国会質問

<第186通常国会 2014年05月07日 経済産業委員会 14号>




○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。
 きょうは、参考人の皆様、お忙しい中おいでいただき、貴重な御意見を賜り、本当にありがとうございます。
 最後の質問者ということもありますので、重複するようであれば御容赦いただきたいと思います。
 最初に、澤参考人にお尋ねをいたします。
 冒頭の意見陳述の中で、原子力政策の見直しに関連して、事業環境の整備として、官民のリスク分担明確化、金融支援等という説明として、賠償リスクやファイナンスリスクなどに対する金融措置が必要と述べておられましたけれども、ここで述べておられた賠償リスクやファイナンスリスクに対する金融補完措置、これは現行にもある一般担保も含まれる、その選択肢の一つとされている、そういうお考えなのかどうか、お尋ねしたいと思います。

○澤参考人 一般担保は当然と思っていて、その上に、原子力については、欧米の例で見るように、国の債務保証であるとか、イギリスにおけるストライクプライス制の導入であるとか、そういう個別の金融措置が多分必要だろうということでございます。

○塩川委員 一般担保に加えて、イギリスで行っているような公的な金融支援措置というお話でございました。
 関連して原参考人にお尋ねいたします。
 先ほどの質疑の中で、一般担保つき社債の優先弁済規定に関連して、一般担保は解消すべき、その新規発行については制限、制約することはあり得るというお話をされておりました。
 それとの関係で、現行は三十七条、一般担保規定ですけれども、一項、二項があります。それが今回二十七条に移って、一項と四項で、その間に二項、三項が入りました。
 この二項、三項というのが新たに追加されたわけですけれども、新総特などに盛り込まれております新たな法的な措置ということで、東電の分社化のために規定をされた、いわば東電条項ではないかと思っておるんです。そういう点でも、一般担保そのものについての特別扱いがいかがかという点に加えて、東電について特別な条項を新たに追加するという今回の法案については、どのように考え、受けとめていらっしゃるのかについてお聞かせいただけないでしょうか。

○原参考人 ありがとうございます。
 東電について何らかの特別なことをしなければいけないであるとか、あるいは何か懲罰的なことをしないといけないとか、そういうことは考えておりませんけれども、ただ、あくまで一般論として、一般担保つきの社債という制度を、競争環境を阻害する形で特定の事業者だけについて認めているということは、これはやはり早急に解消していいのではないかということかと思います。

○塩川委員 続けて原参考人にお尋ねいたします。独立性と専門性を有する規制組織への移行についてです。
 前段の質疑の中でも御答弁いただいたわけですけれども、事業者の影響排除や専門性のある人材の確保や経産省からの独立、こういう観点で、より広範な規制機関に発展していく可能性もあるという御説明もございました。
 その点で、一方で、昨年の電気事業法の第一弾の改正において附帯決議が付されておるんですけれども、その附帯決議の規制機関の部分というのが、「必要最小限な組織とし、肥大化は極力避けること。」と規定されています。
 ですから、膨大な肥大化などは当然想定されるものではないと思うんですけれども、こういう書き方ですと、結果として、小ぢんまりとしたもので、資源エネ庁のちょっと切り出しで、あるいは、切り出すのかどうかもわからないんですけれども、そういった点で、本来の規制機関としての役割を果たすことができなくなるようなことになりはしないのかという懸念も浮かぶんですが、こういうことについてお考えがあればお聞かせいただけないでしょうか。

○原参考人 ありがとうございます。
 行政の無駄な肥大化を防がないといけないというのは当たり前のことであって、それは当然そうだと思いますけれども、ただやはり、過去二十年あるいは三十年ぐらいの日本のいろいろな規制改革を見たときに、事前規制から事後規制に転換していくであるとか、あるいは競争規制に転換していくということをやったときに、本来、事後型の規制であったり競争規制というのは、きちんと監視をする、市場がきちんと機能しているかどうかを監視するというところが非常に重要なわけでありますが、そこの部分が十分できていないということが間々見られるように思います。
 これは、事前規制だと、お墨つきを与えないと物事が動かないという仕組みなので、比較的小規模な規制機関であっても足りたりするわけですけれども、そこは、必要な規制機関はきちんと置く。これは、人をふやすことが大事なわけではなくて、監視機能を十分に持たせるということは当然必要だろうと思います。

○塩川委員 ありがとうございます。
 河野参考人にお尋ねいたします。
 河野参考人の、総合資源エネルギー調査会基本政策分科会の会合などにおいての発言を拝見いたしました。そういう中では、原子力発電は決して安くはない、環境負荷も大きく、安全ではない、透明性のある議論が行われていないという発言が紹介をされておりますが、その意図するところについて少し御説明いただけないでしょうか。

