国会質問

<第186通常国会 2014年02月18日 予算委員会 10号>




○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 きょうは、米軍機の低空飛行問題について質問をいたします。
 昨年四月十五日の予算委員会の分科会で、私は、広島・島根、そして群馬、その二カ所において、米軍機の低空飛行について住民から多数の苦情が寄せられ、地元自治体も訓練中止を強く求めていることを取り上げました。
 この間、地元自治体が独自に騒音測定器を設置して、米軍機の飛行実態の把握をしていることを紹介してまいりました。そして、国が実態把握を行うことが必要であり、この飛行実態の調査を行うことを政府に求めました。
 その際、岸田外務大臣は、こうした問題は地元にとって大変大きな問題と認識している、実態把握のために調査すべきという指摘は提案として受けとめたい、防衛省ともよく連携して適切に対応していきたいと答弁をされました。
 そこで、岸田外務大臣にお尋ねをいたします。
 その後、どのような対応をされたのか、お答えください。

○岸田国務大臣 昨年四月十五日の予算委員会分科会におきまして、塩川委員の方から御質問いただき、それに対しまして私の方から、「実態把握のために調査をすべきだという御指摘をいただきましたが、この御指摘、ぜひ御提案として受けとめたいと存じます。」「防衛省ともよく連携いたしまして、適切に対応していきたいと考えています。」このように答弁させていただきました。
 実態把握についてですが、実態把握の調査については、その後、防衛省におきまして、島根県浜田市、そして広島県の北広島町、ここに騒音測定器を設置し、そして、この測定結果について公表を行っていると承知をしております。
 このような対応を行っておりますが、外務省としましては、今後とも、防衛省とも連携しながら、適切に対応していきたいと考えております。

○塩川委員 今お答えいただきましたように、防衛省として、島根県浜田市と広島県北広島町に騒音測定器を設置し、測定結果を公表しているというお話でした。
 そこで、小野寺防衛大臣にお尋ねいたしますが、広島県と島根県には設置をしたわけですけれども、私、去年の質問では、群馬県の上空もひどいと。特に、群馬県におきましては、防衛省が集計している苦情受付状況表でも飛び抜けて苦情が多い場所となっております。同様に米軍機被害の大きな群馬県には騒音測定器が設置をされておりません。それはなぜなんでしょうか。

○小野寺国務大臣 今、岸田外務大臣からもお話がありましたが、広島県及び島根県からは、累次の機会を通じて米軍機の低空飛行に伴う騒音測定器の設置について要望を受けていたほか、両県の関係自治体や住民の方々から米軍機の飛行に伴う苦情が多数寄せられていることから、防衛省としまして、平成二十五年九月から、広島県と島根県に試行的に騒音測定器を設置し、騒音調査を実施しているところであります。
 御指摘の群馬県であります。
 例えば平成二十四年度、全体の苦情件数が四百三十七件あるうち、群馬県は二百六十一件と、半数以上を占めております。今委員が御指摘のような状況で、群馬県の関係自治体や住民の方からも米軍機の飛行に伴う苦情が多数寄せられております。
 群馬県への騒音測定器の設置につきましては、試行的に実施している広島県と島根県における騒音調査の状況を確認しつつ、関係自治体や住民の方々からの御要望や地域の状況等も踏まえながら、対応を検討していきたいと思っております。

○塩川委員 そういう点では、広島、島根で設置をしました。この後で聞きますけれども、具体的に騒音被害が出ております。そういう点で、群馬県、自治体の方からもぜひ設置してくれと要望があれば、当然前向きに設置に向けて対応されるということでよろしいですか。

○小野寺国務大臣 群馬県の自治体の中で、騒音測定器設置にかかわる要請書、意見書が出ておりますのは、平成二十五年三月二十七日、前橋市議会から出ておりますが、群馬県等からはまだ正式には私ども、要請を受けてはおりません。
 今後、先ほどお話ししておりますように、関係自治体や住民の方からの御要望が出た中で、状況を踏まえて対応を検討していきたいと思っております。

