国会質問

<第187臨時国会 2014年11月05日 経済産業委員会 6号>




○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 中小企業需要創生法案は、政府が今国会の目玉としております地方創生関連法案の一つであります。官公需法、地域資源活用促進法、中小企業基盤整備機構法の三つの法案を一括改正しようというもので、きょうは官公需法に関連して質問をいたします。
 中小企業に対して官公需の受注機会の拡大を図る施策は、一九六三年に制定された中小企業基本法によって規定をされました。その具体化として、一九六六年に官公需法が制定をされました。官公需法は、国に対し、官公需の発注に際し中小企業者の受注の機会の増大を図るように努めなければならないと努力義務を課すとともに、地方自治体に対しても、国の施策に準じて同様な施策を講じるよう求めるものとなっています。
 今回の法案は、創業間もない中小企業の官公需への参入促進を図ろうというものです。そこで、大臣にお尋ねしますが、しかしながら、今回の法改正に当たっては、中小企業基本法にも位置づけられているこの官公需法の改正に当たっては、中政審では中身の議論が一切行われておりません。官公需法見直しについては、どのような場で、どのような議論を行ってきたのか、この点についてお聞かせください。

○宮沢国務大臣 おっしゃるように、中小企業政策審議会の場では、九月十二日に開催された審議会で、来年度の政策の概要というものがあって、その中で改正の方向性についてお示ししたけれども、議論はなかったと承っております。
 今回は、この問題につきましては、どちらかというと、地方再生、地方創生といった観点からいろいろ出てきた話と、また、経済活性化ということで、ベンチャーといいますか新規創業を支援するといったような話、こういう二つの流れから大きな流れとしてきておりまして、おっしゃるとおり、中小企業政策審議会の場で殊さらの議論があったとは承知しておりません。

○塩川委員 大臣のお答えにありましたように、ベンチャー支援という点です。
 ことし四月の、経済産業大臣、茂木大臣のときの私的懇談会、ベンチャー有識者会議とりまとめにおいて、ベンチャーの飛躍的成長を実現するための具体策の一つとして、官公需法を見直して、創業間もない企業の政府調達への参入を促進することが盛り込まれたわけであります。
 そこで、重ねてお尋ねしますけれども、今回の法改正が単にベンチャー支援に特化したものにとどまってはならないわけで、官公需を中小企業の仕事興しとして活用し、地域で雇用を守る中小企業、小規模事業者の経営を下支えしてほしいとの切実な声に応える法改正とすべきだと思いますが、この点についてはいかがでしょうか。

○北川政府参考人 お答えいたします。
 今回の法改正は、ベンチャー企業に特化したものではございませんで、広く中小企業、小規模事業者一般の受注機会の拡大、これを想定しております。

○塩川委員 ですから、ベンチャー支援という狭い視野ではなくて、官公需を中小企業全体の利益確保、雇用の維持拡大につながる仕事興し策として活用することで地域経済循環のそういう輪ができる、こうした観点で施策の具体化が図られるべきだと考えますが、大臣、いかがですか。

○宮沢国務大臣 私は、ベンチャーといいますか、新規創業ということも大変大事で、応援していかなければいけないと思っておりますけれども、日本の状況を見ますと、世界に比べてやはり中小企業というものが大変充実しているということが日本の経済を支えてくれている大変な原動力でありまして、中小企業にどう頑張っていただくかという観点からいいますと、いわゆる第二の創業といったものも実は大変大事だろうと思っております。
 既に会社として企業としてあるわけでございますので、経理とか総務といった人事管理といった意味でもある程度の素地がある企業が新たなものに臨んでいくということは創業と同じぐらい大事なことでありまして、そういった意味では、しっかりと応援していかなければいけないと思っております。
 今回の法律の対象は、まさに委員がおっしゃるように、個人事業主が代がわりする場合や別法人を設立するような場合は対象となりますけれども、別法人でない形でやったりするものは実は対象とならないといったことになっていることは事実でございます。
 代がわりがあったとか、それから会社を設立したということはある意味ではしっかり把握できるわけですけれども、では、代がわり云々という話になりますと、お父さんと子供の間で徐々に徐々に権限移譲が行われていくようなところがあったり、また、第二の創業といっても、どの程度をやったらば第二の創業と言えるかといったような問題があって、なかなか実はその対象を絞り切れないというような問題がありまして、今回はまずこういう形になっておりますけれども、ともかく、第二の創業については、いろいろな意味でしっかり支援していきたいと思っております。

