国会質問

<第187臨時国会 2014年10月17日 経済産業委員会 2号>




○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 きのう、きょうと国会におきましては小渕大臣の政治と金の問題が議論となっております。
 政治資金規正法におきましては、「政治資金の収受に当たつては、いやしくも国民の疑惑を招くことのないように、」とありますが、支出のあり方も含めて、まさにこのことが問われているときであります。
 現状では、国民の疑惑や国民の批判が解消されるどころか、一層深まったと言わざるを得ません。要求のあった資料の提出を直ちに行うことを初めとして、責任ある対応を強く求めて、きょうの質問、再エネ、系統接続保留問題と、川内原発再稼働問題についてお聞きをいたします。
 再生可能エネルギーの導入に関して、九州電力などが接続申し込みへの保留を行っていることが大問題となっております。接続申し込みへの保留を行ったのが北海道、東北、四国、九州、沖縄の五電力でありますが、固定価格買い取り制度で太陽光発電の申請が急増し、受け入れを続けると電気の安定供給に支障があることを理由としています。
 小渕大臣は、電力会社の受け入れ量が妥当か検証するとともに、受け入れ拡大策についても検討するとして、その作業を行う系統ワーキンググループを立ち上げております。その第一回の会合が昨日開催をされました。
 この系統ワーキンググループ第一回会合での資料の中に、ステップ五、回避措置、取引の活用という部分があります。
 そこでは、「再エネ特措法上は、太陽光・風力の出力抑制に先立ち、余剰電力について「電気の取引の申込み」を行うこととされており、主に域外の電気事業者に対し、経済的に成立する範囲で、連系線を用いて余剰の電気を販売することとなっている。」このように、太陽光、風力を出力抑制する、そんなことを言うんであれば、まずは電力会社間の系統をしっかりと整備する、こういうことが課題となっていたということが法律上の規定でも盛り込まれているということであります。
 そこでお尋ねしますが、FIT実施による太陽光発電が大きく普及をしたわけであります。この間、経済産業省、国として、FIT実施による太陽光発電の普及を想定して電力会社間の連系線増強などの対応は行ってこなかったのか、このことについてまず伺います。

○小渕国務大臣 お答えを申し上げます。
 委員が御指摘になりましたように、再生可能エネルギーを導入するに当たって系統を強化していくということ、これは大変重要なことであるというふうに考えています。
 これまで、系統を強化していくということは民主党政権のときからやっておられたことでありますが、そのときにマスタープランというものがありました。これは、北海道と本州をつなぐ北本連系線、あるいは周波数変換装置、FCの増強などをやっていただいていたところであります。それは自民党政権になりましてからも引き続きやっておるところであります。
 それだけではなく、やはり北海道・東北地域、どうしてもここは風力が出てくるところであります、太陽光もそうですが。太陽光、風力がふえてくる地域でありますので、この地域内の送電網の整備、実証をする補助を実施してきたところであります。
 さらに、系統の受け入れ量をふやす対策としては、再生可能エネルギーの出力変動を吸収するための大型蓄電池の実証や、これを活用した電力系統の運用技術の高度化等についても予算措置を講じてきたところであります。

○塩川委員 今御説明されたのは、風力発電に当たる系統間の増強の対策の話であります。
 太陽光発電ということに着目をした対策を行ってきたのかどうかということが問われていると思うんですが、その点はいかがですか。

○小渕国務大臣 これまでの対策としては、太陽光、風力、地熱、そうしたものを全てトータルとして勘案した再生可能エネルギーとしての対策を講じてきているところだと考えています。