○塩川委員 被害そのものは大変ひどい群馬県、前橋、高崎地域でありますから、そういう点でも、地元要望をしっかり、騒音測定器を設置してほしいと強い要望があったら、ぜひ応えていただきたい。
 その上で、群馬の場合には、群馬弁護士会が駐日米国大使館に対して米軍機の飛行取りやめを求める要請書を提出するなど、深刻な被害も出ているものですから、国として、騒音測定器を設置して被害実態の直接把握に努めることを改めて求めておきます。
 広島、島根の地域の件ですけれども、防衛省中国四国防衛局が実施をしている島根県西部地域、浜田市の旭町及び広島県西部地域、北広島町西八幡原における航空機騒音状況についてですけれども、防衛省にお尋ねしますが、測定結果が公表されております昨年九月からことし一月にかけて、それぞれの地点における航空機騒音の最大値が幾つとなっているのか。また、午後七時以降、夜間の騒音発生回数がどのぐらいになっているのか。さらには、土日、祭日、休日における騒音発生日数がどうなっているのかについてお答えください。

○山内政府参考人 お答え申し上げます。
 防衛省が平成二十五年九月から島根県と広島県で試行的に実施している騒音調査の結果については、本年一月までの成果が得られているところでございます。
 まず、島根県につきましては、騒音の最大値は平成二十五年十一月一日に測定された百二・六デシベル、午後七時以降に七十デシベル以上が測定された回数は合計五十四回、土日や祝日に七十デシベル以上が測定された日数及び回数はともに四回となっております。
 また、広島県におきましては、騒音の最大値は平成二十五年十二月四日に測定された百二・二デシベル、午後七時以降に七十デシベル以上が測定された回数は合計五十回、土日や祝日に七十デシベル以上が測定された日数は十四日で、その回数は二十九回となっております。

○塩川委員 防衛省の測定結果にあるとおりですが、資料を配付いたしました。一枚目が、防衛省が記録をしている航空機の騒音状況についてまとめたものであります。騒がしい街頭の音量に相当するのが七十デシベル以上、その数がカウントされております。
 先ほど、最大値百デシベルを超えているという話がありました。これは電車が通るときのガード下と同じような騒音の状況であります。大変大きな音が起こっていたわけですし、また、夜七時以降の騒音が五十回以上に上るということで、家族団らんのそういう時間にも爆音を響かせるような状況が生まれております。
 広島においては、十月二十二日に、午後七時から十時の間に三十二回の騒音を記録となっていますけれども、これは現地の方でお話を伺いましたら、八時二十七分から四十五分の間に三機が旋回飛行をしていた、九十三・九デシベルも記録をされているということが挙げられていたわけであります。加えて、土日、祭日にも飛行を行うなどはとんでもないと言わざるを得ません。
 岸田外務大臣、広島が地元でもありますけれども、広島県内において、もちろん隣接する島根も含めて、こういった大変大きな米軍機による騒音被害が生まれている。こういう現状について、余りにもひどいと思いませんか。

○岸田国務大臣 測定された騒音について御指摘をいただきましたが、この騒音につきましては、米軍機によるものかということも含めまして、測定された騒音の原因が全て明らかになってはいないとは承知しておりますが、ただ、継続的な航空機の騒音が指摘をされています。こうした継続的な航空機の騒音自体につきましては、地元住民の方々にとりまして、これは大変大きな問題であるというふうに認識をしなければならないと思いますし、そのように認識をしております。
 米軍機による訓練自体につきましては、日米安全保障条約の目的達成のために不可欠な訓練であるという前提に立ちつつも、やはりまずは安全面におきましてしっかりと考慮を払わなければならないと思っておりますし、こうした騒音等が地元住民の方々に与える影響につきましても、これは最小限にとどめるよう、引き続き最大限配慮していく必要があると考えております。
 こういった点、日米合同委員会を初めさまざまな場でしっかりと申し入れを行っていきたいと考えています。

○塩川委員 騒音を響かせているのは米軍機でないかのような言い方というのは、納得いきませんね。自衛隊機だったらなおさら問われる問題ですし、民間機でこんなのを飛ばしているのはありませんよ。
 防衛省に一点聞きますけれども、防衛省が集計している苦情受付状況表の中でも、この空域からの苦情について米軍に問い合わせをして、その問い合わせの回答として、米海兵隊機だ、そういう回答というのは米軍からもらっていますよね。

