国会質問

<第189通常国会 2015年03月06日 予算委員会 15号>




○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 きょうは、いわゆる地方創生の集中審議とされております。地方の現状は極めて深刻です。
 そこで、過疎地域や離島など、生活条件の確保に困難のある条件不利地域における現状についてお尋ねをしたいと思います。
 昨年十一月の地方創生特別委員会の質疑の際に、私、石破大臣にお尋ねをいたしました。
 石破大臣も、合併をしたがゆえにより人口が減ってしまったということについて、同じ問題意識を持っていると答弁をされておられました。
 そこで、石破大臣にお尋ねしますが、平成の大合併が、過疎地域や離島など、その合併自治体の周辺地域のより大きな人口減少をもたらしたのではないのか、このように考えますが、石破大臣のお考えをお聞かせください。

○石破国務大臣 昨年の特別委員会の議論でございます。
 そこで私、総務省の答弁、すなわち、平成十二年と二十二年を比較して、過疎地域の人口が一二・三%の減であったのに対し、一部過疎を有する市町村の過疎区域の人口は一五・一%の減であったということを申し上げました。数字を見れば、実際そうだ、現実はそうだということでございます。
 何でこんなことになったのか。合併をしたからこうなったのか、それとも、それまでもそういう地域はどんどん人口が減り続けておって、合併もそうかもしれないが、そのほかに、例えば企業が撤退をしたとか、鉱山が閉山をしたとか、そういうような理由によってこういうことになったのか、そこは詳細に分析をしなければならないと思っております。
 数字だけ見ればそのとおりなので、それがどうしてそういうことが起こっているのかということをきちんと分析し結論を得なければ対策というものは打てないと思っております。
 合併すなわちそういうことを招いたのだという短絡的な議論にくみするつもりはありませんが、その数字がどうしてそういうことになったのかは、地域地域の実情をよく分析、把握する必要があると政府としては考えております。
    〔委員長退席、平口委員長代理着席〕

○塩川委員 数字だけ見ればそのとおりということで、合併によって周辺地域の大きな人口減少をもたらしたということについては事実としてお認めになっておられて、それが単純に合併なのかという話でございました。
 パネルをごらんいただきたいんですけれども、いわゆる平成の大合併を前後する二〇〇五年と二〇一〇年において、過疎地域と離島の人口がどのように変化したかの図であります。
 総人口と過疎地域、一部過疎地域を有する市町村の過疎区域における二〇〇五年と二〇一〇年の国勢調査を比較した人口増減率を見ると、総人口はプラス〇・二%ですが、過疎地域はマイナス七・一%、合併した自治体の中の過疎区域を取り出すと八・七%の減少ということで、より大きくなっている。合併によって、合併自治体の周辺部に当たる過疎区域で、過疎地域全体と比べても人口減少が大きい。
 また、離島について見ても同様に、離島だけで自治体が構成されている離島である全部離島と、平成の大合併により本土の自治体と合併した離島部分について見ると、全部離島の場合はマイナス八%、本土の自治体と合併した離島の場合はマイナス一七%、極めて大きくなっております。
 平成の大合併という、まさにその前後の数字を比較したときの全国ベースの数値としてあらわれているというところに、合併との相関関係があると言わざるを得ない。
 それは、合併によって、周辺部の過疎や離島部分では、役所、役場がなくなって、地域課題解決に当たる自治体職員が減り、地方交付税が減額をされ、周辺部での行政投資も減少する。結果として、この合併というのが周辺部における自治体機能を低下させた、このことが大幅な人口減少をもたらしたんじゃないのか。こういうことについては、大臣、いかがですか。

○石破国務大臣 物事には何でも光と影があって、だから、合併すなわち全てだめだということにはならぬだろうと思います。合併しなければどうなっていただろうかということをまた考えねばなりません。薬を飲んでも効かなかったじゃないかと言われますが、飲まなかったらどうなったんですかということもあわせて考えねばならぬという、当たり前の話ですが。
 ただ、委員がおっしゃいますのは、私はやや実感を共有するところがございまして、役場もなくなっちゃいました、町長さんも村長さんもいなくなっちゃいました、議員もいなくなってしまいました、そこの職員も、今までは見知った人がずっとそこの役場の職員でいたのに、支所ということになって、余り知らない人がやってきて、三年か四年でいなくなっちゃいますということは、現実としてあちらこちらで起こっていることではないかというふうに思っております。それが地域の疲弊をさらに加速させるようなことがありとせば、それをどのようにして補っていくのかということは、私ども、きちんと考えねばならないことだと思います。
 私、農林水産大臣のときに、地域マネジメント法人ということを考えました。それは、地域にまだ残っているインフラがございましょう、郵便局であり、土地改良であり、あるいはJAであり社協であり、そういうようなインフラがたくさん残っています。そういうものを地域マネジメント法人として編成することはできないだろうかということで法律を書き始めたところで政権交代になっちゃったわけであります。
 やはりそういうものは必要なのであって、その地域地域の人々が、行政の光が当たらなくなっちゃいました、そこで何が起こっているかわからなくなりましたということであれば、合併の意味合いというものが減殺されることになるだろうと思っております。
 地域をマネジメントする法人というものはいかにあるべきか、それと財政あるいは交付金というものはどういう関係にあるか、関係省庁ともよく連携をとりながら、そういう地域の疲弊というものを食いとめていく努力はしなければいけないと強く認識しておるところでございます。

