○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
今国会のまち・ひと・しごと創生本部に係る法案についての審議も行われております。それとの関係で、この委員会におきましても、関連する質疑に入りたいと思います。
昨日のまち・ひと・しごと創生の特別委員会の質疑で、法案で規定をしております総合戦略に盛り込む施策の一つとして、公共施設等総合管理計画も含まれるという御答弁がありました。
そこで、総務省が自治体に発出しております通知、公共施設等総合管理計画の策定にあたっての指針に関して質問をいたします。
お尋ねしますけれども、この公共施設等総合管理計画策定指針は、創生法案に基づき作成をされる長期ビジョン、総合戦略と整合的なものとなるのかどうか、この点についてまず確認をしたいと思います。
○高市国務大臣 基本的に整合性が図られるものと考えております。
○塩川委員 基本的に整合性が図られるものということです。
この指針におきましては、総合管理計画策定にあたっての留意事項が記載をされております。ここの一つ目に、行政サービス水準の検討とありまして、「公共施設等の総合的かつ計画的な管理の推進の前提として、当該団体としてあるべき行政サービス水準を検討することが望ましいこと。その上で、個別の公共施設等において提供しているサービスの必要性について検討するに際しては、当該サービスが公共施設等を維持しなければ提供不可能なものであるか(民間代替可能性)など、公共施設等とサービスの関係について十分に留意することが必要であること。」とあります。
ここで総務省にお尋ねしますが、民間代替という場合に、指定管理者方式ですとか、包括的な民間委託とか、サービス購入型PFIなどがあるわけですけれども、この民間代替というのはどのような形態が念頭にあるのかについて、少し説明してもらえますか。
○佐藤政府参考人 御指摘の指針のその部分で言っていることでありますが、その公共施設をつくった時点においては、なかなか民間にそういう施設がなくて、やむを得ず行政がつくらざるを得なかったというようなものがあっても、その後二十年、三十年経過する中で、例えば駐車場でありますとかレクリエーション施設などのように、民間にも同様の施設ができているというようなことがあった場合には、やはりそこには公共施設としてなお維持する必要があるのかという観点からの検討が必要だろうということでありまして、そのことをここの民間代替可能性ということで、これに気をつけて検討はしていただきたいということを申し上げているのでございます。
○塩川委員 質問にはお答えになっていないんですけれども、要するに、民間代替可能性は民間代替と言っているわけで、その形態はいろいろあるわけであります。民間代替が妥当かどうかという議論はそれはそれとしてあって、それは置いておきますけれども、ただ、今回のこの指針においては、具体的な民間代替の事例として、PPP、PFIの特出しをしているわけであります。
つまり、民間代替可能性に関して、指針が活用を促しているのがPPP、PFIで、これは留意事項の五番目にPPP、PFIの活用とあって、そこでは、「公共施設等の更新などに際しては、民間の技術・ノウハウ、資金等を活用することが有効な場合もあることから、総合管理計画の検討にあたっては、PPP、PFIの積極的な活用を検討されたいこと。」とあります。
大臣にお尋ねしますけれども、複数の民間団体のスキームがある中で、なぜPPP、PFIについて積極的な活用を呼びかけているんでしょうか。
○高市国務大臣 やはり民間のノウハウ、資金など、民間活力を利用することで、財政負担の軽減、平準化、それからサービスの向上を図る、これができると考えているからでございます。ですから、その計画策定に当たっては、PPP、PFIの積極的な活用について、助言でございますけれども、助言をしたところでございます。
ただ、PPP、PFIは、それを導入するかしないかというのは各団体ごとに判断を行うものであって、義務づけをするようなものでもないし、具体的な導入の数値目標を課すようなものでもございません。それが有効だと考えていただいたら、コンセッション方式なんかも含めて検討を行っていただく、それが望ましいと考えております。
○塩川委員 民間のノウハウですとか資金を積極的に活用することは重要だ、その点でPPP、PFIについて助言として出されているものだということであります。
後段の御答弁の部分はまた後でお話ししたいと思いますけれども、幾つか確認で総務省にお聞きしますが、このPPP、PFIの検討については、全ての公共施設が対象となるということでいいんでしょうか。
○佐藤政府参考人 一応、指針の中では、特にどの施設についてということは申し上げておりませんので、全般について検討していただければいいと思いますが、これは大臣からも申し上げましたけれども、おのずとこういった手法が妥当する分野というのは、それは公共施設の性格によってはあるんだろうと思いますので、そういう点も施設の性格なども含めてこの活用を検討していただきたいということを考えております。
○塩川委員 再度確認ですけれども、このPPP、PFIの活用に当たっては、料金収入に依拠するような公共サービスですとかあるいは公営企業、こういうものも検討対象となるのかどうか、この点についてもお聞きしたいと思います。
