○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
引き続き、地方自治法改正案について質問いたします。
最初に、調整会議のことについてお尋ねをいたします。
今回の地方自治法の改正案は、第三十次の地制調答申を踏まえて提出をされました。
お尋ねしますが、この指定都市都道府県調整会議を設置する目的は二重行政の解消というふうに承知しておりますけれども、それでよろしいでしょうか。
○門山政府参考人 お答えいたします。
指定都市都道府県調整会議でございますが、これは、指定都市と都道府県の事務処理について必要な協議を行う場として設けるものでありまして、まさに御指摘のとおり、指定都市と都道府県の二重行政の解消を図るということを目的としているものでございます。
○塩川委員 二重行政の解消を図ることを目的にしているということです。
そこで、今回の法改正に基づく調整会議のスキームについてお尋ねをいたします。
調整会議というのは、必ず設置されるということになるんでしょうか。
○門山政府参考人 調整会議の設置でございますが、本改正案により設置することとされております指定都市都道府県調整会議は、この法律が施行されますと、いわば自動的に設置されるということになるものでございまして、具体的な開催の回数ですとか開催の頻度など、会議の運営に関して必要な事項は、これは地域の実情に応じて調整会議自身が定める、こういうスキームでございます。
なお、現在も、指定都市と都道府県が協議を行うためにいろいろな会議を設置している場合がございます。そういう場合につきましても、その会議が、この改正案によって設けられる調整会議と同様の性質を持つということでありますれば、これを調整会議として位置づけるということも可能と考えております。
○塩川委員 二重行政解消を図るという目的であれば、現行の会議においてもそれを調整会議とみなすということで、要は、今回の法改正で調整会議というのはもうあるものというふうになるということであります。
そうしますと、調整会議について、要するに、指定都市の市長と都道府県の知事、その一方から要求があれば、他方が嫌だと言っても開くということになるわけでしょうか。
○門山政府参考人 余り嫌だと言うことはないんだろうとは思いますが、仕組みといたしましては、一方から要求があったときには開かなければならない、そういう仕組みになっております。
○塩川委員 一方から要求があれば必ず調整会議を開かなければならないということです。
法案では、両者の一方から、協議を調えるため必要があると認めるときは、総務大臣に対し、協議を調えるため必要な勧告を行うことを求めることができるとあります。
ですから、両者の協議が調わない場合には、結論を出すという方向で、両者の一方から総務大臣に勧告を出してもらうよう求めることができる。これが仕組みだと思いますけれども、確認したいと思います。
〔委員長退席、土屋(正)委員長代理着席〕
○門山政府参考人 指定都市の市長さんあるいは知事さんから、それぞれ議会の議決を経てでございますが、交渉が行き詰まったというようなケースにおきまして、総務大臣の勧告を求めるということがございました場合には、調整委員というもの、別途第三者の機関を任命いたしまして、総務大臣から勧告を行うことができる、こういうスキームになっております。
○塩川委員 総務大臣は勧告を行うことができるという規定も含めてお答えいただきました。
そこで言う勧告についてなんですけれども、この調整会議において総務大臣が行う勧告というのは、機関委任事務の廃止とともに国の権力的関与として地方自治法に導入された、地方自治法の二百四十五条一号のイ「助言又は勧告」、この勧告に該当するということでよろしいんでしょうか。
○門山政府参考人 御指摘のとおりでございまして、自治法に規定されております関与の一形態としての勧告でございますが、ちなみに、これはいわゆる非権力的関与と分類されるものでございます。
○塩川委員 このような勧告というのは、過去に例があるんでしょうか。
○門山政府参考人 具体的な勧告として行っているものというのは、ちょっと直ちに思い浮かびません。承知しておりません。
○塩川委員 大臣にお尋ねいたします。
要するに、指定都市の市長と知事の一方が、二重行政解消が必要だということで言い出せば、他方が嫌だと言っても調整会議を開くことになりますし、そこで協議がまとまらなければ、議会の同意を経てという手続がありますけれども、総務大臣に勧告を求めることができる、総務大臣は勧告を行うことができる、こういう仕組みということになるわけですけれども、これは、イメージとすると、現在大阪で行われております大阪府市統合本部会議、こういうものの仕組みをいわばバージョンアップして国も関与して行うような、こういうスキームと捉えていいんでしょうか。
