国会質問

<第186通常国会 2014年02月25日 総務委員会 4号>




○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 きょうは、最初に大雪被害対策について質問をいたします。
 関東甲信地方を初めとして、雪になじみのない地域で大雪が降り、多大な被害が発生しております。亡くなられた方々の御冥福をお祈りし、また、被災をされた方々にお見舞いを申し上げるものです。
 私も埼玉の所沢で、大きな雪が降りまして、自宅周辺でも、カーポートが壊れたというお宅が半径三十メートルぐらいでも三軒ぐらいあるんですよね。おひとり暮らしのお年寄りの、そういう家庭でのカーポートが一つ潰れて、もう一つも潰れそうという状況で、近所の人と一緒に雪おろしをするというようなことなんかもありました。これが、所沢では、ホウレンソウが産地でありますから、トンネルハウスが潰れて大きな打撃にもなっているということなんかもお聞きをしております。
 私、この週末は、群馬県の高崎市と、それから秩父に足を運びまして、被災の状況について現地でお話を伺ってまいりました。
 高崎市では、農業用ハウスが倒壊した施設園芸農家を訪問し、花の苗がもう寒さに縮こまっているような、小さなポットがたくさん並んでいるということがありましたし、解体撤去にも時間がかかる、業者がすぐ来てくれないということで、何よりもハウスの資材そのものが不足をしている、それが深刻だという話を聞いたところです。仕事を続けていこうという気持ちを後押ししてくれる支援をお願いしたいというのが訴えでありました。
 きょうは、秩父地域の大雪被害の調査などを踏まえて、質問をいたします。
 秩父市役所と県土整備事務所で被害状況や除雪、孤立集落解消対策などをお聞きし、その後、秩父市内で農業用ハウスが倒壊しましたトマト農家やイチゴ農家を訪問いたしました。その後、小鹿野町に行きまして、役場で御説明を受けてから、ブランド品となっております秩父キュウリの生産農家の方から要望をお聞きしました。最後に、孤立集落が残されています中津川の、中双里といいましたか、まさに除雪をしている現場のところまで足を運んで、状況について聞いてまいりました。
 今なお、埼玉、山梨では孤立されている方もいらっしゃるということで、この解消のために全力を挙げていただきたいと思っております。
 また、気温が上がると言われておりますので、雪崩の心配もありますし、屋根からの落雪も心配だということで、必要な危険箇所の洗い出しなどの注意情報などもぜひ心がけていただきたいと思っております。
 そこで、関口副大臣にお尋ねいたします。
 地元秩父の被災者の状況については、具体的にお話も伺っていると思います、どのような状況か、このことについてのお話を伺いたいのと、総務省としてどのような対策を考えておられるのか、この点についてお答えいただけますか。

○関口副大臣 冒頭、地元の一人として、塩川議員には、早々に地元を御視察いただきましたこと、お礼を申し上げる次第でございます。
 私の住んでいる秩父市は、歴代一位の積雪量九十八センチを記録するなど、大変な状況に追い込まれたわけでございますが、国を挙げて、また県、そして市町村を挙げて支援をしていただいたこと、地元の一人としてもお礼を申し上げる次第でございます。
 なかなか、まだ再建途上ということで、大変厳しい状況でありますし、御指摘の中になかったのですが、例えば鉄道も、秩父鉄道の影森から三峰口までまだ復旧ができていないということ、長い距離が、まだ鉄道が再開できていないという大変な状況もございます。
 さらに、旧日窒鉱山の方の坑廃水の処理ができないということで、今ちょっと大変な問題が起きておりまして、経産省を挙げて、御支援をいただいているということでございます。
 特に、幸いにもこの地域が災害救助法の適用を受けたということでございまして、除雪に関して、特別交付税の繰り上げ交付をしていただくということになっております。今、除雪の話も出てまいりましたけれども、地方団体の除排雪の経費については、普通は普通交付税で措置するわけでございますけれども、実際の所要額の見込みが大幅に超えた場合は、三月の特別交付税で処理するということになっております。しっかりと現場の状況を把握しながら対応してまいりたいと思っております。
 さらに、きょう大臣が冒頭でお触れいただきましたけれども、今回の大雪によって災害救助法の適用を受けた団体、さらに、平年を上回る大変な大雪に見舞われた団体に対して特別交付税を繰り上げて交付するということを本日決定して、あす、四十九市町村に対して六十七億円を交付する予定になっております。
 とにかく、議員が御指摘をいただいておりますとおり、財政状況が大変厳しい市町村に対して、特別交付税等を含めてしっかりと対応をしてまいりたいと思う次第でございますので、今後ともよろしくお願いいたします。

