国会質問

<第186通常国会 2014年05月20日 総務委員会 22号>




○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 きょうは、最初に、群馬県上空における米軍機の低空飛行問題について質問をいたします。
 五月十四日、群馬県が防衛大臣宛ての要望書を提出いたしました。
それは、「県民生活に深刻な影響を与える米軍機飛行訓練に関する要請について」というものであります。
 群馬県上空では平成七年以降、米軍機の飛行訓練が行われており、本県としては、防衛省及び米国に対して、県民生活に深刻な影響を与えるような飛行訓練を行わないよう、これまでも再三、申し入れを行ってまいりました。
平成二十四年度に米軍機の飛行訓練に伴う県民からの苦情が大幅に増加したことを受け、県独自の取り組みとして、平成二十五年四月から前橋市及び渋川市内の二カ所で騒音の測定を開始したところです。
平成二十五年度の騒音測定の結果、米軍機と思われる七十デシベル以上の騒音は、前橋市で計三十九日、渋川市で計四十九日計測されており、県民からの苦情も八百九十三件と高水準となっている、このように述べております。
 若宮防衛大臣政務官においでいただきました。
 こういった群馬県上空における米軍機の低空飛行被害について防衛省としてはどのように把握をされておられるのか、こういう現状についてどのように認識しておられるのか、この点についてお答えをいただきたいと思います。
○若宮大臣政務官 お答えさせていただきます。
 今委員が御指摘になりました内容でございますが、私どもが作成をいたしております米軍機の飛行に係る苦情等受付状況表、これをつくっておりますが、平成二十五年度の全体の苦情件数は四百二十八件、そのうち群馬県が二百十三件と約半分を占めてございます。
群馬県の関係自治体や住民の方々から米軍機の飛行に伴う苦情が、おっしゃるとおり多数寄せられているのが現状でございます。
 私ども防衛省といたしましては、米軍機の飛行に伴います地方自治体や住民の方々からの苦情を受けた場合には、米軍に対しまして、その内容を通知し、飛行の有無等の事実関係を問い合わせいたしますとともに、その結果を地方自治体の皆様に情報提供させていただいているところでございます。
 私どもといたしましては、今後とも、このような取り組みをしっかりと行う中で、地域にお住まいの皆様方の騒音に対します苦情に丁寧に対応するとともに、米軍機の飛行に際しましては、安全面に最大限の配慮を行うとともに、地域住民の方々に与える影響を最小限にとどめますよう、引き続きアメリカ側には働きかけてまいりたい、このように考えているところでございます。
○塩川委員 今、若宮大臣政務官が紹介されました防衛省集計の米軍機の飛行に係る苦情受付状況表、これなど見ますと、具体的な住民の苦情が書かれているわけですね。
赤ちゃんが寝つかれないですとか、また、うるさくてテレビの音が聞こえないとか、住宅地の上空を飛んでもいいのか、事故になったらどうするのか、こういう厳しい苦情、意見が寄せられているわけであります。
 そういう点では、先ほど、影響を最小限にとどめる云々とおっしゃられましたけれども、そもそも、こういう人口密集地の上空でこういう米軍機の低空飛行そのものをやめるべきだというのが県民の総意であるわけで、その立場で県も申し入れを行ったところですから、米軍機の人口密集地上空での訓練はやめよう、こういう立場でアメリカにしっかりと物申す必要があると思うんですが、いかがでしょうか。
○若宮大臣政務官 ただいまの塩川委員の御指摘でございますが、米軍が行っております飛行訓練につきましては、その部隊の練度の維持あるいは向上を図る上でやはり不可欠なものである、日米安全保障条約の目的達成のためには極めて重要なものであるという認識を持っております。
 他方、この訓練を全く自由に行っていいというわけではございませんで、我が国の公共の安全に妥当な配慮を払って活動すべきということは、これはもう申し上げるまでもないことだと思っております。
 いずれにいたしましても、先ほども申しましたけれども、地域の住民の方々には本当に最大限に、十二分な配慮をするとともに、引き続きアメリカ側にはこのように働きかけてまいりたい、このように思っているところでございます。
○塩川委員 そもそも、アメリカ本国で人口密集地上空で訓練なんかやっていませんよ。
そういう点でも、日本でのこういう米軍の訓練というのは余りにも異常だ。