○新藤国務大臣 大阪で行われているものだけではなくて、その他の地域でも、必要に応じてそういった調整のための会議というのは行われていると思います。先ほどどなたかの御質問にありましたけれども、市長と知事が何回会ったかという御質問が出ましたが、それ以前に、担当部局でのいろいろな調整が行われているわけであります。
今般は、特に、この一括法の中で権限移譲が明確に、しかもたくさんのものが移ることが決まります、この法案が成立すれば。それに基づいて、当然、それらについては県から政令市への移行が予測されておりますから、それらの調整を行うために会議を設けよう、そして二重行政の解消のためにそういった調整会議を役立ててもらおう、これが目的であります。
○塩川委員 調整会議において二重行政の解消を図るということですけれども、その解消すべき二重行政とはいかなるものなのかということであります。
調整会議で協議を行う、解消すべき二重行政の対象というのはどういうものが想定されるのか、このことについて御説明いただけますか。
○新藤国務大臣 これは、二重行政というものがそもそもあっていいわけがないわけでございまして、地方自治法においては、事務は重複しないようにする、こういう規定があるわけでありますね。
そうした中で、例えば、よく起きるのは、指定都市と都道府県間の二重行政といいますと、多くは任意事務であります。箱物を、県立何とか会館と市立何とか会館と、県庁所在地でもあり政令市でもあればそういったものができてしまったり、中小企業政策であるとか金融の政策、さらには地球温暖化対策ですとか、そういったものが二重になっている、こういうようなものもございます。
一方で、四次一括法によって、今回、権限移譲がなされるわけでありますから、その中での二重行政というのが仮に発生するとするならば、これは調整しなきゃいけない、こういうことでございまして、いずれにしても、これは前向きに、双方が積極的に連携に取り組む、こういう前提で調整会議を運営していただきたい、このように期待をしております。
○塩川委員 任意事務、箱物中心にというお話があって、いわば法定事務の方は事務、権限の移譲という形で行っていくということで、任意事務を中心にこの調整会議において調整を図っていく趣旨ということであります。
そこで、この任意事務を中心とした事務ですけれども、これは具体的にはどんなものが対象となっているのか、そこについて少し御説明いただけますか。
〔土屋(正)委員長代理退席、委員長着席〕
○門山政府参考人 お答えいたします。
今大臣から御答弁あったものの具体的な例ということかと存じますが、例えば、都道府県と指定都市が同一の公共施設等を整備して重複している例として挙げられますものは、指定都市と都道府県がそれぞれ図書館ですとか美術館、体育館などの公共施設を指定都市のエリアに設置するといったようなケース、それから、箱物ではございませんけれども、施策の類似のものを実施する形としましては、指定都市と都道府県がともに同様に中小企業支援のための助成金を支出するといったようなケース、それから、例えば、指定都市と都道府県が同様の目的であります地球温暖化対策、同じような事業を実施するといったようなことが例として論じられたところでございます。
○塩川委員 今もお答えいただきましたが、それに加えて、地制調の会合における資料で、具体的に都道府県と基礎自治体の二重行政の解消のための例示があります。そういうところでは、ハード重複型とソフト重複型ということで示されて、ハード重複型の具体例としては、公営住宅や図書館、博物館、体育館、プールの整備が挙げられ、ソフト重複型の具体例としては、中小企業支援、商店街支援、地球温暖化対策、環境教育、男女共同参画が挙げられております。これはそのとおりですね。
○新藤国務大臣 そういったこともございます。そして、例えば、今言っていただきましたが、重複型については、もう何度も申し上げておりますから、重ねません。あわせて、分担型としては、例えば、都道府県と指定都市で新型インフルエンザに対応する判断が異なって、効果的な封じ込めの対策ができない事態が、おそれがある、そういったものを調整しなくてはならない。それから、ゲリラ豪雨対策として、指定都市が下水道整備を行ったが、下水道を接続する県管理の河川の整備が終わっていないですとか、こういったものを分担しつつ、そこに事務処理の調整の必要が出てくる、こういった問題について取り組まなければいけない、このように考えております。
○塩川委員 具体例のお話がありました。
