国会質問

<第186通常国会 2014年05月16日 経済産業委員会 17号>




○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 電気事業法改正案について質問いたします。
 最初に、経済産業省に、新・総合特別事業計画、新総特について、今後の収支計画はどのように記載をされているのか、その際に柏崎刈羽の再稼働がどのように位置づけられているのかについて、御説明をいただけますか。

○高橋政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘の東京電力の新・総合特別事業計画におきまして、柏崎刈羽原発につきましては、収支計画におきまして、「柏崎刈羽原子力発電所六・七号機は、審査期間等に関して、原子力規制委員会が審査作業の目安としていた期間を踏まえ、原子力の新規制基準施行後の認可となった電力他社の料金改定における原子力再稼働の織り込み方等も参考に、二〇一四年七月から順次稼働するものと計画上仮定した。」と記載されていると承知しております。
 なお、この記載につきましては、あくまで収支計画上の仮定として置かれたものと理解をしておりまして、実際の再稼働につきましては安全確保が最優先でございますので、再稼働のタイミングに対してこの記載が予断を与えるものではないと考えております。

○塩川委員 新総特におきましては、柏崎刈羽について、二〇一四年七月から順次再稼働と記載をされているということであります。
 そこで、原子力規制委員会の田中委員長にお越しいただきました。
 昨年の泉田新潟県知事と広瀬東電社長とのやりとりを踏まえて、東電柏崎刈羽原発六、七号機の原子炉設置変更許可申請書の件ですけれども、泉田知事は、柏崎刈羽原発六、七号機の規制基準適合申請に対する規制委員会での審査に当たっては、避難計画との整合性をとらない限り、フィルターベント設備の運用は開始できないということを東京電力の申請書に明記してもらいましたと述べておりますけれども、そのようなことでよろしいでしょうか。

○田中政府特別補佐人 ただいま御質問のありました件ですけれども、東京電力から提出されました設置変更許可申請書においては、「格納容器圧力逃がし装置及び代替格納容器圧力逃がし装置は、立地自治体の了解の後に運用開始するものであり、既に設置している耐圧強化ベント系と併せて、立地自治体と協議のうえで定める事業者防災業務計画に基づき、避難状況の確認等を行うことを手順等に明記する。」と記載されております。

○塩川委員 いわゆる避難計画との整合性をとらない限りフィルターベント設備の運用は開始できないということを東電の申請書に明記してもらったかどうかという確認なんですが、原発の安全性を高めるというのであれば、原子力施設への厳しい規制を求めるだけではなくて、住民の防護対策が欠かせない、まさにそここそ問われるべきところであります。広域避難対策や避難困難者への対応など、避難計画が欠かせません。
 田中委員長にお尋ねしますが、泉田知事は、避難計画と整合性がとれないままゴーサインを出すのであれば、規制委員会は住民の安全を全く守る意思がないことを示すことになるとも述べておりますが、この点についてはどのように受けとめておられますか。

○田中政府特別補佐人 フィルターベントにつきましては、深層防護の考え方に立って、さらなる対策として、万一、炉心が損傷し、格納容器の圧力が上昇した場合も想定し、格納容器の破損による放射性物質の大量放出を防止するための圧力低減対策として整備を求めているものでございます。この要件を満たしているかどうかを私どもとしては厳正に審査していくことにしております。
 また、原子力災害対策指針との関係においてですけれども、私ども原子力規制委員会は、人と環境を守るということが最大の使命であります。ですから、そういった観点において、こういったさまざまな規制基準を設けております。
 なお、原子力災害対策指針においては、原子力発電所からおおむね五キロ圏のPAZについては予防的防護措置として放射性物質の放出前から避難や屋内退避を開始していただき、また、五から三十キロメートルに相当しますUPZ圏内においては放射性物質の放出前から屋内退避を行っていただくことになっております。
 現在、こうした考え方に基づいて、各自治体において避難計画の策定が進められていると認識しているところでございます。

○塩川委員 人と環境を守るということをおっしゃるのであれば、まさに住民の安全確保こそ欠かせないわけでありまして、新潟県からは原子力規制委員会に要望書が出されているわけです。それは原子力施設の安全対策のみならず住民等の防護対策について求めるもので、そういう中においては、しっかりとした、避難困難者への対応をどうするのか、広域避難をどうするのか、こういう問題についてきちんと示していただきたいというのがあるわけですけれども、それが示されないままに進んでいることが問題だということを言っているわけです。
 そういう点でも、重ねて伺いますけれども、避難計画がまともにつくれない、そういう整合性がないままゴーサインだけ出すようなことがあれば、規制委員会は住民の安全を全く守る意思がないということを示すことになるというふうに思うんですけれども、いかがですか。

○田中政府特別補佐人 先ほどの繰り返しになりますけれども、原子力災害対策指針の作成については私どもの仕事でありますので、それについては指針を提示しております。その中で、先ほど申し上げましたように、五キロ圏のPAZについては予防的防護措置として放出前から避難や屋内退避を開始していただく、また、五から三十キロ圏のUPZについては放射性物質の放出前から屋内退避をしていただくことになっております。
 なお、具体的にそれをどういうふうに行うかということにつきましては、それぞれの地域によって状況が違いますので、各地元自治体が中心になって策定をしていただいているというふうに認識しております。

○塩川委員 そもそも指針に、広域避難の場合、受け入れ先がどうなるのかということなど書いていないわけですよ。受け入れ先がなければ避難できないんですから。そういった問題を含めて、そもそも指針そのものが不十分だということを言わざるを得ませんし、本来の原子力の規制ということであれば、私は、きちんとした避難計画を含めた住民の安全確保策に対してしっかりと示すことこそ本来の規制基準であるということを申し上げておくものであります。
 大臣に最後にお尋ねいたしますが、避難計画は自治体の仕事だから規制委は関係ないというわけにはいかないということも申し上げたわけですが、原子力の安全というのは住民の安全を確保することであります。そういった住民の安全確保策が図られないままの再稼働などは認められないのは当然のことであります。
 柏崎刈羽原発の再稼働なしには成り立たないのが新総特でありますが、その新総特の具体化を図るというのが本法案であり、これは結果として原発の再稼働を後押しする法案とならざるを得ないのではないのか。この点についてお伺いをして、終わりにしたいと思います。

○茂木国務大臣 この法案、電力システム改革の第二弾をしっかりと進めるための法案である、このことは委員会の中でも丁寧に御説明を申し上げてきたところであります。
 また、柏崎刈羽を含みます原発については、いかなる事情よりも安全性を最優先し、その安全性については独立した原子力規制委員会が世界で最も厳しい規制基準のもとで判断していくことになります。
 同時に、規制委員会が策定をいたします災害対策の指針は、各自治体におきまして防災計画、避難計画をつくる上で大きな助けになるものである、このように理解をいたしております。

○塩川委員 一般担保つき条項の改正で、新総特の目指す東電のホールディングカンパニー化、分社化を後押しするわけで、そこにおいては、まさに新総特では原発の再稼働は大前提となっているという点でも、再稼働を後押しする、そういう中身だということを申し上げて、質問を終わります。