国会質問

<第184臨時国会 2013年09月27日 経済産業委員会 2号>




○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 福島第一原発事故の汚染水問題について、東電の廣瀬社長にお尋ねをいたします。
 汚染水に関する現状把握について、まず伺います。
 汚染水対策の前提条件であります、地下の地質構造の把握と地下水の動向の把握の問題であります。地下地質構造におきましては、上部透水層と下部の透水層、水が通る層があるということが知られておりますけれども、そこでまずお尋ねしたいのが、浅い透水層を通って、その汚染水が堤防の下をくぐって外洋に流れている、こういうことがあり得るのではないかと思うんですが、この点については東電としては把握、確認をされておられますか。

○廣瀬参考人 どこをどういうふうに通ってということについての完璧な把握というのは、もちろんなかなか難しいものがございます。
 したがって、今我々としては、それぞれの対策に対して、モニタリングをしながら、その成果というか対策の効果というんでしょうか、それをしっかり見きわめながら、一つ一つやっていくということかと思っております。

○塩川委員 現状把握についてお尋ねをしているんですけれども、例えば、防波堤の海側の海底に地下水が湧き出る場所があるんだ、こういう事実を指摘される方がいらっしゃいますが、こういう事実については把握をしておられるんですか。

○廣瀬参考人 そういう御指摘を仄聞したことはございますけれども、具体的には把握しておりません。

○塩川委員 そういう点では、海岸の地下におきまして地下水の部分と海水が交流している、行き来をしている、こういう事実もあるんだという指摘もありますけれども、このような事実については把握をしておられますか。

○廣瀬参考人 水位によって、地下水の水位と潮の満ち引きというのは連動するというのは先ほどの御質問にもありましたけれども、底の方というところまではまだ把握できていないと思っております。

○塩川委員 上部の透水層、浅い透水層におきまして海水と地下水の交流がある、あるいは浅い透水層を通ってそのまま堤防の外に地下水が流出する、こういう事実についての把握、確認はまだされておられないという点は今確認をいたしました。
 それから、深い透水層、下部透水層についてですけれども、トレンチの立て坑があります。このトレンチの立て坑が、浅い層からさらにその下の粘土層を突き抜けて深い透水層まで貫いている、深い透水層まで貫通していると思うんですが、その点については承知をしておられますか。

○廣瀬参考人 済みません、ちょっと今、絵を探したんですが、いいものがございませんでした。
 一部そこまで行っているということはあると思っております。

○塩川委員 東電が出されている資料の中でも、トレンチの部分で、立て坑が、例えば一号機、二号機におきましては海水面からマイナス十二メートルのところ、あるいは三号機においてはマイナス十七メートルのところまで達している。これは、いわゆる浅い透水層の下の粘土層の、さらにその下の深い透水層まで立て坑が及んでいるということですね。そういうことでよろしいですか。

○廣瀬参考人 一部そういうところがあろうと思っております。

○塩川委員 そうなると、トレンチの立て坑で、あの地震、津波の直後にトレンチそのものも破断するというような状況もあるわけですから、そういう点でいいますと、その深い透水層まで汚染が広がって、それが結果として外洋を汚染する、こういうことが生まれているということはあり得ると思うんですが、その点についてはいかがですか。

○廣瀬参考人 これは御存じのように、深い透水層の水圧というのはかなり高うございます。したがいまして、そこにもし到達して、何らかの穴があいていれば、噴き上げてくるということになると思います。
 したがって、仮にそのトレンチなるものがそこまで行っていたとしても、底はとまっているというふうに判断しておりますし、下の水圧から上に上がってきているという事象はつかんでおりません。

○塩川委員 そういうものを調査で確認はされたんですか。

○廣瀬参考人 水位等を見て判断しているところでございます。

○塩川委員 深い透水層の汚染状況について、データで把握をされておられるということですか。

○廣瀬参考人 私が水位と申し上げたのはトレンチの水位等々でございますが、深いところはこれからでございます。

○塩川委員 ですから、これまでもずっと汚染が広がっているかもしれないという状況が浅い透水層の場合も深い透水層の場合もあるということであるわけで、海洋に汚染水が流出している可能性が現在でも続いているということが言えるような状況になっているわけであります。これで外洋への影響はブロックされているということなど言えないということも、また明らかではないでしょうか。
 それから、関連して、こういった汚染水について、建屋周辺に流入している地下水はシミュレーションで日量八百トンということを改めて確認した、これをベースにしているというお話がありましたけれども、汚染されている地下水の総量というのはどのぐらいとして見定めているんですか、日量で考える場合。

