国会質問

<第187臨時国会 2014年10月15日 地方創生に関する特別委 3号>




○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 質問いたします。
 今回の創生法案あるいはまち・ひと・しごと創生本部についてですけれども、骨太の方針二〇一四におきましては、今後の四つの課題の一つとして、日本の未来像にかかわる制度、システムの改革を挙げて、人口急減、超高齢化の克服、望ましい未来像に向けた政策推進を進める本部設置を掲げています。これが、まち・ひと・しごと創生本部に当たるわけであります。
 この本部が実施する施策として、地域の合意形成のもとでの都市機能の集約や地方中枢拠点都市圏等の形成等を図り、行政サービスの集約と経済活動の活性化を実現するとあります。都市機能の集約や地方中枢拠点都市圏等の形成等を図ることによって、行政サービスの集約と経済活動の活性化が一体的に推進されるというものであります。
 そこで、石破大臣にお尋ねいたします。
 この骨太方針に言います行政サービスの集約と経済活動の活性化というのは、先週十日のまち・ひと・しごと創生本部の第二回会合におきます「「長期ビジョン」及び「総合戦略」に関する論点」の中で述べています、「地方中枢拠点都市及び近隣市町村、定住自立圏における地域インフラ・サービスの集約・活性化(地域の土地利用、公共施設・公共サービス・公立病院等の集約・活性化)」、これを指すのか、こういうものを含まれるものとされているのか、その点について確認をしたいと思います。

○石破国務大臣 端的にお答えをすれば、それは含むものでございます。それを含んでいきませんと政策目標というのは達成しないことでございまして、端的にお答えをすれば、それは含むというお答えに相なります。

○塩川委員 含むというお答えでございました。
 そこで、その中身についてお尋ねしたいと思います。
 ここで、括弧内に「地域の土地利用」とありますけれども、これはどういうものなのか。今行っているどのような施策がこれに当たるのかについて教えていただけますか。

○石破国務大臣 ある意味先回りしたお答えになるかもしれませんが、こういうことを実施するに当たりましては、地域の合意形成というものが不可欠であるということは言うまでもございません。地域の合意なくしてそういうものを集約化するとか、そういうことを考えているわけではございません。限られた資源の中にあって、そして高齢化が進展していく中にあって、どうすれば最もよいサービスが提供できるかという観点からこれは論ぜられるべきものだと思っております。
 集約することによって、集約の利益というものは生かしていかなければならない。そこにおいて、最も困窮された立場にある方にふさわしいサービスが提供できるかということで考えてまいるべきものでございます。

○塩川委員 そういう前提で、今言った地域の土地利用とは何かという質問へのお答えはありませんでしたのでもう一回お聞きしますが、要するに、今行っているどのような施策がそこに該当するのかについてお聞きしたいんですけれども。

○石破国務大臣 地域の土地利用とは一体どういうことなのか、今どのような施策をやっているかというようなお尋ねでございます。
 ですから、十月十日に創生本部会合でお示しいたしました長期ビジョン、総合戦略に関する論点で言及をさせていただいております地域の土地利用というのは、居住機能や福祉、医療、商業等の都市機能をどのように立地するかについての地域ごとの考え方を指すものでございます。例えて言えば、国土交通省が推進しておりますコンパクトシティーにつきましては、既に通常国会において、福祉、医療、商業等の都市機能の立地誘導及び税財政、金融上の支援などを定めているところでございます。
 今後、時代に合った地域をつくり、安心な暮らしを守る上で、具体的にどのような項目にどのような目標を設定するかというのは、実情、特性を踏まえたものとなることを前提といたしまして、創生会議の場におきまして有識者の御意見も聞きながら、十二月に決定する総合戦略に入れていきたいと考えております。

○塩川委員 例示として、ことしの通常国会で改正されました都市再生特措法のコンパクトシティーの話がございました。
 あわせて、例えばこの特別委員会で審議するもう一本の法案の地域再生法改正案の中には、農地転用に係る特例措置も含まれていますが、こういう地域の土地利用についてもメニューとして当然含まれるものだと思いますけれども、そういうことでよろしいでしょうか。

