国会質問

<第185臨時国会 2013年11月20日 経済産業委員会 8号>




○塩川委員 私は、日本共産党を代表して、独占禁止法改正案に対する反対討論を行います。
 討論に先立ち、独占禁止法の根幹にかかわる審判制度の廃止という重要な内容の本改正案を、提案理由、質疑、採決までわずか三時間、参考人の意見も聞かないまま、一気通貫で処理するという拙速な委員会運営に対して厳しく抗議をするものであります。
 本改正案の反対理由の第一は、準司法的手続である審判制度を廃止することは、独立行政委員会としての公正取引委員会の権能と独立性を弱め、談合、カルテルの摘発や優越的地位の濫用の是正など、公正な取引ルールを確立するための独禁法の執行力を弱めることにつながるからであります。
 第二は、日本経団連の役員企業の過半数が談合、カルテルという企業犯罪の常習犯となっていますが、経団連は、みずからの談合体質を正す真摯な自己改革をせずに、逆に、検察官と裁判官の兼任などという俗論を流し続け、審判廃止を求めてきました。本改正案は、こうした本末転倒な経団連の要求に応えるものであり、中小企業者、消費者、国民の要求ではありません。
 また、改正案は、第一次安倍内閣の官房長官のもとに設置された独占禁止法基本問題懇談会の、審判制度は維持するとした報告書の結論を、何の説明もなく、完全に覆してほごにするものとなっています。二年近く、三十五回にわたって慎重に議論した同懇談会の有識者、産業界、消費者など国民各層の代表意見は、本法案の根拠である附帯決議とは全く反対のものであり、これを何ら説明もなく否定することは、懇談会代表の努力に対する冒涜であります。
 第三は、処分前手続に関して、審判制度の廃止に伴い、複雑な経済事案に対する公取の高い専門性と判断を尊重する趣旨から設けられてきた実質的証拠法則などの公取の権能を削除し弱める一方で、被審人である当事者に対しては、行政手続法上の聴聞手続をも上回る、余りに手厚い防御権の保障手続となっているからであります。
 その上、附則第十六条で、公取の事件調査において、関係者に一層の防御権を確保する観点から見直すとする条項まで置かれています。どこまでも経団連の思惑どおりとなっており、容認できません。
 第四は、一社で市場シェア五〇%超などの独占的状態に対する競争回復措置命令、すなわち企業分割命令に対しても排除措置命令と同様の手続を準用するとしている点です。
 二〇〇五年の独禁法改正で現行の事後審判制度に変更した際も、競争措置回復命令に関する審判については、企業分割という影響の重大性に鑑み、従前のいわゆる事前審査型審判制度を残した経緯があります。なぜ準用なのか、十把一からげにすることには賛成できません。
 以上申し述べて、反対討論といたします。