国会質問

<第186通常国会 2014年03月18日 総務委員会 8号>




○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 成田財特法改正案は、成田国際空港の離着陸回数の増大などにより周辺地域のインフラ整備が必要となっていることから、五年間延長するものであり、我が党も賛成であります。
 今回は、首都圏空域の問題を取り上げます。
 国交省は、成田空港を含む首都圏空港のさらなる機能強化に関する検討を行う検討会を立ち上げております。
 資料を配付させていただきましたが、その資料の一枚目に、見ていただくと、首都圏の航空需要予測が書いてあります。
 下の方を見ていただくと、航空需要予測のポイントが書かれておりますが、アンダーラインの部分を読み上げますと、「今後とも、首都圏空港の航空需要全体(国際・国内の合計)は増加傾向。」「特に、国際線需要は大幅に増加。」「概ね二〇二〇年代前半には、首都圏空港の航空需要全体は、現在計画中の空港容量(七十四・七万回)の限界に達する見込み。」としております。
 一方、空港の容量にはさまざまな制約要因があります。その一つが、米軍が航空機の進入管制を行っている横田空域であります。
 資料の二枚目をごらんいただきますと、この検討会の資料として、上の方には飛行経路が挙げられております。真ん中に羽田、成田の空域がありますが、東側に百里空域、西側に横田空域が存在をしております。
 国交省にお尋ねをいたしますが、ここにありますように、検討会において、空港の容量の制約要因として横田空域が取り上げられておりますが、その理由は何でしょうか。

○甲斐政府参考人 お答えいたします。
 技術検討小委員会におきましては、今後予想されます首都圏空港の需要増大に対応するため、現在、技術的観点を含めまして、あらゆる角度から検討を進めているところでございます。
 その中で、首都圏空港のさらなる容量の拡大に対応するため、羽田空港の飛行経路の設定の仕方につきましても検討を行っているところでございます。その観点から、横田空域との関係、また環境への対応など、これらについては重要な考慮事項として認識をしているというところでございます。

○塩川委員 この検討会の議論の中でも、委員の発言として、議事要旨の中にも、飛行ルートを変更する際に、横田空域の存在による高度制限が影響すると思われるため、将来的には横田空域の見直しに関して米国との調整が必要となる、このように述べております。
 横田空域は、今後の航空需要拡大の際の障害となっております。航空需要の拡大とともに空の危険も増している現状にあります。
 エアラインの労働組合の航空連合の産業政策提言二〇一一―二〇一二では、このように述べております。
 日本の航空管制は、民間空域は国土交通省、自衛隊空域は自衛隊、米軍空域は米軍がそれぞれ別々に担当しているため、極めて複雑なものとなっています。そのため、国土交通省管轄の管制機関と米軍の管制機関との間の情報伝達が煩雑であるばかりか、計器飛行方式で飛行する民間機と、有視界飛行方式で飛行することの多い自衛隊機、米軍機が狭い空域に多数混在することから、危険性が指摘されています。関東地方は、羽田、成田の二大民間空港と米軍の横田、厚木基地、自衛隊の百里飛行場など空港が混在しており、世界でも有数の混雑空域となっていますと、航空の専門家からの指摘もあります。
 横田空域の存在が、過密、危険な空域の大きな要因となっております。国土交通省に求めますが、このような過密、危険な空域の原因となっている横田空域は、全面返還を求めるべきではありませんか。

○甲斐政府参考人 お答えいたします。
 横田空域につきましては、国の取り組みといたしまして、平成十八年十月に、当時進めておりました羽田空港の再拡張事業に合わせまして、大幅な空域の削減に関しまして日米間で合意いたしました。平成二十年の九月から、これら削減された空域に係ります管制権限が日本側に移管されたところでございます。
 この結果、羽田空港から出発する航空機に対する管制の容量が拡大いたしまして、また、飛行経路の短縮化も図られたところであります。
 当面の羽田空港の交通容量を処理するには十分なものとなったところではございますが、今後の横田空域のさらなる返還につきましては、先ほどの技術検討小委員会での検討状況も踏まえまして、引き続き、関係省庁と協力しながら検討してまいりたいと思っております。
 以上です。

○塩川委員 日本の空の航空機の交通整理を行う航空管制は、いまだに米軍が握っている場所がある。それが、西の方でいえば岩国の進入管制空域であり、この首都上空にあります横田の進入管制空域となっております。
 首都圏上空では、民間機を含めて航空機の出入りを米軍が管理する空域が、この二枚目の地図の下、左側にありますように、新潟県から伊豆半島まで広範囲に広がっているわけであります。
 米軍横田空域は、首都圏の空の過密化を招き、航空機の安全確保にも支障を来しているだけではありません。恒常的な群馬上空の米軍機の低空飛行訓練の被害をもたらし、これは厚木に来る空母の艦載機が群馬上空で低空飛行で騒音被害をまき散らしているわけですけれども、また、横田に所属をする米軍のC130の編隊飛行訓練が首都圏全域でも行われているわけであります。
 首都に外国軍基地があること自体が異常であります。横田空域の返還を強く求めるべきでありますし、このような戦後続く米軍特権こそ撤廃をすべきだ。
 大臣にお尋ねしますが、日本の首都の上空を外国軍が航空管制をしている、主権が回復されていない事態がいまだに続いていることを異常だと思いませんか。

○新藤国務大臣 外国との交渉につきましては、外務省そして官邸がおやりになっているわけでありまして、それはつかさつかさできちっとした国としての交渉をすべきだ、このように考えております。
 あわせて、首都圏空港のさらなる容量の拡大方策、この検討の際に、羽田空港の飛行経路の設定、これは非常に重要な考慮事項だと先ほど国交省からもお話がありました。まさに重要な観点でありますから、きちんとした検討が必要ではないか、このように考えております。

○塩川委員 寂しい答弁ではありましたが、改めて米軍横田基地の全面返還を強く求めて、質問を終わります。