こういう異常を正す、少なくともアメリカ本国並みの基準でやるということこそ求めるべきだ、このことを重ねて申し上げておくものであります。
 あわせて、今回の群馬県の要望書の中には、騒音測定器をぜひ国として設置してもらいたい、こういう要望が出されております。
これについては、防衛省としてはどのように対応されますか。
○若宮大臣政務官 お答えさせていただきます。
 今委員が御指摘になりました群馬県への騒音測定器の設置につきましては、本年二月十八日の衆議院の予算委員会での質疑におきまして、私どもの小野寺大臣の方から、関係自治体や住民の方からの御要望が出た中で、状況を踏まえて対応を検討していきたい、このような旨、御答弁をさせていただいているところでございます。
 その後、委員も御承知だと思います、今月の五月十四日でございますが、群馬県の方から要望書が提出されまして、その中で、飛行訓練が多く確認されている地域で騒音測定器を設置するなど、飛行実態を調査し、その結果を公表するよう要請を受けているところでございます。
 群馬県への騒音測定器の設置につきましては、こうした予算委員会におけます小野寺大臣の答弁、そしてまた、五月に入りましてから群馬県からの御要望をいただいていること等を踏まえまして、今後適切に検討してまいりたい、このように考えているところでございます。
○塩川委員 二月の予算委員会、私が質問したわけですけれども、騒音被害の大きい島根それから広島には、防衛省が騒音測定器を設置しました。
一方で、先ほど言った、苦情の半数以上を占めるような群馬県上空では設置していない、なぜなんだと聞いたら、広島、島根からは県から要望が来ているけれども、群馬県からは来ていないからだという答弁だったわけで、今回、改めて、群馬県からしっかりと正式に要望が出されたわけですから、もうつくると言っていただきたいんですけれども、いかがですか。
○若宮大臣政務官 今、塩川委員の御指摘のとおり、広島県それからまた島根県におきましては、騒音測定器は設置をしてございます。
確かに、御要望がございまして、そういった措置をするような形をとりました。
 こうした形で、やはり、群馬県からも日本国全体の中での苦情の約半数が、数多く来ているという現状を踏まえまして、私どもといたしましても、これから十分に検討させていただきたい、このように思っているところでございます。
○塩川委員 ぜひつくるという立場で求めていくものです。
 騒音測定器の設置、国として被害を把握するということが趣旨ですから、そういう点での設置を改めて求めると同時に、そもそも米軍機の訓練そのものをやめろというのが県民の要望だということも重ねて申し上げておきます。
 それでは、委員長のお許しがあれば、若宮大臣政務官、御退席いただいて。
○高木委員長 それでは、若宮防衛大臣政務官は退席して結構です。
○塩川委員 次に、NHKの子会社の不祥事問題についてお尋ねします。
 NHK放送技術研究所の元職員の逮捕に続き、NHK出版の不祥事が発覚し、NHKビジネスクリエイトの不適切な経理処理が指摘をされました。
NHKの関連団体におけるコンプライアンスや適正経理の状況を再度検証する必要があるとして籾井会長が発足させたのが、NHK関連団体ガバナンス調査委員会です。
これが、具体的に、必要があれば、NHKに対するガバナンスのあり方についても提言を出すということも述べているということであります。
 そこで、NHKに確認いたしますけれども、NHK出版の不祥事というのは、NHKの業務とは直接かかわりのない、子会社が独自に行っている自主事業、営利事業において行われたものではないかと思いますが、NHK出版についてですけれども、いかがですか。
○吉国参考人 御指摘のとおりです。
あくまで出版の自主事業ということでございます。
○塩川委員 いわゆるNHKの委託業務とか、NHKの業務とかかわりのない自主事業を子会社は行っているわけですけれども、その子会社が行う自主事業の整理として、NHKのコンテンツや設備を活用した自主事業、営利事業とともに、そういうNHKとの関係もないような独自の自主事業、おおよそ分けるとこういう二通りというのがこの自主事業の中身かなと思うんですが、そういうことでよろしいですか。
○吉国参考人 まず、出版のものですけれども、自主事業ですが、NHKの大河ドラマのガイド本とか、そういうものも含めた、あるいはNHKの番組ともかかわったものでございます。
