国会質問

<第186通常国会 2014年04月16日 経済産業委員会 10号>




○塩川委員 私は、日本共産党を代表して、原子力損害賠償支援機構法の一部を改正する法律案に対して反対討論を行います。
 反対理由の第一は、東電任せの根本にある、東電を絶対に債務超過にさせず延命させる機構法の枠組みを維持し、東電を廃炉・汚染水対策の実施主体にしたまま機構に廃炉業務を付加するものだからです。汚染水、タンク漏えい対策の経緯を見れば、東電が、経営優先、安全なおざりの場当たり的対応で当事者能力がないこと、結果的に機構が何らチェックできなかったことが明らかになりました。その検証と総括がなされていません。
 第二は、国が前面に出るとして、福島復興指針と一体に、無原則な国費、税金投入に道を開くものだからです。
 質疑で明らかになったように、廃炉費用がどこまで膨らむかはわかりません。今回、事故炉の後始末の費用を、出融資など機構法の資金援助の対象に明示的に加えました。これは、廃炉会計規則変更による東電救済とともに、中間貯蔵施設に法六十八条の返済義務のない税金投入が行われたように、際限のない国費、国民負担への仕組みとなりかねません。
 福島復興指針は、国と東電の役割分担を明確にするといいますが、実際は、原発事故被害者を分断し、その権利の回復、賠償を切り捨てる一方で、事故の原因者、責任者である東電と大株主、メガバンクなど利害関係者を国民負担で救済するものです。本法案はその一環を担うものであり、容認できません。
 国費投入には少なくとも二つの前提が必要です。一つは、実質債務超過の東電を破綻処理し、まず利害関係者の責任と負担を問うこと。二つは、原発を推進してきた国の反省を明確にし、エネルギー政策を転換することです。
 第三は、原子力損害賠償法、エネルギー政策、原子力政策の抜本的見直しにつき、期限を切って政府に求めた機構法附則及び附帯決議の見直しがなされておりません。検証抜きに、なし崩し的に機構の存続を前提とした本改正案は順序が逆さまです。
 三年前の原発事故によって、大量の放射性物質がまき散らされ、福島県では東京二十三区の倍の広さの地域が無人の地とされ、今なお十四万人もの方々が避難生活を強いられています。
 ところが、政府は、東電の新しい総合特別事業計画で、柏崎刈羽原発の再稼働を織り込み、また原発を重要なベースロード電源と位置づけるエネルギー基本計画を閣議決定しました。
 原発事故被害者の存在を忘れ去ったこれらの計画は直ちに見直すことを強く要求して、討論を終わります。