○石破国務大臣 基本的に、そういうお考えで結構です。
 ただ、農地転用に関しましては、これはまたコンパクトシティー等々とは違った論点がございますので、全て同じ考え方のもとに行われるわけではございません。

○塩川委員 そういう点では、地域の土地利用というのは、先ほど言ったコンパクトシティーの考え方、同時に、その含まれ得る範囲の中には、今回の地域再生法改正案にある農地転用の特例措置というのも含み得るということでのお話でありました。そういう点で、活性化措置としての地域の土地利用というのが規制緩和による活性化措置も含まれ得るということであります。
 それからもう一つ、「公共施設・公共サービス・公立病院等の集約・活性化」、これは今どのような施策として行っているものなのか、この点について御説明いただけますか。

○石破国務大臣 委員御指摘の「公共施設・公共サービス・公立病院等の集約・活性化」は、行政や医療、福祉など、生活に必要なサービスについて、時代に合った地域をつくり、安心な暮らしを守る見地から、今後の取り組みの例として挙げているものでございます。
 コンパクトシティーの推進につきましてはというのは先ほど申し述べたとおりでございまして、公共施設の立地誘導及び公共交通を軸とするまちづくりなどを進めておるものでございます。これから具体的にどのような目標を設定するかというのも先ほど申し上げたとおりでございます。
 いずれにしても、地域の方々の御理解あるいは合意というものが必要不可欠なものでございます。

○塩川委員 ここには、「公共施設・公共サービス・公立病院等の集約・活性化」というふうに書いてあるものですから、例えば、今、地方自治体への技術的助言として、公共施設等総合管理計画の策定指針が出されておりますし、また、公立病院に係る公立病院改革ガイドラインもありまして、その中に再編・ネットワーク化というのも入っているわけですが、こういったメニューというのも今言った中に含まれ得るということでよろしいでしょうか。

○石破国務大臣 それは今後詰めていくことになりますが、そのような御認識というのも一つの考え方でございます。

○塩川委員 そういう点では、こういった「公共施設・公共サービス・公立病院等の集約・活性化」ということであれば、コンパクトシティーなどもそうですし、公共施設等総合管理計画や公立病院改革のガイドライン、その中での再編・ネットワーク化、こういうのもその措置の一つということにはなり得るだろうという話であります。
 そこで、内閣府に確認しますが、骨太方針の二〇一四で、十七ページに注記があるんですけれども、そこにおきまして、その注記六十二に、今言った、地域の合意形成のもとでの都市機能の集約や地方中枢拠点都市圏等の形成等を図りとある、「形成等」の「等」に注がついているんですけれども、この公的資産の効率的マネジメントというのはどういうもので、ここには今例示しました公共施設等総合管理計画も含まれているのかどうか、その点について確認をしたいと思います。

○小泉大臣政務官 今、塩川委員から御指摘がありましたのは、骨太の方針の、おっしゃるとおり十七ページの、「魅力ある地域づくり」、これについての記載箇所のうち、「長期的な観点からの取組」とした節の記述だと思います。
 今、委員の御指摘の方は、公的資産の効率的マネジメントということですけれども、まず、公的資産の中には大きく、街路、そして上下水道等のインフラ施設と、そして、上物と言うとわかりやすいかもしれませんが、図書館、公民館等の公共建築施設があります。
 都市機能の集約で、アセットマネジメントとしての、そのインフラですが、街路、上下水道等のインフラ施設の集約と維持更新を図るほか、ファシリティーマネジメント、これが上物のことですが、ファシリティーマネジメントとして、図書館や公民館など公共建物施設の集約、維持更新、その効率的な管理運営を行う必要がある。これら二つの施設マネジメントを効率的に行って、行政サービスの維持向上、そしてそのコストの低減を図るものです。

