国会質問

<第187臨時国会 2014年11月05日 地方創生に関する特別委 8号>




○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 きょうは、人口減少問題における自治体の役割に関連して質問をしたいと思っております。
 最初に、国交省にお尋ねいたします。
 離島における人口の動態、減少の問題についてお尋ねしますけれども、国勢調査、平成十七年と平成二十二年の人口変化率に関して、全部離島と一部離島、それから平成十二年から二十二年の間のいわゆる平成の大合併により全部離島から一部離島になった離島、この三つについて、それぞれ十七年―二十二年間の人口の減少割合がどうなっているのか、この点についてお答えください。

○舘政府参考人 お答え申し上げます。
 平成十七年から二十二年の五年間における人口の変化でございます。
 全部離島で八%の減少、一部離島で一五%の減少、平成十二年から平成二十二年の間に市町村合併により全部離島から一部離島となった離島は一七%の減少でございます。

○塩川委員 今御答弁ありましたように、全体として人口減少というのは深刻だということ、離島の実態がそこにあらわれているわけですけれども、しかし、そういう中でも、全部離島としてあるところに比べて、一部離島、つまり、本土と合併をしている離島、あるいは全部離島だったものが本土と合併して一部離島となった、こういうところの人口減少割合がより高くなっているというのが今の答弁にもあったとおりであります。
 ですから、平成の大合併によって本土の自治体と合併し周辺部分となった一部離島は、人口減少が一層深刻だということを示しているものであります。
 次に、総務省に、過疎地域の問題についてお尋ねをいたします。
 先ほどの国交省の離島と同じように、平成十七年と平成二十二年の間での人口の増減についてお尋ねしますけれども、過疎地域においては、一部過疎地域というのがございます。これは、過去の合併において、しかし、旧自治体の単位で過疎地域であるような場合に、過疎対策についての支援策が継続されるように一部過疎地域とするという措置があります。
 そこで、お尋ねしますが、平成十七年と平成二十二年の国勢調査における人口の増減の率について、総人口と、それから過疎地域と、今お話ししました一部過疎地域を有する市町村の過疎区域、いわゆる一部過疎における人口増減率がどうなっているのかをお願いします。

○原田政府参考人 お答えいたします。
 平成二十五年四月一日現在の過疎地域を前提に人口の増減を比較いたしますと、平成十二年に対します平成二十二年の人口の増減率は、総人口は〇・九%の増、過疎地域の人口は一二・三%の減、そのうち、一部過疎を有する市町村の過疎区域に係る人口は一五・一%の減となっております。
 次に、平成十七年に対します平成二十二年の増減につきましては、総人口は〇・二%の増、過疎地域の人口は七・一%の減、そのうち、一部過疎を有する市町村の過疎区域の人口は八・七%の減となっているところでございます。
 以上でございます。

○塩川委員 合併によって一部過疎となった地域では、過疎地域全体の人口減少割合に比べても、より大きな人口減少の現状ということが今の答弁でも明らかであります。
 そこで、大臣にお尋ねいたしますけれども、平成の大合併が、合併自治体の周辺部に当たる一部離島や一部過疎の地域などのいわゆる条件不利地域においてより大きな人口減少をもたらしたというのは、今の例でも明らかじゃないでしょうか。このような認識をお持ちですか。

○石破国務大臣 今、総務省から答弁がございましたように、過疎地域の人口、いわゆる純粋過疎地域というんですか、これはマイナス一二・三である。これに対して、一部過疎を有する市町村の過疎区域の人口は一五・一も減っちゃったということでありますから、数字だけ見れば、委員御指摘のようなお話があるんだろうと思っております。
 これは何でこういうことが起こっているのかということは、少しというか、かなり精密に分析をする必要があると思っておりまして、合併しなかった、単独で残ったところの方が元気なんじゃないのという事例は、かなり日本国じゅうで起こっているのかもしれない。合併をしたがゆえに、より人口が減っちゃったということがあるとせば、それは一体何に起因するものであろうかということは、私ども政府として、よく分析をしていかなければいけないことだと思っております。
 委員の問題認識と同じようなものを私自身も持っておりますが、何でこういうことが起こったかということをきちんと分析しないで評価をするということは、ちょっと今、してはならないと思います。しかし、このことは、これから先の地域政策を論ずるにおいて極めて重要な視点だと認識をいたしております。