○塩川委員 行政の光が当たらないという点でも、地方自治を保障する仕組みが大きく後退したんじゃないのか、このことが極めて問われているわけでありますし、そういう点でも、財政上の問題も重大だということも言わざるを得ません。
 総理にお尋ねいたしますけれども、自治体の財政を支える役割を果たす地方交付税について、合併した市町村、全国で五百九十団体あります。この合併した市町村は、合併に伴って、地方交付税の総額が七兆六千百三十六億円から六兆六千五百七十億円へと、九千五百六十六億円、一割以上も減らされる、こういう見通しとなった。こういう将来の大幅な地方交付税の減少という見通しのもとで、合併を行った自治体においては、地方交付税、一割以上も減るということが、まちづくり、地域づくりにおいての大きな支障をもたらしたんじゃないのか。
 総理にお尋ねしたいのは、合併を通じて地方交付税を一割以上も減らそうとした、そのことそのものが、地方の応援だったと言えるのか。この点について、ぜひお聞かせください。

○安倍内閣総理大臣 この平成の大合併でございますが、昭和の大合併もございました。それに次ぐ大きな合併であったのでございますが、では、そもそもなぜ合併をしたのかということでございます。
 一つは、ある意味、行政改革ということもあったんだろうと思います。
 人口が減少していく、いわば生産人口が減少していく中で支え手が減っていく、こういう大きな変化がある中において、行政サービスを支えるのも、地域に住む住民の税金によるものでございます。
 今までのようなたくさん市町村がある状況で、果たしてそれを支えていくことができるかどうか。市町村には、職員が、市町村長がおり、また、町議会議員、村議会議員がたくさんいるわけでございます。そうしたものを考えたときに、その支え手の村民、町民あるいは市民において大きな負担になっていくということも確かでございまして、その中において、ある程度の効率化を図っていくことはやむを得ない措置であったのではないかと思います。
 その中において、しかし、合併を行う上において合併特例債というものを出して、合併をいわばある意味においては生かしてその地域が未来をつくり上げていく、まさにそこで各地域のさまざまな創意工夫も生かされるということになったわけでございます。
 もちろん、今、石破大臣からも話があったように、その効果がどうか、いわば人口に対してどういう効果があったかということは冷静に分析をしていく必要があるわけでございますが、合併という道を選ばなかった地域は、そもそも自分たちでやっていけるということを考えていた地域はそうであった、しかし、これはやはりもう合併しないと無理だなと思っていた地域は、合併しようがしまいが人口が減少していくという状況にあったということも言えるわけでございますが、いずれにせよ、しっかりと冷静に分析をしていくことが大切ではないかと思います。
 こういう状況の中において、我々は、しかし、地方がこれから活力を持って、地域の特性を生かした、まさに異次元の地方創生を進めていきたい、このように思っております。

○塩川委員 総理の答弁の中でも、人口減少の課題があるから合併だというお話もありましたけれども、しかし、合併によって、実態として、より一層その周辺部での人口減少が加速をした、この事実こそしっかりと受けとめなければいけない。そういった平成の大合併の、まさに人口減少を加速させたというこの現実から出発して、合併そのものの問題を改めて反省とすべきだ、このことを申し上げるものであります。
 異次元の地方創生というお話もありましたけれども、この地方創生に基づく連携中枢都市圏構想というのも、中心と周辺、こういうやり方でいえば、まさに周辺地域や集落の疲弊をもたらした平成の大合併と同じ過ちを繰り返すことになりかねない、このことを強く指摘しておくものであります。
 その上で、合併しない小規模自治体が頑張っている、総理や、また石破大臣のお話でもございました。自立している、頑張っている小規模自治体の支援をぜひとも必要としているときだと思います。
 そこで、困難を抱えている離島の問題をきょうは取り上げたいと思っています。
 この間、私は、議員立法であります改正離島振興法の実務作業にも携わり、各地の離島にも足を運んでまいりました。離島の一番重要な課題が、離島航路の問題があります。
 ここで、鹿児島県三島村の離島航路について紹介をしたいと思います。
 三島村は、鹿児島市から南西百キロから百五十キロの洋上に点在をします、竹島、硫黄島、黒島の三つの島から成ります。三百人余りの方が住んでおられる村ですけれども、交通手段はもちろん船ですが、赤字路線のために民間による経営がなされないことから、住民の唯一の生命線として、村営の定期船が週三回、三つの島々と鹿児島を結んでおります。
 こちら側に運航ダイヤが書いてありますけれども、一日目では、午前九時半に鹿児島を出港して、竹島を十二時四十五分に出港、硫黄島は十三時三十五分、黒島の大里地区は十五時、そして黒島の片泊地区に十五時三十分に入港し、そこで一泊して、二日目、翌日八時、黒島片泊を出港し、黒島の大里、硫黄島、竹島として、鹿児島に十四時に入港する。つまり、二日で一巡する、それも、行って戻るというコースになっているわけです。
 赤字がかさむため、週三便を限度として運航しておりますので、村から本土へアクセスできるというのは、週三回に限られるわけです。週三便行って帰ってくる、その帰ってくるときだけですから、週三回になってしまう。つまり、急な用事ができても、一週間のうち四日は、その日のうちに本土に行くということができない。
 住民の方が求めておられるのは、医療についての課題でございまして、急病でも、船が出た後だったら、船を利用するということになれば、翌々日に本土の病院に行くことになる、こういうことについての心配の声というのが共通して出されているわけであります。
 ですから、三島村の要望というのは、鹿児島からこの三つの島を回って黒島に入港した後、鹿児島に折り返すのではなくて、黒島から枕崎に行くルートを、直接本土につなぐルートとして、枕崎に入港する航路を実現することであります。
 そこで、太田国交大臣にお尋ねいたします。
 三島航路は、村民の生活航路であり、本土とを結ぶ唯一の交通手段、海の国道として、生活物資の輸送のみならず、医療、福祉、農林水産業、教育、行政サービス等、村民の生活全てにおいて必要不可欠な航路であります。
 三島村の要望というのは、黒島と枕崎をつないで、本土と村を結ぶ航路の一日一便の運航体制の実現であります。枕崎航路をつくることによって一日一便の運航体制を実現したい、こういう要望にぜひとも応えていただきたいと思いますが、いかがですか。
    〔平口委員長代理退席、委員長着席〕