○廣瀬参考人 したがって、先ほどございましたように、八百流れてきて、四百が中にたまって、そのほかの四百が出ていくということでございますので、そういう意味で、海の方に流れていっている、汚染する可能性のあるという意味でいえば、その日量の四百トンが対象になるというふうには思いますが、ただ、それが全部汚れているということではないと思っています。

○塩川委員 もともと、地下水の総量の八百トンというのも検証が必要だと思いますけれども、そうしますと、建屋の四百トン、それから海側に流れ出す四百トン、合わせて八百トンが汚染されている可能性があるということを前提に対策をとる、そういうことになっておられるわけですか。

○廣瀬参考人 繰り返しになりますが、建屋の中に入ってくる四百トン、これはもう入った途端に汚染水、汚れてしまいます。海の方に行っている四百トンについては、先ほども言いましたけれども、汚染されている部分があるかもしれませんけれども、すなわち四百トン全部が汚染されているということではないと思っています。

○塩川委員 それはなぜわかるんですか。

○廣瀬参考人 もちろん、一つ一つ、たくさんの井戸を掘ってどういう状況なのかというのを日々モニタリングしておりまして、それの日々の移り変わり等々で絶えずチェックをさせていただいております。

○塩川委員 東電としては、対策をとられているこの現状においては、汚染水の総量、最大の想定量、これをもって対策をとっておられるんですか。

○廣瀬参考人 したがいまして、現状は、建屋の中に入ってきている四百トンを、しっかり対策をとって、タンクにためるなり、ALPSをやるなりということをやっていくということだと思っています。

○塩川委員 汚染水の最大量の想定がないままでやれば、モグラたたきがずっと続くんじゃないのか、これでは抜本的な対策にならないんじゃないのかということが強く危惧される、これが現在進行している問題ではないでしょうか。
 その上で、二次的な汚染の防止の問題であります。
 タンクの漏えいというのはあり得るということで、この点につきましては、フランジ型だけではなくて溶接型のタンクも漏えいする可能性もあり得るということをおっしゃっておられます。
 配管についてなんですけれども、配管は当初、耐圧ホースでしたけれども、それを今、ポリエチレン管にかえております。本来はSUS管、ステンレス管で対応すべきものだと考えますけれども、このポリエチレン管の現状というのは汚染水が漏れないと言える状況なんでしょうか。

○廣瀬参考人 当初の、いろいろ漏れがあったり、植物によって傷がついたりというところから、今のポリエチレン管にかえてきておりまして、それについて、もちろんそれも恒久的にそれということではないと思っておりますけれども、現状、しっかりパトロールもしながら管理をしているという状態だと思っています。

○塩川委員 この前、現地視察へ伺った際にバスの中でやりとりしました、高橋センター長のお話。私、この質問をしましたら、高橋センター長が、ホース配管は必ず漏れると考えている、U字形の管の中に配管を通す、そういう努力をしているけれども、まだそれも途上だとおっしゃっておられましたが、そのとおりですか。

○廣瀬参考人 バスの中で高橋が御説明したとおりでございます。

○塩川委員 ですから、配管も漏れる可能性がある、その対策はとっているけれどもまだ途上ということであれば、その対策の妥当性も検証が必要ですけれども、現状でも汚染水が漏れるという可能性が配管においても起こり得るということをお認めになったわけであります。
 タンクの設置についてですけれども、私はやはり、基本的に汚染水はため続けるということが必要だと考えています。そういう点でも、東電としても、もちろんタンクのリプレースの問題もあります、私は、五、六号機の北側に東電の所有地、敷地もありますから、この五、六号機の北側に汚染水タンクのスペースを確保する、こういう取り組みというのは可能だと思うんですが、その点についてはいかがですか。

○廣瀬参考人 御指摘のように、五号、六号の双葉町側にはまだまだ土地はあるのは事実でございます。ただ、御存じのように、タンク群というんでしょうか、タンクの固まりをあっちやこっちに置くというのも、なかなか管理上も難しいというところがあると思っておりますので、その辺も含めて今後考えていきたいというふうに思っています。

