国会質問

<第189通常国会 2015年02月04日 予算委員会 4号>




○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 最初に、大企業と中小企業の格差問題について質問をいたします。
 まず、確認ですけれども、中小企業、小規模企業が果たしている役割について確認するものですが、宮沢大臣にお尋ねします。
 中小企業白書において、大企業、中小企業、小規模企業の区分ごとの企業数、率、従業者数、その割合、これがどうなっているのかについて御説明をいただけますか。

○宮沢国務大臣 もとの数字は、総務省、経済産業省が実施しました平成二十四年経済センサス活動調査によるものですけれども、大企業と中小企業、中小企業は、これは小規模企業も含んでという数字になりますが、数は、大企業が一万社、中小企業が三百八十五万社、そして中小企業のうちの小規模企業の企業数は三百三十四万社。全体に占める割合は、それぞれ〇・三%、九九・七%、八六・五%となっております。
 また、従業者の数については、大企業につきましては千三百九十七万人、中小企業につきましては三千二百十七万人、そして小規模企業につきましては千百九十二万人となっておりまして、それぞれ割合は三〇・三%、六九・七%、二五・八%となっております。

○塩川委員 ここで総理にお答えいただきたかったんですけれども。
 ちょっととめていただけますか、流れもあるものですから、時間の関係で。

○大島委員長 いやいや、もう一度宮沢大臣にどうぞ。

○塩川委員 いやいや、流れもありますから。とめてくださいよ。(発言する者あり)そうですよ。

○大島委員長 では、速記をとめてください。
    〔速記中止〕

○大島委員長 速記を起こしてください。
 塩川鉄也君。

○塩川委員 今、中小企業が占める割合、特に小規模企業を含めた中小企業が雇用の面では七割を支えている、地域経済、地域社会を支える大きな存在であると考えます。この点について改めて、中小・小規模企業の果たしている役割について、総理としての認識をまず伺いたいと思います。

○安倍内閣総理大臣 全国三百八十五万の中小・小規模事業者は、従業員の数が全体の七割を占めているわけでありますし、我が国の経済や雇用を支える重要な存在であると我々は認識をしております。
 経済の好循環を全国津々浦々にまで届けていくためには、中小・小規模事業者の活力を最大限に発揮させることが必要不可欠であり、政府としても、昨年、中小・小規模事業者の九割を占める小規模事業者を支援するため、小規模企業振興基本法を策定し、地域で雇用を維持し、頑張る小規模事業者の方々を正面から応援しているところでございます。
 こうした施策に加えまして、今回の補正予算においても、頑張る中小・小規模事業者の活動を後押しするための施策を講じることとしておりまして、引き続き、中小・小規模事業者の支援に万全を期していきたいと考えております。

○塩川委員 総理の御答弁にありましたように、やはり地域の経済を支える、雇用を支える大きな役割を中小・小規模企業は果たしている。そういった大きな役割を果たしている中小・小規模企業ですけれども、この間、小規模企業の数も大きく激減をしているわけですね。こういう点についてもしっかりと見ていかなければならない。そういう中でも雇用を守って頑張っているのが中小・小規模企業の実態であります。
 そこで、次に二枚目のパネルをごらんいただきたいんですが、失われた二十年とされる一九九〇年代以降における大企業と小規模企業の経営状況がどうなっているのかを見てみたいと思います。
 このグラフにありますように、上が資本金十億円以上の大企業、下が資本金一千万円未満の小規模企業について、一九九一年度を起点にした推移が掲げられています。
 上のグラフの大企業の部分では、経常利益は十六兆円から三十五兆円に二倍以上、配当金は三兆円から十一兆円に三倍以上ふえているのに、従業員給与は三十九兆円から四十一兆円と横ばいであります。
 一方、下のグラフ、資本金一千万円未満の小規模企業の場合は、経常利益は十一兆円程度、また配当金は一兆円程度で伸びがない中、そういう中でも従業員給与をほぼ維持しているわけであります。
 そこで総理にお尋ねしますが、このように、この間、経常利益や配当金において大企業と小規模企業の格差が拡大してきたのではないのか、このように思いますが、総理の御認識はいかがですか。

○安倍内閣総理大臣 まず、倒産件数においては二十四年ぶりに一万件を切ったわけでございまして、そういう意味におきましては、大企業だけではなくて、中小・小規模事業者の事業環境はよくなりつつある、こう思っているわけでございます。
 また、中小企業、全産業でございますが、資金繰りにつきましても、二十四年の十二月はマイナス五だったものが、二十六年の十二月ではプラス二と改善もしているわけでございます。
 そうした中において、中小企業においても約六割が賃上げを昨年達成したのは事実でございますが、しかし、まだまだそれは、大企業と比べれば厳しい状況にあるのも事実であろう、このように思います。
 そういう意味におきましても、我々、経済界に対しまして、資材の値上がり等、価格転嫁に対応するように要請をし、合意をしているところでございます。