○太田国務大臣 離島の方たちが、生活ということから考えましても、できるだけ利便性を獲得するということは大変重要なことだと私は思っております。
 現在、鹿児島県と三島村では、黒島から枕崎の間について、医療の受診機会の確保等の観点から、この航路を延伸することを検討しているというのは御指摘のとおりでございます。鹿児島県と、運航主体でもある三島村は、共同で実証運航を行い、需要の確認を行いながら、費用負担等に関する協議を進めていると承知をしております。地元では、その協議を調え、航路の延伸に関する海上運送法に基づく許可申請を近々行いたいとの意向があることを伺っております。
 申請が提出された際には、輸送需要への適応、安全性の確保等について審査の上、適否を判断したいというふうに考えています。
 また、鹿児島―黒島間は現在でも補助航路となっておりますが、延伸部分についても補助対象とするよう要請があった場合について、各方面からも要望をいただいているところでありますが、これらを踏まえまして、島と本土を結ぶ、代替性のない、必要不可欠な航路であるかどうか、買い物や通院などの生活需要があるかどうかということを申し上げているわけでありますけれども、需要に対応した適切な運航計画となっているかどうか、これらを踏まえまして検討を行ってまいりたい、このように思っています。
 近々、そうしたことについての正式な申請を受けまして、判断をさせていただきたいというふうに思っています。

○塩川委員 適否の判断というお話がありました。しっかり受けとめてほしいんですけれども、村の要望というのは、一日一便の運航なんですよ。そこにつながるような、そういう方向での対応をするというふうに約束できますか。

○太田国務大臣 できるだけ要望に従いたいとは思っておりますが、判断材料でもございますものですから、先ほど申し上げたように、適否を判断させていただきたいというふうに思っているところでございます。

○塩川委員 しっかり受けとめていただきたい。
 三島村は、全国の離島でも定住対策の取り組みの先駆けとなったところでもあります。この二十五年間で、三百人余りの今の人口ですけれども、累計で百六十人のIターン者を数える。離島留学でも、平成九年から二十六年度で二百八十七人を受け入れるという実績もあります。大いに頑張っておられるわけです。
 枕崎航路が実現をし、一日一便体制になれば、さらに地域おこし、仕事興しにつながっていく、このことをぜひとも、村の、島民の皆さんの切実な要望として受けとめて、対応を改めて求めておきます。
 そこで、総理にお尋ねしますが、離島を抱える自治体の皆さんでつくる全国離島振興協議会、全離島は、離島航空路への支援とともに、離島航路支援の抜本拡充を要求してまいりました。
 全離島は、離島航路は離島住民にとって何物にもかえがたい根幹的な交通手段であり、離島航路の公共性は本土における幹線道路や鉄道の比ではない、しかも、離島航路の安全性、確実性、快適性並びに就航頻度は本土におけるいずれの交通機関に比べても劣っている。
 例えば三島村も、十一月から三月の時期はしけで欠航するなんということがたびたびあるということでもあります。
 全離島の要望では、航路は離島にとって生命線であり、真の離島振興を実現するためには、従来の交通政策の延長ではなく、抜本的な対策が待ったなし、離島航路を海の国道として位置づけ、全ての離島航路に対する支援を抜本拡充することと要望しています。
 この要望をしっかりと受けとめていただきたいと思いますが、いかがですか。

○安倍内閣総理大臣 私の地元にも六連島、蓋井島と二つの離島がございますので、航路がいかに重要であるかということは十分承知をしているつもりでございます。
 離島地域においては、地域住民の貴重な足を確保するとともに、豊富な観光資源を活用し、交流人口を拡大していくことが非常に重要と認識をしております。
 政府としても、離島航路補助金について、従来の運営費補助に加えまして、船舶の建造や島民向け運賃割引のための補助を導入するとともに、離島地域が本土からの観光モニターを招致する際の経費を補助するなど、双方の交流促進のための取り組みを行っているところでございます。
 今後とも、地域の御要望も伺いながら、自治体などと協力をしつつ、離島地域の交通利便が向上するよう最大限に取り組んでいく考えでございます。

