国会質問

<第185臨時国会 2013年11月15日 経済産業委員会 7号>




○塩川委員 私は、日本共産党を代表して、産業競争力強化法案に対し、反対の討論を行います。
 本法案は、日本再興戦略を具体化し、世界で一番企業が活動しやすい国に日本を変えると称して出されました。成長戦略により経済の好循環が実現するとしていますが、この二十年間に及ぶ規制緩和と構造改革は、大企業を筋肉質にしただけで、国民には貧困と格差しかもたらしませんでした。大企業の競争力を強化することが、国民全体の利益と一致しないばかりか、対立するものとなっていることは明白です。本法案はこの矛盾を一層深めるものです。
 理由の第一は、本法案が株主資本利益率、ROEの向上を最優先とした大企業のリストラ支援法である産活法を継承するものだからです。
 政府は、産活法によるリストラ支援に加え、持ち株会社の解禁、会社分割や株式交換制度など企業組織再編制度は整備する一方、労働者保護に係る制度の整備は放置したままであります。その結果、持ち株会社や企業を実質支配するファンドらによる不当労働行為を招き、労働者の地位は不当に害されているではありませんか。
 OECDの調査でも、我が国の雇用保護に関する規制は緩く、解雇のしやすさは三十カ国中七番目です。産業競争力会議では、雇用分野を岩盤規制だと敵視し、さらなる労働法制改悪を企てておりますが、許されません。
 理由の第二は、企業実証特例制度やグレーゾーン解消制度を突破口に、規制緩和を全国展開する仕組みとなっているからです。
 これらの制度で企業が提案できる規制には、何ら制約がありません。労働者が人たるに値する生活を営むための最低基準である労働法制を企業単位で緩和するなど、認められません。そもそも、環境、安全規制を乗り越える企業努力の中から新たな事業や技術革新が生まれ、それが真の競争力となるのではありませんか。企業のビジネスのために国民の暮らしや安全を損なうことは到底容認できません。
 国立大学のベンチャー出資解禁の問題など、いまだ法案の審議は尽くされておりません。
 海外子会社配当益金不算入制度の実績を見ても、大企業は内部留保を積み増すだけです。法案と一体に整備される与党税制大綱による措置を加えても、投資と雇用がふえる保証はありません。多国籍企業支援ではなく、国民の所得をふやし、中小企業を応援する方向に政策を切りかえてこそ、日本経済全体の発展につながります。
 なお、自民、民主、公明三党、維新の会、みんなの党提出の三件の修正案については、法案の問題点の解消にはつながらず一層の規制緩和を進めるものであり、反対であることを申し述べ、討論といたします。(拍手)