○塩川委員 九〇年代以降の傾向、推移についてお尋ねしたんですが、その点についてのお答えはありませんでした。
 見てはっきりわかるように、大企業は経常利益、配当金を大幅に伸ばし、一方、小規模企業にはその恩恵は及んでいないということがはっきりわかるわけであります。
 今、安倍総理が、大企業に対して中小企業は厳しい状況にあるということも、足元の話として改めて御説明をされました。安倍総理は、アベノミクスの成果によって企業の経常利益は過去最高となり、そのもとで経済の好循環が生まれていると述べておりますが、一方で、景気回復の実感が地方に暮らす方々や中小・小規模事業者の方々に届いていないのも事実と述べておられます。
 アベノミクスの成果が中小・小規模事業者には届いていないというのは一体どういうことなのか、この点で宮沢大臣にお尋ねをいたします。
 中小企業庁が、原材料、エネルギーコストの増加による中小・小規模企業への影響調査を行っております。ここでは、足元の原材料、エネルギーコスト増加の商品、サービスの販売価格への反映状況、このようなアンケートをとっておりますが、その回答がどのようになっているのかについて御説明をいただいた上で、中小・小規模企業にとって価格転嫁が困難という状況がはっきり示されていると思うんですが、その点についての認識もあわせてお答えいただけますでしょうか。

○宮沢国務大臣 経済産業省におきまして、昨年十月に、中小企業・小規模事業者を対象として調査を実施いたしました。原材料、エネルギーコスト増加の商品、サービスの販売価格への反映状況についての調査ですけれども、ほとんど反映できていると回答した者が一四・八%、半分以上反映できていると回答した者が一二・五%、半分未満しか反映できていないと回答した者が一六・四%、その一方で、ほとんど反映できていないと回答した者が三七・一%、全く反映できていないと回答した者が一九・二%となり、ほとんどできていない、全くできていない人で、合わせて五六・三%の者が価格転嫁が非常に困難な状況にあると回答しております。
 したがいまして、原材料価格の高騰、大変速いスピードで起こってきておりまして、なかなか転嫁できていないというのが今の現状だと思っております。
 私どもとしても、ガイドラインを今年度中に作成いたしまして、よい価格転嫁の例などを各業界に周知徹底するとか、また、消費税の転嫁Gメンが各社を回っておりますので、そういうところを中心に、年度末まで大手五百社は会社に伺って調査をするなど、価格転嫁を進める支援をしていきたいと思っております。

○塩川委員 転嫁できていないというのが現状だというお話、アンケートの数字でも、物価上昇分の価格転嫁が困難というのが五六%、一部というのも含めれば六割から八割ぐらいになっている。いずれにせよ、多くの中小・小規模企業が価格転嫁が困難だという実態について、改めて確認をいたしました。
 次に、衆議院の調査局経済産業調査室が一万社以上を対象に行った、最近の企業動向等に関する実態調査というのがあります。円安の影響が大企業と中小企業にどのような違いとなってあらわれたかについて、この実態調査の報告では次のように述べています。
 大企業においては、景気がよくなり業績見通しが明るくなった、取引先、親会社等からの受注が増加した、為替差益により収益が増加した等、円安がプラス面に働いたとする項目の回答率が中小企業のそれを上回った。一方、中小企業及び小規模企業においては、原材料品の仕入れ価格が上昇した、燃料費が増加した、景気が悪くなり業績見通しが暗くなった等、円安がマイナス面に働いたとする項目の回答率が大企業のそれを上回った。中小企業及び小規模企業は、大企業に比べて、円安がプラス面に働いているとの認識は薄く、逆にマイナス面を強く実感している傾向にあると考えられている。
 これが衆議院調査局の実態調査の報告の内容であります。
 そこで、安倍総理にお尋ねをいたします。
 ここに言いますように、円安の影響を問うたときに、アベノミクスによる円安というのは、大企業にはプラス、しかし、中小・小規模企業にはマイナスに働いているというのが現状じゃありませんか。この御認識をお聞かせください。

○安倍内閣総理大臣 一般論として、円安方向への動きは、輸出や海外展開をしている事業者にとってはプラスと考えておりますが、一方、円安方向への動きに伴う輸入価格の高騰は、原材料価格の上昇等を通じ、マイナスの影響を及ぼしていると考えております。
 だからこそ、こうした状況を踏まえて、デフレ脱却をし、経済の好循環をしっかりと回していくために、経済界、政労使の懇談会を開きまして、こうした原材料コスト高に対して、下請企業に対して価格転嫁をしっかりと行っていくようにということについて合意をしたわけでございますし、昨年十月以来の原材料コスト高への対策パッケージを講じているところでございます。
 先ほど大臣からも一部答弁をさせていただきましたが、各公的金融機関では、昨年末までの間に、資金繰りに苦しむ中小・小規模事業者に対して、約十五万六千件、二兆三千億円の返済猶予を行っております。また、下請法に基づいて、昨年末までに約五百社の大企業に対する立入検査も行っておりますし、平成二十六年度の補正予算では、日本政策金融公庫及び商工中金に新たな低利融資制度を創設し、厚い資金繰り支援を実施していくことにしております。こうしたコスト高にしっかりと対応していく。
 しかし、中小・小規模事業者にとっても、今、いわば為替が是正されたことによって、仕事量としては間違いなくふえているわけでございます。仕事量がふえている中において、倒産件数は減少して二十四年ぶりに一万件を割っているのも事実でございますし、我々が政権をとる前よりも二割倒産件数は削減しているのも事実でございます。
 仕事はふえているけれどもなかなか利益にならないなという状況を我々はさらに変えていくべく努力をしていきたい、このように考えているところでございます。