 それから、基本的には、NHKの関連団体というのは、NHKのソフトとかいろいろな資産を活用して、それを社会的に還元するというのが目的になっていまして、それにかかわった形のものを中心にして自主事業を行っている。
そういうような形で、既に総務省の子会社ガイドライン等でも業務範囲が決められておりますので、あくまでやはりNHKの業務に関連する形のものをやっていくというのが基本だと思っております。
○塩川委員 中心とおっしゃいましたけれども、NHKのコンテンツとか設備を活用していない、いわば本当の独自の自主事業というのもあるということですか。
○吉国参考人 基本的には、何らかの形で、NHKの業務に必要な資材とかあるいは実際につくったソフトとか、そういうものを活用していくというのがNHKの関連団体。
実際に、ガイドラインの中で十三項目の業務というのが決められておりまして、それはあくまで、NHKの業務を補佐するというような形のものになっております。
○塩川委員 今言った総務省のガイドラインの中で、政令で定めるような十三項目に加えて、十四項目があって、そこでは、「密接に関連する事業で、特に社会的に意義があり、かつ協会の目的に照らして適正な事業」という言い方ですけれども、そういう意味では、NHKのコンテンツとか設備を使ったような自主事業と同時に、それ以外でも、今言ったこの十四項目の趣旨に合ったものであればそれは可能だよということで、それが自主事業としても行われているということであります。
 そこで、六月十一日の経営委員会において、平成二十四年度の関連団体の事業運営状況等についての議論が行われております。
そこで吉国専務の方も発言をしておられます。
二十五年度も引き続き、自主事業の強化に取り組んでいきたい、自主事業の強化に重点を置いた目標を掲げてもらうよう指導を強めていると発言をしております。
 そこでお尋ねしますが、こういった関連団体の自主事業の強化について、NHKはどのような目標を子会社に求めているんでしょうか。
○吉国参考人 関連団体に対しましては、NHKは、年度当初にそれぞれの経営目標というのを示してもらいまして、それの結果を見て、トップの報酬等に反映させるという形をとっています。
 その中で挙げていただく項目として、自主事業の中の、特にNHKに対する副次収入とか、そういうものについての目標を挙げていただくことがあるということであります。
○塩川委員 経営目標を挙げてもらう、その中には副次収入の目標を挙げてもらう、そういうところもあるというお話であります。
 こういった副次収入の目標について具体的にその金額などを示す、そういうことが行われているということでしょうか。
○吉国参考人 そういうケースもございます。
○塩川委員 そういうふうに、副次収入を追求する、自主事業の拡大を図っていくという点での取り組み。
ですから、自主事業という場合でも、まあ、副次収入は自主事業ということでしょうから。
そういった点で、今回の子会社の不祥事というのは、いわば、経営目標として副次収入をふやしていきましょうね、数字も示して目標を達成していきましょうね、こういうのが子会社とNHK本体の間で行われてきた、それが背景、前提にあるわけです。
 NHKにお尋ねしますが、今回のこういう子会社の不祥事というのは、関連団体の営利事業の強化を求めるNHKの方針の結果、生じたと言えるのではないかと思うんですが、この点についてはいかがですか。
○吉国参考人 まず、我々が自主事業の強化と言っていますのは、先ほど言いましたように、関連団体がグループの一員としましてNHKのソフト資産とかノウハウの社会的還元を行う、それによって副次収入を得て、NHKへの財政的寄与、視聴者負担の抑制を目的としているということでございます。
 副次収入というのは、あくまでNHKのそういう資産を使っているから関連会社がその使用の料金として払っているものですので、そういう形では、全てNHKの資産の活用ということになります。
 そういう形で、そういうものについてはやはり財政的貢献ということをやってもらいたいと思っておりますが、ただ、これも、何でもやっていいという話ではなくて、先ほど申し上げましたように、放送法それから総務省の子会社等ガイドライン、関連団体運営基準などで事業範囲も規制されておりますし、やはりそういうものをきちんと守って、公共放送グループとしての展開にふさわしいかどうか、それから、その事業の採算性などもチェックして指導を行っていますので、ただ単に金額を上げればいいというふうな指導は行っておりません。
