国会質問

<第186通常国会 2014年05月29日 総務委員会 25号>




○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 電気通信事業法の改正案について質問いたします。
 私の方からは、大規模通信障害発生時の利用者への情報提供のあり方についてお尋ねをいたします。
 この法案のたたき台となりました「多様化・複雑化する電気通信事故の防止の在り方について」報告書では、「事故発生時には、できる限り早期にサービスが利用できるように速やかに復旧対応を行うことも必要だが、これと並行して、利用者に対し、事故発生の有無や状況等を速やかに情報提供することが重要となる。」と指摘をしております。
 総務省の方では、委託で通信障害に関するアンケート調査を行い、結果を発表しておりますが、通信障害発生時の情報提供について改善すべき点への上位の回答というのが、どこに障害発生情報が掲載されているのかわかりにくい、これが三九・五%、また、障害発生情報の内容がわかりにくい、二二・四%、障害発生状況の公表のタイミングが遅い、一七・九%などとなっております。
 そこで総務省にお尋ねしますが、このアンケート調査において、どの媒体で情報提供されるのが望ましいか、こういう問いに対する回答はどのようになっているでしょうか。

○吉良政府参考人 お答え申し上げます。
 それは、平成二十五年の三月に、一般成人千人から、事故発生時の通信事業者からの情報提供に関するアンケート調査を実施したものでございまして、その際に、情報提供の希望媒体につきまして、複数選択を可として調査したところ、テレビ、ラジオが約五三%で最も多い。次いで、通信会社のトップページが約四四%、電子メールが三七%、ポータルサイトが約二六%、それから、一斉同報メールが約二四%等となっているところでございます。

○塩川委員 世代間で大分違いもあって、例えば二十代などは通信会社のホームページのトップページとかというのが多いというのはありますけれども、二十代も含めて全世代的に一番多いのが、テレビ、ラジオでの情報提供というのがアンケートの結果でありました。
 重ねてお尋ねしますが、いち早く入手したい情報、これに対しての回答はどのような特徴があるでしょうか。

○吉良政府参考人 お答え申し上げます。
 同アンケートの調査によりますと、最もその内容についてニーズの高かったものは、復旧見込み時刻であります。次いで、影響を受けている地域、それから、影響を受けているサービスに関する情報が続く結果というふうになっております。

○塩川委員 いつ復旧するのかということと、障害のエリアがどの範囲なのか、またサービスがどんなものかという点を、当然のことながら早く知りたい、確認したいということであります。
 もう一点、事故発生時の情報提供のタイミングについてはどのような回答だったでしょうか。

○吉良政府参考人 お答え申し上げます。
 事故発生時の情報提供のタイミングについてのアンケート調査結果では、十分未満の提供を求める利用者が全体の約六三%で最も多い。次いで、三十分未満が約二五%、それから、一時間未満が約九%というふうになっておりまして、これらを合わせますと、一時間未満での情報提供を求める利用者が約九七%を占めておりまして、利用者は迅速な情報提供を求めているという状況にございます。

○塩川委員 迅速な情報提供、事故直後での情報提供を求めているということであります。
 そういったニーズがあるわけですけれども、実際、事業者の情報提供がどうだったのか、この間の事故発生時の事業者の情報提供は、このようなユーザーのニーズとかみ合ったものだったのか、その点について御説明いただけますか。

○吉良政府参考人 お答え申し上げます。
 重大事故発生時に事業者が実施している利用者への情報提供につきまして、有識者検討会において調査をいたしました。
 そのときに、情報提供の手段につきましては、ウエブページへの公表による利用者周知が中心でございますが、ツイッターやSNSなどにより事故情報を提供している事業者もあるということと、それから、提供されている情報につきまして、障害発生日時、影響を受けている地域、影響を受けているサービス等であること、それから、情報提供のタイミングにつきましては、事故発生後二時間を超えるケースが約半数を占めておりまして、必ずしも速やかな情報提供が行われていない状況にあるというような結果でございました。

○塩川委員 重大事故、二時間を超えるというのが半数という話がありました。
 これはやはり、重大事故に対する報告義務との関係もあるだろう。事業者の側が重大事故についての報告義務がかかっている、そういう場合について二時間以上というのがありますから。結局、利用者の方々に対する情報提供も、重大事故の報告の時間に合わせるような形で、二時間過ぎてから公表するとかいう形になっている。つまり、総務省への重大事故報告に引きずられるような形で行われていることが現状としても見られるということでもあろうと思いますが、その辺の事情はいかがですか。

○吉良政府参考人 お答え申し上げます。
 必ずしもそこは調査したわけじゃありませんが、そこに事業者が引きずられている面も、ある一面ではあろうかというふうに思っております。

○塩川委員 そういう意味では、利用者、ユーザーの立場での情報提供ということが重要だ。
 参議院の総務委員会の審議でも、この点について、新藤大臣が御答弁されております。大臣は、利用者に迅速かつ確実に事故情報が公開されるように、法改正とあわせて、安全・信頼性基準の改正、大臣告示の改正を行う、その内容としては、情報提供の目安となる時期、情報の掲載場所の明確化、SNSあるいはツイッター等の多様な情報提供手段の活用等を図ると答弁しておられます。
 告示改正の具体的内容は、こういったアンケートの回答にあるようなユーザーの要望ニーズにかみ合ったものとなるのかどうか、その点について、少しお示しいただけますか。