○塩川委員 そこで、今お聞きしたのは、その内容についてということと、この公的資産の効率的マネジメントには、公共施設等総合管理計画、こういうものも入っているのかどうかということなんですが、その点はいかがですか。

○高市国務大臣 今お尋ねの公共施設等総合管理計画は、含まれると考えていただいて結構です。
 この計画の策定は、財政負担の軽減、平準化、それから公共施設の最適配置の実現、そしてまた、地域における将来のまちづくり、国土強靱化にもつながるものでございますので、この骨太方針二〇一四、今記載のある、さっき先生が御指摘いただいた部分、行政サービスの集約と経済活動の活性化、その策の一つとして、公的資産の効率的マネジメントに資するものであると考えております。

○塩川委員 公共施設等総合管理計画も含むものということです。
 重ねて高市大臣にお尋ねいたします。
 この骨太方針でも掲げ、まち・ひと・しごと創生本部の会合でも出されています行政サービスの集約と経済活動の活性化策の一つとして公共施設等総合管理計画が入るということで、この公共施設等総合管理計画策定指針では、「総合管理計画の検討にあたっては、PPP/PFIの積極的な活用を検討されたい」とあるんですけれども、これはどういう理由なんでしょうか。

○高市国務大臣 やはり、民間の活力を最大限活用していくということでございます。財政も非常に厳しい状況の中にあり、そしてまた、地方で民間の活力をしっかりと生かしながら地域全体の税収増にもつなげていく、こういった観点があると考えられます。

○塩川委員 行政サービスの集約というのは、その地域の住民の合意のもとで進めるということは当然あり得ることだろうと思います。ただ、その方策のあり方として、こういったPPP、PFIとセットで進めるということが本当に求められるものなのかという点もあると思います。
 PFIについては、これは事業の破綻ですとか事実上の倒産自体も相次いでおりますし、民間資金活用のはずが、実際には税金、税財政、税財源に依存しないという事業はほとんどないと言われており、内閣府のPFIの検証報告書でも、法の目的が達成されているとは言いがたいと認めざるを得ないようなものでありまして、そういう点でのこの活性化ということで、行政サービスの集約と一体にこういったPPP、PFIを推進するというのは本当に妥当なのかということが問われてくる。
 この点については、また日を改めてお聞きしたいと思います。こういう点があるんだということを、まず、きょうの場で指摘をしておきます。
 あわせて、厚生労働省に一点お聞きします。
 九月十二日のまち・ひと・しごと創生本部の決定基本方針では、大都市圏等の地域課題の解決として地域包括ケア推進が掲げられています。第二回本部会合でも「大都市圏における高齢者医療・介護対策」とありますけれども、これは地域包括ケアのことを指しているんだと思うんですが、このように大都市圏の地域課題の解決として地域包括ケアが特出しされている、それはどういう理由なのか、この点について教えてもらえますか。

○苧谷政府参考人 お答えいたします。
 医療や介護が必要な状態になってもできるだけ住みなれた地域や自宅で生活を継続できるよう、医療、介護、住まい、予防、生活支援が包括的に確保される地域包括ケアシステムの構築を全国的に進める必要があります。このことは、大都市圏に限らず、地方圏も含めて必要なことと考えております。
 このため、医療につきましては、大都市圏を含めて都道府県が地域医療構想を策定し、将来の医療需要と各医療機能の必要量を定め、機能分化、連携を進めることにより、二〇二五年の高齢社会に対応できる医療提供を構築すること、介護につきましては、第六期の介護保険事業計画に、二〇二五年までの中長期的なサービス、給付、保険料の水準も推計して記載し、中長期的な視野に立った施策を展開する、それから、二十四時間定期巡回サービスや小規模多機能型居宅介護など、在宅の限界点を高めるためのサービスの基盤の整備、これらの取り組みが必要と考えております。
 こうした取り組みを含め、在宅医療、介護の連携を図りながら地域包括ケアシステムを全国に広げていくため、さらに取り組みを推進してまいりたいと考えております。