必要な調整もあるでしょうけれども、そもそも、今回の調整会議で行う、二重行政の解消を図るという目的の規定というのは、自治法の二条の該当部分を引用しての話になっています。大臣も先ほどもちょっと御説明になりましたけれども、二条六項に競合回避の原則もあり、また十四項に能率の原則がある、こういう立場で、それがいわば二重行政の解消を図るという趣旨だと思うんですが、その点についてだけ確認をお願いします。
○門山政府参考人 まさに今御指摘をいただいたとおりでございまして、地方自治法第二条第六項には、「都道府県及び市町村は、その事務を処理するに当つては、相互に競合しないようにしなければならない。」という規定がございますし、同じく二条第十四項におきましては、「地方公共団体は、その事務を処理するに当つては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない。」という規定がございます。
こういった規定の趣旨に基づきまして、二重行政の解消を図っていこうというものでございます。
○塩川委員 能率的な行政を図るという趣旨だと思いますけれども、例えば、こういった二重行政と言われているようなものであっても、実際には、都道府県の県民にとって、あるいは指定都市の市民にとって、それぞれ必要なものというのはあり得るわけで、それを何か、二つあるから一つにしましょうという話ではないわけであります。例えば、公営住宅にとってみても、都道府県営住宅の役割もあり、また市営住宅の役割もあるわけで、単純にそれを合わせて減らせばいいという話ではないということであるわけです。
私は、そういう点では、今回の二重行政解消を図るという調整会議の目的の規定が、二条六項と十四項を引用しているという形で規定をされているということが、結果として、こういう二重行政解消を口実にして、削減ありきの方向での調整を行うことになりはしないのか、そもそもの住民福祉の増進を図るという自治体の役割を後退させるものになりはしないのか、こういう懸念というのを持つわけですけれども、この点はいかがでしょうか。
○新藤国務大臣 これこそは、まさに、選挙で選ばれた首長がそれぞれ双方を調整するわけであります。住民ニーズやまた住民の願いを無視するような形で政策、また整理の決定がなされるとは私は思っておりませんし、そういった意味で、これは積極的に、前向きな、よりよい方向に向けての調整が行われる、私はそのように承知をしております。
○塩川委員 選挙で選んだとしても、白紙委任を市民や県民はしているわけではないわけで、そういう点でも、しかるべく物を言うということは当然の基本であります。
そういったときに、そもそも地方自治法というのは、第一条において、目的の一つとして、「民主的にして能率的な行政の確保を図る」と書かれているわけです。ですから、民主的と能率的、これはなかなか二律背反的な面がありますけれども、やはり両方追求をするんだという趣旨があるわけです。
ですから、その点で、能率的という以上は、民主的という点がどうなっているのかということがまさに問われる、背中合わせの関係として問われてくるという問題で、今回の調整会議の規定においては、その目的としてまさに能率的の側面しか掲げられていないということが、要は、結果として、自治体が住民の意思に基づき、その責任において民主的に運営されなければならないのに、能率の原則の方だけを取り出して具体化を図るということが、住民不在、住民軽視の、行政サービスの後退をもたらすことになりはしないのか、こういう懸念となるわけですけれども、この点についてはいかがですか。
○新藤国務大臣 まさか委員は、だからこういう会議は設けなくていいんだというふうにおっしゃっているのではないと思います。そうではなくて、今御心配のような、そういう住民ニーズがありながら、そのサービスが低下することがあってはならない、こういうことを御質問なのだと思います。
それは、そこの地域の住民の願いであり、また、住民の皆さんの福祉の向上を願う、これは議会、また首長の願いでもあります。そして、白紙委任をしたわけではないといいながら、その首長の決定というものは常に市民にさらされているわけであります。
そうした民主的な運営の中で、また民主主義のルールの中で、私は、こういったものが健全なチェックを受けて、そしてよりよい結果が出るもの、このように確信をしております。
○塩川委員 「民主的にして能率的な行政の確保を図る」、一方だけ取り出して行うような調整会議のそういう規定ぶりというのが、私は、やはり民主的という側面を欠落することにつながりかねないということを率直に危惧として申し上げておくものであります。
次に、広域連携の関係について質問いたします。