○塩川委員 先ほど、答弁の中でも、北海道や九州についてはそれぞれ地域特有の問題だと受けとめていた。太陽光発電のパネルが、メガソーラーが普及した。そういう点では、まさにその点が今回問われているんじゃありませんか。
 そもそも、再生可能エネルギーの普及に当たっては、それぞれの種別に、導入に当たっての期間に違いがあるわけです。地熱などは非常にかかりますし、風力も一定期間かかる。しかし、太陽光は設置をすればすぐ対応が可能ですから、そういう点でも、メガソーラーなどを想定した、太陽光発電に着目した対策をとるべきだったというのが、まさにFIT法を受けての経産省として行うべき仕事だったのではないのか。この点について実際に行われていなかった、このことが問われていると思います。この点でも経産省の責任が厳しく問われる問題だということを申し上げておくものであります。
 このような北海道や九州などにおける太陽光発電の系統の増強によることが障害となっての今の問題と同時に、例えば関西電力や東京電力の管内、大きな需要がある中で太陽光発電を進めている。しかし、実際には、変電や配電網を増強することなしには受け入れることができないということが現に起こっているわけであります。
 私がお話を伺った東京電力の茨城県における事例ですけれども、茨城県内の市民が市民ファンドをつくって、太陽光発電のパネルの設置を計画しました。昨年度に認定を受けて、ことし三月には東電の竜ケ崎支社に申請、届け出を行ったということです。ところが、八月になって、東電側から、現状の設備容量、変圧器の容量では連系が困難な状況にあり高額な工事負担金が見込まれるという文書を受け取ったということです。
 その系統アクセス工事費の総額が八千二百三十九万円で、それにとどまらない。大体発電能力が認定出力ベースで百四十八・五キロワット、百五十キロワットですから、当然、固定価格で一定の収入が見込めるわけですけれども、こんな八千万円を超えるようなお金では、そもそも成り立たないんですよ。
 そういった事業者というのが、その市民のファンドの方だけではなくて、ほかにもたくさんいらっしゃるわけなんです。しかし、東電が言うのは、その再エネ事業者一つ一つに対して、八千万円出せますか、八千万円出せますか、こういうやりとりをしているというんですよ。結果としてそれが再エネの普及を押しとどめることになっているんじゃないのか、このことが問われているわけであります。
 このようなローカル系統の制約に係る接続保留問題について、特に今取り上げました東電の竜ケ崎支社管内の現状がどうなっているのかについて、お答えいただけますか。

○上田政府参考人 お答え申し上げます。
 今の先生の御指摘の事例でございます。これは茨城の話でございまして、今回、九州電力で問題となっている全域の話というよりも、まさにそれぞれの地域地域、ローカルな中で、その地域における電力線等々の系統が不十分であるために太陽光等の接続が困難な事例が出てきているということでございます。
 特に、御指摘の事例につきましては、一つのエリアの中で多数の太陽光発電事業者が系統接続を希望しているということでございまして、いずれにしても、東京電力の系統設備の増強工事というのが必要になってくるということであります。
 では、系統設備の増強費用の負担は誰が行うべきかということでございますが、私どもは受益者たる発電事業者の負担とすることが基本であると考えておりまして、そういう運用になっております。
 現在のルールにおきましては、まず、最初に接続する発電事業者に全額の費用負担を求めさせていただく。その上で、その後に、複数の発電事業者で当該設備を、その系統の設備のことでございますが、最初の太陽光ができて、後から出てきた場合には、最初の事業者に全額の費用負担を求めた上で、その後、複数の発電事業者で当該設備を共用するといった形になった場合に費用を案分するという形になっているわけでございます。
 ただ、確かに、最初に全額の費用を負担する事業者にとりましては、では、最後、幾つか案分するとしても、一体最終的な費用負担がどの程度にとどまるのかというところが必ずしも予見可能性がないために、果たしてその事業を推進していいかどうかといったところについて意思決定が困難となるという状況について認識をしています。
 現在、こういった問題につきまして、東京電力におきまして、円滑な費用分担ということを行うためにどのような対策ができるのかということを検討しているわけでございます。
 御承知かと思いますけれども、群馬県におきましても同様な事例が想定されておりまして、その場合に、接続を希望する複数の事業者に対しまして費用分担に関する入札というのを行いまして、その結果に基づいて事業者を決定するスキームというのも実施しているところでございますが、そういったことも含めまして、東京電力におきまして対策を検討しているところでございます。

○塩川委員 入札の話がありましたが、現に進んでいるわけですけれども、結局は、入札ですから、体力のある大手事業者を優先するということになりかねないんですよ。
 やはり、地域のエネルギー資源の活用ですから、地域の住民の方々がそれを生かしていくような、そういう再エネ事業者を普及するということであれば、単純にそういった体力で勝負のようなことであってはならない。八千万円を負担できるという事業者がぽんと出たら、そこからまず話が進むということにもなりかねないわけですから。
 この点では、手を挙げているような事業者の方について、誰が手を挙げているのか東電は知っているわけです。それを教えてもらえれば、お互いに相談するということだってできるわけですよ。ですから、そういった情報の公開ですとか、あるいは再エネ事業者間の協議の場を設けるですとか、こういう取り組みというのはすぐできると思うわけであります。
 こういうことについての具体的なルールづくりということについて、ぜひ経産省が音頭をとって進めていただきたいと思うのですが、大臣、いかがですか。