○塩川委員 全国二百六ある離島航路というのは、その住民の皆さんにとってまさに海の国道であります。陸の国道であれば、税金で道路を整備し、利用者の方は無料で利用ができる。しかし、海の国道の場合であれば、そのためには利用料も払わざるを得ないという点でも、海の国道の離島航路も、本来、無料で利用できるような、こういった取り組みこそ、地域格差の是正につながるということを強く申し上げておきます。
 次に、地方の仕事興し、中小企業に仕事が回る取り組みについて取り上げたいと思います。
 総理は、施政方針演説で、地方の仕事づくりを進めると述べておられます。また、施政方針演説の地方創生の部分で、政府調達では、新たなビジネスに挑む中小・小規模事業の皆さんのチャンスを広げていくと政府調達のお話をされています。
 これは、官公需法、国や地方における発注について、官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律に基づいて地方の活性化を図る、こういう趣旨だと思いますが、総理にお聞きいたします。

○安倍内閣総理大臣 官公需法は、国等による物品などの調達において、中小企業の受注機会を確保し、中小企業の発展を図ることが目的であります。
 具体的には、中小企業向けの契約目標額や中小企業の受注機会の増大のための措置を盛り込んだ国等の契約の方針を毎年度閣議決定し、国等が率先して中小企業の受注機会を拡大することとしています。こうした取り組みにより、平成二十五年度の中小企業向け契約額は、官公需総額の過半となる約三・四兆円となっています。
 このように、官公需法は、中小企業の受注機会の確保において重要な役割を担っていると認識をしています。
 さらに、今国会において官公需法を改正し、創業から十年未満の企業を優先するための枠組みをつくり、新たなビジネスに挑む中小・小規模事業者の皆さんのチャンスを広げることを考えております。

○塩川委員 今の御答弁にもありましたように、国や地方公共団体が物品の調達や役務あるいは建設工事を行う際に中小企業者の受注機会の確保を図る、それをもって中小企業の発展に資するものにしようというのが官公需法の趣旨であります。
 パネルを用意いたしました。
 官公需の実績はどうなっているか。これは、国や政府機関におきましては年間約四兆円の規模であります。こちらのパネルは地方の実績ですけれども、地方自治体で、約十兆円が中小企業、小規模事業者向けの契約となっております。地方において、中小・小規模事業者の仕事興しに大きな役割を果たしているのが官公需法であります。
 パネルでごらんいただいてわかりますように、地方公共団体の官公需契約実績を都道府県別に出しております。
 都道府県と東京特別区及び政令市を含む人口十万人以上の市の実績の合計となっています。例えば、北海道では契約実績額が六千六百七十七億円、青森県では千四百五十億円、このようにあって、右下の方に合計額がありますけれども、先ほど申し上げましたように、十兆円を超えるという額であります。
 そこで、これは地方の現状ですけれども、国の官公需契約の実績の総額の推移がこちらのパネルとなっています。
 国や政府機関等における官公需の契約実績の年次別の推移を見ると、平成二十年度、中小企業向け契約の割合が四六・一%だったものが、二〇〇八年度から二〇〇九年度にかけて、四六・一%が五三・一%へと大きくふえております。ここにあるように、赤い折れ線グラフがぽんと上に上がっているわけですけれども、こうなっている理由というのは何かを宮沢大臣にお尋ねします。

○宮沢国務大臣 二十一年度以降、分母を正確にしたということでありまして、官公需法においては、中小企業、小規模事業者の受注の可能性が想定されない契約まで受注機会の増大を図る義務を課すことは適切でないと考えまして、二十一年度以降、武器、航空機、大型船舶等、中小企業、小規模事業者の受注の可能性が想定されない契約を除外して集計した結果でございます。

○塩川委員 それは言葉が足りないんじゃないでしょうか。今言ったように、もともと中小企業の受注が想定されない契約を除いた、つまり、分母が小さくなった。分母が小さくなったために、このように率が高まったということであります。
 その場合に、防衛装備品のようなお話もされましたけれども、そもそも皆さんが示したのは、各府省にこの実績の取りまとめということで中小企業庁が示したというのは、WTOの政府調達に基づく適用基準額、これに基づいて取りまとめをするように実際には要請していたんじゃありませんか。

○宮沢国務大臣 詳細には承知しておりません。

○塩川委員 そんなはずはありませんよ。中小企業庁が各府省に出した文書の中にはっきり書いてあるじゃありませんか。何でそんなことを大臣が知らないんですか。余りにもおかしいんじゃないですか。
 改めて、大臣に。

○宮沢国務大臣 正確に申し上げますと、規模、特殊性及び専門性等により、中小企業者の入札参加が明らかにないと考えるものは対象外とします。
 例として、特許権等の権利に基づきまたは特殊な設備、技術の保有により、特定の者に履行が限定される機械設備等の製造、建設、修理請負契約、大規模な放射能測定業務または除染業務ということでありまして、WTOの関係も、そのとおりでございます。

