国会質問

<第186通常国会 2014年03月27日 総務委員会 10号>




○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 二〇一四年度NHK予算について質問をいたします。
 最初に、籾井会長の就任記者会見における発言問題について質問をいたします。
 籾井会長は、一月二十五日の就任記者会見で、以下のような発言を行いました。国際放送に関連して、政府が右と言うものを我々が左と言うわけにはいかない。また、秘密保護法に関しては、一応通っちゃったので、もう言ってもしようがない。首相の靖国参拝に関連して、どうだこうだと言うつもりはないですよ、ただ淡々と、総理は靖国に参拝されましたというだけでしょう、ピリオドでしょう。日本軍慰安婦問題について、ドイツやフランスやオランダなどの名前を挙げて、戦争しているところは大体そういうものがつきものだった。
 このような籾井会長の発言に対する視聴者・国民からの意見がNHKに殺到しております。
 そこで、籾井会長に確認でお尋ねしますが、このような籾井会長の発言に対する視聴者等からの意見の件数、また、そのうち批判的な意見の件数、その特徴的な意見の内容について紹介いただけますか。

○籾井参考人 お答えいたします。
 一月二十五日からきのうの夕方までに寄せられた御意見は、およそ三万六千百件。内訳は、批判的意見が二万三千三百件、肯定的な意見が六千五百件、六四%対一八%。その他は問い合わせなどでございます。
 主な批判的な意見としては、偏った放送になるのが心配だ、もう受信料を払いたくないといったものがあり、また、肯定的な意見としては、日本の立場にはっきり言及したことは大変よかったというものなどなどでございます。

○塩川委員 批判的な意見が二万三千三百件も寄せられているということですが、これは、二〇〇四年七月から二〇〇五年にかけて受信料不正使用の不祥事が相次いだときがあります。同時期には、「ETV二〇〇一」の番組改編問題についても明らかとなって、当時の苦情件数も大変多かったわけですが、それを大きく上回る、二倍に匹敵するような、こういう批判的な意見が寄せられているわけであります。
 私たちのところにもたくさんの声が寄せられております。
 籾井会長の政権寄りの発言は視聴者の厳しい批判を浴びました。特に日本軍慰安婦に関する発言は、歴史的事実に反するばかりか、過去の戦争への反省を欠き、国際問題に発展しかねないものです。私たちは、籾井会長、百田尚樹、長谷川三千子両経営委員の罷免を求めます。また、籾井会長の政府の代弁者のような発言は、報道機関としての最も重要な権力の監視役としての使命を無視したものです。このような厳しい批判の声が多数寄せられている深刻な事態であります。
 NHK自身、この政府との関係について、NHKオンラインに掲載されております、よくある質問集の中に、「NHKとはどういう事業体なのか」という問いを起こして、そこには、「NHKは政府から独立した公共放送事業体」とあります。
 そこで、会長にお尋ねいたしますが、NHKは政府から独立した公共放送事業体だと説明しているわけですが、なぜ政府から独立をしていることが求められているのか、その理由についてお示しください。

○籾井参考人 お答えいたします。
 NHKは、国民全体を基盤とする公共放送の実施機関でありまして、言論報道機関でもあります。こうした性格を持つNHKの放送や運営が時の政府からの干渉や影響のもとにあっては、放送法がその第一条で原則として掲げております、放送による表現の自由を確保することや、放送が健全な民主主義の発達に資するようにすることは期待できません。
 このため、NHKは政府からの独立が不可欠とされているものと理解しております。
    〔委員長退席、石田(真)委員長代理着席〕