地制調答申等に基づく新たな広域連携の仕組みについていろいろとこの間取り上げられております。大臣が提案されたような仕組みも含めて挙げられているわけですが、そういう点では、地方中枢拠点都市圏があり、条件不利地域の市町村と都道府県との連携があり、三大都市圏の市町村間の連携、そして、この間、五年来行っています定住自立圏ということであります。そういう支援スキームとして、連携協約、事務の代替執行というのが今回図られようとしております。
そこで、地制調答申でも挙げられております集約とネットワーク化なんですけれども、この集約とネットワーク化というのはいかなるものなのかについて、簡単に御説明をいただけますか。
○門山政府参考人 お尋ねにございました、連携協約の考え方のベースとなっております集約とネットワーク化ということでございますが、これは、平成二十年五月に定住自立圏構想研究会において提唱されまして、今回の第三十次地方制度調査会の答申におきましても示されている考え方でございまして、これからの人口減少、少子高齢社会におきまして住民生活に必要なさまざまな都市機能、これを圏域の基礎自治体が役割分担するとともに、圏域全体のために活用するということを意味しております。
より具体的に申し上げますと、圏域の中心となる都市、ここの都市機能の集積を有効に活用するという観点から、中心となる都市は、近隣の地域の住民の分も含めまして、圏域全体の暮らしに必要な都市機能を集約的に整備する。それとともに、近隣の市町村の地域に確保すべき機能がございます、生活機能ですとか農林水産業、あるいは豊かな自然環境等、こういったものを近隣市町村の区域に確保し、その間で連携、交流していく。こういう考え方だと承知いたしております。
○塩川委員 そこで、地制調答申では、三大都市圏の市町村における集約とネットワーク化について、水平的役割分担の取り組みを促進するための方策を講じるべきと書かれております。
これは、具体化というのはされているんでしょうか。
○門山政府参考人 三大都市圏の地域につきましては、地方制度調査会の答申においても書き分けておりまして、三大都市圏の場合は、地方圏と違いまして、どこが中心でどこが周辺地域というように、なかなかそういう捉え方がしにくいという面があり、現実に余り連携が進んでいない面があるということがございます。
そういうことで、水平的な連携あるいは双務的な連携というものは、これからの時代、やはり三大都市圏エリアにおいても必要だろうという考え方におきまして、それをより安定的に続けられるようにするということで、連携協約という仕組みを使えるようにしようということでございます。
現在、もう既に、水平的、双務的な連携というのは実際されているところももちろんたくさんあるわけでございますけれども、そういったものが継続的、安定的にできるような仕組みをプラスしようというのが、今回の制度改正の考え方でございます。
○塩川委員 それから、小規模な市町村などで処理が困難な事務が生じた場合について、地制調答申では、都道府県による補完も考えられるとあります。
そこでお尋ねしたいのが、現時点で、小規模な市町村などで処理が困難な事務というのは生じているんでしょうか。
○門山政府参考人 小規模な市町村で、よく、処理が困難といいますか、処理するのに困っている事務として聞きますのは、例えば、福祉の分野などにおきまして、あるいは道路などの公共施設の維持管理などにおきまして、専門性を要する分野というのがございます。そういった分野につきまして、人材を確保してきちっとした行政を行っていく上でなかなか難しい面があるといったようなことは、よく具体的にお伺いすることはございます。
○塩川委員 要するに、いろいろ専門性を有する業務というのはなかなか大変だということもあるでしょうけれども、それを現行のスキームでできないのかということなんですけれども、それはどうですか。
○門山政府参考人 現行のスキームにおきましても、小規模な市町村独自でそういったものを努力してやっておられるところももちろんあると思いますし、近隣の町村あるいは近隣の都市と連携してそういったものに対処しているというケースももちろんあるわけでございますが、今回の地方制度調査会答申では、それに加えまして、例えば、小規模な町村の中でも、近隣地域に都市が存在しないですとか、あるいは山間地域にあるといったような形で都市との広域連携の仕組みがなかなか使いにくいところ、こういったところについては、都道府県に補完的な役割を果たしていただく、こういうことも選択肢としてあるだろうということで、都道府県の補完の役割というものが使えるような制度を考えるべきだという答申がされたわけでございます。
○塩川委員 地制調の答申も踏まえて、総務省において、基礎自治体による行政サービス提供に関する研究会報告書がまとめられています。
