国会質問

<第185臨時国会 2013年10月31日 総務委員会 2号>




○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 きょうは、自然災害の被災者支援、また被災自治体支援について、竜巻災害なども例示をしながら質問をいたします。
 この間、首都圏では竜巻被害が多数発生をいたしました。特に、先月九月は、二日、四日、十五日、埼玉、栃木、千葉、群馬と、首都圏、北関東全体が竜巻被害の常襲地帯になったかのような状況でありました。
 私も、この間、埼玉県越谷市や松伏町、千葉県野田市、また埼玉県熊谷市にも足を運んで、被災者の方のお話を伺ってまいりました。突風で窓が割れて、屋根が吹き飛ばされて、豪雨が降り注ぐと、寝室を含めて二階部分、居住部分が大きな損害を受ける、複合的な災害になるというのが竜巻被害で、局地的ではあっても甚大な被害が及ぶということがこの間はっきりしてまいりました。
 越谷の飲食店の方などは、商売を再開しようにもままならないとおっしゃっておられましたし、農家の方も、ちょうど稲刈りの時期の直前でありましたから、田んぼにたくさんの瓦れきが入ってきて、そのために機械を入れることが難しい、こういう状況などについても訴えがございました。
 あと、どうしても屋根が破られるものですからブルーシートをかぶせなくちゃいけない。しかし、御年配の方などは、二階の屋根の上に上ってブルーシートということもなかなかできませんので、ブルーシートを配ってくれるのはありがたいんだけれども、これを張るところまで含めた取り組みなどについても、いろいろな面で面倒を見てもらえないかというお話なども伺ったわけであります。
 日を追うに従って新しい要望も出てくるのが自然災害の現場でもありますので、そういう要望にしっかり対応するような取り組みを行政としてもお願いしたいと思っておりますし、私どもも、それに対応する取り組みもぜひ進めていきたいと思っております。
 そこで、第一に、まず避難者の方の住宅の確保策について、内閣府防災の方にお尋ねをいたします。
 埼玉県越谷市などの竜巻被災者の避難先として、埼玉県は県営住宅を提供いたしましたが、被災地域に隣接をした県営住宅というのがほとんどない。ですから、越谷市の外に出て避難先を確保する。こういうことになりますと、例えば小さな子供さんがいて、保育園もあるでしょうし、幼稚園もあるでしょうし、また小学校に通う、そういうときに、お隣の行政区の避難生活で子供をどうするのか、できれば同じ学区内で避難先を確保して、子供を同じ学校に通わせたい、こういう当然の要望などがあったわけであります。
 そこで、お尋ねしたいんですが、全壊世帯等であれば、応急仮設住宅として民間アパートの借り上げも可能なわけであります。ですから、避難先として、県営住宅、公営住宅への入居を勧めるのとともに、民間アパートの借り上げも選択肢として被災者に提供するということはできるんじゃないのか、このように思いますが、この点についてはいかがですか。

○佐々木政府参考人 災害により住居が全壊等した被災者の仮の住まいとしましては、災害救助法に基づく応急仮設住宅の提供のほかに、今お話がありました公営住宅等の空き室を提供することも可能であり、埼玉県としては後者を選択したものと承知しております。
 なお、災害救助法による応急仮設住宅については、必要に応じて、賃貸住宅の居室を借り上げて提供することも可能でございます。

○塩川委員 ですから、一般的に言っても、公営住宅も提供するし、同時に、民間アパートの借り上げ、応急仮設住宅の提供も行う、これを両方示す、避難者の方にこの二つの案を示す、こういうことは可能ですよね。

○佐々木政府参考人 制度上は可能でございますが、都道府県が救助法の趣旨に従いましてどういった提供をするか、これは県の方で諸事情に応じて判断していただくということになろうかと思います。

○塩川委員 県の判断で可能ということであります。
 もう一点、空き部屋を探し出して提供する公営住宅では、避難先が居住地から離れて被災者がばらばらになってしまうということでは、越谷市のような市街地においては民間の賃貸などの物件もあるわけですから、こういう既存ストックの活用を図る、学区内でもそういう避難先を確保できるような、こういう取り組みというのは有効だと思います。
 それで、一度公営住宅に入居をすると、現に救助を要する、こういう状況ではなくなるということで、応急仮設住宅、借り上げ民間アパートの対象とならない、こういう事例があると聞きます。
 この点について言えば、これは制度設計の仕方だと思うんですけれども、公営住宅を災害救助法上の二次避難所という位置づけをすれば、応急仮設住宅である借り上げ民間アパートへの転居、住みかえ、これも可能だと思うんですけれども、この点はいかがですか。