○塩川委員 タンクを設置する場所がないかのような指摘などがあったわけで、そういう点では、タンクを設置するだけのスペースはあるということをお認めになったわけで、私はこの点でも、しっかりとタンクを設置する、地下水バイパスやあるいはALPSの処理水についても海に流さずため続ける、これこそ国民が求める対策だということを指摘しておきます。
 次に、九月十九日、安倍総理が現地視察をされました。その際に、総理から三つの要請があり、この要請に対する東電の対応について廣瀬社長がお答えになりましたし、その旨、東電のホームページに掲載されております。
 該当部分を紹介しますが、一つ目の「廃炉に向けた安全対策に万全を期すため、現場の裁量で使用できる資金・予算の枠を確保すること」というのに対して、東電は、「これまでに手当てした約一兆円と同程度の支出が必要になっても対応できるよう、コストダウンや投資抑制により、今年度から十年間の総額として更に一兆円を確保してまいります。」と述べています。二つ目の「しっかりと期限を決めて汚染水を浄化すること」という要請に対しては、「多核種除去装置のさらなる増強も含め、二〇一四年度中に全ての汚染水の浄化を完了できるよう取り組んでまいります。」と述べております。三番目はちょっと省略しますが、このように回答されているというのはそのとおりですね。

○廣瀬参考人 きょう私がプレゼンテーションに使って、お配りした資料の一番最後に書いてあるとおりでございます。これは事実でございます。

○塩川委員 そこで、これまでの既存の一兆円の中で、今稼働に向けて取り組んでおられるALPSの経費は計上しているということですね。

○廣瀬参考人 今でき上がっております施設には、もちろん、もう工事してできておりますので、当然できております。

○塩川委員 積み増す一兆円の使途、使い道についてですけれども、私がお話を伺っている範囲では、タンクのリプレースや、溶接型の建設とか、さらなる多核種除去装置の増設などが入っていると承知しておりますが、そのとおりですか。

○廣瀬参考人 お答えいたします。
 私の資料の一番後ろにもございますが、総理からの要請は、「安全対策に万全を期すため、現場の裁量で使用できる資金・予算の枠を確保すること」ということでございます。
 したがいまして、先ほど来、私、何度かお答え申し上げましたけれども、現時点で、新たな方の一兆円について、これが幾らで、これが幾らでということで積み上げて一兆円ということがまだ全部出ているわけではなく、現場の方々がコストダウンであるとかあるいは資金繰りの問題を憂慮されて、やるべきことをやめてしまったり、あるいは先延ばしにしてしまったり、そういうことのないように、まずはとにかく枠をしっかり確保していくということ、そういうことに対してまずはお応えしたいというふうに考えております。

○塩川委員 お尋ねしたのは、これから積み増す一兆円の中に、多核種除去装置の増設の経費を含むということでよろしいですか。

○廣瀬参考人 当然、お金がかかるわけですから、それはそうした、これからの汚染水対策も含めた、福島第一原子力発電所の廃止措置に向けた、いわゆる特別損失、債務の中から出していくということになると思います。

○塩川委員 今回、国が予備費なども投入して、陸側の遮水壁をつくるとか、高性能の多核種除去装置、私は第二ALPSだと言っているんですけれども、いわば現在稼働に向けて東電が取り組んでおられる第一ALPSに対して、国が第二ALPSをつくる。さらに、この前の九月十九日に、東電として、第三ALPSをつくりますという表明をしたわけであります。
 国の高性能多核種除去設備、いわゆる第二ALPSについては、処理容量については一日当たり五百トン、これは五百トンで一系統ということで発注に向けた作業をしておられると承知しております。
 そこでお尋ねしますけれども、東電によるいわゆる第三ALPSの処理能力というのは現行の第一ALPSとどう違うのか、同じものなのか、教えていただきたい。

○廣瀬参考人 私どもの今の全体の考え方といたしましては、第二ALPSは高性能のものというふうに認識しておりまして、これはこれから公募されると聞いております。一方で、第三ALPSは、とにかくスピードを上げて早くつくって、早く一定の処理量を確保して、処理すべき水はたくさんあるわけで、それを優先しようということで、今あるいわゆる第一ALPSの三系統、いろいろトラブルが出ておりますが、きょうの未明から動き出しましたけれども、それと全く同じようなものをつくる、そのかわりスピードを上げられる、そういう利点を活用しようと思っております。

○塩川委員 東電がつくるALPSというのが一日二百五十トン処理できる、それを三系統つくる。実際に回す場合には、トラブル対策もあるので予備で一つ置いておいて、二つを回します。つまり、一日五百トン。これと同じものを第三ALPSとしてつくるということであるわけです。
 そうなると、国が五百トンを一系統でつくるというんですけれども、そもそも処理すべき総量というのはどのぐらいと見定めてこういう作業を行うのか、国との分担とか、それはどういうふうな相談をしておられるんですか。