○塩川委員 今確認しましたように、中小企業庁の、その契約について言えば、WTOの政府調達協定の適用基準額で線引きをして、この額よりも大きいものは中小企業はとれない仕事なんだと。中小企業はとれないということをもって、ばっさりと分母から削ってしまったために率が上がったというだけなんですよ。
 ごらんいただいてわかるように、国等の政府調達協定の適用基準額のところですけれども、そもそも、WTOの政府調達協定というのは、政府が調達をする、そういう物品や工事やサービスなどにおいて外国企業にも自由化をするものであり、自由化する政府機関の範囲と自由化する調達の最低基準額、これは運用基準額、適用基準額といいますけれども、これを締約国に約束するというものであって、それぞれ、SDR、特別引き出し権と言われる国際的な価値の単位に基づいて、国や地方公共団体それぞれの基準を定めています。
 二〇一四年度以降を見ると、国の場合、物品は十万SDR、これは邦貨換算額、日本円で換算すると千三百万円、建設工事は四百五十万SDR、六億円、役務のうち設計、測量等の建設関連サービスは四十五万SDR、六千万円、一般サービスは十万SDR、千三百万円とあるとおりであります。
 官公需法の中小企業向け実績の把握に当たって、このWTO政府調達協定の適用基準額以上の契約を除いたために、分母が小さくなって比率が上がったというのが実態であります。何ら努力を強めたという話じゃないということを言わざるを得ません。
 実際に、WTO政府調達協定が地元中小企業の官公需契約の妨げとなる事例が生じています。
 二〇〇九年度の補正予算、これは麻生内閣のときでしたけれども、スクール・ニューディール事業というのがありました。学校での地デジテレビの購入などに活用されたものですが、文部科学省の地方向け補助金交付決定通知にも、事業実施に必要な発注を行う際には、地域経済活性化の観点から地域の中小企業の受注機会の増大に努めるようお願いすると書いてあります。地域経済振興策として行って、中小企業の受注機会を増大するんだと、まさに官公需法の趣旨での、そういう通知も行っているわけです。
 しかしながら、京都府では、知事が、府議会の答弁の中で、分割発注にできればそれにこしたことはないが、担当は文科省であり、文科省に確認する中で、WTO協定に照らして非常に危ない、危険だと指摘を受けたと答弁をし、実際、やむを得ず、六十九校、百九十一台のテレビと設置工事をまとめて発注する。それで、受注、落札をしたのは東京の大手企業だったということであります。
 文科省にお尋ねをいたします。
 今紹介をした京都府の事例で、その京都府の問い合わせに対して文科省はどのような回答を行ったんですか。

○河村政府参考人 お尋ねのありました京都府の担当者からのお問い合わせは、中小企業への配慮について、WTO政府調達協定を優先すべきかどうかという御質問でございました。
 当時の文部科学省の担当者としては、WTO政府調達協定において、この協定の適用を回避する意図のもとに、いかなる調達も分割してはならないと規定されており、この協定の枠内での適用であるというふうに回答したと承知しております。

○塩川委員 要するに、地域振興策に基づく分割発注よりもWTOの政府調達協定を優先するという対応を述べたということであります。
 ですから、ほかの事例でも、例えば広島市でも、テレビの大量購入に量販大手が参入、落札をした。それは、WTO政府調達協定のため、地元中小業者に限定した入札ができなかったということも報道されているところであります。
 つまり、WTO政府調達協定を理由にして、地元中小企業の官公需契約に支障が生じていた。文科省の対応などは、この官公需法の趣旨にもとるものであります。
 実際には、その後、京都府においても、商工団体の働きかけもあって、分離分割発注を行う。全部丸めてじゃなくて、学校単位とか、教育事務所単位とか、合理的な分割発注というのは当然できるわけですから。こういった形で、一方での地元中小企業への振興策を図る、これをしっかりと対応する、こういうことは行えるわけで、外国企業から訴えられた事例も全くありませんし、このような運用基準額を口実に地元中小企業の仕事を損なってきたことは極めて重大だと言わざるを得ません。
 宮沢大臣に重ねてお尋ねしますけれども、この官公需の実績集計に当たって適用基準額以上の契約を除くというやり方を行った、このことが、結果として今言ったような事例を生んだんじゃないのか、一律に中小企業の受注機会の確保を図る対象から外してしまっていたのではないのか。この点はいかがですか。

○宮沢国務大臣 あくまでも、実際に中小企業から、落札といいますか、購入できる割合を高めるということが一番大事なことでありまして、例えば先ほどのお話ですと、防衛庁の関係が実は一番大きく減っておりまして、二十年から二十一年にかけて、官公需の総額が九兆から七兆九千億ぐらいに減っております、一兆一千億。そのうち、防衛庁分が八千五百六十七億ということでございまして、決してそういう趣旨でやったものではございません。

