国会質問

<第187臨時国会 2014年11月05日 経済産業委員会 6号>




○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 きょうは、急なお願いで足をお運びいただき、貴重な御意見を賜り、本当にありがとうございます。
 きょうは、地域資源の活用と観光地とを少し分けてお尋ねしたいと思うんですが、最初に、地域資源の活用について、樋渡参考人と平石参考人と水津参考人にお尋ねしたいと思います。
 今回、地域資源活用促進法の改正ですけれども、その背景としては、現行法の効果というのが個別の企業の取り組みにとどまって、地域経済への波及が限定的だった、こういうことを踏まえての改正ということで、いわば、個別企業から地域全体の取り組みにしていくことが重要だということが強調されております。その際に、市区町村の積極的な関与を法定化するという中身であるわけです。
 そこで、前提としての議論として、地域資源の活用に当たりまして、一つは、こういう地域資源を見出していく、あるいは地域資源の磨きをかけていく、そういう点では、まさに、地域の農林水産業、その生産物、加工商品化、あるいは観光ですとか再生可能エネルギー、もちろんこれにとどまるものではありません。まさに地域の資源をどういうふうに生かしていくのかという際に、どう見出し、どう磨きをかけるのかという点で留意することなどがありましたら御意見を伺いたいということ。
 もう一点は、その際に、個別企業が地域資源を代表しているわけでもありませんので、地域全体の取り組みにしていく上で自治体の果たす役割というのはどういうところにあるんだろうか、こういう点でお考えのところがありましたら、お三方にお願いできないでしょうか。

○樋渡参考人 お答え申し上げます。
 まず、地域の産品を興すに当たっての留意事項というのは、私は二点心がけております。
 一つが、外からの、外部の意見であります。例えば、伊勢丹のバイヤーさんの意見を聞くとか、あるいはバーニーズ・ニューヨークのバイヤーの意見を聞くとか、要するに、それで生計が成り立っている人の意見を聞く。それでうちのレモングラスを出したんですね。なぜレモングラスを出したかというと、名前がいい、ドクダミとはちょっと違うということもあります。
 それと、もう一つございます。必ず私が売り出すときは、私は提供者の目線に立たずに、私だったら買うか買わないか、この金額で買うか買わないかというのを、もう完全に私本位で決めてまいります。
 そういった意味で、今までなぜ失敗していたかというと、皆さんがやはり提供者目線に立ち過ぎた。要するに、高く売りたい。しかも、多く、高く売りたいというのは、実は、消費者から見れば、そんなもの欲しいわけじゃなくて、やはり自分にカスタマイズされたものが欲しいと思うんですよ。
 そういったもので、私は必ず消費者の目線に立って、自腹でこれで買うかどうかというのが、私が関与するときの最大の基準になります。それと、外の意見ということが留意する事項であります。
 それと、地域全体の取り組みにするためには、私は必ず課をつくります。例えば、フジテレビドラマの「佐賀のがばいばあちゃん」を誘致したときは、佐賀のがばいばあちゃん課というのをつくりました。レモングラスはレモングラス課、婚活はお結び課というふうに市の中心のど真ん中に推進体制をつくるということ、それも、しかもわかりやすい名称でつくるということです。
 したがって、繰り返して恐縮ですけれども、うちのいのしし課長は今でもイノシカチョウと呼ばれております。

○平石参考人 僕は、市長のお話を聞くと、もうこれでほとんど全てなんではないかというふうに思ってしまいます。
 ちょっとだけ補足的な話になります。
 我々、地元で毎日接していると、これがいいものであるかどうかというのは全然何の疑問も持たないわけですね。ですから、先ほど、バイヤーの本当のプロの目で見る、こうした視点が重要だという話になるんだろうと思います。
 ちょっとだけ学問的な話でいうと、つまり、見つけたものをどう展開させていくのか。
 マクロビーがABCDコンビネーションというマトリックスを言っております。Aというのはアドミニストレーション、つまり、行政の役割なんです。Bというのはビジネスで、企業。Cというのはコーディネートする人、つまり、それが学識経験者であったりバイヤーであったり、外の人間が、これはうまくいいものになるんじゃないかとコーディネートをします。Dというのは地域の中で民主的な団体、デモクラティックオーガニゼーションというふうに言いますけれども、これはNPOであったり商工会議所であったり商工会であったり。こういうふうなところがうまくコーディネーターによって連携をとってやっていくことによって、これが次のうねり、実質的なうねりになっていくだろうと思います。
 樋渡市長が言われたのはまさにそうだなと思ったのが、自分でこれを買うか。私も、お土産屋さんに行って、普通に売っているより倍以上の値段がして、これはデパートで買った方がいいなというふうに思うものがたくさんあるものですから、本当にそういうふうな普通の市民感覚の視点という部分を、特別じゃないんだ、市民感覚でビジネス化していくんだというふうな部分をやはり持ち続けていっていただければというふうに思っております。
 以上でございます。

