国会質問

<第185臨時国会 2013年11月01日 経済産業委員会 2号>




○塩川委員 私は、日本共産党を代表して、電気事業法の一部を改正する法律案に対して反対の討論を行います。
 電力システム改革は、東日本大震災と東電福島原発事故を契機とするもので、その教訓を踏まえたものでなければなりません。
 改革すべきは、戦後六十年にわたる、主要国では特異な地域独占、民営の発送配電一貫体制という電力独占によるガリバー支配です。この電力システムを根本的に転換することが求められています。
 ところが、本法案は、こうした大方向への改革方針を具体化するものとは言えず、以下三つの理由で反対します。
 第一に、エネルギー政策の全体像を示さないまま、破綻が明らかな東電と原子力損害賠償スキームを温存し、電力改革だけを切り離して進めるものだからです。
 広瀬東電社長は、自社への税金投入を前提にした電力自由化のもとでの自由競争まで求めています。国民は、原因者負担原則を投げ捨てた、手前勝手なこのような要求を決して許さないでしょう。
 東電福島事故は、汚染水問題の深刻化を初め、到底収束したとは言えません。十四万人を超える避難者や事故被害者の存在を忘れたかのような経産省のエネルギー基本計画の改定議論は、エネルギー政策を検討する上で、その立脚点を危うくするものと言わざるを得ません。
 第二に、小売料金の全面自由化を初めとする附則は、小泉構造改革論者の失敗、エンロン破綻事件や米国の大停電など、市場原理主義、規制緩和の危険性を拭えないものだからです。
 欧米での電力自由化の経験を見ても、完全な全面自由化は少数派です。電気料金の総括原価主義、ブラックボックスの開示や最終供給責任の制度設計に当たって、全面自由化ありきの法案は問題があります。
 第三に、発送電分離を掲げながら法的分離の名で、持ち株会社グループ一体経営によるガリバー支配の実質を維持したい、電事連の望む規制なき独占にならない保証がないからであります。
 そもそも、本法案は、日米原発利益共同体の市場確保を最優先にした原発の再稼働、原発輸出と一体となった成長戦略の柱の一つとされております。
 今行うべきことは原発ゼロの決断であり、原発のような大規模集中型から再生可能エネルギーの爆発的普及、小規模分散、地域経済循環型の持続可能な電力システムへの転換であり、並びに完全な発送電分離によって東電と送電網を公的管理下に置き、電力独占への民主的規制と国民的監視による電力の民主的改革へ進むことを求めて、討論を終わります。