○佐藤政府参考人 PPPやPFIが妥当する分野と今申し上げましたが、どちらかというと、今御指摘があったようなところの方に妥当するのであって、例えば道路ですとか、そういうインフラ系のものについてはPFIみたいな手法というのはややとりづらいのかなというふうに考えております。
○塩川委員 料金収入に依拠したようなそういうサービスですね、公営企業などもそうですけれども、そういうのは当然妥当するということですね。
○佐藤政府参考人 そのとおりでございます。
○塩川委員 それで、道路などはなじみにくいというお話がありましたけれども、先ほど大臣の御答弁にもコンセッション方式の話がございました。これは、昨年から、PPP、PFIの抜本改革に向けたアクションプランでも、従来の延べ払い型のPFIからの抜本的な転換を目指し、公共施設等運営権制度、コンセッション方式の活用を推進するとあります。
ですから、ここで指針で書いているPPP、PFIにはコンセッション方式を含むということも大臣はお答えになっておりますので、先ほど局長が御答弁された、道路などはPFIになじまないというのはそうではないんじゃないかな。道路等も含めてこのコンセッション方式にはのってくる話なんじゃないかなと思うんですが、その点、どうですか。
○佐藤政府参考人 ちょっと今の答弁は粗かったかもしれませんが、コンセッション方式になじむのは、多分道路であれば有料道路で、料金収入が見込まれるものについては、これはコンセッション方式ということが考えられるんだろうと思います。
一般の、通常の道路については料金収入ということ自体がありませんから、そこにおいてはなかなかコンセッション方式というのが適用されることはないのではないかというふうに考えております。
○塩川委員 この辺はいろいろ事業者の方が提案をしていて、シャドートール方式みたいな格好で、あり得べき料金収入というのを仮定する形で、一般の道路であってもこういうコンセッション方式や運営権方式でやれるんじゃないのか、こういうことなども出されておりますので、そういうことも当然視野に入ってきているんだろうなということは申し添えておくものであります。
それで、そういう点では、新藤前大臣は、ことし六月四日における経済財政諮問会議、これは文書発言ではありますけれども、「コンセッション方式の投資が前倒しで実現できるよう、総務省としても前向きに取り組んでまいりたい。」と発言をしております。
しかしながら、このコンセッション方式は実績そのものがそもそもないわけで、効果も実証されていないのに、総合管理計画を通じて、コンセッション方式についてもぜひ検討対象にというのは、これはちょっと自治体に対する押し売りになるんじゃないのかなと思うんですが、大臣、いかがですか。
○高市国務大臣 あくまでも技術的な助言でございます。
○塩川委員 いや、技術的助言でそこまでアドバイスをする意味が何なのかということであるわけです、コンセッション方式も含むと。政府とすれば、アクションプランでもコンセッション方式、もともと三年前にPFI法の改正も行って新たにできるようにもしてきた。そういうのを政府を挙げてやりましょう、国もやるけれども地方にもよろしくというのがこの通知の中身になっているわけですから。
こういう、実例もない、実績もない、そういう意味では評価のしようもないものについても自治体によろしくというのは、ちょっと押し売りに過ぎるんじゃないかなと思うんですが、もう一回、いかがですか。
○佐藤政府参考人 今御指摘のように、コンセッション方式というのは近年のPFI法の改正で新しく導入された仕組みでありまして、これについては今のところまだ実績がないということでありますが、この指針で言っておりますのは、コンセッション方式も含めたPFI全体について活用を検討してくださいということをお願いしておりまして、ここでコンセッション方式を除くというようなことではないという意味で、広くここを捉えて書いているということであります。
それからもう一つは、政府全体とすれば、成長戦略の一環としても、このPPP、PFI、中でもコンセッション方式を積極的に進めていこうということを決めておりますので、我々としても、その方法に基づいて、地方団体においても活用を検討してもらいたいという気持ちは持っております。
○塩川委員 ですから、諮問会議の場でも、国としての案件は空港なんかもありますし、同時に地方が持っている案件が当然あるわけで、上下水道ですとか空港なんかもあるわけですよね。
今回、そのコンセッション方式の導入に当たって、十年のところを三年のところで前倒しをして、それぞれ分類ごと、類型ごとに幾つと数も出して、当然、そこでは、自治体でいわば玉出しをしてもらわないと、案件を出してもらわないと成り立たないような状況もあるわけですから、そういう点では、総務省が旗を振りましょうということを国が方針として持っているということでありまして、そういう点でも、自治体に対しての押し売りになるんじゃないのかという指摘というのは的を射ているものだと考えます。
そこで、そもそも、このPFI事業そのものがどうなのかということがあるわけであります。