○塩川委員 中小企業は利益にならないという状況が円安のもとでも起こっているというところであります。
 対策パッケージのお話などもされましたけれども、中小・小規模企業にとっては、価格転嫁が困難というのは、円安による物価上昇分の価格転嫁が困難であるということとともに、私は、消費税の八%増税の価格転嫁が困難という実態が相まって起こっているということを指摘したいと思います。この点については後で議論をいたします。
 中小企業庁のアンケートで、価格転嫁が困難な理由について主に大きく二つあるということを指摘しております。一つは、販売先が交渉に応じないためという企業間取引、発注者、親事業者と下請事業者との関係、もう一つが、価格転嫁をすると売り上げが減少するためという対消費者との関係での取引の二つの面があります。いわゆるBツーB、BツーCと言われている関係ですけれども、その両面から見なければいけません。
 まず、この企業間取引の問題を取り上げたいと思います。
 今、総理もおっしゃった昨年の政労使合意で、下請企業への価格転嫁の取り組みについても促すということで合意されたという話もありました。そういう中で、例えばトヨタが下請への値下げ要請を見送ったという話なども紹介をされ、甘利大臣は、好循環が大企業から中小企業に展開しつつある、大企業が範を示していただいたということもおっしゃっておられます。
 しかし、そもそもトヨタのような重層下請構造ですから、一次、二次、三次、四次、五次、六次、こういった重層下請構造のもとで、トップダウンで実際にはトヨタが単価について示すという要請が行われている現状では、下請中小企業、特に末端においては価格転嫁はやはり困難なままなんじゃないのか、このように思いますが、この点について宮沢大臣の認識をお聞かせいただけますか。

○宮沢国務大臣 おっしゃるように、なかなか下請のことまで考えて行動してくださる経営者というのは少なかったわけでありますけれども、総理からもお話がありましたように、政労使の場でもそうですし、また、私は、経産大臣の新春というのは各業界の賀詞交歓会の挨拶回りみたいなものでございまして、各業界に行くたびに必ず、給料の話と、下請、納入業者にも利益を均てんしてほしいという話をずっとしてまいりました。また、いろいろな大手の企業、特に下請が重層構造になっている企業の幹部とお目にかかるときには、要するに、一次下請だけではなくて、さらに下までその利益が均てんするような努力をしてほしいということもつけ加えております。
 なかなか難しい話かもしれませんけれども、しっかりその重層構造の下まで利益が均てんするように、我々としてもやはりいろいろそういった意味で、会社を指導といいますか、そこまでの権限はございませんけれども、お願いをしっかりとしていかなければいけないし、一方でまた、下請の特に五次、六次というようなところになりますと、いろいろ事業の多様化みたいなものをしていただくと同時に、やはりこれからは中小企業がまさに中心になっていく時代ですから、彼らがいろいろな第二の創業的なことをすることのお手伝いは我々としてもしっかりするシステムをつくっていきたいと思っております。

○塩川委員 重層下請構造のもとで末端まで価格転嫁ができるということについては、直接御説明もありませんでした。そういう意味では、難しいということをお話しされておられたわけであります。
 重層下請構造の下まで転嫁できるようにしていきたいというお話ですけれども、重層下請の三次、四次、五次といった末端の小規模事業者に実際に届いているのかということがあります。
 この点で、例えば愛知県のトヨタグループの有力企業の下請のお話を伺いました。確かに、この一次下請、トヨタグループの大企業ですけれども、そのもとでは三次までは単価の見直しに応じるようになっているというけれども、四次の親、つまり三次下請事業者がとても余裕がないということで、四次下請に対してはそれは無理と言っているという話なんかも出されております。また、同じ愛知県のトヨタの部品下請企業が集まっている地域の五次下請の事業者、ここは車のシート加工をしている事業者の方でしたけれども、昨年四月の消費税増税時に増税分の単価を引き下げられたという話があるということであります。
 今回の原材料高騰についての価格転嫁の通知、国の方からも出されておりますけれども、こういう国からの通知があるのは承知している、承知しているけれども、とても親事業者には言えない、言ってばれたら取引を切られる、こういう声というのがまさに実態じゃないでしょうか。
 総理は、こういった重層下請構造のもとで、特に末端の事業者が価格転嫁しようにもできない、こういう実態があるということを承知しておられるんですか。その認識についてぜひお聞かせください。

