前田政府参考人 お答えいたします。
 防衛省におきましては、米軍機の飛行に伴う地方自治体あるいは住民の皆様方からの苦情を受けた場合に、米軍に対してその内容を通知いたしますとともに、飛行の有無などの事実関係を問い合わせ、その結果について地方自治体等に情報提供しているところでございます。
 今先生の御指摘のありました件でございますが、三月三十日の航空機の飛行につきましては、地方自治体あるいは住民の皆様方の苦情は受けておりませんでした。実は、先生からの御指摘もいただきましたので、米側に改めて確認いたしましたところ、当該機は米海軍所属のP3Cであったという回答を得ております。

○塩川委員 米海軍のP3C対潜哨戒機ということであります。ですから、ことしの三月三十日にも伊方原発施設上空を米軍機が飛行しています。
 伊方原発周辺というのは、沖縄の米軍基地と米軍の岩国基地間の航空機飛行ルートになっております。また、岩国から高知県沖の米軍の訓練空域、自衛隊の訓練空域への移動経路にも当たり、オスプレイも飛行しているルートであります。つまり、頻繁に米軍機が通過する空域です。
 そこで、このような原子力施設との関係で、この伊方におきましては、一九八八年の六月二十五日に、米海兵隊のヘリCH53が伊方原発からわずか八百メートルの距離で墜落事故を起こしております。
 国交省でも防衛省でもいいんですが、そういう事実があるということだけ、確認で、お答えいただけますか。

○前田政府参考人 お答えいたします。
 御指摘の件につきましては、一九八八年、昭和六十三年六月二十五日、愛媛県西宇和郡伊方町の四国電力伊方原発付近の山中におきまして、米海兵隊普天間基地所属のCH53ヘリコプターが岩国基地から普天間基地へ向けて飛行中に墜落し、乗員七名が死亡した、こういう事実を承知いたしております。

○塩川委員 伊方原発のほぼ真上に当たる佐田岬半島の北側斜面に激突し、機体は強い衝撃ではね返って、山頂を越えて、南側斜面を二百メートルほどずり落ちて大破した、乗員七人が全員死亡した。機体がはね返らなければ原発の敷地内に落ちて大惨事になっていたんじゃないかと言われております。
 こういった原子力施設周辺においては、航空機の飛行についてのさまざまな制限を設けています。
 国交省にお尋ねします。
 伊方原発周辺の航空図を見ると、民間訓練試験空域KS2が設定されていますが、伊方原発周辺の空域が半円状に切り取られております。それは、どういう理由からでしょうか。

○高橋政府参考人 お答え申し上げます。
 当該訓練試験空域におきましては、原子力施設の性質でございますとか、訓練試験空域で行われる試験飛行等の特性を考慮いたしまして、施設から半径二マイル円内の区域の直上二千フィートまでの空域を除外する措置をとっております。この措置は、英国でございますとかデンマーク等における飛行の規制方法を参考にしたものでございます。

○塩川委員 外国の例を参考にして、原子力施設周辺についての航空機、特に訓練飛行を制限しようという趣旨で設けられているものであります。ですから、原子力施設を中心とする半径二ノーティカルマイル、約三・七キロぐらいの空域においては、民間訓練試験空域からは除くことになっています。
 防衛省においても、例えば、二〇〇〇年に、空自の松島基地に所属する練習機が女川原発の付近で墜落事故を起こすということがありました。その後、部隊の規則を改正することによって、松島基地と自衛隊訓練空域との移動の経路としては、女川原発の周辺二マイルの範囲の外側を飛行することを定めているということであります。つまり、自衛隊機が自衛隊訓練空域に移動する場合でも、墜落事故が発生したような女川原発周辺では飛行しないようにしているということであります。
 そこで原子力規制庁にお尋ねします。
 原発立地道県のつくっております原子力発電関係団体協議会が原子力規制庁宛ての要望書を出しておりますけれども、その要望書には、原子力施設周辺上空の飛行禁止の法制化を求めています。
 このように、女川ですとか、あるいは伊方など、近傍での自衛隊機、米軍機の墜落事故ということが背景にあるわけですけれども、こういった原子力施設周辺上空の飛行禁止の法制化という要望に対して、正面から応えた措置を行うべきではありませんか。

○櫻田政府参考人 お答えいたします。
 原子力規制庁におきましては、原子力施設に対する安全を確保するという目的の規制を行ってございます。
 その中におきましては、お尋ねのようないわゆる航空機の墜落事故、こういったものについてどういうふうに対応するかということについて、従来から、航空機の墜落の可能性、いわゆる落下確率ということでございますけれども、そういった問題をきちんと考慮した上で、防護設計が必要なのかどうかということを確認する、必要があれば求めるということでございますが、そういった対応を求めてございます。
 また、これは今、新規制基準を定めようとしておるところでございますけれども、その中においても変更はございません。さらに加えまして、新しい規制基準の中では、万が一航空機が墜落する、これは例えばテロ対策などもございますけれども、そういった場面においても、プラントが大規模に損傷するというようなことが仮にあったとしても、消火活動とか、あるいは炉心、格納容器の損傷の防止、こういったものの対策を求めるということにしてございます。
 以上のようなことで、今、規制としては、原子力施設に対する航空機の墜落事故に対する備えはできているのかなというふうに考えてございます。

○塩川委員 いやいや、ですから、原発立地自治体そのものがこういう要望を出しているんですよ。
 最後に大臣にお尋ねします。
 このように、原発立地の自治体からは原子力施設周辺上空の飛行禁止の法制化という要望が出されています。伊方原発周辺あるいは女川原発周辺での墜落事故を考えた場合に、米軍機による原子力施設上空の飛行が繰り返されていることも含め極めて重大で、原発の安全というのであれば、原発上空の米軍機飛行はやはり禁止すべき、こういうことを政府全体として行うべきではありませんか。

○茂木国務大臣 原発については、安全性第一に考えたいと思っております。
 規制委員会において本日策定した規制基準におきましても、航空機落下等によりプラントが大規模に損傷した状況において、消火活動の実施や、炉心や格納容器の損傷を緩和するための対策を求めていると承知しております。
 その他の対策につきましては、政府全体として検討してまいりたいと考えております。

○塩川委員 米軍機を含めて事故が起こっているわけですから、原子力施設周辺での飛行禁止をする、こういうことはやはり直ちに行うべきですし、オスプレイを含む危険な米軍機の訓練飛行そのものを中止すべきだということを申し上げて、質問を終わります。