○廣瀬参考人 これは、いわゆる汚染水の水バランスでございますけれども、現在、タンクに約三十五万トンの今後ALPSで処理すべき水がたまっております。
 問題は、一日四百トンずつ入ってくる、ふえてくる量ですけれども、それによっては総量が変わります。今、地下水バイパスであるとかサブドレーンによるくみ上げであるとかして、入ってくる四百トンをいかに小さくするかというのが一方であります。
 ですので、現時点でということであれば、たまっている三十五万トンがまずやるべきものでございますけれども、それが一日ずつ四百トン今現在はふえてしまいますので、したがって、早くスピードを上げることによって、三十五万トンがふえないうちにどんどんどんどん処理をしていくという考え方でございます。

○塩川委員 国との役割分担をどうするつもりなのか、どういう相談を国としているんですかということなんですが。

○廣瀬参考人 これはでき上がってからのお話だと思いますけれども、処理する分担の量というのはそれぞれの性能にもよると思いますし、国のものは高度なものとお聞きしていますので、まだ正確なスペックまで私は存じ上げませんけれども、当然、その処理量、処理すべき量というのも違ってくるのかと思います、スピードという意味ですけれども。
 したがって、そうしたことを踏まえて、とにかくどんどんやっていかなきゃいけませんし、やるべき対象となる汚染水は残念ながらありますので、使えるものをどんどんどんどん使って、とにかく少しでも安心した形で水をためておくということだと思っております。

○塩川委員 役割分担がよくわからないんですよ。
 高度なと言うんだけれども、スペックだってよくわからないと東電の社長がおっしゃっておられるんでしょう。それがなぜ高度と言えるのかというのもそもそもありますし、そもそも、今のALPSであっても今までにない知見を踏まえて開発されておられるということですから、そういう意味では、技術的にはなかなかの高みにあるような状況でやっているわけで、そういう中で国がお金を出してやる、そういう中で国と東電との役割分担というのはどんな相談をされたのかというのを聞きたいんです。

○廣瀬参考人 私どもは、お話をいただいて、現在、スペック等々は、国の方での公募ということでございますので、役割分担と先生がおっしゃるのはよく私はわからないんですけれども、処理すべき汚染水はここにございます。したがって、これはあなたの分だ、これは私の分だなんてやっている間はないと思っています。でき上がり次第、稼働できればどんどんどんどん、今あるものも含めてですけれども、処理すべきだというふうに思っています。

○塩川委員 そもそも、汚染水の最大想定量というのがよくわからない中で、こういうALPSを幾つつくるかという話をしていること自身が、対策としては大問題だと思いますよ。
 その上で、要するに、国の方が、じゃ俺がつくるよと茂木さんが言い出して、あるいは安倍さんが言い出して、東電の方は、わかりましたという関係なわけですか。

○廣瀬参考人 現状で三十五万トンもあります。これは地下水バイパスや陸側遮水壁にかかっているんですけれども、現在、今のところ日に四百トンずつふえているという状況があります。
 したがって、とにかく早くALPSを稼働させて、できればたくさんの処理をして、少しでも安心した形で保管をしておくということ、全てそこにかかっていると思っております。どういう性能のものであれ、とにかく早く、もちろん高性能のものがよろしいわけですけれども、早く処理をする、少しでも安心した形で保管をするということに向けての対策だというふうに思っています。

○塩川委員 第三ALPSをつくるともう表明しているわけですから、第二ALPSだって東電がつくればいいじゃないですか。そういう考えはないんですか。

○廣瀬参考人 これは国の予算でやっていただけるということで、私どもは当然、それは大変ありがたいことでございます。ただ、それよりも、さらに三つ目があった方がより早く処理ができる、これも当たり前のことでございます。そうしたことで、我々としてできることをやってまいり、国としても御支援いただけることについてやっていただけている、そういう認識でおります。

○塩川委員 では、国民の税金でつくってもらうということはありがたいということなんですね。

○廣瀬参考人 私どもとしましては、国民の血税でということにはなりますけれども、とにかく、汚染水の対策というのは喫緊の課題で、国も一歩も二歩も前へ出て、東京電力にはなかなか任せておけないという御判断でございますので、私どもとしてはありがたくお受けしたいというふうに思っているところでございます。