○塩川委員 社歴の長い既存の中小業者でありましても、経営者の代がわりとか新たな分野への事業展開など、創業に類似した取り組みを行う、そういう際に支援が同様に必要じゃないか、第二の創業も大事と大臣はおっしゃいました。こういう観点での施策の具体化というものを改めて求めておくものであります。
 今、中小企業、小規模事業者が置かれている状況というのは、大変深刻なものもあります。例えば、中小企業家同友会全国協議会が景況調査報告を定期的に行っております。七―九月期の数字などについても報告が先日出されました。「円安・物価高、不況がらみの二重苦、中小企業を直撃」というのがそのタイトルであるわけです。
 安倍内閣における円安誘導政策の結果、突如として仕入れ単価の上昇が中小企業の経営問題として立ちはだかった、このように指摘をしております。六割の企業が二〇一四年四月からの消費税三%増税分以上の原材料、経費の上昇に直面していると回答し、該当分を価格転嫁できている企業は少ないという現状にあるとのことであります。だからこそ、消費税一〇%増税については六六%の企業が中止、延期を求めているという声も寄せられています。
 また、兵庫県商工団体連合会、民商の皆さんの消費税アンケート、この九月に行ったものですが、消費税増税前と比べて売り上げの状況はふえているというのはわずか五%で、変わらないが三三%、一割程度減少が二四%、二、三割減少が二五%、四割以上減少というのが一一%という、これが小規模事業者の実態であります。
 中小企業者、小規模事業者は、消費税増税中止を求める声が多数ということもあります。そういう中で、消費税増税中止という声に応えるということと同時に、中小企業に対する支援策の抜本的な強化が必要だと考えます。
 そういう取り組みの一つとしても、官公需適格組合の制度の活用の問題があります。経営規模の小さい中小企業者一者では受注できないような高額の案件でも、数社が共同して受注することで契約の履行が可能となるような場合があります。こうして生まれたのが、事業協同組合等による官公需の共同受注です。官公需法の第三条でも、「組合を国等の契約の相手方として活用するように配慮しなければならない。」と規定しており、これに基づき、一九六七年度の国等の契約の方針で、官公需適格組合制度が位置づけられました。
 そこで大臣にお尋ねしますが、改めて、この官公需適格組合制度の意義について御説明いただきたいと思いますし、そういう中で、現状の受注実績がどうなっているのかというのをあわせてお答えいただけないでしょうか。大臣、意義ということですから、ひとつよろしくお願いします。

○宮沢国務大臣 意義ということでございますが、官公需法において、中小企業者が一者単独では契約履行できない場合であっても、複数の者が集まって組合を形成することにより共同受注することが可能な場合があるため、組合を活用することは、中小企業者の受注の機会の増大を図る上で非常に重要であります。
 組合の中でも、共同受注体制が整っているなど一定の要件を満たす組合については、経済産業省が官公需適格組合として証明しており、入札参加資格を取得する際に、組合としての資本額に加えて、組合を構成する中小企業者等の資本額を合算して総合点数を算定できる特例措置の対象としております。
 これにより、組合構成員である中小企業者単体では受注できないような規模の大きな案件の入札にも参加できるため、官公需適格組合の共同受注の促進を図ることで、中小企業者の受注機会の増大を図ることができると考えております。
 また、二十五年度の官公需における官公需適格組合の契約実績は約二百四十一億円となっております。

○塩川委員 全体の中に占める割合、これがどのぐらいなのかということについてはいかがでしょうか。

○宮沢国務大臣 先ほど長官が官公需で約八兆円と言っておりましたから、八兆円の〇・三%ぐらいでしょうか。

○塩川委員 そういう点では、大臣が意義を御説明いただきましたように、官公需適格組合というのが、そういう小規模事業者なども官公需を受注する、そういう機会をつくる組合として重要なものだという点でありながら、実際の実績は一%にも満たないというのが現状であります。
 大臣の御説明にもありましたように、中小企業庁としても、こういった官公需適格組合名簿というのを作成し、これを国や各地方自治体の契約担当窓口に提供する、こういう取り組みなんかも促しているわけですけれども、現状は、今言ったような実態であります。
 ですから、この官公需適格組合というのが、やはり組合員の相互扶助と同時に技術力の向上を目的として設立をされた、いわば地元中小企業の専門家集団という位置づけだと思います。
 そういう点で、発注者側に対しての働きかけ、国等の各府省の発注者側に対して官公需適格組合の活用に関する具体化を図る、そういう取り組みが今重要だと思うんですが、この点についてはいかがでしょうか。

○宮沢国務大臣 まさに零細企業のことを考えますと、この組合をどう活用していくかということは大変大事なことだと思っております。
 そのため、各府省や独法等と連携して、ミラサポ、未来サポートというホームページがあるようでございますが、そのホームページやメールマガジンを活用して、特に新規中小企業者に対して、官公需適格組合が活用されるよう広く発信していきたいと思っております。
 新規中小企業者と直接接する機会の多い商工会、商工会議所や認定支援機関等を通じて、現場レベルでも積極的に官公需適格組合の活用を促していきます。
 地方公共団体に対しましても、新規中小企業者による官公需適格組合の活用を促すよう、新規中小企業者調達推進協議会等の場で協力を求めながら、国と地方が連携して取り組んでまいります。