そこで、フルセットの行政からの脱却という言葉が取り上げられていますけれども、このフルセットの行政からの脱却というのはいかなるものなのかについて御説明をいただけますか。
○門山政府参考人 フルセットの行政からの脱却という言葉遣いにつきましては、第三十次の地方制度調査会答申を踏まえまして総務省内に設置いたしました研究会でございます、具体的には、基礎自治体による行政サービス提供に関する研究会というところの報告書において言及されたものでございます。
その意味するところは、人口減少社会にあっても、地域を活性化して経済を持続可能なものとして、要するに、国民が安心して生活できるようにしていくためには、単独の市町村で、基礎自治体に求められているあらゆる公共施設ですとかあらゆるサービスを全部そろえていくということ、これがそこで言っているフルセットの行政ということでございますけれども、そういうことというのは非常に困難になっている、ほとんど無理になってきているということから、そういう考え方から離れるという意味で脱却という言葉を使っております。
そういう考え方から離れて、施設ですとか事務の性格、あるいは地域の現状に応じまして市町村間で施設を共有する、あるいは共用するといったようなことも含めて連携していく、こういう考え方が大事だということを指摘されたものというふうに考えております。
○塩川委員 公共施設、サービス、一連の業務を担うフルセットという考え方から離れる、そういう趣旨として広域連携を進める、そういう考え方としてフルセットの行政からの脱却ということを使っているということです。
この報告書を少し引用しますと、「市町村が単独であらゆる公共施設等を揃えるといった「フルセットの行政」から脱却し、市町村間や市町村・都道府県間における新たな広域連携を推進することで、市町村が基礎自治体としての役割を持続可能な形で果たしていけるようにすることが必要である。」
「三大都市圏の市町村が単独であらゆる公共施設を更新し、フルセットで揃えるのは難しいことから、市町村間で連携して、維持・整備する公共施設を適切に分担・集約化し適正配置を進めるという、市町村の区域を越えた公共施設の総合的かつ計画的な管理が有効である。」
「各府省で取り組んでいる施策の中で、新たな広域連携の推進に資するものについては、関係府省が連携して集中的に支援措置を講じていく必要がある。例えば、「地方中枢拠点都市圏」を共通のプラットフォームとし、圏域で取り組む事業については、関係府省で実施している国庫補助事業において優先採択を行うべき」、こういうことが記されています。
特に、最後のところでは、関係府省の連携で新たな広域連携を進めるようなところについては、ぜひ国庫補助事業を優先採択すべきだということが取りまとめとして書かれているわけですけれども、こういった支援措置の具体化というのは行われているんでしょうか。
○新藤国務大臣 その一面を、性格を有しているのが、私どもが設けました地域活性化プラットホームであります。これは、こういった広域連携を考える中で、地制調のこういう御提言がありました。私たちはまた、地域活性化という観点からさまざまな施策を持っています。いろいろなところでこういったものを応用していけるのではないか。今委員の御指摘の部分は、まさにこのプラットホームにおいてやるべし、このように我々が目的にしているところでございます。
○塩川委員 モデルケースの募集も行って、これから選定も行う。そういう点では、パッケージで具体的な支援を行っていこうということですから、各府省の一連のメニューを挙げながら、それを具体化していこうじゃないかということです。
そこで、大臣にお尋ねしたいのが、昨年の三月二十六日の第七回経済財政諮問会議です。そこで、地方分権改革などの議論も行われて、民間議員の方が提案をされておられます。高橋進氏が民間議員を代表して提案をされた中に、コンパクトシティーという発想と定住自立圏構想をさらに融合していくような取り組みが地域でできると活性化につながるのではないかと指摘をし、その後、発言をされた新藤大臣は、今すばらしい提案をいただいたというふうに述べておられます。
しかし、コンパクトシティーというのは、都市機能の周辺部での撤退と中心部への再編集約で、一つの自治体で行っている事業ですから、それを連携を伴う定住自立圏構想と融合するというのは、周辺自治体におけるインフラの撤退であり、さらなる市町村の合併にもつながるような、こういうような融合の取り組みになりはしないのか、それは、すばらしい提案というふうにいかないんじゃないかと思うんですが。