○小渕国務大臣 御指摘のように、今、この系統の接続の回答保留に対する問題というものは本当に大きいものがあるというふうに思っています。
 再生可能エネルギーを最大限導入するという方向はいまだに変わっておらないわけであります。どうしたらこの再生可能エネルギーをたくさん導入できるのか、やはりしっかりと系統というものの強化というものをしていかなければなりません。
 しかし、系統を強化していくためには、やはり、ある程度、一定程度の費用がかかってくるということであります。先ほど長官から御紹介はありましたけれども、各地域、さまざまな取り組みをしているところであります。
 委員が御指摘のように、みんなで話せるようなところが必要ではないかというお話がありました。私は、そうしたことも一案ではないかというふうに思っています。
 大事なことは、できる限り皆さん方に手を挙げていただいて、再生可能エネルギーを進めていくために、皆さんでお金を集めて、しっかりとした系統の強化をしていくということが大事ではないかと考えています。

○塩川委員 こういう点での具体的なルールづくりについて、ぜひ前に進めていただきたい。
 現行のルールでは再エネ事業者の負担ということですから、今言った次善の策としての提案を私もしているところですけれども、ドイツのように大きく再生エネが普及しているところというのは、再エネ事業者の負担ではなくて電力会社の負担、こういうルールにもなっているわけですから、そういう方向に進んでこそ再エネの最大限の普及につながるということは申し添えておくものであります。
 次に、昨日の会議の中では、ベースロード電源の問題についての説明もあったところです。
 安定供給のためにはベースロード電源を一定量確保することが必要とし、一般水力、原子力、地熱は可能な限り運転することとする。一般水力、原子力、地熱の出力については、各電力会社の特性や長期的な傾向を反映することとし、電力会社別の震災前過去三十年の設備利用率平均を用い、設備容量を乗じる、つまり設備利用率掛ける設備容量とすることとしてはどうかという事務局の提案となっております。
 この場合、一般水力、地熱もありますけれども、原子力、原発について伺いますが、原発の設備容量についてはどのように見積もることになるんでしょうか。

○上田政府参考人 今の御指摘のお話は、昨日でございますが、私ども、系統ワーキンググループというものを開催させていただきました。その事務局が提出させていただきました検討資料というものの中での指摘でございまして、今後、各社間の系統にどれだけ再生可能エネルギーが導入できるかという検討をするに際しては、ベースロード電源をどの程度活用していくのか、ミドル電源をどの程度活用していくのか、そういう想定が合理的かどうかということを判断するということでございます。
 そうした討議資料の一つといたしまして、原子力に限らず、一般水力、原子力、地熱、こういうものは、国産エネルギーである、あるいは準国産エネルギーであるということ、それから、出力調整そのものに技術的制約があるということで、運転を可能な限りしていくという前提で、その出力の設備の稼働につきましては電力会社別の震災前の過去三十年の設備利用率平均というものを用いてはどうかということを事務局の資料に提出しているわけでございます。
 したがいまして、原子力についても、そういうような形での震災前過去三十年の設備利用率平均を用いる。三十年経過していない場合には、運転開始後の全期間ということも書かせていただいておりますが、そういう事務局から議論の材料として提示をさせていただいたものでございまして、このことそのものにつきましても、今後、専門家の中でこれが適切かどうかと……(塩川委員「設備容量」と呼ぶ)
 設備容量につきましては、それぞれの電力事業者ごとに、どの程度の設備、これは原子力に限らず、一般水力、地熱についても同様でございますが、そういったものの想定というのを各電力会社からいただいた上で、それが合理的かどうかというのを系統ワーキングの中で議論していくことになるわけでございます。