○塩川委員 そこで、この秩父市や熊谷市など、埼玉県北や秩父地域の八市町の市長、町長が、この大雪による農業被害に対する支援を埼玉県に要望いたしました。
 この要望書を拝見しますと、県北部及び北西部は、県内有数の野菜生産地として、首都圏を中心に野菜を供給する重要な地域となっており、ビニールハウスでの施設野菜や花卉栽培、各種の露地野菜の栽培、また、畜産、果樹栽培が盛んに行われています。こうした中、今回の未曽有の大雪により、手間暇かけて育てた農作物が収穫できなくなったり、費用をかけて設置した農業施設の倒壊や除去等に農家の方は非常に苦慮しており、その無念さや絶望感は極めて大きなものとなっています。このことで、農家の方の生産意欲の低下、ひいては、担い手農家の減少、耕作放棄地の増大等、農村社会の衰退にもつながることが危惧されます。
 このように訴えておられます。これは、国への訴えでもあるわけであります。
 そこで、農水省にお尋ねいたします。
 これが、今紹介したのが、大雪被害の被災農家の置かれている実態であります。このような農家を励ます支援策が必要です。大雪による農業被災者への支援をどうするのか、この点についてお答えください。

○高橋政府参考人 お答えいたします。
 この冬の大雪は、通常、降雪量の少ない地域を中心に、農業用ハウスの倒壊などにより、一昨年を上回る甚大な被害をもたらしております。特に、創意工夫で経営を発展させてきた担い手が各地で多大な被害を受けており、被災農業者が今後も意欲を持って農業を継続していけるように、万全の対策を講じていく考えでございます。
 このため、昨日、農林水産省内の対策本部、大臣が本部長でございます、ここで決定をいたしました。融資、農業共済での対応に加えて、以下の対策を実施することといたしました。五点ございます。
 一つは、災害関連資金を貸し付け当初五年間無利子とする。
 二つ目に、農業用ハウス、棚などの再建、修繕及び再建の前提となる倒壊したハウスなどの撤去に対する経費を助成する、被災農業者向け経営体育成支援事業と呼んでおります、これを発動いたします。
 三つ目に、災害を受けた産地に対し、強い農業づくり交付金、これに別枠を設け、果樹の共選場など共同利用施設の整備を優先的に支援いたします。
 四つ目に、被害果樹の植えかえ、それからこれに伴う果樹棚の設置に必要な資材導入、こういった経費、それから、植えかえによって生ずる未収益期間に要する経費の支援策を講じます。
 最後に五つ目、被災農業法人などの雇用の維持対策として、施設の復旧までの間、従業員をほかの農業法人などに研修目的で派遣する場合に必要な経費を支援いたします。
 今後とも、詳細な被害状況を把握し、現状のニーズを伺った上で追加対策を検討することとしており、被災農家の目線に立って、必要な対策を適切かつ迅速に講じてまいります。