○新藤国務大臣 私が申し上げましたのは、コンパクトシティーというのは、これは中心市街地活性化におけるコンセプトです。ですから、まずは、その市町村の中心市街地を活性化させる。それは、コンパクト化して利便性を高めるとともに、そこにさまざまな集積ができるでしょう、そういう拠点機能を持った地域をつくることと、そういったものを組み合わせた、もっと大きな定住自立圏という、コンパクトシティーと別途あるコンパクトシティー、こういったものを連携させながら、その間の市町村についてはさらに独自性を発揮していただく。トータルとしてそこの圏域が、魅力が上がり、そしてそこの活性化が促されるんではないか、こういうふうに思っているわけなんであります。
ですから、何か一つの枠に入れようということではなくて、さまざまなものをメニューとしてそろえながら、自治体の住民の発意と多様性をきちんと確保することによって、私は、地域を活性化できるのではないか、こういう考えの中で、高橋先生がお話しされたことは私の考えと非常に合致している、こういう思いで申し上げたわけでございます。
○塩川委員 コンパクトシティーというのは、もともと、人口増加の時代において、一つの都市において、中心部に住んでいる方々が郊外に移転をする、あるいは中心部にあった公共施設が郊外に移転をする。それが、人口減少時代において、それを改めて郊外にインフラ整備ということでは効率性の問題もあるだろうということで、中心部の機能を高めることによって、いわば行政サービスの提供そのものを図っていこうという趣旨であるわけです。
それを定住自立圏構想と融合という形で重ねてしまうと、結局は、郊外というのは、では、周辺自治体の話ですかという話になるわけですよ。そんなことであっては当然ならないわけです。
でも、誤解を招くようなこういう指摘であるわけですから、そこについてはきちんと言っていただかないと。
○新藤国務大臣 誤解を招くのではなくて、誤解されては困るわけでございまして、コンパクトシティーは、そもそもが、あれは商店街の高度化、そして大規模店舗が郊外に出店することによって、町の中が抜かれていってシャッター街ができる、そして経済の成長が低成長になったときに、その分散された町がその中で収拾できなくなってしまう、これを解決するためのものであります。
もう一回言いますけれども、コンパクトシティーというのは幾つもつくれるんです。定住自立圏の中に一カ所のコンパクトシティーではないんです。それから、コンパクトシティーのエリアと定住自立圏のエリアは全く違うもの、定住自立圏の方がはるかに広いものを考えていただいた方がいいと思います。
ですから、その大きな定住自立圏というエリアの中に幾つかの拠点をつくるという意味において、コンパクトシティーの手法は有効ですよ。そして、その拠点となるコンパクトシティーとコンパクトシティーをつなぐ間の郊外部については、それぞれの魅力づけを高めるとともに、連結性をよくする道路ですとか鉄道ですとか、そういったもののサービスをしなければならないでしょう。また、その間の医療サービスとか福祉サービスは、そういったものを連携しながら、合理的な、そして皆さんに行き届いたサービスができるようになるのではないでしょうか。
ですから、定住自立圏の構想の中の要素の一つとして、コンパクトシティーの構想も生かしましょう、このように私は申し上げているのでございます。
○塩川委員 それは、大臣のコンパクトシティーの理解というのが不十分だと言わざるを得ません。
コンパクトシティーというのは、大型店の郊外規制と中心部の融合の策だけじゃないんですよ。その面も、もちろんありますよ。しかし、もともと、中心部にいた人が郊外に住む、中心部にあった公共施設が郊外に展開をする。これが、人口増加時代から転換をしているような今で、そのままでいいのかということから生まれてきている考え方ですから。
こういう商業施設の集積、集約化を図るという側面と同時に、公共施設やさらには住居機能も含めて、中心部の必要な機能を確保していこうじゃないかということがそもそもの出発点であるわけで、多面的な話であるわけですから、そこはやはりきちっと分けていただかないと。
だから、そういう点では、郊外における公共施設の展開だとか住宅についても、それを中心部に持ってこようというのが、この融合という名のもとで、定住自立圏構想と重なるかのような、こういう物言いをすばらしい発想と言うのは、これはやはり改めていただくべきだと思います。
○新藤国務大臣 同じようなことを考えているんだと思うんですが、委員の方が、それは理解がどれだけされているのか、お互いの見解が違うところだと思いますね。
そもそもは、あれは中心市街地活性化法の改正と都市計画法の改正で始まりました。ですから、中心市街地の方は、商店街の郊外流出に対して、どのように中心市街地を維持するかということであります。それから、都市計画は、まさに委員が言ったように、郊外にどんどんと伸長していった都市が、経済が低成長になった時点でこれを維持できなくなっている、このことを解決させなければいけない。両方の側面があるんです。これが法律の、たしかあれは平成十五年か十六年ぐらいの改正だったと思いますけれども、そういうときに始まったことです。今委員がおっしゃっているのは、その後の事象を捉まえて、それに後追いで説明をされているように私は感じるわけなのであります。