○塩川委員 防衛省だけじゃないですよ。全部の役所で減っているんですよ。それは分母を除いているからなんですよ。今、大臣言いましたけれども、割合を高めることが目的といっても、分母を減らして高めてもしようがないじゃないですか。
 中小建設業者の話では、協同組合は共同受注、あるいは単体であっても、中小企業でも、例えば建設工事で六億円を超えるような工事を請け負う実績というのはありますよ。それを六億で線を引いて、それは分母で除いたら、こういうところはもう中小企業への受注機会の確保の対象外、こういうことに当然つながっていくんじゃありませんか。ましてや、物品やサービスなどといえば千三百万円ですから、当然、中小企業の仕事の受注機会の確保につながっていくような、中小企業の仕事になり得る金額でもあります。
 契約額が適用基準額以上ということになれば、一律に中小企業の受注機会の確保を図る対象から外すことになってしまう。各府省が、中小企業が受注しやすい発注とする工夫そのものを怠ることになると言わざるを得ません。契約額が適用基準額以上のものを一律に中小企業の受注機会の確保を図る対象から外すということはきっぱりとやめるべきだということを申し上げます。
 そこで、さらに重ねて問われているのが、TPP交渉の問題であります。
 自治体から、適用基準額引き下げへの危惧の声が上がっております。
 北海道は、TPP協定の分野別の影響を試算しております。その中では、政府調達案件として一般競争となる入札には、現在は政府調達協定の締結国のみ参加可能であるが、我が国がTPPに参加することにより、その他のTPP参加国の企業も可能となり、また、対象品目の拡大や調達基準額の引き下げなどが行われた場合、競争激化による道内中小業者の受注機会への影響が懸念される。また、政府調達の見直しにより、地元優先等の政策的優遇ができなくなるなど影響が生じた場合は、雇用面に影響を与えるおそれがある、このように述べ、政府の方は、TPPの政府調達協定について、TPPはWTOのルール以上のものを目指すとか、国とか地方とかが政府調達を国際的にオープンにしていくということを述べております。
 そこで、担当大臣の甘利大臣にお尋ねをいたします。
 このパネルにもありますように、TPPというのは、地方の調達の適用基準額というのを国の適用基準額へと引き下げることにならない、このように言えますか。

○甘利国務大臣 TPPは、項目ごとに、日本が攻めていく、チャンスを広げるところと、日本が守って向こうがこじあけたいという部分と、いろいろあるわけですね。この政府調達協定のところは、どちらかというと、日本が相手の国をこじあけてビジネスチャンスをつくっていく攻めの部分なんです。
 というのは、TPP十二カ国のうち、WTOの政府調達協定に入っている国は日本とアメリカとカナダとシンガポールしかありません。これから、要するに、外から入れないと守っている国に対して、そこをあけて、日本の企業がビジネスチャンスを持って入っていくというところなんです。残りの八カ国、WTOの政府調達協定に入っていない国に対して、TPPは、日本の企業が入っていけるチャンスを開くものというふうに捉えております。でありますから、WTO協定により近づけるために、ここはTPPを使ってやっているというふうに考えているところでございます。
 アメリカとかあるいはカナダ等々、どれくらい向こうの企業が日本の政府調達に参画しているか、私も資料を持ち合わせていませんけれども、これに加わってくる国は、もちろん先進国もありますけれども、どちらかというと、市場としてはまだ日本にとっては未開の市場が多うございます。ですから、前向きに捉えるべきだと思います。
 もちろん、中身について詳細に、締結ができて、決着がついていない時点で開示することはできませんけれども、基本的には、WTOの線に沿っていろいろと今交渉しているところであります。

○塩川委員 WTOの線に沿って云々とされますけれども、しかし、海外の事例でいっても、例えば地方政府の建設工事については、TPP交渉参加国の米国やペルーやチリのこの基準額というのは、日本の三分の一に現在なっております。そういった点でも、引き下げるということが対象となり得るということは当然あるわけであります。
 甘利大臣が、この政府調達の分野というのは、日本が海外に、いわば市場をこじあけてビジネスチャンスをつくる攻めの分野だという言い方をしますけれども、地方の皆さんの受けとめは違います。これは、外国資本が入ってくるという懸念もありますけれども、要するに、こじあけてビジネスチャンスをつくっているのは、日本の大企業が、地方の中小の仕事をとる、この分野でビジネスチャンスをつくる、こじあけるということになっているんじゃありませんか。WTOの政府調達協定をさらに進めて、このTPPの問題というのは、外国資本と同時に、日本の大手企業の要求が背景にあるということを言わざるを得ません。
 長野県なども、WTO政府調達に比べて調達の範囲が拡大した場合、地元中小企業に優先的に発注する政策、つまり官公需ですとか障害者関連事業所などへの支援、こういう政策を維持することができないのではないのかという懸念を述べております。
 総理にお聞きします。
 TPPは、自治体による地元中小企業優先の地域経済振興策の大きな足かせになるのではありませんか。

○安倍内閣総理大臣 答弁する前に、先ほど、官公需の中に占める中小企業向け契約額を三・四兆円と申し上げましたが、四・三兆円の間違いでございましたので、訂正させていただきたいと思います。
 TPPがまさに地方の中小企業にとってマイナスではないかという御質問でございますが、TPPは、まさにアジア太平洋地域に一つの大きな経済圏をつくっていくという野心的な取り組みでございまして、このアジア太平洋地域に新しい市場が広がっていくことは、大企業のみならず地方の意欲的な中小企業にとって海外展開にも大きなチャンスになっていく、このように思いますし、また、成長するアジア太平洋地域と一体的な経済圏を形成することで、海外から地方への投資や観光を促進し、地方創生や地域経済の活性化にも大きく貢献をしていく、このように考えます。
 また、地方中小企業の官公需における受注への影響も含めて、中小企業が優遇されないのではないかというお話でございましたが、先ほども既に甘利大臣が答弁をさせていただいておりますように、もう既に日本はWTOの政府調達協定に加盟をしているわけでございまして、TPP交渉に参加をしている国々、八カ国はまだこれには参加をしていないという状況であります。
 一方、日本は、世界各国に遜色のないレベルの自由化を既に実現しているという状況でございます。交渉の中身、進展ぐあいについては詳細にお答えをさせていただくことはできませんが、TPPによって地方自治体が行う地域振興策に影響を及ぼすことは想定はしておりません。