○塩川委員 一通り御説明をいただきましたけれども、これで支援策が十分だということじゃありません。
 秩父市内のトマト農家の方は、六十センチの雪までは耐えられるというハウスだったけれども、九十八センチの雪で潰れてしまった、全部で三千万円ぐらいの損害になる、このように訴えておられました。
 また、埼玉県一というイチゴ農家の方のお話を伺いました。父の代から始めて、五十二年で六千平米まで大きくした、人気のある「やよいひめ」のハウスが全壊をしてしまった、夜通しボイラーをたいて温めたのに、結果としてハウスの半分以上が壊れてしまったということを訴えておられました。もうイチゴをやめて、調理師の免許もあるのでラーメン屋を始めようかとか、あるいはコンビニでもつくろうかとか考えたけれども、やはり父の代から一生懸命やってきたこのイチゴでやっていきたい、こういうことを訴えておられて、ぜひハウスの復旧費の補助、ここのところにしっかりと手当てをお願いしたいということを強く訴えておられたわけであります。
 農水省にお尋ねしますが、先ほど紹介のありました、農業用ハウス、棚等の再建、修繕及び再建の前提となる倒壊したハウス等の撤去に要する経費を助成する被災農業者向け経営体育成支援事業、これは被災農家の営業再建の力になるんですか。その中身について説明してください。

○高橋政府参考人 お答えいたします。
 今御指摘の被災農業者向け経営体育成支援事業は、被災した農業用ハウス、棚などの再建、修繕に要する経費について、補助率十分の三の助成をしてきたところであります。
 今回措置した内容では、従来の助成対象に加えて、倒壊したハウスなどの撤去に要する経費についても助成をすることとしております。
 また、都道府県や市町村が補助金を上乗せして本事業を実施するということも可能になっております。

○塩川委員 これで新たに支援の対象としている資材の費用ですとか撤去の費用、これの補助率というのはどういうふうになっているんですか。

○高橋政府参考人 新しいメニューであります倒壊したハウス等の撤去、これについても、補助率は再建の部分と同じく十分の三の助成でございますが、先ほど申し上げましたように、この撤去部分についても、都道府県や市町村が補助金を上乗せして実施することは、これもまた可能でございます。

○塩川委員 資材についてはお答えいただけましたか。

○高橋政府参考人 恐れ入ります。
 資材の経費につきましては、再建の費用の中で、資材を購入する分、あるいは外注する分、全て含んでおりますので、資材購入費に対しても、今申し上げた十分の三の助成が出ます。

○塩川委員 農業用ハウスの復旧のために、例えば軽量鉄骨なんかのハウスですと、大体撤去に百万から二百万かかるとか、再建のためにやはり一千万円の上かかるとか、こういうことが言われております。そういった場合に、仮に再建に一千万かかるとした場合には、再建費用に対して三百万円の補助ということになります。残りをどうするかということなんですよね。
 そのときに、今のこの農水省の補助事業でいえば、その残り分について、例えば、融資を受ける、自己資金を充てる、さらに自治体からの補助というのもそこには充てられるということでよろしいですか。

○高橋政府参考人 十分の三の補助の、それ以外の部分につきましては、一つには、御指摘のとおり融資。この融資につきましては、先ほど御答弁いたしましたように、五年間無利子にする措置を講じますので、その無利子資金を充てることができます。それから、自己資金を充てるということ以外の場合には、また御指摘のように、都道府県、市町村が補助金の上乗せで農家負担を減らすということも可能でございます。

○塩川委員 もともと借金をしてハウスを建てるということでいえば、さらにまた融資などを受ければ、ダブルローンということでの負担の大きさというのは当然あるわけであります。もともと自己資金が大きくない生産農家の方への支援ですから、ここに対する手当てというのをより一層強める必要がある。
 そういう点では、小鹿野町の秩父キュウリの生産農家の方のお話、急なお願いでしたけれども、たくさんの方が集まっていただいて、お話をお聞かせいただきました。
 小鹿野町は、品質の高さで人気の高い秩父キュウリで知られております。もともと養蚕業からの転換で栽培が始まった秩父キュウリというのは、土づくりやあるいは栽培方法を工夫して、半世紀かけてブランドとして立ち上げてきた。市場からも高く評価されていると聞いております。生産量が限られているために、地元でもなかなか流通しないような、大変貴重なキュウリとして承知をしております。
 聞くところによりますと、国会の議員会館の食堂にもかつてこの秩父キュウリの鉢物が置かれていたりですとか、四年前には自民党本部の前で秩父キュウリの試食PRも行ったということがあったそうであります。
 関口副大臣にお尋ねしますが、秩父キュウリは全国に誇れるブランドだと思うんですが、いかがですか。