○塩川委員 東電に任せておけないと国が判断したという話ですけれども、一兆円積み増すんでしょう。その一兆円で出せばいいじゃないですか。

○廣瀬参考人 お金に色はございませんので、どこのあれであろうと、必要なものについてはこれからやっていかなければいけません。もちろん、我々としても、今ある、今まで引き当てた一兆円、それからこれからの一兆円で全部が足りるということを申し上げているのではありません。御支援いただけるのであれば大変ありがたいと思っています。

○塩川委員 いやいや、国民が納得するかという問題なんですよ。そういう点では、当面、国が出すかもしれないけれども後で返しますよ、東電の方がその分を穴埋めする、国に入れる、そういうことも考えないんですか。

○廣瀬参考人 これは、今回の仕組みについて私どもがどうこう申し上げる立場にはないと思っております。国の予備費なり国の予算でおやりいただけるのは大変ありがたいことだというふうに思っております。

○塩川委員 現在のあのスキームは、東電が責任をとり、東電が負担をするというのが筋になっている。そういう点で、そもそも汚染水対策の責任の主体は東電なんじゃないんですか。

○廣瀬参考人 もちろん、私どもが主体的に現場でやっていかなければいけないと思っております。
 ただ一方で、お金がかかるのも事実でございます。これは、今、きょうは汚染水対策の話だけでございますけれども、事故に絡んで多額のお金がいろいろなところで出ているのも事実でございます。それらを全て東京電力で負担するというのは大変難しいというふうに思っています。

○塩川委員 利害関係者にきちんと負担を求めることが必要じゃないでしょうか。
 例えば、貸し手責任があるメガバンクに何らかの負担を求める、そういう考えなんかはないんですか。

○廣瀬参考人 私どもは、現在、原子力損害賠償支援機構法に基づいて、こうしたたてつけが二年前にできて、そのもとでしっかりと責任を果たしていく、できれば早い時期にしっかりと資本市場に戻っていきたい。そういうたてつけの中で、今一生懸命に事業を展開しているところでございます。また、福島についての責任も一生懸命やっていきたいと思っています。

○塩川委員 メガバンクに求めるという考えはそもそもないということですか。

○廣瀬参考人 私どもは、二年前にお決めいただいた法律のもとで今事業を運営しているということでございます。

○塩川委員 第二ALPSをつくる、あるいは陸側遮水壁をつくる、国費を入れるということについて、東電の廣瀬社長としては、それは国の方が東電には任せておけないと受けとめているからだという趣旨のことをおっしゃいました。私は、そこに、そもそもこういう汚染水対策において、東電の事故処理の対応能力そのものが問われているということが言えると思います。
 そういう点でも、事故に何らの責任もない国民の税金投入というのは筋が通らないんじゃないのか。そういうお金については、いや、東電で責任を持ってやらせてもらいます、これこそ事故を起こした東電の責任じゃないですか。この点、改めてお答えいただきたい。

○廣瀬参考人 もともと、国でおやりになるいわゆる第二ALPSと称されているものは、高度なものを対象にしてやっていただけるということと聞いておりますけれども、私どもとしては、おっしゃるように、そういうふうに申し上げるということをできればよろしいんですけれども、まだまだお金もかかりますし、御支援いただけるというのは本当に大変ありがたいことだというふうに思っているところでございます。

○塩川委員 先ほども言いましたけれども、何ら責任のない国民の税金の負担でこの事故対応を行うということは全く筋が通らない。
 私は、その前にやるべきことがある、東電の経営責任を問い、株主責任を問い、そしてメガバンクなどの貸し手責任を問う、これこそ行うべきことじゃないのか。こういう立場について、こういう国民の声があることについては社長としてはどのように受けとめておられますか。

○廣瀬参考人 繰り返しになりますが、今現在、私どもは、支援機構法という法律のもとで現状の形がつくられて、そのもとで責任を果たしていっているということでございます。

○塩川委員 要するに、機構法のスキームそのものが破綻したということなんですよ。だからこそ、東電の破綻処理に進んで、必要な経営責任や株主責任や貸し手責任も問う、これこそ今行うべきことだ、この立場でこそ抜本的な対策につながるということであります。
 安倍総理は、状況はコントロールされている、影響は港湾内に完全にブロックされていると言いますけれども、事故はコントロール、ブロックどころか放射能汚染の拡大という危機的状況にあるということを指摘し、放射能で海は汚さない、このことを基本原則にした取り組みを行うことを強く求めて、質問を終わります。