いずれにいたしましても、これがどちらがいいということではありません。定住自立圏の中に必ずコンパクトシティーの中心市街地があるかどうかもわかりません。でも、いろいろなツールとしてメニューをそろえて、いろいろなものを融合させることで新しいまちづくりができるのではないかというのは、そういうケースがあってもいいと思いますし、そういう観点から、新しいまちづくり、地域活性化ができることは我々は大いに期待できるのではないか、こういうことで思っているわけであります。
○塩川委員 大臣が説明されているコンパクトシティーの理解というのは、まちづくり三法の話に限られているんですよ。もともと大店法があって、商業調整を行ってきた。それが、アメリカの要求もあって廃止をされることによって、まちづくり三法ができました。
これは、今後は、商業集積については商業調整という形ではなくてゾーニングでやりましょうね、都市計画法でやりましょうね、中心部のにぎわいについては中心市街地活性化法を行い、大型店の出店そのものについては環境への影響への配慮などという形で大店立地法で行うという三法で行う仕組みなわけですよ。それはあくまでも商業施設についての仕組みなんです。
でも、コンパクトシティーは、それを当然含みながら、公共施設や居住空間や、このことも含めて行うという話であるわけで……(新藤国務大臣「それは、その次の話ですよ」と呼ぶ)いやいや、コンパクトシティーそのものはそういうものですよ。そういうもので今使われているわけですから、それは、定住自立圏構想と重ねるようなことがあれば、当然、誤解が生まれるのは当たり前だということを重ねて申し上げておくものです。
残りの時間が余りありませんけれども、では、連携協約について何問かお尋ねして、きょうは終わりにしたいと思います。
連携協約については、連携協約を締結する自治体の組み合わせというのは多様だと思います。都道府県同士、あるいは市町村同士、都道府県と市町村、これはいろいろあり得ると思うんですけれども、その辺について説明をいただけますか。
○門山政府参考人 連携協約の仕組みは、できるだけ柔軟な、広域的な連携ができるようにという考え方でございまして、連携の主体といたしましては、都道府県同士ということもございますし、市町村同士ということもございますし、市町村と都道府県ということもございます。また、近接した自治体同士というケースもございますし、離れた自治体というケースもある。いろいろな局面に柔軟に使っていただける仕組みということで設計しているものでございます。
○塩川委員 この二百五十二条の二第五項に、「公益上必要がある場合においては、都道府県が締結するものについては総務大臣、その他のものについては都道府県知事は、関係のある普通地方公共団体に対し、連携協約を締結すべきことを勧告することができる。」とありますが、この公益上必要がある場合とは、どのような場合を想定しているんでしょうか。
○門山政府参考人 改正法案の二百五十二条の二第五項に規定いたしております、公益上必要がある場合というのは、例えば条件不利地域の市町村におきまして、近隣の市町村との広域連携という手法によることが困難である、そうであるにもかかわらず、都道府県との連携がうまくいかないといったようなことで連携協約が締結されていないということが起きて、それが住民の方々にとって看過できないような不利益が生じている場合、こういったような場合が考えられるということでございます。
より具体的に申しますと、例えばでございますけれども、将来、人口減少が急激に進んだというようなことによりまして、単独の自治体では、日常的な医療ですとか教育といった住民生活に不可欠なサービス、こういったものが維持できなくなるような状態が生じたような場合が想定されるものかと思っております。
ただ、具体的に勧告を行う必要があるかどうかにつきましては、個別の事案に応じまして、総務大臣または都道府県知事がその時点で判断するということになろうかと存じます。
ちなみに、この勧告でございますが、現在ございます、事務の共同処理の制度であります事務の委託ですとか、機関の共同設置、あるいは協議会の設置につきましても、同様に勧告の規定というのがございます。
○塩川委員 時間が参りましたので、きょうはここまで。ありがとうございました。
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