国会質問

<第186通常国会 2014年05月14日 経済産業委員会 16号>




○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 きょうは、当初予定していた順番を変更しまして、託送料金の方から最初にお尋ねしたいと思います。
 制度設計ワーキンググループの事務局提出資料、去年の十月二十一日に「小売全面自由化に係る詳細制度設計について」というのが出ておりますけれども、その中で、「託送料金原価に含まれる費用の扱い」というようなペーパーがあります。このポンチ絵で、冒頭のところに、「現行託送制度においては、電気の全需要家が公平に負担すべきものとして、送配電部門に係る費用のほか、「電源開発促進税」や「原子力バックエンド費用(既発電分)」の費用を託送料金を通じて回収している。」「小売全面自由化後の託送制度においても、電気の全需要家が公平に負担すべき費用については、負担の公平性や事業者間の競争条件の確保を前提に、託送料金で回収できる仕組みとすることが必要」ということで、託送料金で回収できるものは何なのかという整理としての文言があるわけですけれども、ここで挙げられている託送料金との関係で、電気の全需要家が公平に負担すべき費用というのはいかなるものなのか、その辺について簡単に御説明をいただけますか。

○高橋政府参考人 お答え申し上げます。
 この資料で例示をしております電源開発促進税それから原子力のバックエンドの費用ということを託送料金で回収しているわけでございますけれども、電源開発促進税につきましては、現行制度におきまして、一般電気事業者の送配電網を介して供給する電気に課税をしてございまして、新電力の供給する電気も含めまして、託送料金を通じて課税をされているという状況でございますので、そういう税の性質上、需要家が公平に負担すべきものということで整理をしているものでございます。
 それから、使用済み核燃料の既発電分、使用済み核燃料再処理費用等の費用でございますけれども、その既発電分ということでございます。これは、平成十七年十月より使用済み燃料の再処理費用についての積立制度を創設いたしておりまして、その費用は基本的には発電費用として原価計上することになっておるんですけれども、その制度の発足前に発電した部分につきまして、積立制度創設前の発電分の再処理費用につきましては、制度創設前には合理的な見積もりができなかったということで、当時の検討会などで整理をした結果、その発電によって利益を受けた全需要家から公平に回収する必要があるということで、託送料金として回収するということで整理をされたものでございます。
 個別の事情に応じて、こういった観点から検討していくべきものだと考えております。

○塩川委員 個別の事情に応じて検討していくというお話でした。
 その中で、具体的に説明がありました電源開発促進税や使用済み燃料再処理等の既発電費のことが今ありましたけれども、資料をお配りいたしました。原発関連についていろいろな賦課金があるわけですけれども、ここで紹介をしているのが、営業費などでも項目が立っているものですけれども、使用済み燃料の再処理費、これは今説明があった既発電費と発電費が入っているわけです。それから、特定放射性廃棄物処分費、原子力発電施設解体費、原子力損害賠償支援機構一般負担金、電源開発促進税、こういうものがあるわけです。
 そこでお尋ねしたいのが、これらの費用については、現在どこに含まれているのか。託送料金なのか、発電の方なのかどうなのか、その辺はどうなっているんでしょうか。

○高橋政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほど私が御答弁申し上げました電源開発促進税、それから使用済み核燃料の再処理費用等の既発電分につきましては託送料金で回収してございますけれども、それ以外の、原子力発電の解体費用、それから損害賠償一般負担金等については発電の費用として計上されております。

○塩川委員 一般負担金もそういう整理ということでよろしいですか。

○高橋政府参考人 原子力損害賠償支援機構法に基づく一般負担金につきましても、原子力発電の発電の費用として計上しております。

○塩川委員 これらの費用については今後どうなるのか。この電力システム改革が進められる中で、今後、託送料金に含まれることはあるのか、それとも違う整理なのか、その点についてはどうでしょうか。