○安倍内閣総理大臣 まさに、なかなか価格転嫁ができないという状況があるからこそ、我々はしっかりと、先ほど申し上げましたように、下請法に基づいて、年度末までに約五百社の大企業に対する立入検査を実施していくということにしているわけであります。
 と同時にまた、我々も経済界に対して、デフレ脱却をしていく上において経済をよくしていく、そして経済の好循環を回していく上においては、しっかりと中小・小規模事業者あるいはそこで働く人たちの給与が上がっていくという状況をつくらなければだめですねというお互いに認識をつくるということをもってして、政労使の場で合意をしたわけであります。
 まさに、トヨタの車が売れる上においても、全国で働いている人たちは中小・小規模事業で働いているんですから、そういう人たちが例えばトヨタの車が買えるようになっていくという状況をつくらなければ、彼らにとっても結局この好循環を維持することができないという理解をお互いにしながら進めていく。
 今まで、政府がそういう政労使の場みたいなものを設けて、賃金を上げろとか、下請に対してちゃんとやれということを言ったことはなかったわけでございます。こういうものをつくれということについては共産党からも御要望をいただいたのではないか、こう思うわけでございますが、自民党として共産党の御要望も取り入れる、これは、デフレ脱却というのは相当国民全体で取り組まなければいけないという中において、こういう試みも行っているところでございます。

○塩川委員 まさに現場の実態が深刻だからこそ、こういうことを求めているわけであります。総理も、価格転嫁できない実態があるということをお認めになりました。
 いろいろ政策パッケージをやっているという話もありますが、例えば消費税増税についての転嫁Gメンというのがありますけれども、しかし、中小企業は四百万事業者ありますが、その人数といえば四百七十四人。それで、仕事はふえる。そういう人たちに今度は物価上昇の価格転嫁問題についての調査や取り締まりもお願いするというんですけれども、増員の話というのも特段聞いておりません。そういうことを含めて、一人一人のこのGメンの人がどんなに頑張ってもとても追いつかないというのが実態でもあります。
 トヨタの単価の要請の問題についても、値下げ要請を見送ったという話ですが、物価上昇のもとでも単価の値上げには応じないという宣言ということなんじゃないですか。
 超円高のときにトヨタは、一律のコストダウン要求に加えて円高協力金というのを設けて、円高協力金という形で超円高部分のコストダウンの要求をしたんです。半期ごとに一・五%減るのに加えて、一・五%円高協力金ということで上乗せをして減らしてもらうということで要請をしてきたわけですよね。
 こういった円高協力金を超円高のときにやっておきながら、今、円安の局面であります。今、円安になって、では、この円高協力金を還元してくれるのか。こういう話なんかも全く出てこないわけで、そういう点でも、重層下請構造のもとで、一律に単価の引き下げ、あるいは単価の値上げに応じないというやり方そのものが下請中小企業、末端の小規模企業に甚大な影響を及ぼしているということを出発点に、我々は今の対策を考えなくちゃいけないということを強く申し上げておくものであります。
 もう一つ、今企業間取引の話を指摘しましたが、対消費者との取引の問題であります。
 消費者を相手に経営を行う中小・小規模企業の実態も深刻です。実質賃金が十七カ月連続マイナスということもあります。国民の購買力が減少し消費が落ち込み、そのため、消費税増税分に加えて、物価上昇分の価格転嫁を行うことが困難になっております。
 お話をお聞きした、首都圏に二店舗の洋風レストランを経営する事業者の方ですけれども、今、仕入れはどんどん上がるわけですよね。エビも上がるし小麦も上がるし、チーズも肉も値上げをしている。ですから、全体として前年より一〇%ぐらい上がっているというお話でありました。
 一方で、売り上げの方は、懸命に努力して、いろいろチケットなどもつくったりして販売を促すような、そういう取り組みで前年水準は維持しているけれども、やはり利益は減っているわけですね。
 販売価格については、夜の食事については上げました。しかし、昼のランチの方は、競争が激しいものですから、据え置かざるを得ない。ですから、消費税増税分もあり、物価上昇の価格が上がっている部分もあり、しかし、そういう中でも、ランチについてはやはり消費者の方との関係でもなかなか上げることができないということで、消費税増税分については五〇%しか転嫁できていないというお話でありました。
 宮沢大臣にお尋ねしますが、こういった中小・小規模企業というのが、消費税増税分に加えて物価上昇分の価格転嫁ができずに利益が出ないという実態があるということは、よく御承知でしょうか。

