国会質問

<第186通常国会 2014年05月16日 経済産業委員会 17号>




○塩川委員 私は、日本共産党を代表して、電気事業法等の一部を改正する法律案について反対の討論を行います。
 本法案は、三年前の東日本大震災と福島第一原発事故の教訓を踏まえ、戦後の電力システム改革の第二段階のものとされていますが、以下、重大な問題点を持つものです。
 第一は、新たな一般担保条項の問題です。
 新エネルギー基本計画は、原発を重要なベースロード電源と位置づけました。東京電力の新・総合特別事業計画、新総特は、本年七月以降、柏崎刈羽原発を順次再稼働させるとともに、二〇一六年度に東電をホールディングカンパニー制に移行し、持ち株会社グループの分社子会社の成長計画を大前提としたものです。政府はこれを電力システム改革の先取りと位置づけています。
 しかし、実質債務超過の東電は、本来、破綻処理し、株主や貸し手の責任を問い、一時的に国有化するのが筋道です。ところが、法案は、メガバンクの身勝手な要求に応じて一般担保つき電力債の発行を新たに持ち株会社や子会社にも認めて、新総特の実行を後押しするもので、いわば東電条項ともいうべきものです。これは附則の見直し方向とも合致しません。
 参考人質疑でも明らかなように、原発など大規模集中電源の開発のため巨額の設備資金調達を保障する一般担保の公益特権はその役割を終え、今や足かせです。きっぱり廃止することこそ本則にすべきです。
 第二は、本法案の目玉である小売参入全面自由化とエネルギー産業の再編問題です。
 発送配電一貫体制の大手電力会社を三つの類型に分けることは当然です。しかし、原子力、火力など巨大な独占的発電事業者が届け出制にされることに伴い、原発付加金などの料金コストが一層見えなくなり、さらに公聴会の廃止により、消費者、国民にとって託送料金など原価情報のブラックボックス化が進むことは容認できません。
 本法案によって従来の電力独占のガリバー支配を打ち破れるのか、また、既存電力大手と新規参入の鉄鋼、ガス、石油、総合商社や外資企業などの巨大独占大企業間の再編が、中小企業、市民、地域経済と乖離して進み、単に利権の場がふえるだけならば、形を変えた電力市場の規制なき独占となりかねません。
 質疑で明らかになったように、再生可能エネルギーの爆発的普及の障害となっている原発優先給電の仕組みを変える方策も展望も見えません。
 需要家の選択肢の拡大と系統運用など情報の全面的開示を両立させる制度設計、国民に開かれた公正な市場と競争条件の整備、そして新しい独立した強力な民主的規制機関の創設による国民的監視の強化など、電力独占への民主的規制と再エネ、地域循環システムへの大転換を柱とする電力民主化こそ求められています。
 なお、維新、結いの党の修正案は、以上述べた根本的問題点を解消するものではないので、賛同できないことを申し述べ、討論を終わります。