○佐々木政府参考人 避難所は、災害直後における混乱時に避難しなければならない者を一時的に受け入れるものであるため、あくまでも住宅である公営住宅は、一般的には避難所になじまないものと考えております。
 しかしながら、大規模な災害の発生等におきまして、通常の避難所だけでなく、宿泊施設を借り上げた避難所等を活用してもなお応急的な被災者の受け入れが十分でない状況下において、都道府県の判断において、緊急的に公営住宅を避難所として活用することを排除するものではないと思っております。
 ただ、その場合におきましても、仮の住まいが必要な被災者については、そのまま公営住宅に居住していただくことが通常ではないかと想定されているところでございます。
 ただ、公営住宅を短期的にしか活用できず、退居せざるを得ない状況など、都道府県が合理的と認める場合には、救助法に基づく民間賃貸住宅借り上げを含みます応急仮設住宅の提供を行うことは可能であると思っております。

○塩川委員 都道府県が合理的と認める場合は、都道府県の判断で可能ということであります。こういう点でも、被災者の実情に即した柔軟な避難住宅の確保策をぜひとっていただきたいと思っています。
 今回、伊豆大島の場合でも都心への避難がありました。これについて言えば、オリンピックセンターですとか、あるいは離島の皆さんの宿泊施設などに一時的に入居されるということなんかもあったようですけれども、この点についても、被災者、避難者の実情に即した取り組みは都の判断でしっかりとできるということで、取り組み方、内閣府防災としても適切なアドバイスなどに取り組んでいただきたいと重ねて要望しておきます。
 次に、被災者生活再建支援法の対象拡大についてぜひ求めたい。
 被災者生活再建支援法は、十世帯以上の全壊被害が発生した市町村などを適用対象としております。昨年五月に茨城と栃木の両県で竜巻被害が発生をしたときは、全壊棟数が六棟だった真岡市など栃木県の自治体には適用されず、適用された茨城県つくば市との不均衡が生じました。今回も、同じ竜巻被害でありながら、全壊世帯三十戸の埼玉県越谷市には適用され、全壊世帯一戸である松伏町、また、全壊世帯、やはり一戸でありました千葉県野田市には適用されておりません。
 この件は、私も昨年国会で取り上げて、全ての被災住宅、同一災害であれば全ての全壊世帯等を支援の対象とするように求めましたが、当時の防災担当副大臣は、前向きに検討したいという答弁でありました。しかしながら、今現在、その点についての具体的な措置は行われておりません。
 そこで、亀岡大臣政務官にお尋ねをいたしますが、同一災害であれば、全壊被害が十世帯未満の市町村も対象とするよう制度を改めるべきではないのか、この点についてお伺いします。

○亀岡大臣政務官 今委員の御指摘になったとおり、私も、越谷から含めて全部行ってまいりました。皆さんからいろいろなお話をいただきましたが、まさに、この被災者生活再建支援法の制度は、被災市町村や都道府県のみでは対応が困難な、著しい被害を及ぼす一定規模以上の自然災害が発生した場合に、全都道府県の相互扶助及び国による財政支援により対応するものとしております。
 特に、規模の小さな災害に対する対策は、被災地方公共団体において対応することが可能であるということで、当該地方公共団体による対応を前提としております。
 このことから、支援法の適用となる被害を受けた地方公共団体に対しては迅速な適用手続を、また、同法の適用要件を満たさない地方公共団体においては、各都道府県で支援措置を講じていただき、被災者に必要な支援が行われるよう対応してきたところであります。
 特に、最近の災害においては、大臣の指示により、担当部署の参事官等を現地に直接派遣いたしまして、現地でしっかりと都道府県と調整をしていただき、現場の意見を直接伺うようにしております。そして、被災された方に迅速な支援が行われるように努めてきたところであります。
 また、支援法の適用対象となる災害と同一の災害で、同法の対象にならない被災地域においては、都道府県が自主的に支援法と同水準の支援金等を被災者に支給した場合には、支援金、支援額の二分の一が特別交付税措置をされることになっております。
 さらに、ことしの十月一日に災害救助法が厚生労働省から私どもの内閣府に移管されたことも受け、被災者生活再建支援法も含めた被災者支援政策全般について、改めて幅広く審議していただくための有識者検討会を設け、十月二十三日に第一回目を開催したところであります。
 この委員でありますけれども、この委員のメンバーは、地方公共団体の方々それから有識者の方々に幅広く議論をいただくと同時に、知事会にもオブザーバーとして入っていただく。そして、今指摘のあったように、きちんと対応ができる環境づくりのために、連携をとれるような、一番いい方策を今検討していただいているところであります。
 さらに、竜巻に対しては、私が座長を務める竜巻等突風対策局長会議に早く御報告をいただけるよう、優先して検討していただいておりまして、年内を目途に意見の整理を行っていただくとともに、来年の夏を目途として被災者全体に関する報告書をまとめていただくこととしております。
 ですから、被災者に対しても、これからどんな異常気象が起こるかわかりませんので、自助、共助、公助の適切な関係、そして、国と地方の役割分担を踏まえつつ、被災者の立場を最優先にできる被災者再建支援法というものをこれからしっかりと確立していくべく今努めているところでありますので、また御意見があったらどんどん出していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○塩川委員 今取り組んでいる仕事を全部お話しいただいたような感じでしたけれども、御意見はありまして、国と地方の役割分担の話というのは、以前は余り聞かなかった話なんですよね。
 例えば、支援法の対象とならないような規模については都道府県が同等の支援制度をつくってくださいよ、こういう通知を出し始めたのは、ことしの九月になってからじゃないですか。そうですよね。