○宮沢国務大臣 まず、BツーCの話でありますけれども、まず消費税の方について申し上げますと、二年前の春に、転嫁に関する特別措置法というのを私どもの政権になってつくりました。実は私、税調の中心になってこの法律をつくりまして、ともかく九七年の二の舞は絶対だめだということで、徹底的に転嫁をしてもらおうじゃないかということでやりまして、今回はそれなりに消費税については転嫁がうまくいけたのかなというふうに思っております。
 調査におきましても、八八・二%の事業者が、全部または一部をBツーCにおいてすら転嫁できている、こういうアンケート調査もございまして、それなりに九七年の轍は踏まないで済んだのかなと思っております。
 そしてまた、今、原材料高ということで、先ほど言いましたように、なかなか転嫁ができていないということは、申し上げたとおり実情であります。
 我々としても転嫁できるように努力いたしますが、このBツーCというのはなかなか難しいところがございまして、お客さんとのあれですから、納入業者と親会社というわけではありませんので難しいわけですけれども、ともかく、例えば物販であれば、大型の物販店がしっかりと値段が上がっていくという姿が小さな小売にいい影響を与えるでしょうし、また、レストランチェーンみたいなものがしっかり原材料費をちゃんと上げていくというようなことがやはりいい影響を与えると思いますので、そういった意味では、そういう大きなところについての調査はしっかりやって、なるべく小さいところにもそれが波及していくような、そういうことをやっていかなければいけないのかなというふうに思っております。
 また、そういう意味では、利益が上がっていないのを認識しているかというのは、なかなか、個別の会社それぞれ、上がっているところと上がっていないところがありまして、中小企業全般でいえば、昨年の十月―十二月期においても、利益水準としてはかなり高い水準を中小企業も全体としては上げているということは事実であります。

○塩川委員 御答弁の中で、BツーC、対消費者の価格転嫁は難しいというお話もありました。あわせて、消費税増税分の転嫁についてはできているというアンケート結果の話がございました。
 この点でいえば、消費税増税分の価格転嫁だけ聞いても経営の実態は見えてこないわけで、消費税も上がりました、物価上昇分の価格も上がりましたとセットで考えなければいけません。そういう意味で、実際には、消費税増税分を形式上転嫁できたとしても、物価上昇分まで価格転嫁することができずに、利益を出せず赤字になるという実態というのはあるんじゃないのか。
 都内の弁当製造販売の事業者の方、ここは女性経営者の方でありますけれども、いろいろ工夫して、従業員十六人で弁当をつくり販売をしておられます。ワンコイン弁当の激戦地だ。つまり五百円弁当。でも、資材も高騰し、消費税増税時の昨年四月から売り値五百円を五百四十円に値上げした。一時は売り上げは上がったけれども、また昨年並みに下がった。値上げした四十円分は、本来であれば、消費税増税もあり物価上昇もあるんですからその転嫁となるんだけれども、競争が激しいので、中身を充実しないとお客さんが納得しない。そのために、今までは三十円のコロッケを入れていたのに、六十円のコロッケにバージョンアップをする。こういう形でお客さんに買ってもらいたいとなると、上がった分のほとんどがコロッケで消えてしまう、こういう状況になっているわけです。
 ここに、形式的には消費税は転嫁をしているが、物価上昇分もあって、結果として赤字で、この事業者の方も納税に回す余裕がなくて消費税の滞納が発生しているというのが現状であります。
 消費税というのは間接税で、最終的な負担者は消費者とされておりますけれども、実際に納税するのは事業者の方であります。ですから、事業者の方にとってみれば、消費税というのは直接税なんですよ。やはり払わなくちゃいけない。ですから、利益が出なくても、赤字のもとでも払わなくちゃいけないというのが消費税だ。これがどれだけ大きくのしかかっているのかについて、我々は本当に胸を痛めなければいけない。それが消費税そのものだということを、ぜひともこの点で大いに指摘していきたいと思います。
 そこで総理にお尋ねしますが、このように、経営が赤字に追い込まれても払わなければならないのが消費税なんだ、事業者にとって直接税だ、深刻な税金だという認識は、総理はお持ちですか。

○安倍内閣総理大臣 五%から八%、そして再来年さらに一〇%へ引き上げていく消費税は、伸びていく社会保障費に対応し、さらに子育て支援等社会保障を充実させていくために必要なものであります。
 この世界に冠たる私たちの大切な社会保障制度を次世代に引き渡していく、その責任を果たしていく上において、三党合意を行い、消費税を引き上げていく。もちろん、消費税を引き上げていくその収入は全て、税収は、今申し上げたとおり社会保障に充てていくわけでございます。いわばこれは、御負担もいただいておりますが、それはさらに、医療、介護あるいは年金、さまざまな社会保障のサービスとして国民の皆様に還元していくものでございます。
 そのような御理解をいただきながら、しかし同時に、やはり私ども、そのように中小・小規模事業者の方々にだけ負担が重なることのないように、先ほど来経産大臣から答弁させていただいておりますように、しっかりと価格転嫁をするように、消費税については、BツーCでいえばおおむね価格転嫁ができているという調査結果も出ているわけでございます。そういう意味において、御理解をいただくべくさらに努力をしていきたい、このように思っております。