○関口副大臣 今、塩川議員の質問を聞いて、何か自分の分身で質問していただいているような気持ちになったわけであります、地元の一人として。
 ただ、我々にとってキュウリは本当に大きな産業の柱としての位置づけで、秩父も今取り組んでおりますし、きょうは山口筆頭がおりますけれども、吉見のキュウリも秩父に負けないぐらい有名なキュウリでありまして、そうした農産物が大分、これはもう埼玉県に限らず、大変な被害に陥っているということでございまして、何とか支援をしてまいりたいと思います。

○塩川委員 埼玉県はキュウリの生産が全国二位ですので、そういう点でも大いに産地として健闘しておられるわけです。
 そういう点でいいますと、小鹿野町なども、やはり高齢化の中です、しかしそういう中で、地域の産業の担い手として、新規の就農者の応援をしてきているわけですね。就農者の高齢化の中に、若い担い手づくりということでも頑張ってきた。
 そういう中では、この町の支援事業で新規就農して二年目という四十代の若手の方からお話を伺いました。一年目のキュウリの作付で手応えを感じていたんだけれども、そのやさきに二百七十坪のハウスなどが全壊してしまった、ほかの仕事も考えなければいけないかなと思っていた、手応えがあっただけに悔しいと訴えておられました。集まった方々は皆さん口々に、秩父キュウリの名前を守れるかが心配なんだ、農家が意欲を失わないうちに応援してほしい、こういうふうに訴えておられたわけです。
 そういう点でも、従来にない被害の規模なんですよ。雪が降ったことがないというのがこの秩父を初めとした関東の各地域の現状で、大規模な災害が起こっているんですから、従来やってきたような支援の規模を超えた支援策を行う必要がある、十分の三を上回るような国としての助成策をしっかりと今からでも具体化すべきじゃありませんか。農水省、いかがですか。

○高橋政府参考人 御指摘の事業につきまして、先ほど来答弁させていただいておりますように、これまで実施されてきたこの事業の補助率と同様に十分の三としておりますが、御指摘のように、今回のハウスの被害はかなり大きい、それから、まさに創意工夫で経営を発展させてきた担い手が極めて大きな損害を受けているということで認識しておりますので、この補助率で復旧に要する事業費の大きい担い手の経営再建に十分でないということも考えられますので、この補助率の点については、ただ、先ほど来申し上げている、地方自治体の方に上乗せをしていただくことをやりやすくするというやり方もあろうかと思いますが、それも含めて、より農家負担を減らす方策についてさらに検討したいと考えております。

○塩川委員 まず、国としての補助率を引き上げることが、自治体も大いに上乗せをするということにつながるわけですから、こういう点で、ぜひ踏み込んだ対応をお願いしたい。
 先ほどの答弁にもありましたように、自治体による補助のかさ上げというのも可能だと。現に、例えば日光市などでも、この十分の三の補助に対して二割のかさ上げの措置ということなんかを行って、現にもう市町村の方で動き始めているわけです。こういった取り組みというのを大いに応援する必要があるわけで、こういった被災農家への自治体による独自の支援策について、しっかりとした地方財政措置ということを行う必要があるんじゃないのか、こういうふうに思うんです。

○新藤国務大臣 自治体が独自におやりになる、そういう自主財源でおやりになっていること、またさまざまな工夫があると思います。いずれにしても、我々とすれば、今回の経験したことのない大きな雪が降った地域、そして想定していない事態であったがゆえに多大な被害が出ている、こういうことであります。これは、総理が先頭になって、今回の問題には前向きに取り組もうではないか、この政権としてもそういう方針を打ち出しております。
 ですから、まずは一義的に、各それぞれの役割分担がありますから、各省での支援措置を考えていただき、また自治体で、今御提案のあったようなことにつきましても、我々も、事情をよく聞きながら、財政運営に支障の出ないように、さまざまな工夫はしなくてはならない、このように考えております。