○塩川委員 TPPそのものの大きな影響ということについて余りにも軽視をする、そういう発言。
 つまり、そういう意味でも、大手企業の要求が背景にあるということは改めて申し上げるつもりでありますけれども、こういった国基準を地方の基準に当てはめるということが、より一層地方の、地場の中小企業の仕事を奪うことになるんだということを強く指摘し、このような、政府調達を通じた地域振興策の障害となるTPPというのは、地方を支える農林水産業に壊滅的な打撃を与えるものでもあります。地方の仕事興しを根本から破壊するTPPはきっぱりとやめるべきだということを申し上げます。
 次に取り上げたいのが、PFI事業の問題であります。
 安倍内閣は、成長戦略の一環としてPFI事業を推進してまいりました。公共施設の設計、建設、運営、維持管理などを一体的に行うものがPFI事業であります。
 このPFI事業では、どうしても、公共施設の設計、建設、運営、維持管理などを一体的に行うという点でも、契約規模が大きくならざるを得ません。公共事業の営利事業化によって大企業が中小企業の仕事を奪うことになるのではないのか、こういう懸念も浮かぶわけであります。
 そこで、太田国交大臣にお尋ねしますが、国交省が行っているPFI事業の一つに、国交省が管理者である全国十四カ所の直轄駐車場があります。国交省は、直轄駐車場維持管理・運営事業として、全国十四カ所の一括PFI契約を行いました。この駐車場の所在地がどこなのか、契約企業はどこかについてお答えください。

○太田国務大臣 国が管理する国道に設置した駐車場の管理運営の民営化としまして、全国の十四駐車場について、PFI事業を活用して契約をしているところでございます。その契約の相手先は、タイムズ24株式会社でございます。

○塩川委員 今お答えがありましたように、全国十四カ所で北海道から四国まであるのに、東京に本社のあるタイムズ24が契約するのでは、もうけは東京に集まるだけですから、結果として、PFIにすることで地元企業の契約の機会が損なわれたことになるということを言わざるを得ません。
 これまでのPFI事業の契約は、ここに実績表がありますけれども、選定された代表企業のランキングを見てもわかるように、日本PFI協会調べで、契約代表企業というのが、大林組、大成建設、清水建設、三菱UFJリース、鹿島建設、大和リースなど、大手ゼネコンを初めとして、ほとんどが大企業となっております。こんな大企業の仕事をふやし、中小企業の仕事を減らしているのがPFI事業だと言わざるを得ません。
 この点で、もう一つ言っておきたいことがあります。
 このPFI受注の企業ランキングを見ると、その上位が大手ゼネコンとなっています。これら大手ゼネコンが会員となって、日本建設業連合会、日建連をつくっております。日建連と聞いて思い出すのが、二〇一三年、参議院選挙前の二月、自民党の資金管理団体である国民政治協会が日建連に出した献金の要請であります。このとき、自民党と国民政治協会が日建連にそれぞれ文書を出しております。
 この文書などを見ても、自民党の文書では、巨大公共事業を含む安倍内閣の経済政策、アベノミクスを説明し、国民政治協会の文書では、自民党は強靱な国土の建設へと全力で立ち向かっていると強調し、その政策遂行を支援するためとして四億七千百万円もの献金を請求していたわけであります。参院選前の党首討論会で我が党の志位委員長が明らかにしたものであります。
 このことについて、安倍総理はそういう事実があったと認めておられるということを承知しておりますが、そのとおりでよろしいですか。

○安倍内閣総理大臣 そのとおりでございます。
 私ども、浄財として、各団体に私どもの進めていく政策等について御支援をいただくお願いをさせていただいているところでございます。

○塩川委員 二〇一三年の参議院選挙の前に献金を要請する。四億七千百万円という金額の提示があったということも、この文書でも示されているところです。
 このPFI受注ランキング上位の大手ゼネコンというのが一三年に自民党、国民政治協会へ幾ら献金しているのかを見てみましたら、大林組が千二百万円、大成建設が千二百万円、清水建設が千二百万円、鹿島建設が千二百万円。軒並み巨額の献金を行っておりますし、大手ゼネコンは、要請されたから献金を行っているだけではありません。
 この日建連は、過去、行き過ぎた中小保護の見直しなどといって、分割発注など地元企業を優遇する政策の撤廃、緩和を要求してきたところであります。さらには、官公需法についても見直し、廃止を求めてきておりました。中小業者に仕事を回すより自分たちにもうけをよこせと言っているようなものであります。
 総理にお尋ねしますが、このような要望を出している企業、団体から献金をもらう、さらには献金を要請するということは、金で政策を売っていると言われても仕方がないのではありませんか。

○安倍内閣総理大臣 決してそんなことはないわけでございまして、私どもは、私どもの政策に理解をいただいている団体、企業等から御支援をいただきながら、まさに大切なことは、政治資金の流れについては透明化を図っていくということでございますから、この透明な浄財のもとにしっかりと政策を進めているところでございます。
 また、官公需の中における中小・小規模事業者の契約実績でございますが、先ほどお示しをいただいたように、絶対額でもしっかりと、安倍政権になって受注額はふえているわけでございますから、しっかりと我々は中小・小規模事業者を守っていく、そういう意識のもとに実績を残してきているということは申し上げておきたいと思います。