○塩川委員 消費税を引き上げても、医療も年金も介護も悪くなったじゃないか、これが実際の国民の声ですよ。
 その上で、今の事業者の問題ですけれども、国税庁の法人企業統計によると、中小企業の七割が赤字法人で、毎年ふえています。消費税は赤字でも納めなければなりません。五%が八%になり納税の負担は一・六倍になり、一〇%になれば二倍となります。
 さきに紹介した弁当製造販売の事業者の方は、消費税滞納と延滞税の納税のため、生命保険を解約させられたと。身を削って納めているのが中小・小規模事業者の実態だ、こういう負担を強いるのが消費税の増税だということを強く言わなければなりません。
 そこで、では、実際に、中小・小規模企業が賃上げができるのかどうかということですけれども、先ほど紹介した衆議院調査局の実態調査で、賃金引き上げの動向についても取り上げております。
 ここでも、小規模企業で定期昇給を実施するというのが、大企業、中小企業に比べても著しく低いとか、小規模企業において賃金を引き上げる予定はないというのが三六・三%にも上る。大企業の一六・二%と比べて非常に高くなっております。以上のことから、特に小規模企業において、我が国経済が回復基調にあるにもかかわらず、賃金引き上げまでに至っていない事業環境にある企業が多く存在することがうかがえると指摘をしております。
 率直に言って、こういう状況で、中小企業、特に小規模企業で賃上げができるんだろうか。
 日本商工会議所、これは政労使の会議に参加をされている団体でもあり、合意にも加わっておられるわけですが、この企業調査でも、来年度賃上げを予定している企業は、昨年十二月時点で三三・五%で、一年前の昨年一月に比べて六・四%低下をしているんです。つまり、この一年で賃上げをしようという企業は減っている。一方で、賃上げの予定なしという企業が二・五ポイント上昇して一九・三%になる。つまり、昨年四月の消費税増税を挟んで、賃上げするという企業が減り、賃上げしないという企業がふえているというのが実態です。
 総理にお尋ねしますけれども、一月二十九日の予算委員会の答弁で、消費税の引き上げを行った際、消費が冷え込んだのは事実、そこでさまざまな景気対策を打った、消費税の引き上げを本年十月から一年半先延ばしした、大切なことは、しっかりと賃金が上がっていく、あるいは中小・小規模事業者が材料費等について価格転嫁できる状況をつくっていく、このように言っておられました。
 そこでお尋ねしますけれども、消費税一〇%になっても中小・小規模企業は賃上げそして価格転嫁、これはきっちり本当にできるのか、この点についてはいかがですか。

○安倍内閣総理大臣 今回、昨年の四月の消費税引き上げによる消費の冷え込みの状況を考慮し、デフレ脱却、また私どもの進めている経済政策を成功させるために、消費税の引き上げを一年半延期したところでございますが、再来年の四月には確実に引き上げることができる状況をつくっていく考えでございます。
 そのポイントは、何よりも賃金が上がっていくことでございまして、昨年、平均で二%以上上げることができました。そして、ことしも上げていくということについては政労使で合意できているわけでございますので、ぜひ四月に実施していただきたい、そしてそれが中小・小規模事業者にも及んでいくようにしていきたい、こう考えているわけでありますが、さらに来年の春、そしてその次の、翌年の春にも上げていくことができれば、いわば各中小・小規模事業者にとっても三%の引き上げにたえ得る状況をつくることができる、このように考えております。

○塩川委員 中小企業の実感と全く違うということを言わざるを得ません。
 中小企業家同友会全国協議会の二〇一四年十月から十二月期の景況調査では、消費税増税後の個人消費の低迷と、一ドル百二十円近辺への円安進行が中小企業経営にとって二重苦である、消費税増税分と合わせた物価上昇を十分に価格転嫁するのは至難のわざ、特に小規模企業で困難な状況、中小企業は既にアベノミクス不況のさなかと指摘をしております。
 アベノミクスが大企業と中小企業の格差拡大をもたらし、円安による物価上昇だけでも賃上げが困難な中小企業に、さらなる消費税増税では、賃上げなどできないと言わざるを得ません。もともと最悪の不公平税制であるとともに、中小・小規模企業の経営を圧迫し、営業を破壊する税金であり、消費税一〇%増税は先送りではなく中止ということを強く求めておくものであります。
 次に、パネルの三枚目を紹介しますけれども、安倍内閣の成長戦略の目玉としている法人税減税についてお伺いをします。
 このパネルにありますように、法人税の大企業の実質負担率というのは基本税率よりも非常に低いわけです。黄色い階段状の線というのが基本税率になっていますが、赤の大企業の線というのが実質の負担率を示しているわけです。その上にある緑が中小企業ですけれども、一部軽減税率が適用されている中小企業よりもさらに低い。
 一連の大企業への優遇措置というのがとられた結果だと思いますが、麻生大臣、そういうことでよろしいでしょうか。