○塩川委員 よく分析することが必要だというお話、同時に、やはり合併によって周辺部となった一部離島や一部過疎の地域というのが、より減り方が大きいというところが実態であります。
 これは、当委員会でも徳島の地方公聴会に行きまして、飯泉知事もおっしゃっておられたとお聞きしました。
 新しい市町村ができ上がった場合には、中核部分と周辺部分ができる、その周辺部分が想定以上に疲弊をしてしまった、逆に、合併しなかったところは、人口の少ないところは確かに厳しい面はあるが、それはそれなりに頑張っていけた。
 これは合併における実際の地方の認識だと思います。その点では共通するものがあるんだと思うんです。
 その点で、やはり平成の大合併というのが、結果として条件不利地域の大きな人口減少をもたらしたんじゃないのか、こういう認識から出発しなければいけないということであります。
 そこで、大臣に重ねてお尋ねしますが、大臣の本会議の答弁で、地方中枢拠点都市圏や定住自立圏などの圏域において、集中とネットワーク化の考え方により、都市機能、生活機能等の確保を図り、人口のダム機能が果たせるよう取り組んでいくと述べておられます。
 大臣は、自民党の幹事長時代、ことしの一月の通常国会の代表質問におきまして、増田リポートを取り上げて、「地方中核都市に資源を重点的に配分して、これを最後のとりでとし、そこから再生を図るなどの施策も必要」と、人口のダム機能論を評価しておられます。
 しかしながら、地方中枢拠点都市圏や定住自立圏などの圏域に資源を重点配分するという人口のダム機能論というのは、先ほど合併の話で紹介したように、周辺の小規模自治体からの人口流出というのがいわば仕方がないという仕組みとならざるを得ないんじゃないのかと率直に考えますが、いかがですか。

○石破国務大臣 そういう御指摘は当然あろうかと思っております。どこかでとめなければ、そのままどんどんと人口が流出するということになりかねないということは、やはり私は認めなければならないことだと思っております。どこでとめるかという議論はきちんとしなければならない。
 これから先、人口が減少していく社会において、すべての集落、全ての自治体に、同じように、今までと同じような資源配分ができるかというと、かなり難しい部分があるんだろうと思っております。それは、地域を、そういうようなところを見放すということを意味しません。ほかの何か手だてがあるのではないだろうか。
 つまり、今までつくりましたいろいろな社会資本は、これから耐用年数を迎えます。老朽化も進んでまいります。それを維持していくだけで大変なお金がかかります。そういうようなものはきちんと維持をしていかなければなりませんが、これから先、資源を配分するときに、そういうところを見捨てるとかそういうことではないが、ダム機能というものを維持しなければ人口の流出がとまりません。そのことは認識をする必要があると思っております。
 そのほかの、今委員が御指摘のような自治体に対して、あるいは集落に対してどのような対応ができるかということは、ハードだけではなくて、いろいろなソフトの対応もあろうかと思っております。
 地域に暮らす人々のいろいろな権利というものを守っていかねばなりませんが、それと同時に、人口の流出をとめるためにはどこかがダム機能を果たさねばならないということの認識は、私自身、強く持っておるところでございます。