○塩川委員 WTO政府調達協定、そして今後のTPP、実績としてもPFIで大手ゼネコンの受注機会の拡大を図ってきているというのが、この間の安倍内閣がやってきた、やろうとする方向だということを重ねて申し上げます。
 企業は主権者ではありません。したがって選挙権もない。企業が政党や政治家に金を出し政治に影響を与えるということは、主権者である国民の基本的権利を侵すことにつながり、国民主権の原則と相入れません。
 自民党から日建連への献金要請の問題だけではありません。公共事業を受注している企業からの献金は税金の還流に当たるとして、少なくとも公共事業受注企業の献金は禁止すべきだと、二〇〇二年には、我が党を含む野党四党が法案を提出したこともあります。
 あれから十年余り、何度も何度も税金の還流が問題になってきた。この間、補助金をもらっている企業からの献金が問題になっているが、これもまさに税金の還流の問題であります。
 総理にお尋ねしますけれども、政治資金規正法において、この補助金をもらっている企業からの献金が禁止されているというのはなぜなのか。このことについてお答えいただけますか。

○安倍内閣総理大臣 補助金をもらっている企業からの献金を一年間禁止する法律ができたのは、これは議員立法によってできたのでございますが、それは、今委員が御指摘になったように、税金がその企業に入る、そしてそれが収益性を持つものであった場合、その企業から一年以内に献金をもらうということについては、まさに税金が入る、そしてそれが献金になった、外形的にはそのように見えているということに対して禁止をされているということではないかと思います。

○塩川委員 二〇〇五年二月八日の当予算委員会で、我が党の佐々木憲昭議員が当時の麻生総務大臣に質問をした際に、麻生大臣がこのように述べておられます。
 政治資金規正法第二十二条三の第一におきまして、国から直接補助金などの交付の決定を受けた会社その他の法人は、交付の決定の通知を受けた日から一年を経過する日までの間、政治活動に関する寄附をしてはならないこととされている、この規定は、国から補助金等の交付を受ける会社その他の法人との政治資金のいわゆる授受、受け渡しというものは、補助金の決定などをめぐり不明瞭な関係を生じさせる危険性があるということに鑑みて、このような会社その他の法人が行う政治活動の寄附については規制をしようとするものであったというのがこの法律が立法された趣旨、背景だと承知していると述べております。
 つまり、税金の還流によって、金の力で、補助金決定など、政治をゆがめるようなことになってはいけない、そういう危険性があるから禁止をしているということなんじゃありませんか。改めて、総理、いかがですか。

○安倍内閣総理大臣 もとより、献金によって政策をゆがめたり、あるいは、いわば政策そのものに、こういう、自分の企業に利益を誘導するということは、補助金に限らずあってはならないことだろう、このように思うわけでございます。
 同時に、麻生大臣が答弁しましたように、いわば税金としての補助金を企業に受けさせるということについて、政治的な影響力を行使し、そして、もちろん、その見返りとして献金があってはならないのは当然のことだろう、このように思います。

○塩川委員 我々は企業・団体献金の禁止を求めておりますけれども、企業・団体献金の中でも、少なくとも国民の血税を使った補助金受給企業からの献金は禁止しようというのがこの規定の趣旨であります。
 重ねて聞きますけれども、金の政治で政治を動かしているのじゃないのかという疑いをかけられているときに、知らなかったとか違法ではないとか、こういう言いわけというのは通用しないんじゃないのかと思いますが、総理、いかがですか。

○安倍内閣総理大臣 それは、再三この委員会でも述べさせていただいておりますように、この法律については、研究費等々収益性のないものについては質的な制限の範囲外ということになっております。
 同時に、受け手側の政治家については、これは知っていて受けてはならないということが構成要件になっているということは、今まで累次申し上げているとおりでございます。

○塩川委員 違法ではないからといって、企業・団体献金をもらい続ける姿勢そのものが問われていると言わざるを得ません。
 そもそも、企業献金は、献金が何らかの利得に結びつけば賄賂となり、そうでなければ企業に損失を与える背任行為となるものであります。
 企業は利益を得ることを本来の目的にする営利団体であり、政治に金を出せば、投資に見合う見返りを要求することは避けられない。だから、企業献金は本質的に賄賂性を持つものなんじゃないのか。そういう認識は、総理、お持ちですか。

○安倍内閣総理大臣 本質的に賄賂性を持つものという認識は持っていないわけでございます。
 個人にせよ、法人にせよ、団体にせよ、いわばお金を献金することによって自分の利益を得るということはあってはならないということではないかと思います。

○塩川委員 企業が政党や政治家に金を出して政治に影響を与えるということが主権者である国民の基本的権利を侵すということを重ねて申し上げなければなりませんし、国民主権の原則とそもそも相入れない。だからこそ、必要なのは企業・団体献金の禁止であります。
 我が党は、この企業・団体献金の禁止を一貫して要求してまいりました。そういう点でも、政治資金パーティーを含めて、こういった企業・団体献金をしっかりと規制する、禁止する、こういうことこそ求められている。政党助成金の廃止と一体に、政治と金のゆがみを大もとから正し、国民が主権者である、そういう政治の実現のために全力で奮闘することを改めて表明し、質問を終わります。