○麻生国務大臣 どういう資料を使われたという資料が出ていないので、私どもの想像で申し上げるようで恐縮ですけれども、この法人税負担の内容を見ますと、これは中小企業より大企業に対して、いわゆる、かなり偏ったような数字に多分なっているはずだと思うんです。
 なぜなら、この中には多分受取配当というようなものが、入れて計算をしてやると、益金不算入額というのを入れていないとこれは、全体として、益金不算入額を全部入れますと当然のことで大企業の方が圧倒的に多くなりますし、外国からの子会社の配当金というようなものも益金不算入ということでこれは全部決まっていますし、また、連結決算ということの分も全部損金不算入ということに、これは塩川さん、多分全部なっておる。
 なぜなっておるかといえば、それは二重課税ということになりますので、これは当たり前の話で、連結決算を認めないというんだったら、これは、勝手に動かして赤字をつくったり、適当に移されたりするとかないませんから、連結決算というようなことにして、きちんとやっておりますので、そういった意味では、そこのところは少し計算が違うのではないかというのが一点。
 それから、四月以降どんと下がっているような形の数字になっておりますけれども、これは平成二十四年度ということになっていますので、この年度でいきますと、平成二十四年四月以降に事業年度が開始します。大体、大企業が四月―三月ということになるのに対して、中小では一月―十二月という決算が圧倒的に数字の上で多いことになりますので、二十五年三月から法人の決算が始まりますので、その前のところでいきますと、大企業の方がどんと下がるというのは、御存じのように、このとき大企業の税率というのは、三〇%から二五・五に下がったのがその年だと思いますので、その下がる率は四月からスタートする大法人の方に非常に多く出たのではないかな。
 ちょっと細目を伺っていないので、その数字を見ただけの印象で恐縮ですけれども、そう思っております。

○塩川委員 下に注釈もつけてありますから、そういう意味では、一連の減税措置でこれだけ下がっているというのは、結果としてはそのとおりであるわけで、それを前提に考えなければいけませんし、加えて、ここで大企業と中小企業の差が生まれているということは見てもらったとおりであります。
 さらに、平成二十七年度税制改正で、来年度は二・五一%、さらに二十八年度で三・二九%、法人実効税率の引き下げも行われることになっております。その後、引き続き二〇%台まで引き下げることを目指して改革を継続しているという点を極めて重大だと言わざるを得ません。
 パネルで一つ示しておきたいんですが、この間でいえば、大企業の内部留保と法人税率の推移を見ても、法人税率を下げても賃金は上がらず、内部留保がたまるだけという実態にあるわけです。
 大企業の内部留保というのは、ひとり大企業が頑張ってたまっているわけではなくて、働く皆さんの頑張りがあり、下請中小企業、取引先の頑張りがあり、結果として生まれているわけですから、こういった内部留保の還元についてしっかりと行ってこそ、消費を拡大し、結果として大企業の利益にもつながるという好循環をもたらす道だということを指摘しておきます。
 残りの時間で、こういった大企業への法人税減税の背景の問題についてお尋ねします。
 宮沢大臣にお尋ねしますが、ことし初め、一月六日、自動車メーカーの業界団体である日本自動車工業会の賀詞交歓会で挨拶をされました。先ほど、御自分でも賀詞交歓会の話を紹介しておられましたけれども、自動車工業会での挨拶の中では、高村副総裁から自民党の財務についてのお礼についても言っておいてくれ、こういう話を承りましたので、私が言うのが適当かどうかは別にしましても、申し上げさせていただきますとお礼を述べたそうであります。
 このように述べたのは事実ですか。

○宮沢国務大臣 申し上げました。

○塩川委員 自民党の財務についてのお礼を述べた理由は何ですか。

○宮沢国務大臣 上がる前にちょうど副総裁がいらっしゃいまして、自分は挨拶をする時間がないので、かわりに言っておいてくれ、こういう話でありました。

○塩川委員 自民党の副総裁から頼まれたということでありますけれども、私は、この話を聞いて大変驚きました。
 日本自動車工業会に対して自民党の財務についてお礼を述べられていたので、自民党の財務、自民党の政治資金収支報告書を見てみましたら、自民党の政治資金団体である国民政治協会への献金を見ると、日本自動車工業会とその会員企業の献金額は、二〇一二年には二億二千万円だったのが、二〇一三年には三億円に、一・五倍に増加をしております。
 宮沢大臣にお尋ねしますが、これは二〇一二年と二〇一三年の変化です。去年は二〇一四年ですから、ことしの賀詞交歓会、二〇一五年の賀詞交歓会でお礼を述べたんですから、二〇一四年分はさらに献金額が増加しているということなんでしょうか。

○宮沢国務大臣 私は、自民党の財務については全く存じ上げておりません。

○塩川委員 自民党の財務を全く承知していないのに、何でお礼を言うんですか。その姿勢そのものが問われているんじゃないでしょうか。
 自民党への企業・団体献金の全体像がどうなっているかも見てみました。野党時代の二〇一二年には十三億七千万円だったものが、政権復帰をした一三年には十九億五千万円へと、やはり一・五倍に増額をしています。
 自民党総裁である安倍総理にお尋ねしますが、このように、なぜ自民党への企業・団体献金がふえたか、どのように受けとめておられますか。