○亀岡大臣政務官 これは、異常気象において特に災害がふえたものですから、国がしっかり支援をとれる体制も含めて、県の知事会とも話をしながら進めておりまして、それが具体的に進み始めたと思っていただければと思います。

○塩川委員 この件については、例えば日弁連なども意見書を出しています。やはり、同一災害でありながら適用されるところと適用されないところができるというのは、法のもとの平等に反する、こういう形での意見書なども出されて、不合理な差別を解消すべきだという要望もしているわけですから。
 私は、この間、対象を拡大してきているわけですから、さらに一歩踏み込んで対象を拡大する、これこそ国が行うべきで、国と地方の役割分担で、小さいところは地方ですよということではなくて、もともと国と地方で折半でお金も出すという仕組みになっているわけですから、さらにもう一歩、対象を拡大する、国の制度として措置をすべきだと思うんですが、その点、改めてお聞きしたい。

○亀岡大臣政務官 まさに、指摘されていることはもっともだと思います。
 そして、これだけ異常気象が起こっている中で、隣り合わせで、ちょっと境をまたいだだけで自治体の取り扱いが違うというのはおかしいということで、我々も、現地に担当者を派遣して、同等にできるような措置を今までとってきましたけれども、それをきちんと今度は制度的にできるようにしていこうということで今会議を開いておりますので、もう少し時間をいただきたいと思います。

○塩川委員 いや、それは、国の制度としてやるという話じゃなくて、小さい規模については都道府県、自治体の方で措置してくださいね、それによって同等を確保するということをおっしゃっておられるというのは、この間の議論の中で出ている話であって、そうじゃなくて、国の制度として一本でやりなさいよという要望であります。
 その点について言えば、大臣にお尋ねしますけれども、全国知事会におきましてもこの要望が出されているわけで、被災者生活再建支援制度の適用範囲について、一部地域が適用対象となるような自然災害が発生した場合には、全ての被災区域が支援対象となるよう見直すこと、これが事業主体でもあります知事会が要望している中身ですから、ぜひ、総務大臣としても、こういう知事会の要望を踏まえて、国の制度の改正を図る、こういうことについてしかるべく働きかけを行っていく、役割を果たしていただきたいと思うんですが、その点いかがですか。

○新藤国務大臣 委員も私も同じ埼玉で、この間の竜巻の被害については、まことに目の前で自分たちの実情を承知しているわけですから、今の御意見というのは、非常に共感できるところもある、このように思っています。
 そして、国としても、こういう分野について見直しをするんだということで、内閣府の有識者検討会において、既にもう主な検討課題になっているわけでありますから、ぜひそういった趣旨は踏まえて検討していただきたいと思います。
 私は、担当大臣であります古屋大臣には、そういった思いは伝えさせていただいております。
 有識者の中でしっかり議論いただくとともに、それから、何よりも総理が申しておりますけれども、被災者の立場に立った制度のあり方について、これは国と地方の分担も含めて、そういった検討をなされるように期待をしております。

○塩川委員 全国知事会が要望している方向での国の制度の改正を図っていくということこそ今求められている、重ねて申し上げておくものであります。
 国と地方の役割分担という話になると、では小さいところは地方でという話になったときに、財政力との関係で自治体の対応にばらつきが出てくるんですよ。結果とすると、国と地方の役割分担の名のもとに行われることが、地方での取り組みを消極的にしてしまう、こういう懸念が出てくるわけですから、ここを改める上でも、国の制度としての改正を強く求めたい。
 その点で、最後に、被災者生活再建支援策への特別交付税措置についてお尋ねをしますが、亀岡大臣政務官がおっしゃいましたように、被災者生活再建支援制度の対象とならない一定規模以下の災害については、各都道府県において独自の支援措置の実施について検討するなど、被災者の生活再建支援について必要な対応を講じるように被災都道府県に要請をしてきているのが、内閣府防災であります。
 しかしながら、埼玉の竜巻災害では、埼玉県はこういう支援制度をつくりませんでした。実際にやったのは松伏町。市町村がつくったんです。市町村が、対象とならないということで、国と同等の制度を独自につくったということなんですけれども、市町村が支援法と同等の制度をつくった事例というのはほかにあるんでしょうか。