○塩川委員 今回のハウスなどの支援策というのは、単に個々の農家の支援にとどまらないわけです。まさにその農家の方々が、地域の産業の担い手であり、ブランドもつくり、地域づくりを担っているわけですから、まさに地域づくりそのものであるわけで、こういう点でも、総務省も挙げてしっかりとした支援をするということを強く求めたいと思っておりますし、当然、いろいろな財政措置の中には、過疎債の活用などもあるわけです。ソフト事業などでこういった独自の被災者の支援策を行うということは当然可能だと思いますし、こういうことについて大いに促していくということについても、ぜひ総務大臣の方からも訴えていただきたいと思うんですが、改めて。

○新藤国務大臣 今の過疎債、過疎対策事業債について、これはソフト事業の活用ということで、地域医療、生活交通の確保、そして集落維持、活性化、住民の安心、安全な暮らし、いろいろな要素があります。ですから、制度として、過疎対策事業債はソフト分の対象となり得るわけであります。
 ですから、よく自治体がそれぞれ工夫をいただいて、そして、もしやるとするならば、やはり過疎地域自立促進市町村計画、こういったものは位置づけなければなりません。こういうさまざまルールもありますから、それらも研究していただいて、そして適切な判断をいただく。その上で我々は、それに対して対応をきちんと考えていきたい、こういうふうに考えているわけであります。

○塩川委員 そういったスキームについて、しっかりしたアドバイスを国として行う、ある意味では、自治体も頑張るけれども国も頑張るんだ、こういった地域づくりを支えるんだ、こういうメッセージをしっかり送っていただきたい。この被災農業者支援については、引き続き取り上げていきたいと思っております。
 次に、今回の大雪の被害で、カーポートが潰れるですとか自転車置き場が潰れるですとか、もちろん農業用ハウスの被害なども相次ぐ。そういう形で、大雪による災害廃棄物が発生をしております。
 こういった、例えばカーポートの廃材については、埼玉の県北の本庄や深谷、熊谷などは、それぞれ各処分場において無料での受け入れを実施しているそうです。熊谷市の担当者は、どれだけの量の廃材が持ち込まれるのか見当がつかない状況だ、戦々恐々としている、こういう報道もお聞きしました。自治体の負担が当然そこに発生をしてくるわけであります。
 そこで、環境省にお尋ねいたします。環境省のメニューとして、災害廃棄物処理事業費補助金というのがあります。これは今回の大雪被害には活用できるんでしょうか。カーポートや倉庫ですとか民間の事業所などについても、雪で壊れたような場合は災害廃棄物の対象となるのか、この点についてお答えください。

○弥元政府参考人 環境省では、災害により住宅等から発生いたしました廃棄物につきまして、市町村が行う収集、運搬、処理、これに対しまして、災害等廃棄物処理事業費補助金により財政的な支援を行っております。これによりまして処理が円滑に進むよう支援を行っているところでございます。
 中小の民間企業者につきましても、中小の民間企業者や個人商店から排出されます災害廃棄物につきましては、住宅等から排出された災害廃棄物と一体となって集積されている場合もございますので、市町村が処理を行った場合には補助の対象となります。
 今回の大雪によりまして住宅等から発生した災害廃棄物の処理につきましては、この補助金の補助対象となり得ます。

○塩川委員 そうしますと、熊谷ですとか秩父とか前橋とか、こういうところも今回の大雪で対象になるということでよろしいですか。

○弥元政府参考人 大雪によって被害を受けたところについては、補助の対象になり得ます。

○塩川委員 確認ですけれども、環境省からいただいたこの災害廃棄物処理事業費補助金の概要ペーパーですと、要件として、積雪の場合に、一メートル以上というのが要件だと書いてあるんですけれども、これはどうなっているんですか。

○弥元政府参考人 補助の要件といたしまして、積雪につきましては、積雪の深さが過去十年間の最大の積雪の深さの平均値を超え、かつ一メートル以上という要件が一応かかっております。