○河野参考人 原子力発電をどう見るかなんですけれども、確かに、資源が乏しい日本において、産業と国民の暮らしを守るために、さまざまなエネルギーを効率よく利用していくことは重要だというふうに思っております。
 一方、原子力発電に関しましては、福島第一原発事故を契機に、覆い隠されていた問題がやはり表出したのではないかというふうに消費者は見ております。一番の危惧のもとというのは、先ほども申し上げましたように、いまだ四万人もの国民がふるさとに戻れないという現実があるということだというふうに思っております。
 さらに、二〇一〇年の時点でエネルギー基本計画を策定した際は、私たちは、やはり地球温暖化にどう立ち向かっていくのかというのが一番大事なテーマだというふうに思っておりました。今でも重要なテーマなんですけれども、そう思っておりましたので、環境負荷が少なく、低炭素社会に貢献するというふうに思っていたところですが、その後、さまざまな電気料金の値上げ審査等を含めまして、核燃料サイクル計画の頓挫ですとか、最終処分場の問題ですとか、バックエンド費用や廃炉費用など、ライフサイクルで考えたときに、先ほど御指摘いただいたように、必ずしも安全でも安価でもないというふうに気づいているというのは、これは紛れもない事実だというふうに思っています。
 原子力に依存しない暮らしを可能にするためには、ただ怖いからとか反対だからというだけでは何の実効性もないというふうに私自身は思っております。本当に、国と企業と国民は、それぞれがどういう責任において何をどういうふうに負担していくのかということを情報提供していただいてしっかりと議論していく、納得のいく議論がやはり必要なんだというふうに思っています。やはり今後に向けても、そのあたりは、国民もしっかりそこの議論する場にぜひ呼んでいただいて、かかわっていければというふうに考えております。

○塩川委員 ありがとうございます。
 続けて、河野参考人に電気料金の関係でお尋ねいたします。
 昨年の電気事業法の参考人質疑でもこのことはお尋ねしたところなんですが、昨年は辰巳菊子参考人においでいただきまして、その際にも、総括原価方式で何が積み上げられていたか、すごく見える形になったということは有効なこと、規制がゆえに審査されているという仕組みというのは非常にいいことだ、私たちとしては知ってしまった以上もう少し知りたいというお話をいただきました。
 この点でも、河野参考人が、電気料金審査専門小委員会の中においても、総括原価方式は難しい算出規定に基づく一方的な料金決定方法に思えたが、消費者が過度な負担を負わないようにする仕組みでもあることも勉強したというお話もされておりましたし、きょうの意見陳述でも、国及び事業者による消費者への積極的な情報開示を要望されております。
 そういう点で、やはり電気料金がブラックボックスであってはいけない。そういう点でも、この情報開示、この間、一部開かれてきておりますので、その情報開示が後退するようなことがあってはならないと思うんですが、その点、消費者の立場からのお考えをお聞かせいただけないでしょうか。

○河野参考人 私も、ここのところの電気料金値上げ審査にはオブザーバーとして立ち会わせていただいております。
 私、現在の審査に関しましては、本当に透明性のある議論をして、より納得のいく形で電気料金を決めようということで、ここのところの経済産業省さんと、そこの場に置かれている電気料金審査専門小委員会の委員の皆様の御努力、それから、そこに出てきてくださっている事業者さんの情報提供のあり方ということに関しましては、改めて消費者として不勉強だったことを恥じるとともに、非常に透明性のある議論が行われてきたというふうに思っております。
 ただ、やはり出されてきた資料を拝見しますと、使われていないというか、稼働していない原子力発電の費用も全て、当然のことながら、決まっているからそこに乗ってくるというふうな形で、消費者にとってみますと、改めて、今現在の電気料金のやり方というのは、なかなか簡単には理解できないといいましょうか、複雑な形だというふうに思ったところです。
 ですから、今後に向けてこれが自由化されますと、それこそ自由競争の世界。今は規制がかかっていますから、当然情報開示の義務がありますから出てくる情報も、自由化されたときには今度は出てこない。逆に、適正な競争によって、そこのところは最終価格に反映されていればいいじゃないかということになるかもしれませんが、そのあたりもぜひ、事業者の方と消費者というのは必ずしも対峙するといった関係ではございませんで、お互いに情報開示で納得のいくというところは、今後の公正な市場においても大事なところだと思います。
 ですから、自由化になったとしても、どういうふうにこの料金は組み立てられているのか、企業秘密でないところはぜひ明らかにしていただいて、私たちの適切な選択に資するような形であってほしいというふうに思っております。