○塩川委員 何でもやっていいわけではないと。
当然、業務範囲も限定をされているし、公共放送グループの一員としてふさわしいものかどうかというところが問われるということであります。
 そういう点で、NHK本体は非営利の団体であります。
しかし、子会社は営利を追求する法人ということが出てくるわけです。
 NHK関連団体ガバナンス調査委員会が調査を行っておりますけれども、その委員長を務める小林英明弁護士は四月二十五日の会見で、関連会社、関連団体には共通する問題がある、NHKが非営利団体なのに、関連団体が営利団体であるところに共通の問題があると指摘をしております。
 そこでNHKにお尋ねいたしますが、三月十一日の経営委員会で吉国専務は、関連団体の自主事業については、受信料を財源にして関連団体の自主的な営利事業を監査することには議論がありますと発言をしています。
 営利を目的としてはならないNHKが、子会社が行うNHKの業務に関連しないような自主事業、営利事業についてどういう見地で監督をするのか。
これについてのお考えをお聞かせいただけますか。
○吉国参考人 営利とか非営利に関係なく、法令を遵守して事業活動を行うというのは当然でありますし、また、NHKグループの一員としての責務もありますので、NHKが、親法人として、関連団体のコンプライアンス体制全般について、構築について厳しく指導するというのは当然のことだというふうに認識しております。
 先ほどの私の発言ですけれども、具体的な内部監査をどこが行うかというところの議論でして、そこは、我々としては、やはりそれぞれの主体となる子会社が行えるような体制をつくるべきだということで、それはそういう形で要請をして、今その準備を急いでおります。
 ただ、それだけではなくて、そういうものがきちんと運用されているかとか、内部統制が働いているかというところについては、やはりNHKとして指導監督していかなきゃならないということは当然でございます。
 それにつきましては、NHKでは、いろいろな業務運営状況の調査とか、NHK職員が監査役となり監査を行うとか、定期的なさまざまな、いろいろな各種の打ち合わせ等を通じてそういう点検もしておりますし、それから、リスク管理全体についても、NHKグループとして取り組むリスクの抽出活動を行いましたり、年度ごとにそういったコンプライアンスの重点課題を定めて、グループ全体としての周知活動も行っております。
 そういう形で、グループとしての形の不祥事の防止に努めているところであります。
○塩川委員 最後に、大臣にお尋ねします。
 NHK本体は非営利であります。
しかし、子会社を通じて営利事業を行うという点におきまして、今回のように、自主事業において不祥事が起こったという際に、NHKの看板をしょった子会社が、NHKと直接関係がないような自主事業において不祥事を起こし、結果としてNHKの信頼を傷つけることになったわけで、NHKと関係のない自主事業の強化を図るというNHKの方針というのが公共放送のあり方として適切なのか、非営利のNHKが子会社を通じて営利事業を行うというゆがみの問題が今回改めて問われているのではないかなと思うんですが、大臣のお考えをお聞かせください。
○新藤国務大臣 NHKの子会社に関しましては、放送法の第二十二条及びこれを受けて定められている放送法の施行令の第二条に基づいて、NHKが出資可能な事業について、NHKの必須業務または任意業務に密接に関連するものに限定されているということであります。
 そして、総務省において、日本放送協会の子会社等の業務範囲等に関するガイドラインを定めて、子会社の業務範囲についても限定をいたしました。
これはもう申しませんが。
 そういった中で、これら子会社の業務範囲を限定している趣旨ですとか、それから、何よりも、国民・視聴者からの受信料によって支えられているNHKが出資しているそういった子会社の自主事業につきましても、NHKみずからが定めている関連団体運営基準等にのっとって適切な業務遂行が行われるように、執行部において子会社を指導監督するとともに、不祥事が発生した場合には、その原因の究明と再発防止策を講じていただきたい、このように考えております。
○塩川委員 非営利のNHKが営利事業を行う子会社を監督するというその矛盾点については、必要な検証と対応策が求められているということを申し上げて、質問を終わります。