国会質問

<第186通常国会 2014年04月24日 総務委員会 18号>




○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 早速、最後の質問です。
 総務省にお尋ねしますが、第二十八次地制調答申、これは道州制を扱っております、及び、道州制ビジョン懇談会中間報告において、道州制のもとでの基礎自治体の位置づけがどうなっているのか、この点について説明をいただけますか。

○末宗政府参考人 お答えいたします。
 政府におきましては、これまで第二十八次地方制度調査会、それから第一次安倍内閣において開催されました道州制ビジョン懇談会において道州制についての検討が行われてきておりました。
 お尋ねの基礎自治体の位置づけについてでございますけれども、まず、二十八次地方制度調査会答申の中におきましては、基礎自治体につきまして、住民に身近な行政について総合的に担うとされておりまして、また、道州制を導入する場合には、補完性の原理、近接性の原理に基づいて、国、広域自治体及び基礎自治体の間の役割分担を体系的に見直し、権限移譲を行うことが重要である旨の記述がなされております。
 次に、道州制ビジョン懇談会の中間報告の中におきましては、基礎自治体について、地域に密着した対人サービスなどの行政分野を総合的に担う基本単位と位置づけておりまして、具体的な役割として、例えば住民の安全、安心、消防、救急、社会福祉、保育所、幼稚園、生活廃棄物収集、処理、公害対策、保健所などの役割が挙げられているところでございます。

○塩川委員 二十八次地制調、住民に身近な行政については基礎自治体が総合的に担う、この中では、現在都道府県が実施している事務は大幅に市町村に移譲、こういうことも書かれているわけであります。
 道州制ビジョン懇談会の中間報告でも、地域に密着した対人サービスなどの行政分野を総合的に担う基本単位、こういう中で一連の担うべき分野が書かれて、そういう中には、現行では中核市レベルが権限移譲を受けているような保健所なども含まれるという話であります。
 いずれにせよ、大幅な権限移譲の受け皿となるのが、道州制のもとでの基礎自治体ということです。
 続けて、内閣官房にお尋ねします。
 地方分権改革推進委員会の勧告において、道州制はどのように位置づけられておりますか。

○末宗政府参考人 お答えいたします。
 地方分権改革推進委員会の勧告におきましては、道州制そのものの内容については論じられておりません。
 ただ、地方分権改革が、国の新たなガバナンスの姿、さらには将来の道州制のあり方にも結びつく重要な課題である、そういった分権改革の関連での記述が見られるところでございます。

○塩川委員 一次勧告及び二次勧告で、将来の道州制のあり方にも結びつく重要な課題、将来の道州制の実現に向けて確かな道筋をつけるものとなると考えている、このように触れられております。
 一連の勧告では、一律の国の義務づけ・枠づけの見直し、条例委任化を進めることや、一律の事務、権限の移譲を推進してまいりました。この事務、権限の移譲といった地方分権改革は、このように道州制が射程に入っております。
 そこで大臣にお尋ねしますが、今回の地方自治法の改正案及び四次一括法案というのは、道州制とどのような関連があるのか、この点について御説明をいただけますか。

○新藤国務大臣 道州制については、これは、国と地方のあり方を根本から見直す大きな改革であります。それは、国民的議論をもってさまざまな検討が進めていかれる、こういう状態になっております。
 一方で、今、道州制の議論が行われている間でも、この間でも我々は地方分権を進めていかなければならないし、それが地域の要望であります。したがって、現状の地方制度における分権、また権限の移譲、そういったものはどのようにできるかという観点から、今回の自治法の改正と四次一括法案というものができ上がっているわけであります。
 それらで分権が進んだ、その状態をもってして、その上で、さらなる統治機構の変換があるならばその設計がなされなければいけないという意味において、分権を突き進めていった結果と道州制の設計は必ずそこに連携が生まれてくる、このように私は考えております。

○塩川委員 道州制というのは、統治機構の改革という点では、国家機構の改革と同時に地方自治制度の改革という点であります。そういう点では、それが、今回の法改正も、道州制との関係でいえばつながっていくものという指摘であります。
 今回の法案は、都道府県から市町村への権限移譲を進め、そのような権限移譲の受け皿としての新たな広域連携の仕組みも工夫をしているところでありますが、そうなりますと、今回の法改正が、道州制のもとの基礎自治体づくりと連動して市町村合併につながることはないのかという点が強く懸念をされるんですが、その点についてはいかがでしょうか。

○新藤国務大臣 市町村合併をするか否かは、当事自治体間における判断がまずあると思われます。
 平成の大合併と言われた、国として、三千二百の自治体が千七百十八まで今来ておりますけれども、これは一定の期間を経過したところであります。
 ですから、今後、それが、広域連携を行っていくことが合併につながるかどうかは、ひとえにそれは自治体の判断にかかっているというふうに思っておりますし、道州制の移行と合併の問題はまた別途議論しなければいけないことじゃないか、このように考えております。

○塩川委員 今回の法律によって、一連の権限移譲とそれを組み合わせた広域連携の仕組みというのが、市町村合併を強要するようなものになっては決してならないし、実際、しかし、道州制の導入という方向というのは、そういう点で、まさにそうならざるを得ないのではないかという強い危惧を持っているところで、国家リストラになるような道州制については、市町村に対する合併を強要するようなことにもなりかねないという強い全国町村会の反対の声もあるところであり、道州制の導入には強く反対を申し上げて、質問を終わります。