○塩川委員 ありがとうございます。
 次に、松村参考人にお尋ねします。
 最初に、託送料金の関係なんですけれども、託送料金について、この間の情報開示、エネ庁の方なんかでも、例えば、特別高圧が二円前後で、高圧が四円前後で、低圧が八円から十円というふうに大きな差があるということなども示されました。これなどは変圧費用の違いだけで説明がつくのかなと率直に思うんですが、こういう託送料金で差があるという現状についてはどのように受けとめていらっしゃるでしょうか。

○松村参考人 まず、特別高圧と高圧も違う、高圧と低圧も違うということは必然的に出てくると思います。どうしてかというと、低圧にだけ使う設備というのがあり、高圧には使わないもの、あるいは高圧は使うけれども特別高圧は使わないもの、こういう設備が厳然として存在するために、料金の差が出てくるというのは、必然的にそうなると思います。
 ただ、今言及された料金水準が本当に適正かどうかということについては、厳密に検証されていません。特に低圧の料金に関していえば、今までは規制料金だったので、これが本当に託送料金なのか、それ以外の料金なのかという区別をする意味が余りなかったわけですね。どの道、どっちに配分されたとしても家庭用の料金になるからということなんですが、これから自由化されてくれば、それは本当に託送の料金なのか、そうでないのかということが極めて重要になってきます。
 特に、配電のコストというのは、営業のコストとの区別ということによって、この値が大きく変わってくるという可能性は十分あると思いますので、ここの精査というのは、今までの料金審査以上に、特にこの部分に焦点を当てた形で一生懸命やらなければいけないところだと思います。
 したがって、この料金水準が本当に出てくるかどうかに関してはまだわからず、本当にこの水準が出てきたとすれば、私は、高過ぎるのではないか、もっと精査が必要なのではないかという発言をすることになるかと思います。

○塩川委員 適正かどうかの検証がされていないという点で、この点では、松村参考人の、電力システム改革小委員会の制度設計ワーキンググループでの発言などを拝見しますと、事務局試算の低圧託送料金について、こんなにコストが高いのかとショックを受けているという話もされて、そういう点では、今お話しされたような低圧託送料金の妥当性についての検証が必要です。
 そういう点でも、例えばオール電化の問題が実際どうなっているのか、あるいは事業報酬率がどうなのか、こういう点については、現行はまだ十分検証、検討されていない段階ということで受けとめていいのか、それについて今後どういうふうにしようとしているのか、この点についての御見識があればお示しいただけないでしょうか。

○松村参考人 事業報酬率については、既に具体的にいろいろな方が議論をしています。
 どういうことなのかというと、送配電部門は、相対的に安定的な、今までと同じように独占企業が規制料金で徴収するという形になり、需要の離脱ということも基本的にほとんど考えられないような安定的なものですので、これと、比較的リスクの高い発電事業というのと、同じ報酬率でいいのかというのに関しては既に問題意識として出されており、どう考えても託送部門の方が報酬率が高いという理屈はないと思いますから、この点については見直しがされると思います。実際の料金のつくり方というのも、今までの小売料金と本当にコンシステントなのかということについても、同じく検証されることになると思います。

○塩川委員 ありがとうございます。
 続けて松村参考人に、広域的運営推進機関で、今回、発電所の建設者を公募する業務というのが追加されました。本来、昨年の法改正で入れられた広域機関ですけれども、今回入ったというのは、要するに、どのような場合が想定されるのかとともに、何で昨年じゃなくてことしなのか、その辺の経緯とかもわかれば教えていただけないでしょうか。

○松村参考人 昨年ちゃんと書くべきだったのではないかというお叱りだとすれば、委員の一人として反省いたします。申しわけありませんでした。
 しかし、これに関しては、かなり長い期間のものですので、今回の改正に盛り込んだのでは遅過ぎるなどということは絶対にない。その結果として何か弊害があるということはあり得ないと思います。
 特に入札のことに関しては、安定供給ということとすごく関連しているということで、それから、澤委員も御指摘の容量メカニズムとの関係とかということも議論しなければいけないという側面もありますので、そのような議論を一定始めてから組み込まれたということがあったとしても、必ずしも不自然ではないのではないかと思います。
 いずれにせよ、国民の皆様に御迷惑をおかけしたということは決してないかと思っております。

○塩川委員 時間にもなりましたので、以上で終わりにしたいと思います。本当にありがとうございました。