今回、公共施設等総合管理計画は、まち・ひと・しごと創生法案の中の総合戦略にも盛り込まれる、そういう意味では施策の一つになるわけですけれども、地域の活性化を図るということなんですが、ただ、過去のPFI事業を見ますと、実際には大手ゼネコンが受注しているのが多いんじゃないですか。
ですから、こういったPPPやPFIを推進するとなると、従来の公共事業、公共発注にかえてPFIを推進するということになれば、結果として、大手ゼネコンはどんどん出張ってくるけれども、地元の業者が排除されることになりはしないのか、このことが地域経済の活性化にも逆行するんじゃないのか、こういう懸念が当然浮かぶんですけれども、この点、大臣はどのように受けとめておられますか。
○高市国務大臣 必ずしも大手企業だけが潤うという話でもないと思います。
例えば、ジョイントベンチャーでやっていく、それからまた、大手企業、元請が受注された場合に、非常に広がりが大きい、御一緒に仕事をされる方々の広がりも大きい、そしてまた納税者のためにもなることだと考えております。
○塩川委員 官公需法というのがあるぐらいで、地元業者に、優先的に中小業者に発注しようじゃないかということで、今回、経産省の方でも出されている法案でも、新規創業の事業者に対しての官公需発注というものを出せる。それは、まさに地域で新しく仕事興し、産業興しを図っていくというところに着目した改正であるわけで、そういう点で、今回のPFI事業についてどんどんやってくれというのは、逆に地元業者が伸びるのにふたをするようなことになるんじゃないのかという懸念というのは当然浮かぶわけなんですよ。そういうふうに思いませんか、大臣。
○高市国務大臣 全くそうは思いません。
PPP、PFI事業の採用以外でもたくさんやるべき仕事はあります。特に、現在の国土強靱化を進めていく中で、私たちの命を、財産を守っていく中で必要な事業もございます。
そしてまた、必ずしもこの方式を採用しなきゃいけないと義務づけるものではありませんので、各地方の団体においてそこは配慮をされ、また、地方で、できるだけ地方の事業者に発注をしてほしいということで、議員立法などの活動も行われているわけでございますので、ここは地方の公共団体が的確に判断をされるべきことだと考えております。
○塩川委員 そういう点では、近年、PFIの大宗を占めるサービス購入型のPFIの新規事業件数というのは伸び悩んでいるわけで、単年度当たりのPFIの事業数、事業費というのは、二〇〇九年以降ずっと減少傾向なんですよ。なかなかうまくいっていないというのが率直な自治体の受けとめであるわけです。
総務省によるPFIを企画、実施した自治体アンケートの調査報告でも、今後PFI事業を予定していますかという問いに対して、特に予定がないという回答が七三・二%なんです。つまり、これまで企画をしたり、既に実施をした、そういう自治体に、もう一回、次やりますかと聞いても、七割以上がもう考えていないという回答なんですよね。これが実態であるわけです。PFIには懲りたというのが自治体の声だということであります。
大臣の御答弁の中で、各自治体、各団体ごとの判断であり、義務づけではない、導入の数値目標を課すものではないというお話がございました。
ただ、今言ったように、多くの自治体ではPPP、PFIについて検討対象としていないにもかかわらず、今回、除却を行う場合に、地方債の起債の仕組みをつくったわけですけれども、この除却に伴う地方債の起債を求めるときに、総務省が提出を求めているチェックシートがあるんですよ。公共施設等総合管理計画確認リストというのがありまして、このチェックシートには、PPP、PFIの活用を検討したかどうかということをチェックして出すようになっているんです。
ですから、除却のために地方債の特例措置を受けたいと思ったときには、一連のこういった指針に基づく項目について検討したかどうかというのをチェックして出せということを総務省がやっているんですよ。そういう意味では、さらにはこの計画の策定状況についてフォローアップ調査を実施し、点検まで行っているわけで、これは自治体の自主性、判断に対して口を挟むようなやり方じゃないかな、おかしいんじゃないかと率直に思いますが、大臣のお答えをいただきたい。
○佐藤政府参考人 我々から地方債の発行に際してのいわゆる確認リストというのを出しておりますが、この中に、おっしゃるように、PPP、PFIの活用について検討がされているかどうかというのを項目で挙げております。
ただし、これは必須項目とはしておりませんので、これをしなかったからといって地方債が認められないということにはならないということでございます。
○塩川委員 チェックすることにはなるんですよ。検討したかどうかということを書いて出しなさいということにはなるわけであります。
行政サービスの集約と経済活動の活性化を目指す創生法案が進める総合戦略に、ビルトインされているのが公共施設等総合管理計画ですが、これがPPP、PFI推進のために対象公共施設のリストアップを図る計画となっているというのが実態であります。PFIの過去の事例を見ても、財政健全化に資するどころか、かえってコスト高になった事例もありますし、経営破綻で市民サービスが提供できなくなり、多くの労働者が解雇されるような事例もありました。
このような事例のまともな総括もなしに、公共施設等総合管理計画策定指針によるPFI推進は極めて重大だ、問題があるということを述べて、質問を終わります。