○塩川委員 政府の干渉や影響のもとでは、表現の自由や健全な民主主義の発達に資する、このことに貢献できないということであります。
 放送法第一条は、健全な民主主義の発達に資することを原則として、健全な民主主義を育てることが放送の目的だとして、そのためにはあらゆる権力からの自立が求められているということを示しています。公権力からの自立がNHKの生命線であります。
 政府からの独立というのは、国策放送として国家の起こした戦争に加担した戦前のNHKの歴史への反省があります。戦後政治の原点は、侵略戦争への反省を踏まえた日本国憲法であります。憲法は、国民の基本的人権を保障するためにも、権力を縛るものとしてつくられているわけであります。その民主主義の健全な発展に貢献するNHKが、政府からの独立を求められるのは当然のことであります。
 ここで、NHKが取材や番組制作を行う際に判断の指針として作成している放送ガイドライン二〇一一というのがあります。この中には、「BPOの主な決定(NHK関連)」、こういうページがありまして、放送倫理・番組向上機構、BPOがNHKに対する主な決定を行ったうち、五件中三件が「ETV二〇〇一」番組改編問題に関するものでありました。
 そこで、まず会長に、この放送倫理・番組向上機構、BPOとはいかなるものなのか、御説明ください。

○籾井参考人 お答えいたします。
 まさしく、BPO、放送倫理・番組向上機構とは、放送倫理、番組向上にかかわることをいろいろ議論するところですが、これはNHKと民放連によって設立されました第三者機関で、非営利、非政府の機関でございます。
 BPOは、放送における言論と表現の自由を確保しつつ、視聴者の基本的人権を擁護するため、放送への苦情や放送倫理上の問題に対し自主的に独立した第三者の立場から検証する、その判断を放送界全体あるいは特定の放送局に伝えることで放送界の自律と放送の質の向上に寄与することを目的にしていると了解しております。

○塩川委員 放送界の自律に資する、そういう組織として放送業界が第三者機関として設立をした、そこにおける意見、決定というのは大変重いものということであります。
 そういう点でも、本来は、こういった番組内容について、取材のあり方などについて不適切な場合があった場合に、それを権力からの介入の口実にさせない、こういう点でも自律的に行うということが求められている、そういう中でBPOがつくられてきたという経緯があるわけであります。そのBPOの決定というのは、NHKにとっても極めて重要な指摘であると言わざるを得ません。
 このBPOの決定にあります「ETV二〇〇一」番組改編問題というのは、「ETV二〇〇一」、シリーズ「戦争をどう裁くか」の第二回「問われる戦時性暴力」について、放送制作部門のNHK役員が安倍晋三衆議院議員ら政権幹部、与党政治家に放送前の個別の番組内容を事前説明していたこと、また、その後、番組試写の場に国会担当役員が同席をし、番組の感想を述べていたこと、この試写の後に番組の改編が行われたことなど、放送の自主自律との関係で重大な疑問を抱かせる事態が明らかになった、こういう事件でありました。
 会長にお尋ねをいたしますが、このことについて裁判でも争われたことがあります。NHKが、「ETV二〇〇一」番組改編問題に係る損害賠償請求控訴事件に対する裁判の準備書面で一連の事実経過を記述しております。二〇〇一年の一月の二十九日、当時官房副長官だった安倍晋三衆議院議員に、「ETV二〇〇一」についてNHKの国会担当局長と放送総局長が事前説明に訪れたことをこのNHKの文書にも記載しています。
 該当部分を読み上げてもらえますか。

○籾井参考人 今御要望がありました点を読み上げさせていただきます。
 同月二十九日、平成十三年一月二十九日午後四時ごろ、野島及び松岡が松尾を伴い安倍議員のもとを訪れ、予算説明を行った。
 野島がこの日の予算説明に松尾を伴ったのは、日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会の事務局長を務めてきた安倍議員は本件番組について話題にする可能性が高かったことから、番組の責任者である松尾を同行しておいた方がよいであろうと考えたためであった。
 安倍議員のもとを訪れると、まず、野島が安倍議員に予算に関する資料一式を手渡した。その後、松尾が安倍議員に対して、一部でうわさされているように本件番組が女性法廷を四夜連続で取り上げるものではないこと等についての説明を行った。
 これに対して安倍議員は、慰安婦問題の難しさや歴史認識問題と外交の関係などについて持論を語った上で、こうした問題を公共放送であるNHKが扱うのであれば、公平公正な番組になるべきだとの意見を述べた。
 松尾は安倍議員の持論に関してはとりたてて意見を述べず、多角的な視点に立った番組になっているので実際の番組を見てほしい旨述べた。安倍議員との面会時間は十分から十五分程度であった。
 以上でございます。
    〔石田(真)委員長代理退席、委員長着席〕