○塩川委員 この地域包括ケアについては、さきの通常国会で大きな議論がありました。医療介護総合法案の審議において我が党は、国民を医療や介護から追い出すものにされていると厳しく批判をいたしました。
 地域包括ケアによって、財政的な保障のないまま市町村に高齢者医療、介護対策を委ねれば、医療、介護などの行政サービスを後退させるものになりかねない。地域の実情に応じてといって、自治体の財政力で差がつくということがナショナルミニマムを壊すものとなりかねない。この法案の目指す行政サービスの集約と経済活動の活性化が行政サービスへの企業参入を進め、住民福祉の後退につながる懸念があるのではないのか、こういうことを指摘し、さらに議論をしていきたいと思います。
 その上でも、必要な資料ですとかを出していただきたいと思っておりまして、例えば先週十日の本部会合の資料、「「長期ビジョン」及び「総合戦略」に関する論点」における長期ビジョンの論点の一つに、「取組むべき「政策目標」をどう考えるか。」とあります。
 この中長期的な政策目標、数値目標を示す項目として三つ出されているわけですね。一つが、若い世代の就労、結婚、子育ての希望の実現、二番として、東京圏への人口の過度の集中の是正、三点目に、地域の特性に即した地域課題の解決。
 これら三つの項目についてどのような政策目標、数値目標を持ち得るのか、この点について少し具体的に示していただかないと今後の議論がふさわしいものにならないと思うんですけれども、この点、大臣の方ではどのように、本部の方ではどういうふうに検討されているのか、この点について教えてもらえますか。

○石破国務大臣 数字がひとり歩きしてはいけないと思っております。そういう数値目標なるものは、国から押しつけるべきものではございません。それぞれの地域の方々あるいは国民の皆様方がどういうようなことをお望みであろうか、それをかなえるために国は何をしたらよかろうかという立場が必要なのだというふうに思っております。
 ですから、数字がひとり歩きすることがないよう、必要な数字はお示しをいたしますが、これから先いろいろな議論において、どういう数字を示すべきかというのがこれから固まってまいります。それが単なる絵そらごとではなくて、それを実現するためにどのような手法が必要か、それを実現することによって、例えば人口構成がどのように変わっていくべきなのかということが実感としてわかるようなものをお示ししたいと思っております。

○塩川委員 必要な数字をお示ししたいとおっしゃっておられたので、その数字が欲しいんですけれども。

○石破国務大臣 これは、これから先どのような数字をどのように示すべきかという議論は行ってまいります。ですから、委員の問題意識というものが那辺にあって、どういうようなものを示してもらいたいかということを御提示いただければ、また参考にさせていただきます。

○塩川委員 いや、何も難しいことではなくて、本部のこの資料にありますように、目標について、「取組むべき「政策目標」をどう考えるか。」といった項目に123と三つあるものですから、それぞれ該当する政策目標、数値目標はどういう考えのもとで出されるのか、その考え方を示していただきたいと思っているわけですね。
 特に、三つ目の地域の特性に即した地域課題の解決ということについて言えば、これは基本方針の類型でも、中山間地域等があり、地方中枢拠点都市及び近隣市町村、定住自立圏があり、大都市圏等と三区分しています。
 例えば、では、この3について、この三区分で、どのような形での政策目標、数値目標をお考えになっているのか、こういうことについてお出しいただけませんか。

○石破国務大臣 適切な時期に適切な数字をお示ししたいと思っております。
 ただ、それを、この数字を何が何でも達成せよとか、そういうことを申し上げているわけではございません。その数字を実現することによってその地域がどう変わり、一番大事なのはその地域が持続可能性を持つかどうかということであって、数字の目標達成自体が目的なのではありません。そういうことに資する数字であれば、お示しをしていきたいと思っております。

○塩川委員 ぜひ、示していただきたい。
 適切な時期にということであれば、このまさに委員会審議の中で、ぜひ、きょうにでも示していただきたい。この点について、ぜひ理事会でも御協議いただければと思います。

○鳩山委員長 はい。

○塩川委員 終わります。