○塩川委員 今説明がありましたように、設備容量は電力会社が想定するんですよ。では、九州電力管内はどうするんですか、原発の設備容量についてどういうふうに想定するんですかというと、九電が想定するということですよ。では、九州電力は今どうしようと思っているのか。再稼働じゃないですか。川内原発の再稼働ですよ。玄海原発の再稼働についても規制委員会に申請を行っているじゃないですか。
 九州電力は川内原発の再稼働、玄海原発の再稼働を目指しているということになると、この原発の設備容量をもとにベースロード電源をはじくということになりますね。

○上田政府参考人 具体的にどの程度の発電というものを想定していくのかということについては、九州電力の方で今後御検討いただくことになると思います。先ほど申し上げましたように、私ども、原子力、水力、それから地熱等々につきましてはベースロード電源ということでございまして、原子力につきましては御案内のとおり原子力規制委員会によって安全と判断されたものについてはその再稼働を進めるという前提に立っておりますので、九州電力が一定程度原子力発電をベースロード電源として想定することというものは、それは九州電力の判断ということでございます。
 それが合理性があるかどうかにつきましては、この系統ワーキングで専門家の方々に御議論をいただくことにしております。

○塩川委員 ですから、議論の前提が原発の再稼働を願っている電力会社の想定なんですから。
 九電管内における回答が保留になっている再エネ事業者の申請案件というのは七万件近くですよ。再エネ事業者から怒りの声が上がっているわけです。そのときに、川内原発再稼働を踏まえた原子力のベースロード電源を想定するというのであれば、再エネ拒否の理由は川内原発再稼働のためということになるんじゃないのか、こういう受けとめになるのは当然のことだと思うんですが、大臣、いかがですか。

○小渕国務大臣 そこの部分はまたちょっと違うのではないかと思います。
 それぞれの電力会社において、どのような電力をミックスしていくかということは、それぞれの電力会社で考えていくことでありますけれども、何も再生可能エネルギーがたくさん入るということと原発をやるということが、プラスマイナスがここの二つだけということではないものと思っています。もちろん、火力ですとかLNGという話もありますし、やはり再エネを入れるからには、二十年、これは入ってくるわけですから、そうしたことも踏まえて考えていくということが大事だと思います。
 そして、先ほど長官からも話がありましたように、あくまでも、原子力というものは低廉で安定供給ができるベースロード電源という形で位置づけられているということであります。

○塩川委員 設備容量について、原発再稼働は、国民の世論でも多数の方々が反対なんですよ。そういうときに、電力会社の都合、想定でベースロード電源をはじくというやり方そのものが間違っているんじゃないのかということを聞いているんですよ。原発再稼働を願う電力会社の言い分を前提にしてベースロード電源を設定するということは、国民の理解を得られない。
 結局、政府がエネルギー基本計画において、原子力については「安全性の確保を大前提に、エネルギー需給構造の安定性に寄与する重要なベースロード電源である。」と位置づけていることが大もとにあるわけで、ここが電力会社が想定する再稼働につながっていくわけですから、このエネルギー基本計画こそ撤回すべきではありませんか。大臣、いかがですか。

○小渕国務大臣 責任あるエネルギー需給構造というものをつくっていかなければならないと考えています。それぞれのエネルギーにはそれぞれの特色がありまして、そして、いい部分、悪い部分、難しい部分というのがあるんですけれども、やはり一つに偏るということが、これから日本の経済、生活を支えていく上で責任あるエネルギー体制にはならないのではないかと思います。そうした中で、原子力に関しては、低廉かつ安定供給のできる重要なベースロード電源と位置づけられているものと承知をしています。

○塩川委員 原発事故処理の費用もわからないのに、何で低廉だと言えるのか。原発を重要なベースロード電源としたエネルギー基本計画によって、結局、再エネよりも原発を上に置く、原発最優先給電となっているということが今まさに問われているわけであります。
 小渕大臣は、就任直後の九月十二日に、鹿児島県知事宛てに川内原発再稼働に向けた政府方針についての手紙を出しましたが、結果は、政府が川内原発に責任を負う、まさに再稼働にお墨つきを与えた中身になっているわけであります。小渕大臣は、万が一事故が起きたときには、政府は関係法令に基づき、責任を持って対処しますと言うけれども、国が責任を持つというのであれば、事故を起こさないためにも、原発の再稼働をやめる、原発ゼロに踏み出すことこそ行うべきだということを求めて、質問を終わります。