○山内政府参考人 お答えを申し上げます。
 防衛省におきましては、米軍機の飛行に伴う地方自治体や住民の方々からの苦情を受けた場合には、米軍に対してその内容を通知し、飛行の有無等の事実関係を問い合わせるとともに、その結果について地元自治体等に情報提供しているところでございます。
 今回の測定結果の中での符合といいますか、合っているものということでございますと、平成二十五年九月から同年十二月までの間において七十デシベル以上の値が測定された日のうち、同年の九月二十一日、九月二十四日及び十月二十九日について、騒音測定器が設置されております島根県の浜田市を米軍機が飛行していたということを、米側から回答を受け取ったところでございます。

○塩川委員 岩国の米海兵隊機が飛んで回っているわけなんですよ。私は、こういった現状を考えても、今紹介してもらったような、防衛省が集計している苦情受付状況表でのひどい被害を裏づけるような苦情が多数寄せられているわけです。
 小野寺大臣にお尋ねしますけれども、防衛省自身が米軍機の騒音被害を把握したわけであります。であれば、この騒音被害の解消をすることは、米軍機の飛行を中止することであります。米軍機の中止を求める、こういう立場で断固対応すべきじゃありませんか。

○小野寺国務大臣 防衛省としましては、米軍機の飛行に際しては、安全面に最大限の配慮を行うとともに、地域住民の方々に与える影響を最小限にとどめるよう、米側に働きかけてきております。
 また、先ほど来質問に答えさせていただいておりますが、米軍機の飛行に伴う地方自治体や住民の方々からの苦情を受けた場合には、米軍に対してその内容を通知し、飛行の有無等の事実関係を問い合わせるとともに、その結果を自治体等に提供しております。
 防衛省としましては、今後もこのような取り組みをしっかり対応する中で、地域住民の方の騒音に対する苦情に丁寧に対応していきたいと思っております。

○塩川委員 地域住民に与える影響を最小限にする、そういう立場で働きかけるといっても、実際に今設置されている場所がどういうところかといえば、例えば北広島町の西八幡原の地域というのは、出張所なんですよ。中山間地ではあっても、人口が集中している地域ですよね。
 島根県の浜田市の旭町というところは、その設置の場所の隣は、認定こども園という、子供たち、幼児が通う施設なんですよ。その認定こども園に向かうように米軍機が飛んでくるということで、子供たちは大変怖がっているということを保育士の方などが訴えておられる、そういう場所であるわけです。
 だからこそ、昨年、改めて、浜田市を初めとした島根県西部地域の五市町が地元地域において米軍機騒音等対策協議会を設置し、島根県と一緒に、外務、防衛両省に、十月三日、申し入れを行っております。爆音の中で多くの住民がおびえながら生活している状況が続くことは容認できないと訓練中止を強く求めているわけで、この立場でこそ当たるべきだということを強く申し上げておくものであります。
 防衛省が騒音測定器を設置している場所というのは、自衛隊の訓練空域になっております。そこには、高高度の訓練空域のエリアQがあり、低高度の訓練空域であるエリア7が設定をされております。その二つがそれぞれ上下に重なるような形で位置をしているわけです。この自衛隊の訓練空域を米軍機が使用する形をとっております。米軍機がこの訓練空域を使用する場合には、事前に自衛隊と調整することになっております。
 防衛省にお尋ねいたしますが、昨年二月からことし一月にかけての一年間、エリアQ及びエリア7における米軍機使用のための事前調整の実績は何日になるか。また、上下に重なるこの二つの空域を使用する日にちは全部一致していると思うんですけれども、その点、確認でお答えいただけますか。

○中島政府参考人 お答え申し上げます。
 今御指摘の平成二十五年二月から本年一月までの期間におきまして、航空路誌に基づきまして米軍及び自衛隊の間で調整が行われました御指摘の空域の米軍使用日数の調整実績につきまして、空域ごとに申し上げれば、エリアQが二百六十一日間、エリア7も二百六十一日間となっております。
 また、この期間におけます調整実績の日にちにつきましては、全て一致しているところでございます。

○塩川委員 一年三百六十五日のうち、実に七割を超える二百六十一日間も米軍機が使用するという調整が行われているということなんです。しかも、高高度と低高度の二つの訓練空域が一体的に活用されております。
 小野寺大臣にお尋ねしますが、要するに、低い高度の訓練空域も使うために、その米軍機の爆音が住民生活を脅かすようなことになっているんじゃないですか。