○塩川委員 NHK自身が事実経過として、この全体そのものについての妥当性というのはありますけれども、この経緯については、NHKが説明をした中身として、我々としてこれを踏まえて議論をしたいと思います。
 ここにありますように、番組の放映前に、番組内容について安倍晋三官房副長官に、放送の最高責任者である放送総局長が出かけていって説明をした、これに対して安倍晋三官房副長官が意見を述べたということであります。
 この訪問の後、NHKの中ではこの番組内容について具体的な変更方針が決められて、その後、具体的に番組内容が変更された。このことは事実ですね。

○籾井参考人 お答えいたします。
 平成二十一年にNHKがこの意見に対してまとめた見解の中で、この番組は、NHKが自律した立場でみずからの編集判断に基づいて制作したもので、政治的圧力を受けて番組を改編したり、国会議員等の意図をそんたくして内容を改編した事実はないことをまず述べております。その上で、そうした指摘を受けたことについて真摯に受けとめているとし、番組制作部門の担当者が放送前に個別の番組内容を国会議員に直接説明することは行っていませんし、これからも行うことはありませんと述べています。
 放送ガイドラインに明記しているとおり、NHKは放送の自主自律を堅持します。日々の取材活動や番組制作はもとより、NHKの予算、事業計画の国会承認を得るなど放送とは直接関係のない業務に当たっても、この基本的な立場に揺るぎはありません。

○塩川委員 質問にお答えになっていませんが、具体的にその後番組内容が変わったということは、この事実経過のNHKの文書の中でも書いてあります。
 その点について、今会長が答弁をされたように、NHKとしてはみずからの編集方針に基づいて変えたんだ、政治的圧力で変更したわけではないし、国会議員の意図をそんたくして内容を改編した事実はない、こういうことを言っているわけですけれども、しかし、問われている一番の問題というのは、もちろん、政治家側の番組内容への介入も重大問題であります。同時に、政府からの独立、権力からの自立が求められる公共放送のNHKが、政治家の意図をそんたくして番組を改編した、ここの点がまさに問われているわけであります。
 結局、事前にお伺いに行って、その話も聞いて、自分の方で、みずからの編集方針といいながら、結果としてその政治家の意図をそんたくして番組内容を変えたんじゃないのか、このことが自律との関係で厳しく問われているわけであります。
 事実経過として、事実認定は控訴審の判決で出されておりますけれども、この控訴審判決では、番組が予算編成などに影響を与えることがないようにしたいとの思惑から、説明のために松尾放送総局長や野島国会担当局長が国会議員などとの接触を図った、その際、相手方から、番組づくりは公正中立であるようにとの発言がなされたというもので、時期や発言内容に照らすと、松尾総局長らが相手方の発言を必要以上に重く受けとめ、その意図をそんたくして、できるだけ当たりさわりのないような番組にすることを考えて試写に臨み、直接指示、修正を繰り返して改編が行われたものと認められると事実認定をしております。
 これを踏まえて、BPOの検証委員会の意見は、「委員会は、NHKの番組制作部門の幹部管理職が行った番組放送前の政府高官・与党有力政治家との面談とそれに前後する改編指示、および国会担当局長による制作現場責任者への改編指示という一連の行動について、公共放送NHKにとってもっとも重要な自主・自律を危うくし、NHKに期待と信頼を寄せる視聴者に重大な疑念を抱かせる行為であった、と判断する。」と指摘をしております。
 これについては、先ほど籾井会長が答弁をしたように、こういった意見について真摯に受けとめているという話がありました。
 そういう中で、ただ、この番組制作部門の担当者が放送前に個別の番組内容を国会議員等に直接説明することは行っていないし、これからも行うことはないと述べましたけれども、あの二〇〇一年の一月二十九日というのは、事前に番組内容の説明を番組制作にかかわる放送総局長が行っていた。まさに、やっていないと言っていることをやっていたというのが、あの二〇〇一年のときの経過ではありませんか。

○籾井参考人 平成二十一年にNHKがこの意見に対してまとめた見解の中で、この番組は、NHKが自律した立場でみずからの編集判断に基づいて制作したもので、政治的圧力を受けて番組を改編したり、国会議員等の意図をそんたくして内容を改編した事実はないということを述べております。