○高橋政府参考人 お答え申し上げます。
 システム改革の進捗に合わせまして、今、一般電気事業者の経費に係っているものについてどのような費用で回収するかということでございますけれども、基本的には、託送につきましては、託送業務に係る費用を回収するということでございます。
 先ほど申し上げましたとおり、全需要家が公平に負担するべき費用として、負担の公平性あるいは事業者間の競争条件の確保を前提に、託送料金で回収すべきものがあるかどうか、これについては必要に応じて検討していくということでございまして、今現状は発電費に入っておりますけれども、今後については、もしそういう必要があれば検討していくということでございます。

○塩川委員 電源開発促進税などは法文上も託送料金と書いてあるわけですけれども、その他不明なものもあるんですが、これについてどっちかということについては、この場じゃはっきりしないということですか。そこら辺が見えるような形で説明いただきたいんですが。

○高橋政府参考人 お答え申し上げます。
 電力システム改革に応じて、どういうものを託送料金で回収するかということでございますけれども、例えば、広域機関が電源を入札するときにその補填をするための費用などは、この制度上、託送料金として全需要家から公平に回収すべきものだというふうに私ども今考えておりますけれども、それ以外のものについて、現時点で、こういったものが、どういうものがそれに該当するかということにつきましては、具体的には検討してございません。

○塩川委員 具体的に、こういうものは、どういう形で賦課されるのかについての見える化が必要だと考えます。再エネ法においては、賦課金については明細のところにも出される。それは総括原価の外だからという説明なんかを電事連会長なども説明しておりましたけれども、そういうことにとどまらず、しっかりとした、原子力関係のいろいろな賦課金があるわけですから、そういうのをきちっと明示することが必要だということが求められております。
 その関係で、使用済燃料再処理等既発電費の部分ですけれども、これを託送料金に乗せるという際の議論があったわけですよね。
 それが、二〇〇四年の「総合資源エネルギー調査会電気事業分科会中間報告 バックエンド事業に対する制度・措置の在り方について」の中で、この使用済燃料再処理等既発電費については、託送の仕組みを使い、最終需要家から回収することとしたわけですけれども、その報告書の中を見ますと、送配電費用とは性格が異なるものだ、そこで、「請求書等に、既発電分の金額を明記するなどの方法をとることが適当」としておりました。
 この中間報告では、送配電費用と違うんだから、送配電費用と性格が違うものを入れるとするのであれば、それがわかるようにする必要があるでしょうということで、請求書等に金額を明記するなどの方法をとることが適当としたんですけれども、これはどのようになったんですか。

○高橋政府参考人 お答え申し上げます。
 使用済燃料再処理等既発電費につきまして、これは、平成十六年の経済産業省の審議会において回収方法を検討した際に、受益者負担、競争中立性の観点から託送料金のスキームを用いることとされましたけれども、当然、送配電費と費用性格が異なるということから、両者が混同されないよう、その請求書等に金額を明示することを求めておりまして、そのような対応がなされております。

○塩川委員 例えば、御家庭のところなんかにもわかるようになっているんですか。

○高橋政府参考人 お答え申し上げます。
 一般電気事業者におきます自由化部門の小売料金の請求においては、この明細の単価の記載がございます。それから、新電力に対しまして一般電気事業者から、託送料金の請求料金明細書につきましては、この単価の記載がございます。規制料金の小売料金については、この記載はございません。

○塩川委員 でも、このときのやりとりというのは、別に自由化も例示としてありますけれども、それはPPSの方にもしっかりとわかるようにしましょうねという趣旨であるわけですが、基本は全需要家との関係で書いているわけですから、全需要家であれば、御家庭も含めてしっかりと請求書等でわかるようにしましょうねというのが本来の趣旨なんじゃないですか。
 そういうことをやることの方がより実態に合ったものになる、この趣旨に合うものになると思うんですけれども、それをなぜしないんですか。