○新藤国務大臣 これまで、事故情報の利用者開示については、安全・信頼性基準、これをガイドラインとして定めて、総務省は事業者に示してきたわけであります。
 今般のさまざまな御検討を踏まえて、当然、アンケート調査もやっているわけでありますから、そういった結果も踏まえながら、情報通信審議会において安全・信頼性基準についての御検討をいただこうと思っています。法改正の施行が平成二十七年の三月を予定しておりますから、それに合わせて安全・信頼性基準も改正をする予定に考えております。
 その内容は、今さまざまな御指摘がありました、また、御指摘いただいたもの以外も含めて、現状必要なものについて適切に対応させていただきたい、このように考えております。

○塩川委員 そういう点では、来年の三月までに具体的な方向性、ガイドラインを示していくということですけれども、例えば、情報提供の時期とか提供の内容とか媒体について、およそこういう方向の方向感というものはあるんでしょうか。

○吉良政府参考人 お答え申し上げます。
 具体的には、事故発生時の情報提供に関しまして、ホームページ掲載と同時に報道機関への情報提供をすること、それから、SNSやツイッター等の多様な手段による情報提供を実施すること、それから、復旧見込み時刻、影響を受けている地域及びサービスなど、利用者が特に必要としている情報を提供すること、それから、事業者のトップページなど、利用者にわかりやすい掲載場所で情報提供すること、それから通信障害発生に関する第一報を速やかに実施すること等について検討してまいりたいというふうに思っております。

○塩川委員 そういう点では、通信会社のホームページのトップにきちっと持ってきて、すぐ確認できるようにするという点なども含めてガイドラインに示していく、そういう検討をしていこうということであります。
 そういう点で、この報告書においては、「多様化する情報提供手段を有効活用しながら、消費者目線に立った分かりやすい情報を迅速かつ正確に提供する点に留意することが必要である。また、鉄道等の他の先進事例を参考にすることも有効である。」としております。
 そういう点でいいますと、これは検討会の中での議論にもあったようですけれども、例えば電車の遅延、事故の情報、運転見合わせ情報というのはテレビやラジオで流れるわけですね。同じように、こういった通信の障害が発生した場合について、そういう事故情報についてテレビやラジオに流す、そういうこともあるんだろうと思いますし、そういうユーザーのニーズもあるんですが、そのことを含めて検討していただけるんでしょうか。

○新藤国務大臣 総務省においても情報提供はしているわけであります。しかし、それは、その提供した情報をどのように報道するかは放送事業者の方の判断になっているということでありますから、今のようなことも含めて、さらに連絡を密にできるような、そういう検討もしていきたい、このように考えます。

○塩川委員 その点では、通信事業者の側がプレスなどで発表した場合にそれがメディアに乗るという場合は当然あるわけですけれども、そうではなくて、やはりユーザーに対してきちんと情報が提供されるように、そういうテレビ、ラジオにしっかりとそういう事故情報を乗せるという仕組みづくりをぜひ検討いただきたいと思うんですが、その点ではどうでしょうか。

○新藤国務大臣 私たちも、さまざまな検討をさせていただいておりますし、今の御意見も参考にさせていただきたいと思います。

○塩川委員 運輸関係についての法改正に今回の電気通信事業法の改正も学んでいるというのが報告書にも出ておりますけれども、二〇〇六年の運輸関係の法律の改正において、三点について新たに規定するということが出されたわけであります。一つが安全管理規程の明確化であり、二つが安全統括管理者の選任義務であり、三点目が国及び事業者に対して安全に関する情報の公開義務を規定いたしました。
 この安全管理規程の明確化というのは、管理規程の明確化、今回措置するということもありますし、安全統括管理者の選任義務についていえば、今回は統括管理者という形で規定をすることになりました。
 ただ、情報公開義務については、今回の法改正では措置されておりません。そういう点で、安全管理に関する情報の公表義務を国及び事業者に課す、こういうことについてはお考えにはならないでしょうか。

○新藤国務大臣 国、事業者双方において事故内容、また原因を分析、検証し、それを公表すること、これは、事故の再発防止を事業者において責任を持って行うことになる、また、利用者にとっても、これは事業者選択のためにも有用な情報になるということでありまして、大変重要と考えております。
 このために、事故情報の公表を充実する観点から、総務省としても、今回の改正に合わせまして、情報通信審議会のもとで、有識者から構成される第三者検証の仕組みを設けて、事故原因等の評価、分析を行い、その分析結果は広く公表することにしよう、このように考えているわけであります。
 そして、今、事故の公表を充実させるという意味におきましては、事業者が適切な方法により速やかに事故情報を公開すること、これをガイドラインで定めているわけであります。
 今後、事故収束後においても、事業者によって事故内容、原因、再発防止等が十分に公表されるように、安全・信頼性基準の見直しも行おう、このように考えておりまして、これらを含めて、事故情報の公表を充実させること、これを心がけていきたい、このように考えております。

○塩川委員 事故情報の公表をさらに進めていくということが重要で、大臣がお触れになりましたように、再発防止のためにもこういった事故情報の開示というのは非常に重要だ。また、利用者、ユーザーの選択に当たっても必要な情報だという点では、重要であります。
 その点でも、国において、毎年度、しっかりとした、こういった事故にかかわるような情報の公表を行う、あるいは事業者においても毎事業年度に行っていく。運輸関係ではそういう措置がとられているという点にもぜひ学んで、電気通信分野においても、ユーザーの希望に応えられるような、そういう取り組みにつなげていただきたい、このことを申し上げて、質問を終わります。