○水津参考人 やはりマーケティングというものは欠かせないというふうに思っています。マーケティングというのは、一つは、お客様が何を求めているか、いいものが売れるわけではありませんので、ニーズを知るということと、もう一つは、どうやって商品や情報を届けるかということになるわけなんですけれども、その両方がやはり地方には欠けているというふうに思っています。
 先ほど、バイヤーさんに市長が聞かれるというのがありましたけれども、まさにマーケットの中での価値をしっかりと、競合他社と自分との強みとか、高い値段をつけてもそれだけの価値があればもちろん買っていただけるわけですけれども、そういったことがまずはちょっとわかっていないというところはあるだろうと思います。
 済みません、あと何でしたか。(塩川委員「地域全体の取り組みの関係で」と呼ぶ)何か話が飛んでしまいました、申しわけありません。

○塩川委員 終わった後にでもぜひ教えてください。
 官公需につきまして、村上参考人にお尋ねいたします。
 中政審で官公需小委員会の委員長もされておられるということで、御専門の立場から何点かお聞きしたいんですが、官公需法の活用に当たりまして、さきの通常国会で小規模企業の振興基本法をつくりました。その基本計画の中にも「小規模企業の政府調達参入の促進」というふうに出ております。官公需の契約の方針の中でも、小企業者を含む小規模事業者の特性を踏まえた配慮を新たに加えているところであります。
 そういった中小企業の中でも、やはり地域を支えている小規模事業者、この小規模事業者の立場での官公需の具体化を図ることが大事なのではないかなと思うんですが、その点についてお考えをお聞かせいただけないでしょうか。

○村上参考人 お答えします。
 全く質問のとおりだと思います。今回の官公需法の改正の趣旨はまさしくそこにあるので、創業十年未満の本当に小規模の、できたばかりの企業に少し光を当てるというか、そこに着目して、少しでも受注機会をふやすように意図的にやろうという、そこのところが今回の官公需法の改正の趣旨だと思います。
 ただ、今言ったように、そのために、逆に、どこまでのことができて、どこまでのことをすべきかというのが課題になっているという、中小企業基盤整備機構の方の情報収集とか情報の蓄積、それから的確な情報の提供その他をきちんと小規模企業の受注機会の拡大に反映させていくということが大事ではなかろうかと思っています。

○塩川委員 ありがとうございます。
 この官公需との関係で、官公需適格組合の制度の活用のこともございます。きょうも午前中の審議で、宮沢大臣にも、この組合の活用の重要性についても御答弁をいただいたところであります。
 この官公需適格組合というのは、組合員の相互扶助と同時に、やはり技術、技能などについてもその向上を図るような、そういう連携を図る組織という点でも積極的なメリットのある仕組みだと思っております。
 こういった官公需適格組合への官公需の発注というのが、地域内での再投資にもつながり、地域経済の循環にもつながっていくと思うんですが、いかんせん、活用の割合が極めて低いということがありまして、全体の一%にも満たないという現状にあるということで、この点で、官公需適格組合のそういう積極的な役割を発揮する上でも、どのように活用促進を図っていくのか。この点で、現状についての評価と、活用を促すためにどんな取り組みが考えられるのか、ぜひ御意見をお寄せいただけないでしょうか。

○村上参考人 官公需適格組合というのは、中小の企業が集まって、協同組合事業としてまとまってサービスを地方自治体その他に対して行う、そういうシステムであります。それをできる限り優先して受注機会を保護させていこうというのは、私は、多分、官公需法ができたときからの基本的な考え方であったと思います。
 おっしゃるとおり、とはいいながら、本当に順調に実績がいっているのかというところは、もう一歩、先ほどいろいろな難しいところはありますという客観的状況がありますけれども、そこは官公需法の趣旨を踏まえて、一貫して官公需の組合について受注機会を確保していこうというその対応には変わりはないという形で私は承知しております。

○塩川委員 続けて、国の取り組みと同時に、地方自治体での取り組みも重要です。実際に、その官公需の規模におきましても、地方公共団体の大きな比重が当然あるわけであります。そういう点でも、官公需法に基づいて地方公共団体での官公需の発注についてもぜひ進めようという立場での仕組みになっているわけですけれども、その際に、具体的に、こういう官公需の取り組みで積極的な役割を果たしているような自治体の事例ですとか、例えば、そういう中でも官公需適格組合については、神奈川県下におきましては、官公需適格組合がそれぞれの分野ごとで組成されておられるということもお聞きしましたし、そういうそれぞれの適格組合というのが共同受注ですとか自治体側への提案なども行って、積極的な活用が図られているということをお聞きしています。
 そういう点で、村上参考人、地方の取り組みで官公需で大いに参考にすべき事例ですとかそういうものがありましたら、ぜひ御紹介をいただけないでしょうか。

○村上参考人 官公需適格組合というのは、その中の小さな企業が幾つか組んで一つのサービスを提供するわけであります。したがって、地方自治体にとっても使い勝手がいいというか、割と機能するときには確かにうまく機能しております。
 一つの小規模企業に発注するのではなくて、幾つもの企業が集まった適格組合に発注しますと、例えば何か緊急のときがあった場合にはローテーションでどうやるとか、今ここがあいているからここを使うとか、そういう形の調整が柔軟にできるものなので、地方自治体ではそういう形のものを、使い勝手がいいときはむしろきちんと使っているんだろうというふうに考えております。

○塩川委員 ということで、時間も参りましたので、終わりたいと思います。
 ありがとうございました。