○塩川委員 一連の経緯の中で、まさにそんたくして番組内容を改編した、こういうことが今問われているわけですけれども、この点について、NHK側の公権力からの自立、政府からの独立、この姿勢が厳しく問われる、NHK側の政治への距離の問題として、独立、自立というのが欠落している、まさにそんたくして番組を改編した、このことこそ問われているわけで、今回のNHK籾井会長の就任記者会見での発言というのがこのことを想起させる、これを多くの方が受けとめていることが批判の声となってあらわれているんじゃありませんか。
 籾井会長が秘密保護法について、一応通っちゃったので、もう言ってもしようがないとか、国際放送に関連して、政府が右と言うものを我々が左と言うわけにはいかないと発言すれば、まさにBPOが指摘をした、政権幹部の発言を必要以上に重く受けとめ、その意図をそんたくして、できるだけ当たりさわりのないような番組にすることを考えているのではないか、このように視聴者が受けとめるのも当然のことではないでしょうか。籾井会長、どうですか。

○籾井参考人 お答えいたします。
 まず、私の記者会見における個人的な意見については、国会の場でも取り消しをさせていただいております。
 それから、政治との距離につきましては、我々も非常に重要なことというふうに認識しておりますし、NHKは、報道機関として不偏不党の立場を守り、何人からも干渉されることなく番組編集の自由を確保する必要がある、ジャーナリズムは国民の知る権利に応えることだと認識しておりますし、さらに、放送の自主自律を堅持することが、公共放送として信頼されるかどうかの生命線でありますから、私としましては、こういう認識で、さらに放送法を十分認識しながら、それを遵守するという姿勢で今後の業務に当たっていきたいというふうに思っております。

○塩川委員 そのようなNHKの役割やNHKの信頼を裏切ったのが、籾井会長の発言であります。NHKの生命線である権力からの自立、政府からの独立に対する見識もなく、日本軍慰安婦問題など歴史歪曲の発言を改めていない籾井会長に厳しい視聴者の意見が寄せられるのは当然だ、このことを強く申し上げておくものであります。
 残りの時間で、二〇一四年度予算での受信料値上げ計画に関連して質問をいたします。
 消費税増税による増額分を受信料に上乗せする、これが今回の予算の内容の一つとなっております。
 会長にお尋ねしますが、受信料を値上げしないためにどのような経営努力を行ったんですか。

○籾井参考人 まずもって、我々は、NHKの、業績と言うのは変ですが、経営合理化を進めていくというのは、これは誰に言われるまでもなく我々NHK経営陣の義務だというふうに思っております。したがいまして、消費税云々ということよりも、我々としては、経営の合理化に邁進していく所存であります。
 また、消費税につきましては、これは国が定めたことであります。我々はそれに従って消費税分を値上げするということになるわけでございます。

○塩川委員 もともと、NHKの受信料というのは特殊な負担金であってサービスの対価ではない、こういう立場にNHKもあるので、消費税をかけること自身が問題があると我々としては考えております。
 同時に、今の国民生活が大変な中で、受信料の値上げを行わない、こういう立場でどれだけの努力を行ったのか、そのことが問われているときに、そのことについてのお答えはありませんでした。
 ですから、本来、受信料をふやし、経費を節減することで生み出される事業収支差金があるわけです。この事業収支差金を受信料値上げを回避するために活用する、こういう考えというのはないんですか。

○籾井参考人 決算の説明で御存じと思いますけれども、二十六年度は、収入の増加と支出の抑制により確保した九十億円の事業収支差金のうち八十億円を、老朽化が進みます渋谷の放送センターの建てかえに繰り入れる計画であります。渋谷の放送センターの建てかえは、これは五十年もたっていて、我々が視聴者の皆様に恒常的なサービスを継続するためにも不可欠なことであります。
 放送センターの建てかえには多額の資金が必要なため、やはりそういう意味で、一挙に出せるお金ではありませんので、少しずつ積み立てをして、可能な限り積み立てができることで外部からの資金の借り入れを抑制し、将来の財政基盤を図っていくということが、とりもなおさず視聴者の皆様に御迷惑をかけないで済むということになるものだと私は信じております。