○佐々木政府参考人 ことしの九月までの二十五年自然災害のうち、被災者生活支援法の適用となった災害につきまして、同法の適用対象外となった世帯に独自で実施した市町村は五団体ございまして、そのうち、支援法と同等の措置を行ったのは松伏町一団体というふうに承知いたしております。

○塩川委員 つまり、横出しで同等の支援制度をつくっているというのは、都道府県レベルではあるけれども、市町村では松伏町だけなんですよ。過去をさかのぼってといっても、どこというのは言えない、わからないという状況ですから、今回、非常にレアな状況になっているわけです。しかし、被災者の方の生活再建を考えたら、自治体として一歩踏み出そうという措置としては、積極的な役割を果たしておられると思います。
 こういった松伏町のように、市町村が支援法と同等の制度をつくった場合は、先ほど亀岡大臣政務官がおっしゃったような特別交付税の措置、市町村が行った場合にはあるんでしょうか。大臣、いかがですか。

○新藤国務大臣 この事務は都道府県の事務ということになっておりますから、特別交付税措置というものは考えておりません。今含まれておりません。

○塩川委員 ですから、都道府県の事務、事業主体の支援法ですから、その横出しのものを都道府県がつくる場合については特別交付税の措置があるけれども、市町村は対象になっていないんですよ。
 この支援法の対象とならないような災害について、そういう要件に満たない全壊世帯等に支援を行うような場合に自治体が支援制度をつくる場合に、大体三通りの仕組みがあるんです。都道府県がつくる、都道府県と市町村がお金を出し合って基金でつくる、それと、松伏町のように市町村がつくる、おおよそ三通りなんですけれども、こういう場合、つまり、松伏町、市町村がやった場合には特交の対象になりません。
 基金の場合なんかはどうなんですかね。都道府県と市町村が折半で出しているような場合というのは、市町村が出した分というのは対象になるんでしょうか。

○新藤国務大臣 今の現状でいけば、県の財政措置についての対象ということになってしまいますね。
 まず、そもそもが、同じ竜巻で、ばあっと行くんですけれども、そこに人家がある場合となかった場合とありますよね。勢力が弱まったわけじゃないわけでございまして、たまたま田んぼの中をずっと行けば全壊家屋がなかった、やはりこういう実態をきちんと捉えなきゃいけないということがあります。
 委員がいろいろ御心配いただいておりますけれども、同じ竜巻で、被害が一戸だった埼玉県の松伏は、埼玉県庁がなぜかやらなかったんですね。隣の野田は、千葉県がやったわけですよ。ですから、こういうそもそもの実情というものをきちんと踏まえた上での適切な対処というのを求めていきたいというのがあります。
 それから、さまざまな今のような御意見も含めて、これはきちんと検討をしてもらいたい、このように期待をしておるところでございます。

○塩川委員 ですから、特交の措置としてどうするかという話でお尋ねしているわけで、そういう意味では、都道府県がやる場合には対象だけれども、市町村がやる場合には対象にならない。しかし、被災者の生活再建のためにやっていることは同じことなんですから、地方自治体がやっているという点でも同一であるわけで、そういう意味でも、私は、市町村が行うような場合についてもしっかりとした特別交付税の措置があってしかるべきだ。これについてしっかりと検討するということこそ必要じゃないですか。

○新藤国務大臣 まず、制度としてはルールがありますから、その中での適切な運用というのが必要だと思っています。
 それから、目の前の個別ケースの実態として、例えば、そういうふうに市町村が単独で何かをおやりになって、それが市町村の財政運営に支障を来すようなそういった場合がもしあるとするならば、そういったことは私どもはきちんと事情を聞かせていただきたい、このように思っております。

○塩川委員 事情を聞いた上でしかるべく措置をお願いしたいということと、あと、最後に一点。
 越谷市などは、避難者の方に対して、アパートを避難者の方が借り上げる際に、その家賃補助というのを実施しているんです。こういう家賃補助を市町村が実施するような支援策、こういうものというのは、交付税の何らかの措置というのは行われているんですか。

○新藤国務大臣 現状において、そういった対処するような制度というのはございません。
 ただ、総括的に、例えば今回の元気づくり事業、元気交付金、こういったものも含めて、市町村の中でいろいろな財政措置の応援をできるような、そういう包含した形での財政支援というのは私たちは行っているつもりでございます。

○塩川委員 支援法においても、単に対象外のところを対象にというだけではなくて、上乗せもありますし、さらにいろいろな横出しの制度をつくるということも含めて、本当に被災者、避難者の方の生活再建に資するような取り組みを、しっかりと国としての地方財政措置を行っていく、このことを改めて強く求めて、質問を終わります。