国会質問

<第186通常国会 2014年04月24日 総務委員会 18号>




○塩川委員 私は、日本共産党を代表して、地方自治法改正案並びに第四次一括法案に対する反対討論を行います。
 本法案は、一律の事務、権限移譲をさらに推進するものであります。
 第四次一括法案には、看護師、児童福祉司、保育士、食品衛生管理者、食品衛生監視員など各種資格者を養成する施設等への指定、監督業務を国から都道府県に移譲する内容が盛り込まれています。指定、監督に対する専門性や人的体制がなければ、国家資格者等の養成水準の維持が困難となる危惧は免れません。
 さらに、特例市を廃止し、人口要件を二十万以上に引き下げた新中核市を、権限移譲の新たな受け皿とすることも重大です。新中核市に必置とされる保健所について、全特例市を対象としたアンケートでは、積極的に設置を検討する市は全体の四分の一にとどまっています。人的、財政的な裏づけがないからです。新中核市となれば、現行特例市に移譲されていないその他の事務、権限も自動的に移譲されます。
 地方公務員人件費の削減を初めとする地方行革が推し進められる中、一律の権限移譲が自治体の一層の負担増と業務水準の低下を招き、結局、住民福祉の後退とならざるを得ません。
 この一律の事務、権限移譲を受けとめる仕組みとして、連携協約、事務の代替執行という新たな広域連携制度をつくろうとしている点も重大です。
 政府は、地方圏においては、新中核市と規模が一致する地方中枢拠点都市等を中心とした圏域連携、定住自立圏に取り組む圏域連携をつくり、三大都市圏においては、同規模、能力の都市間での水平的、双務的な連携をつくるとしています。また、市町村間の連携が困難な市町村については、都道府県による代替執行の仕組みをつくるものとなっています。
 また、本法案は、指定都市と都道府県の二重行政を解消するための調整会議の設置を法定化しています。調整会議は、競合回避の原則や最小コストの原則という能率性を目的にしています。これは、地方自治法第一条が、民主的にして能率的な行政の確保と要請する、この民主的という住民が主人公の観点を欠落させたものであり、公営住宅等の施設や中小企業支援、商店街振興という住民の暮らしや営業、福祉に密接にかかわる行政事務をリストラしていく道具となるものです。
 政府は、道州制の導入を目指しています。この間の一連の権限移譲やフルセットの行政からの脱却、集約とネットワーク化を掲げる新たな広域連携は、さらなる地方再編、道州制につながるものであり、看過することはできません。市町村合併につながり、地方自治を根本から覆す道州制には断固反対するものです。
 なお、維新提出の修正案については、地方自治のあり方に重大な問題を持ち込む地方自治法改正案を前提としたものであり、反対であります。
 以上を述べて、討論を終わります。