○塩川委員 ダム機能の役割は評価をしながらも、周辺部分を見捨てるということではない、ほかの手だてがあるのではないかという話なんですが、ただ、こういった法案が出てくる前提にも、骨太方針の二〇一四もあります。その経済財政諮問会議の議論などを見ていますと、例えば、五月十九日の諮問会議と産業競争力会議の合同会議で、民間議員の皆さんがペーパーを出されました。そういう中に、「地域経済の活性化と構造調整の推進に向けて」というペーパーにおいては、「人口規模が小さな自治体ほど、公需等への依存度が高く、財政力が低いが、これは持続可能とはいえない。」ということを述べておられます。
 そうではないだろうと。私は、率直に、こういった小規模団体でのこういう積極的な独自の取り組みこそ大いに評価をすべきことではないのかと。この点では、合併しないで頑張ってきた小規模自治体が奮闘しておられるというのは、安倍総理の所信表明演説で島根県の海士町を紹介していることにも端的に明らかで、合併せずに頑張り、今では人口の社会増にも結びつけているわけであります。
 このように、過疎や離島など条件不利地域の人口減少問題に正面から取り組む上で、この自治体の自治、自主的取り組みというのが非常に重要だ。つまり、小規模な自治体だからこそ、その自主性、自治を尊重することによって、人口減少問題でも正面から立ち向かうことができる。こういうところこそ積極的に評価をし、支援をしていくということが重要だ。
 その点で、今回の法案での総合戦略についても、十月三十一日の第二回まち・ひと・しごと創生会議の資料に基本政策検討チームの報告書案が出ています。ここに、自治体の地方版総合戦略策定支援のために、ビッグデータを活用した地域経済分析システムを開発するとしています。
 経済産業省の中小企業白書では、地域経済活性化の鍵を握るコネクターハブ企業、地域中核企業を抽出、選定し、地域経済の産業構造分析を行うのが地域産業構造分析システム、つまり地域経済分析システムと紹介しています。
 しかしながら、地域経済活性化の鍵を握るコネクターハブ企業というのは、中小企業白書では三千六百社余り、数として挙げているわけです。その本社は東京に四分の一が集中をし、例えば島根県では八社ぐらいしかないんですよね。佐賀県は三、沖縄は二つだけなんです。条件不利地域の小規模自治体には皆無という状況であります。
 ですから、いわゆるビッグデータを使った取り組み、コネクターハブ企業の活動の活性化を基本とする地域経済分析システム活用による地方版総合戦略づくりというのは、地方中枢拠点都市圏の中心市への支援に限定をされて、周辺自治体や条件不利地域の小規模自治体の自主的な経済政策に生かされないんじゃないのか、こういう懸念を覚えるわけですが、大臣、いかがですか。

○石破国務大臣 そういう御懸念がないように、工夫をいたしてまいります。何か切って捨てたような答弁になって恐縮なんですけれども。
 実際に、そういうところこそ支援をしていかなければならない。そういうところにそんな企業はないということであれば、これは困っちゃうわけですね。
 ですから、東京に本社があるようなところ、その出先だけではないと思うんです、その中核企業というのは。ビッグデータにおきまして地域をまさに興していくような企業というのはそれに限定をされないのだと思っておりまして、そういうものも地域の総合戦略づくりに生きていくように、これからビッグデータというのは、まだ完成しておりません、開発途上でございますので、委員の御指摘も踏まえてやってまいりたいと思っております。
 それから、質問の前段にありました、合併していないところほど元気じゃないかと。そうなんです。そういうところがあるんです。合併しちゃったところは、もう村役場もなくなっちゃいました、村長もいなくなりました、どこで何が起こっているかわからないという話が起こっておるわけで、そういうところに対してどういうケアをしていくかということにつきましては、私自身、強い問題意識を持っております。

○塩川委員 中核企業というのは、実際には資本金一億から十億ぐらいのところを想定しているという話であります。そういった規模のものが実際にこういった条件不利地域の自治体に存在し得るのかという問題です。
 そういう点でも、今大臣がおっしゃったような、小規模自治体が自立して頑張っていく、まさに地域資源を活用していく、こういうことを進めていくことこそ重要であって、今回の法案で、総合戦略を国がつくって、都道府県でも市町村でもよろしくという枠をはめた、こういう枠組み自体に問題があるんじゃないのか、こういった枠組みをつくることがかえって小規模自治体の自主的な取り組みを阻害することになるのではないのか、こういう懸念を申し上げて、質問を終わります。