○塩川委員 そうしますと、秩父の雪は九十八センチなんですよ。一メートルに届いていないんですけれども、それでも、今の要件との関係ではどうなるんですか。

○弥元政府参考人 お答えいたします。
 秩父の雪が、九十八センチという測定点のみならず、ほかでも測定をしておりますので、その地域、被害の大きかった地域の積雪量が幾らかというのを見まして判断してまいりたいというふうに考えております。

○塩川委員 では、ちょっと確認ですけれども、公的な観測点、つまり気象台や測候所などがあるような観測点、熊谷とかあるいは前橋とか秩父に観測点があるわけですけれども、その積雪量が、秩父の場合では九十八センチですし、前橋市は七十三センチ、熊谷は六十二センチですけれども、これらのところも、例えば熊谷が六十二センチとかであっても、それは対象にするということですか。

○弥元政府参考人 お答えいたします。
 その一メートルという要件を固定的に、しゃくし定規に運用するのではなくて、柔軟に対応できるように検討してまいりたいというふうに考えております。

○塩川委員 ですから、この一メートルという要件そのものが機械的なんですよ。もともとは、これは公共の復旧に係るような法律に基づく規定なんですよね。
 ちょっと国交省にその点、この一メートルの根拠の部分だけ簡単に説明していただきたいんですが。

○加藤政府参考人 お答えいたします。
 異常積雪による災害復旧事業として、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法による国庫補助の対象になるのは、主にガードレールなどの道路附属物ということになっております。
 道路のガードレールなどの防護柵の設置基準では、一メートルの積雪がある場合は、雪の荷重により被災することを想定して補強をする、一メートル以下の場合は補強しないというようなことになっておりまして、この基準にも示されるように、一メートル以上の積雪においては、そのような施設が被災されることが想定されるということで、異常積雪による災害復旧事業では、一メートル以上の積雪などを採択要件にしておるところでございます。

○塩川委員 ですから、環境省が援用しているこの一メートルというのは、公共施設の耐雪の基準でしかないんですよ。つまり、一メートルの雪で耐えられるように構造物をきちっと強化しましょうねという基準でしかないんです。それを、災害廃棄物を処理する事業の要件にすること自身がおかしいんですよ。こういう機械的な適用こそやめると。
 柔軟にと言いましたけれども、この一メートルそのものにまともな根拠がないんだから、取り払って、しっかりとした対応を行う、そういう改正、検討こそ行うべきじゃありませんか。

○弥元政府参考人 柔軟に対応できるように検討してまいりたいというふうに思います。

○塩川委員 こういう公共の災害復旧事業の基準を機械的に当てはめるということで、実態を反映しないわけですから、柔軟にというと、それこそお手盛りでどうするのかという話になるわけで、基本的には、災害の状況にふさわしく、迅速に適用できるような基準であるべきだ。自治体がこれでちゅうちょするようなことになりかねないわけですよ、一メートルというのは。
 大体、秩父だって、過去の十年間の最大の積雪量を平均しても十二センチですよ。それが今回は九十八センチなんですから、いかに異常かと。そういうのが、この機械的な基準だったら対象外になりかねないわけで、私は、ここはきちっと、ふさわしく見直す、柔軟にというだけではなくて、要件そのものをしっかりと実態に合わせて見直すということを強く求めておくものであります。
 ぜひ、総務大臣の方からも一言、環境省の方に言ってもらいたいんですが。

○新藤国務大臣 これは、政府として今回の災害対策に万全を期そうではないか、こういうことで既に閣僚間での合意がなされております。
 ですから、運用に当たって柔軟に、しかしそれは、やはりルールをつくっていかなくてはいけませんから、過去の災害、いろいろなことがこれまでもありました。そういったものも踏まえながら、今度のことについてもしっかりと対応してまいりたい、このように考えます。