○高橋政府参考人 当時の議論では、先ほど申し上げたとおりでございますけれども、これは規制料金の料金水準につきまして規制で査定をしてございまして、その際の内訳は情報公開されておりますけれども、実際の原価自体は、料金算定後、実際の需要や発電量が変動いたしまして、個々の費目が日々の料金において実際どれだけかかるかというのは、規制の査定の部分と実際部分が離れる部分がございまして、原子力関係のこの費用につきまして記載をしていない扱いとなっているということでございます。

○塩川委員 家庭も含めてもこういった既発電分について負担をするという趣旨になっているわけですから、そういうのがはっきりと見えるということこそ、本来この趣旨にのっとったやり方だと思うんです。
 その点、大臣にもお尋ねしますけれども、きちんとした、こういった賦課されるような経費について、やはり全需要家、家庭も含めてわかるような、そういう見える化を図る必要があるんじゃないのか。今言ったこういう既発電分も含めて、例示をしたような原発関連のいろいろな賦課されているこういう費用について、家庭にもわかるようなそういう明細の開示ということが必要だと思うんですけれども、大臣の御答弁をいただきます。

○茂木国務大臣 一般論で言えば、できる限り情報について家庭も含めた需要家に開示をしていくということだと思いますけれども、電力の明細書をごらんになっても、どこまで細かいものを各家庭が求めているか、事情はそれぞれ違うんだと思います。求める方に対して適切な形で情報を提供する、そのあり方については今後検討してまいりたいと思っております。

○塩川委員 現段階についてのきちんとした開示ということが求められるということと、同時に、今回の法案との関係でも、これは、切り分けられた送配電事業者の託送料金との関係で、結局、公聴会はなくなります。BツーCとの関係で公聴会があったんだけれども、BツーBだから公聴会はないということです。
 でも、これは、需要家に負担を求めるというものであれば、何が入っているかわからないまま政府や事業者にお任せというわけにはいかないわけですから、こういった託送料金について、やはり改定をするようなときにはしっかりと公聴会を行うということが必要だと思うんですが、この点はいかがですか。

○高橋政府参考人 お答え申し上げます。
 電力システム改革が進展した後の託送料金でございますけれども、これは一般送配電事業者と小売電気事業者との間の事業者間の取引に係るものでございまして、消費者と直接契約を結ぶものではないということで、私どもとしては、広く一般の意見を聞く、そういう公聴会を開催する必要はないというふうに考えてございます。

○塩川委員 最終的な需要家の負担というところにあらわれるわけですから、そういう点ではしっかりと消費者、利用者にわかるような形というのは求められる。その一つが公聴会だったわけですから、それをなくす必要はないということを重ねて申し上げておくものであります。
 次に、固定価格買い取り制度の関係で、再エネについてですけれども、優先給電のことについて御質問をいたします。
 最初に、固定価格買い取り制度における再エネの優先給電とはどのようなものなのかについて、御説明をいただけますか。

○木村政府参考人 再生可能エネルギーの優先給電でございますが、一般電気事業者が、再生可能エネルギー発電事業者から再生可能エネルギー電気の買い取りを求められた場合に、みずからが保有し、または別途調達をしております一定の電源、これは再エネ特措法上は火力でございますけれども、を抑制してでも再生可能エネルギー電気を優先的に受け入れなければならない、そういったルールを優先給電と申しております。

○塩川委員 この点では、原子力はどういうふうに位置づけられているんでしょうか。

○木村政府参考人 現行のルールでございますが、これは非常に込み入った条文になってございますけれども、再エネ特措法の施行規則で、回避措置ということで規定をしてございまして、その中で、回避措置の対象にならない電源として、太陽光、風力、原子力、水力及び地熱ということで規定をしておりますので、原子力発電につきましては出力抑制の対象にはならないということでございます。

○塩川委員 出力抑制の対象として原発は入らないということですと、結果とすると、再エネよりも原発が優先されているということですよね。

○木村政府参考人 あくまでも、再生可能エネルギーの特別措置法における体系上の整理といたしましては、優先給電の対象としては原子力は火力並みではないということでございます。