○塩川委員 経営努力としての事業収支差金が出た場合については、これをそっくり放送センターの建設に充てるというのがNHKの方針だということでありますけれども、私は、その点で、何にお金を使うのか、そこにやはりNHKとしての姿勢があらわれてくる、その優先順位が問われているんじゃないのか、こういうことを申し上げたい。
 もちろん、老朽化が進み、災害時の放送機能が維持されるために新たな施設への建てかえの必要性は認めるところであります。ただ、その規模や内容、建設時期、特に建設費用については視聴者の理解が大前提であります。そういったときに、この放送センターの建設の内容についてお尋ねをしたい。
 放送センターは築五十年で建てかえが必要だという話ですけれども、敷地内にはふれあいホールというのがあります。このふれあいホールというのは築十年です。この築十年のふれあいホールというのも建てかえの対象になっているんですか。

○塚田参考人 お答えいたします。
 新しい放送センターの建てかえには多額の資金が必要となるために、二十六年度から、予算においても建設積立資産を積み立てることといたしました。
 積み立てに当たりましては、現時点では建設用地や具体的な建設計画が確定していないため、現状と同規模の面積に拡張性を見込んで必要面積を想定したものであります。
 今後、建設用地が確定して、規模や建設手法を具体的に検討する際に、ふれあいホールの機能につきましても検討していくということを考えております。

○塩川委員 ただ、実際の建てかえの対象となる総床面積の中にふれあいホールを含めているというのは事実ですね。

○塚田参考人 お答えいたします。
 今申し上げました、想定をした必要面積の中にふれあいホールは入っております。

○塩川委員 ですから、築十年のふれあいホールも建てかえの対象なんですよ。こういう問題について精査というのは本当に行われているのか。
 今答弁にもありましたけれども、現時点では建設計画が確定していない。まさにそのとおりでありまして、現行の経営計画の中には、新放送センターの整備に向けた準備を開始するとあるだけで、放送センターの建設時期や建設費については何ら触れられていないですよね。この点について確認したいと思います。

○塚田参考人 お答えいたします。
 放送センターの建てかえにつきましては、平成二十一年に検討をスタートしました。平成二十三年六月からは、新放送センター建設検討事務局を設置して検討を続けています。
 現在の平成二十四年から二十六年度のNHK経営計画には、委員御指摘の、新放送センターの整備に向けた準備を開始するということ、それからあわせて、新放送センターの建設積立金として、財政安定の繰越金から四百億円を組み替えるということを明記しております。
 当時は、今後想定されます首都直下地震にも耐えられることや、決して放送をとめないためにどのような放送設備が必要なのかなどの基本的な放送センターのあり方についての検討が主でありまして、具体的な建設時期や建設費については触れておりません。

○塩川委員 今答弁にありましたように、現行の経営計画では、放送センターの規模、内容や建設時期、建設費用については何ら触れられていないんです。しかも、今答弁があったように、経営計画の収支計画上では、建設積立金を四百億円計上するだけで、積み増しをするということも経営計画上は書いていないわけですよね。
 そういう点でも、私は浜田経営委員長に最後にお尋ねしますけれども、経営計画にも詳細が記載されていない放送センターの建設費について、視聴者は何も知らされていないんですよ。それなのに、受信料の負担増だけお願いするというのは納得がいかない。予算執行の優先順位が違っているんじゃないのか。視聴者が第一のNHKであるべきで、放送センター建設ありきのような事業収支差金のやり方はおかしい。この点について、経営委員会としてどういう議論が行われていたのか、改めて見直す考えはないのか、このことについてお尋ねします。

○浜田参考人 お答えいたします。
 平成二十六年度の受信料計画は、三カ年の経営計画に基づき、七%の値下げを行った結果のものであります。消費税率の変更により、視聴者の皆様にお願いする受信料額が上がることとなりますが、これは定められた税率を適切に転嫁したものと考えております。

○塩川委員 視聴者の負担増を回避しようとするNHK側の経営姿勢が見られないということを述べて、質問を終わります。