○塩川委員 機械的な要件そのものを改めるべきだということを申し上げます。
 自治体側の独自の支援策という点でいいますと、今、農業用ハウスの支援策の話なんかもしました。
 群馬県の太田市は、被災した市民の住宅や車庫など附帯施設についても、復旧、撤去する場合に上限十五万円の補助金を交付するという取り組みなども行っています。同様のものが、群馬県内では高崎市や前橋市や伊勢崎市、館林市でも行われているとお聞きしております。大体十万から二十万円の上限の補助という制度です。
 さらに、高崎市でお聞きしてなるほどと思ったのが、事業所に対しての支援があるんですよね。大雪被害事業用施設復旧支援金というのがあって、上限が百万円なんですよ。もちろん、一千万の規模とかでの被害も出ているわけですけれども、でも、再建しようということについては市の方も応援してくれるということで、大変歓迎をされておられる。ただ、予算枠が限りがあるから早い者勝ちと言われても困るということを、事業者の方、金属加工の経営者の方の話なども伺いました。こういうことへの復旧支援策の拡充というのは重要だと思っています。
 そういう点でも、これら独自の支援策について行う自治体をしっかりとサポートする、地方財政措置の面でも応援するということについても、総務省としてもぜひ前向きに取り組んでいただきたいと思うんですが、その点についても、新藤大臣、いかがですか。

○新藤国務大臣 先ほども申しましたけれども、既存の制度でまず対応できるもの、これを処理しながら、その上で、自治体のそれぞれの個別の事情があると思いますから、そういったものはよくお聞きをして、地方財政の運営に支障が出ないような、そういったことも配慮しつつ、適切に対応していきたい、このように考えます。

○塩川委員 引き続き、この大雪被害の問題については取り上げてまいります。
 次に、NHKの問題について、経営委員長にお尋ねをいたします。
 会長指名に当たっての経営委員会の役割との関係で、その討議の状況というのが視聴者の代表である経営委員会から視聴者に十分伝わらないというのが、会議の議事録の公開の問題としてあらわれております。
 一月二十八日に、会長の就任記者会見での発言について経営委員会で議論が行われております。そこでは、議事録を拝見する限り、意見交換とはあるわけですけれども、誰が発言したかということについては記名がない。無記名で、項目そのものは箇条書きになっているわけであります。
 ですから、どういう議論をしたかということが視聴者の方にはよくわからない。経営委員会が視聴者の代表として真摯な議論をしているのか、こういうことがそもそもわからないという状況になっているわけであります。
 浜田経営委員長にお尋ねいたしますが、こういった意見交換について、無記名で箇条書きということでは、経営委員会が真摯な議論をしたということを視聴者に示すことができないんじゃないでしょうか。この点について、お考えをお聞かせください。

○浜田参考人 お答えいたします。
 放送法第四十一条では、「委員長は、経営委員会の終了後、遅滞なく、経営委員会の定めるところにより、その議事録を作成し、これを公表しなければならない。」と定めております。
 議事録は、原則として、発言者及びその発言内容を記載いたしますが、個人情報や人事にかかわる機密情報、公表することによりその審議等が円滑に行われることを阻害するおそれのあるものなどについて、非公表とさせていただく場合がございます。

○塩川委員 非公表の基準要件を定めているんだという話です。それは必要な内容もあると思います。ただ、今回の会長人事というのがまさに焦点となっているわけですね。それは、そもそも、次期会長の資格要件に照らして今の会長がふさわしいのかどうかということが問われているわけで、審議の内容そのものが明らかにならない以上は、経営委員会の責任を果たしているのかという問題になるわけです。
 ですから、個人情報について一定の配慮をするというのも当然のことでありますけれども、人事であるからそもそも非公表の対象とするということそのものは改める必要があるんじゃないですか。

○浜田参考人 一月二十八日の意見交換に当たりましては、まず、委員及び会長の忌憚のない発言を促すべきだと考えました。詳細に公表されることにより発言が抑制されることのないようあらかじめ概要を公表することを申し合わせて議事をとり行いましたため、そのようにさせていただいております。

○塩川委員 その、発言が抑制されることがないようにということで非公表というところがよくわからないんですが、個人的な中傷に当たるような文言を言っているのであれば、当然そのこと自身は、まさに発言をする経営委員の姿勢そのものが問われるわけで、そこは、当然のことながら、皆さん、節度を持って発言をされておられるわけですね。
 それは、何よりも、次期会長の資格要件に照らして会長の記者会見の発言が妥当だったかどうだったか、あるいはその後の対応がどうだったのか、こういうことが行われるわけで、こういう問題について明らかにしないというのは不思議でならないんですけれども、もう一回、いかがですか。

