国会質問

<第186通常国会 2014年05月20日 本会議 25号>




○塩川鉄也君 私は、日本共産党を代表して、電気事業法等の一部を改正する法律案に対して、反対討論を行います。(拍手)
 電力改革は、本来、三・一一原発事故の教訓を踏まえて、戦後の発送配電一貫体制、電力独占のガリバー支配の打破と根本的な転換のために、原発政策、東電改革とセットで解決されなければなりません。
 ところが、電力改革第二弾の本法案は、以下、三つの重大な問題を持っています。
 第一は、新たなエネルギー基本計画との関係です。
 大規模集中型電源の典型である原発をベースロード電源とすることで、電事連代表らは、本法案の電力需給、予備力確保義務を口実に、原発再稼働や、新たな国策民営策まで主張しました。しかし、これは、原発事故の教訓を酌み取らない旧来型の発想であり、国民が求める電力改革に反するものです。
 第二は、東電改革の新総合特別事業計画、新総特との関係です。
 東電は、既に実質債務超過企業で、本来は、破綻処理し、株主やメガバンクなど貸し手責任を問い、一時的に国有化されるべきです。
 ところが、原賠機構法改定によって東電を延命させた上で、新総特によって、柏崎刈羽原発の再稼働と、持ち株会社グループ一体経営による、エネルギー企業の再編がもくろまれています。本法案は、特権的な一般担保つき電力債の新規発行を認める、いわば東電救済条項によって新総特を担保するものです。メガバンクの身勝手な要求に応えるもので、認めることはできません。
 第三は、本法案の目玉である、小売参入と発電の自由化に関する問題です。
 原子力など巨大な発電事業を届け出制に規制緩和し、送配電事業に関する公聴会も廃止することは、原発付加金など原価情報のブラックボックス化を招くものであり、容認できません。
 法案により、既存電力大手と新規参入の鉄鋼、ガス、通信や外資など巨大独占企業間の再編がもたらされる一方、市民、NPO、中小企業や地域による発電の育成と支援策が伴わなければ、新たなガリバーを出現させるだけです。電事連による、規制なき独占に加えて、電力市場の新たな独占的状態を招き、消費者には、電気代の値上げなど、不利益だけを押しつけることになりかねません。
 また、再生可能エネルギーの爆発的普及の障害となっている原発優先給電を改め、再エネ最優先給電、系統拡張義務の仕組みこそ求められます。
 今こそ、日米原発利益共同体を最優先にした、原発の再稼働、輸出と一体の成長戦略と決別し、大規模集中型電力システムから、再エネ、地域循環型への大転換を図るときです。
 完全な発送電分離と送電網の公的管理、電力独占への民主的規制を担う新たな規制機関の創設と、国民的監視の強化による電力の民主的改革、電力民主化を求めて、討論を終わります。(拍手)