○塩川委員 ミラサポは事業者向けの取り組みだと思うんですけれども、ミラサポをつくっていることが国側の、発注者側の取り組みということなのかもしれませんが、その点でも、各府省とかあるいはそれぞれの独立行政法人の発注の担当者のところでより自覚的に官公需適格組合を活用することを促すというのを経産省として、ぜひ取り組みとして具体化をしてほしいと思うんですが、この点ではどうでしょうか。

○宮沢国務大臣 官公需適格組合の名簿及び活動内容を便覧としてホームページで公表するとともに、都道府県、市町村の発注担当者などを集めて全国五十カ所で開催している説明会の場において、組合制度の周知を図っているところでございます。
 今回の改正を踏まえて各省庁が策定する方針においても、官公需適格組合の活用について盛り込むことを促していきたいと考えております。本年十一月に新たに国と四十七都道府県との間で開催する新規中小企業者調達推進協議会の場などを通じて、地方公共団体の方にも官公需適格組合の活用を一層推進していくよう伝えていきたいと思っております。

○塩川委員 小規模企業振興基本法の基本計画に、小規模企業の政府調達参入を促進するというふうにあります。官公需の契約の方針の中でも、小企業者を含む小規模事業者の特性を踏まえた配慮を新たに加えたわけであります。その点の具体化というのを大いに図っていくということが求められているんじゃないのか。そういう点では、発注者側の対応のさらなる具体化を促すと同時に、事業者側にしっかりとした、こういった官公需の活用ということを働きかけていく。
 特に、そういう新規創業者を含めて、官公需適格組合制度というのがあるんだ、そういうので共同受注というのも可能なんだ、こういうことをしっかりとアピールしていくということが改めて重要だと思うんですが、その点についての一言をいただけないでしょうか。

○宮沢国務大臣 おっしゃるとおりだと思っておりますので、いろいろ前向きに対応していきたいと思っております。

○塩川委員 官公需適格組合への官公需の発注というのが官公需を通じた地域内再投資、地域経済循環にもつながるということで、こういった官公需適格組合は、中小企業にとっては横のつながりの中で知識や技能を磨く場でもある。こういう積極的な役割ということを大いに位置づけて、取り組みを広げていただきたいと思います。
 あわせて、国と同時に自治体での取り組みの具体化が重要で、しかしながら、自治体における官公需適格組合の受注実績というのはどうなっているのか。この点については把握がされているものなんでしょうか。

○北川政府参考人 お答えいたします。
 自治体では、官公需適格組合の特例措置を設けているのが、都道府県レベルで二十四と承知しております。

○塩川委員 そういう点でも、官公需適格組合の受注実績というのは国としても把握をしていない。
 それぞれ自治体で積極的な取り組みをやっているということは承知をしております。例えば神奈川県などでは分野ごとの官公需適格組合も数多く組織をされて、共同受注や自治体側への提案など、積極的な活用が図られています。こういう取り組みにも大いに学んで、普及する必要があると思うんです。
 まず、自治体における官公需適格組合の受注実績がどうなっているのかということについて、この機会に国としてもしっかり把握をする、こういうことにぜひ取り組んでいただきたいと思うんですが、大臣、いかがですか。

○北川政府参考人 先ほど申し上げましたとおり二十四ということでございますけれども、今回の法改正を契機に、可能な限り実績についても把握に努めていきたいと考えております。

○塩川委員 都道府県レベルだけではなくて市区町村も当然ありますから、そういう取り組みについても大いに共同して、官公需適格組合の活用を図るという点での働きかけを要望するものであります。
 官公需そのものについても、例えば、横浜市では中小企業振興条例で、官公需の適切な分離分割により、市内中小企業者の受注機会の増大に努めるとの方針を掲げて、議会に施策の実施状況を報告することになっています。
 この報告では、市役所の部署ごと、市の区ごとの地元中小企業への発注件数、金額が公表されます。これにより、各部署や各区の発注担当者が、公契約の役割を自覚し、できるだけ地元へ発注することに留意することにつながって、いい意味での競い合いももたらしているわけであります。
 こういう自治体の取り組みを広く全国の自治体に紹介することが改めて重要だと思うんですが、その点、大臣に一言いただいて、終わりたいと思います。

○宮沢国務大臣 横浜市の例は少し勉強させていただきましたけれども、先ほど申し上げましたように、十一月、今月でございますけれども、新たに国と四十七都道府県それぞれとの間で開催する新規中小企業者調達推進協議会の場などを通じまして、こういう例があるということはしっかりとお伝えしていきたいと思っております。

○塩川委員 終わります。