○小野寺国務大臣 米軍の運用について私ども通知を受けておりますが、今言った、どの高度をどのように使うかということを詳細に通報、通知して、米軍の運航がどのように行われているかということは、これは米軍の運用にかかわる問題だと思っております。
 いずれにしても、私どもとしましては、この地域からさまざまな苦情が来た場合、それに丁寧に応えていきたいと思っておりますし、また、そのような地域の声については、米側にしっかりと今後とも対応するように話をしていきたいと思っております。

○塩川委員 住民や地元自治体からやめてくれと強い要望があるにもかかわらず、米軍の運用にかかわるものであり、物も言わない、こんなことでいいのか。日本の空であるにもかかわらず、やめろと言うことも行わないというのでは、余りにもおかしいと言わざるを得ません。
 航空路誌を踏まえたこの事前の調整実績で、自衛隊は米軍機の飛行を把握しているわけです。事前にわかっているわけですよ。爆音をまき散らす米軍機飛行に防衛省・自衛隊が手をかしているということになるんじゃないですか。こんなことでいいんですか。

○小野寺国務大臣 今、委員は、米側に何も物を言わないというお話をされておりますが、私どもとしましては、地元からのそういう騒音等の要請があった内容については、その都度、米側に確認をし、そしてまた、そのような内容について米側に申し入れをしているということであります。
 いずれにしても、地域の声をしっかり聞くことが大切だと思っておりますし、先ほど委員がお話しされた騒音の測定器の設置場所というのは、お話がありますように、市街地であり、あるいは保育所等のそばということで、極力やはり、実際にどのような騒音が住民の方に届いているかということをより把握できる場所を選ばせていただいているということだと思っております。

○塩川委員 地元はやめてくれと言っているわけですから、そういう立場で対応するのかどうかということが問われているわけで、米軍が好き勝手に飛ぶのに、日本政府がそれに手をかすようなことというのは認められないということを改めて言わざるを得ませんし、アメリカやヨーロッパではこんな無法なやり方というのは通っておりませんから、そういう点での日本のやり方は余りにも異常だと言わざるを得ません。
 それが具体的に示されているのが、この米軍の訓練空域の設定の仕方の問題です。
 資料の二枚目と三枚目に地図を載せました。
 昨年の質問の際に、米軍機の低空飛行が集中している広島・島根の上空と群馬の上空は、どちらも自衛隊訓練空域と米軍の進入管制空域の中にあることを指摘しました。つまり、米軍の進入管制空域と自衛隊の高高度訓練空域、低高度訓練空域が全て重なっているエリアで米軍機の訓練飛行が集中しております。
 太田国交大臣にお尋ねいたします。
 航空機の路線が集中しております首都圏上空やあるいは瀬戸内海の上空は、大変過密状況にあるわけであります。計器飛行の民間航空機の路線が集中しているからであります。
 そこでお尋ねしますが、米軍基地などが所在をする渉外知事会、その渉外知事会が、米軍が管制を行う進入管制空域の返還を要求しております。その内容を御紹介いただきたいと思いますし、国交省としての対応についてお答えいただけますか。

○太田国務大臣 資料をお渡ししたというふうに思いますが、自治体からの返還要求に関しましては、東京都からは横田の進入管制業務、愛媛県からは、米軍岩国基地の管理下にある松山空港の進入管制業務、そして、今御指摘のありました渉外関係主要都道県知事連絡協議会からは、横田及び岩国の進入管制業務について返還の要望をいただいております。
 米軍が管制を行う進入管制業務の返還につきましては、従来より、日米合同委員会民間航空分科委員会におきまして米軍及び関係省庁と調整してきたところでありますし、横田空域については、過去八回にわたって削減を実施し、削減した空域の管制業務の返還が行われてきました。また、嘉手納につきましては、平成二十二年三月に管制業務の全面返還が実現をしております。
 残された岩国及び横田の進入管制業務の返還につきましては、引き続き関係省庁と協力しながら調整してまいりたいと考えています。

