国会質問

<第186通常国会 2014年03月26日 経済産業委員会 4号>




○塩川委員 私は、日本共産党を代表して、貿易保険法の一部を改正する法律案に対し、反対討論を行います。
 我が国の貿易保険は、諸外国の制度に比べて国がリスクを負う範囲が広く、しかも、特定の巨大商社、大手メーカー、メガバンクや損保会社などの多国籍企業が専ら利用しています。本法案は、このゆがみをさらに拡大し、多国籍企業のリスクを一層軽減しようとするものです。
 反対理由の第一は、海外の子会社や販売拠点からの輸出やサービスにまで貿易保険の付保を拡大することが、多国籍企業のリスクを際限なく公的保険に転嫁するものとなるからです。
 日系企業の海外子会社等から日本以外の国への輸出額は、今や日本から海外への輸出額に匹敵する規模にまで拡大しています。しかし、多国籍企業が海外シフトを進展させ、世界じゅうから利益を上げても、それが国内経済や国民生活には還元されてきませんでした。多国籍展開に伴うリスクは本来、親企業が負担すべきであり、多国籍企業にはその体力も資金力も十分にあります。国にそのリスクを転嫁することは認められません。
 第二は、インフラシステム輸出戦略、とりわけ原発輸出を推進するものになるからです。
 この間、国際協力銀行の融資と貿易保険の付保が両輪となり、原発を初めとしたインフラシステムの海外展開が進められてきました。福島第一原発事故から三年たった今もなお、福島県では十四万人もの方々が困難な避難生活を強いられています。原発事故原因の検証もないまま、原発輸出を進めるなど、無責任きわまりありません。
 反対理由の第三は、損保会社へのNEXIの再保険の問題です。損保業界の長年の要求に応え、損保会社のリスクを国にツケ回しするものであり、容認できません。
 最後に、法案提出の契機として挙げられている、アルジェリアでの邦人拘束事件について一言申し上げます。
 昨年一月に発生した人質事件に際し、日本政府初め関係各国はアルジェリア政府に対し、人命最優先での対処を求めてきました。しかし、アルジェリア軍による性急な軍事制圧作戦の結果、日本人十人を含む三十七人のとうとい人命を失ったことは残念でなりません。いかなる理由があろうとも、テロは決して許されません。同時に、再びこのような事件を招かないためにも、フランスによるマリへの軍事介入などの背後関係をも含む、事件の全容解明が重要です。
 事態の泥沼化を招く軍事的対抗ではなく、非軍事的対処の充実こそ進む道であることを指摘し、討論を終わります。