○安倍内閣総理大臣 私も財務内容は、総理としての職務がございますので、幹事長以下にお任せをしているわけでありますが、ふえたのは我々の政策が評価された結果ではないか。我々の進めている政策によって経済状況がよくなって、多くの企業が利益を上げ始めた。国全体の税収についてもふえているわけでございまして、十二・二兆円ふえているわけでありまして、それだけ企業にも余裕が出てきた結果であろう、このように思う次第でございます。

○塩川委員 政策が評価された結果だとお話しになりました。
 私は献金を出した側の言い分も見てみましたが、経済界の総本山とも言われる日本経団連は、自民党が政権に復帰した直後、二〇一三年の一月には、政党の政策や活動の評価を実施することを表明しました。
 そして、一三年十月には「政策評価について」を発表し、次のように言っています。過去、政党の政策評価を実施していたが、二〇〇九年の政権交代に伴い、一旦中止。昨年の総選挙で政権交代が再び実現した。アベノミクスを推進するなど、日本再生に向けた政策を強力に実行している。本年夏の参院選で衆参のねじれが解消し、政策を着実に実行できる環境が整ったと述べ、今般、経団連として、政策実現の観点から、自由民主党を中心とする与党の政策、取り組みの評価を実施するとして、その中で、経団連の要求として、法人実効税率二五%に向けた抜本改革や消費税の着実な引き上げを挙げています。
 自民党政策全体への評価として、経団連が主張する政策を積極的に推進しており、高く評価できる、まさに同じような思いでいるということでしょうが、引き続き、大胆な規制改革を初めとする成長戦略の実行を強く期待すると述べています。
 要するに、献金した方は高い評価をして自民党に一・五倍の献金をしたということは、先ほど総理が、政策が評価をされた結果だと述べたとおりであります。
 しかし、経団連は、二〇一四年の政策評価の中で次のように述べています。法人実効税率の二五%程度への引き下げを要求し、自民党は、来年度から引き下げを開始し、数年で法人実効税率を二〇%台まで引き下げることを目指すことを決定したことを、日本経済の再興に向けた政策を掲げ着実に実行に移しており、高く評価できると述べています。
 そして、先ほどの宮沢経産大臣が自民党財務についてのお礼の発言の後にどのように述べていたか。法人税率の実効税率の引き下げという問題が、これから数年間で二〇%台を目指すということですが、私自身も経団連の幹部の方との会合で、少なくとも二・五%は目指したいといってのろしを上げた立場でございます、何とか、〇・〇一ではありますが、この二・五%を超える引き下げを実現したことを本当によかったなと思っておりますと述べているわけです。
 これは、自民党が経団連の要求である法人税率の引き下げを行い、企業・団体献金が結果として増加をするということではないでしょうか。まさに政策評価による政策買収としか言いようがない。こういう点でも極めて重大な発言であって、政策評価によって金の力で政策を実行させるという姿そのものではありませんか。総理、いかがですか。

○安倍内閣総理大臣 我々は、経済界あるいは経団連から言われて政策をやっているのではなくて、まさにデフレから脱却をして経済を成長させ、国民生活を豊かにするために政策を打っている。
 そのマクロ政策全体の中において、例えばグローバルな競争に企業が打ちかっていくことができるように、あるいはまた、賃上げをしっかりと実行していくことができるように、投資をしていくことができるように法人税の減税をすべきであるというのが我々の経済政策であり、要求されたわけではなくて、我々の経済政策があって、それを経済界が評価しているという姿でありまして、彼らが要求して私たちがやったということではないということははっきりと申し上げておきたい、こういうことでございます。

○塩川委員 この間、総理は、経済の好循環を実現し、国民にも景気回復の実感を届けると言ってきましたが、安倍内閣の経済政策の柱というのは、企業が働きやすい国づくり、ビジネスのハードルを下げます、岩盤規制を突破しますと言っている。まさに、大企業のために働く政治というのが安倍内閣の政策だと言っておかなければなりません。
 企業は主権者ではなく、したがって選挙権もありません。企業が政党や政治家に金を出し、政治に影響力を与えるということは、主権者である国民の基本的権利を侵すことにつながり、国民主権の原則と相入れないものだ。だから、必要なのは企業・団体献金の禁止そのものではないでしょうか、このことを強く求めておくものであります。
 東電の廣瀬社長においでいただいております。福島第一の廃炉・汚染水対策で労災がふえ、死亡事故も相次いで発生をしております。現場は深刻な実態だ。このことについては、これは時間を入れてもらっていますかね。

○大島委員長 あと一分だけあるということで、三十一分まででございますから、一方的にしゃべって終わってください。あと三十秒ぐらいです。

○塩川委員 労働条件が改善されない中、現場に習熟していない労働者がふえて、士気が下がり、作業も雑になっている中で、労災が頻繁に起き、死亡事故も続いています。労働条件の抜本改善なしに廃炉、汚染水など事故収束対策を着実に進めることはできない。東電は、史上最悪の原発事故を起こした、いわば加害者であります。その自覚と責任がない中での対策は進まない。
 抜本的な労働環境の改善、それによって廃炉・汚染水対策をしっかりと進める、このことを強く求めて、質問を終わります。