○塩川委員 残されている米軍の進入管制空域の岩国と横田、そのエリアにおいて、今言ったような米軍機が爆音を響かせるような訓練が行われているわけであります。
 岩国の進入管制空域の中の自衛隊訓練空域部分というのは、アッパーが二万三千フィート、約七千メートルの高さまで確保されております。同様に、横田進入管制空域の中の自衛隊の訓練空域のアッパーも、約二万三千フィート、七千メートルで確保されているわけであります。そうなれば、そこよりも低いところを民間のエアラインを通すことを阻むことができる、その高さまでいわば訓練で確保できるということになります。そういう点でも、米軍の訓練の高さを十分確保するというエリアにつながっているというのが実態であります。
 防衛省にお尋ねしますが、米軍の進入管制空域が設定をされることで、米側は、いわば計器飛行方式の民間の航空路線の設定を拒むことができる。また、その進入管制空域の中に自衛隊の高高度及び低高度の訓練空域を設定して一体的な運用を可能とするとともに、有視界飛行方式の民間機に対する訓練空域の通過制限の要請を自衛隊に行わせる仕組みもあわせてつくっているわけであります。
 ですから、計器飛行方式についても民間機が入らないようにしてもらう、有視界飛行方式についても民間機が入らないようにしてもらう、こちらの方は、自衛隊によろしくねと言っているような状況。結果として、この自衛隊の訓練空域全体が、米軍が独占的に使用できる訓練空域をつくった、これが実態じゃありませんか。

○中島政府参考人 お答え申し上げます。
 米側の運用の状況につきまして、自衛隊の方でその詳細の全てを掌握することは、現在のところ、そういうことは承知をしておらないところでございますけれども、まず、自衛隊の訓練・試験空域の性格についてちょっと述べさせていただければと思います。
 この空域は、航空交通の安全を確保するということで、自衛隊機等が曲技飛行、これは航空法上の用語でございまして、いわゆる通常の水平飛行でない訓練のようなものですけれども、こういう行う空域と航空路などを分離することを目的として、防衛省と国土交通省の協議により設定される空域でございます。
 他方、この空域は、自衛隊が排他的に使用することを認められたものではございませんで、したがいまして、自衛隊は、米軍機による空域の使用を認めたり拒んだりする立場にはないということを御理解いただければというふうに思います。

○塩川委員 実際には、自衛隊が、いわばAIPに基づいて事前調整をするのとあわせて、その空域について、訓練をやる場合については、事前に民間機に連絡をする、そういう格好で、いわば自衛隊が米軍の訓練を行うための下準備を行っているという状況にもなっているわけで、こういう空域設定が重なっていることが米軍の排他的な訓練空域を確保することにつながっている。
 そのことは、資料の四枚目を見ていただきたいんですが、これは航空自衛隊の飛行計画要覧に挙げられている訓練・試験空域名称の米軍使用略称比較表です。これで見ていただいてわかるように、右側が自衛隊の訓練・試験空域の名称ですけれども、左側が対応して米軍の略称になっています。
 ここにあるように、全ての自衛隊の訓練・試験空域に対応して米軍の使用略称がつけられている。これはどういうことなんでしょうか。

○中島政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘の飛行計画要覧でございますが、これは飛行計画を作成する際などに必要な参考情報が収録されているものでございます。この飛行計画要覧には、先生の資料にもございますとおり、自衛隊の訓練・試験空域の名称と、それに対して米軍が独自に付与している略称の比較表が掲載されているというところでございます。
 米軍がどのような意図によりまして自衛隊のこういった空域に略称を付与しているかということについては、必ずしもつまびらかにしていないところでありますけれども、他方、その空域を米軍が使用するということにつきましては、先ほど申し上げましたとおり、問題があるとは考えておりませんで、米軍が略称を付与するといったことにつきましても、特に問題はないものというふうに認識しております。

○塩川委員 その自衛隊訓練空域を米軍が使うことによって、多大な被害というのがその地域の住民に与えられているから問題を取り上げているわけで、要するに、ここに示されているというのは、結局、自衛隊の訓練空域といっても、実態は米軍の訓練空域になっているんじゃないのか、こういうことが問われているわけであります。
 それは、先ほど言ったように、エリアQとエリア7、三百六十五日のうち二百六十一日間が米軍が使える、こういう設定になっているところに明らかであるわけで、日本全国が米軍機の訓練場となっている。こういった戦後続く米軍特権をきっぱりとなくすべきだ、訓練飛行の中止を強く求めて、質問を終わります。