○浜田参考人 議事録につきましては、放送法第四十一条に、経営委員会の定めるところにより公表しなければならないと定められております。これに基づき、議事録の内容については、円滑な議事運営の確保、経営委員会自身のガバナンスの重要性の観点から、経営委員会が自律的にその都度判断させていただいております。

○塩川委員 ですから、自律的にという、その際の要件の問題になるわけで、そもそも、今回の事件、一連の発言について厳しい批判の声が国民から上がっているわけですから、こういうことについて真摯な議論が経営委員会で行われているかということが、大いに関心が集まっているわけです。
 そういう点でも、意見交換というのも、これは経営委員会の会議の一部なんですよね。何か別個に内密にやっているような、そういう場ではない。経営委員相互の意見交換の場であれ、それは経営委員会そのものなんですよね。

○浜田参考人 先ほど申し上げましたように、あらかじめ、経営委員会の中でも、人事案件等につきましてはそういう区分けをしておりますので、本件につきましては、委員と会長の間の自由な意見交換ができるという、最初に、非公表という前提で、概要を発表するという前提で自由な意見交換をやっていただきましたので、そういう取り扱いにさせていただいております。

○塩川委員 その、最初に非公表ということ自身も納得がいきませんけれども、例えば今後の話ということについて、人事案件であれ、個人情報に係るものはさておき、会長の資格要件についての議論については、しっかりと開示する必要があるんじゃないですか。そういった対応を経営委員会としては考えないのか。この点を改めてお聞きしますが、いかがですか。

○浜田参考人 経営委員会の議事録につきましては、平成十二年からインターネットで公表し、さらに、平成十六年から公表時期の早期化、議事録の詳細化、平成十八年から発言者名の記載と一層の議事録の詳細化を行い、また、平成二十年の改正放送法の施行により経営委員会議事録の作成、公表が法定化されたことにあわせて、会議資料を公表し、経営委員会の透明性の向上を図っております。
 いずれにしましても、議事録の開示につきましては、円滑な議事運営の確保や、経営委員会自身のガバナンスの重要性の観点から検討する必要があると考えております。

○塩川委員 透明性の向上を図ってこられた、そこのところはわかります。
 その上で、ですから、次期会長の資格要件に照らして会長の言動というのがいかなるものだったのかというのは、まさに根幹にかかわる問題だから、こういった経営委員会での議論について明らかにしないということは、視聴者の不信を広げることになりはしませんか。この点についてはいかがですか。

○浜田参考人 経営委員会としては、NHKの会長任命という職責の重さを深く受けとめ、昨年七月に指名部会を設置し、半年間にわたり審議を行ってまいりました。その中において資格要件の議論はございました。
 今回の会長任命は、経営委員会が十分な時間をかけて、業績評価、業務の現況の確認や資格要件の検討を行い、内規に従って自律的に粛々と行ってまいりました。

○塩川委員 これでは、経営委員会の議論について不透明だという疑念が生じる。
 例えば、過去、例として、二〇〇一年から二〇〇七年まで二期六年間経営委員を務めた小林緑さんがいらっしゃいます。二〇〇三年の会長選考のときに、その対象となったのが、当時三期目を目指す海老沢勝二氏でありました。そのときに小林氏は、不祥事をうやむやにして長期独裁を狙う海老沢さんには反対、おかしいと経営委員長に言いました。しかし、こうした意見は公表されず、全会一致で承認にされたということを報道でも訴えておられます。
 こういった事実関係については御承知なんでしょうか。こういうことについてしっかりとした総括なしには、経営委員会の信頼が得られないんじゃないですか。

○高木委員長 申し合わせの時間になっておりますので、簡略にお願いします。

○浜田参考人 記録を見て、承知しております。

○塩川委員 こういう問題について、しっかりと検証も行い、議事録を開示して事実関係を明らかにすべきだ、このことを申し上げて、質問を終わります。