国会質問

<第189通常国会 2015年03月10日 予算委員会第二分科会 1号>




○塩川分科員 日本共産党の塩川鉄也です。
 きょうは、地方自治体にも深くかかわる、地域におきます中小企業の果たす役割について、国の施策がどうか、こういう観点で質問したいと思います。直接は国交省あるいは経済産業省にかかわるところが多いんですけれども、高市大臣もお話をお聞きいただいて、ぜひ、受けとめ、決意などを最後にお聞かせいただければと思っております。
 最初に、官公需法についてお尋ねいたします。
 中小企業の受注機会の確保を図る官公需法においては、契約比率の目標を持つということになっております。全体の官公需の契約実績を分母とすれば、中小企業の契約実績を分子とする、この比率を高めていこうということを目指しているものです。最初に、そのいわゆる分子の方の話をお尋ねしたいと思っています。
 官公需法の契約実績の中に、中小企業と言えないような大企業の子会社、いわゆるみなし大企業、こういうのが含まれている事例があるのではないかと思いますが、この点について、中小企業庁からお答えいただきたいと思います。

○北川政府参考人 お答えいたします。
 官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律、いわゆる官公需法の第五条におきましては、各省庁の長から契約の実績を経産大臣に通知するというふうになっております。
 これに基づきまして集計するわけでございますが、この中で、いわゆるみなし大企業であるかどうかにつきましては明示的に通知の対象としておりませんでしたものですから、みなし大企業との契約については正確な状況は把握されておりません。今後把握に努めてまいりたいと考えております。

○塩川分科員 把握をしていないということです。
 一つ紹介したいのですが、衆議院が契約の主体となりました衆議院の赤坂議員宿舎、これは非常に大きな金額での契約だったわけです。PFI契約だったわけですが、実際その契約をした企業がどういうところかといいますと、SPCで契約するわけですけれども、その出資者、つまり株主がどこかといいますと、一番大きいのが、鹿島建設が三八%、東急コミュニティーが三六%、セコムが一五%、東京瓦斯が一〇%と、いわば運営している主体というのは大企業となっている。つまり、大企業の子会社が衆議院の赤坂議員宿舎の契約をとっている。しかし、それが、残念ながら、衆議院における実績においては中小企業の契約実績の中に含まれていた。
 こういう事例があるということは御存じないですか。

○北川政府参考人 その事例については承知しております。

○塩川分科員 このように、実際には、大企業の子会社、PFIにおけるSPC、特定目的会社が契約の主体となっているものも、中小企業の契約ということで、官公需の実績として上がっている。
 こういう例というのはほかにもたくさんあるんじゃないかなと思うんですけれども、そういうことについて、改めて一度調べるという考えはありませんか。

○北川政府参考人 今の、みなし大企業につきましては、今後把握してまいりたいと思います。その点につきまして、関係省庁にも周知していきたいと考えております。

○塩川分科員 これまでの実績でみなし大企業が入っているんじゃないのか、大企業の子会社などが入っているんじゃないのかということなので、ぜひ調査していただきたいと思います。
 その上で、大企業の子会社、いわゆるみなし大企業は官公需法の支援対象となる中小企業から除くように、中小企業の範囲に明確な基準を設けるべきだと考えますが、この点についてお答えください。

○北川政府参考人 いわゆる中小企業をどう見るかということでございます。
 中小企業基本法というのがございまして、そこの第二条に、中小企業者の範囲、これは各施策ごとに定めるとなっておりますけれども、同じく、同法第三条の基本理念におきまして、独立した中小企業者の自主的な努力が助長されることを旨とすると定められておりまして、中小企業基本法では、基本的には独立した中小企業者というものを対象に、念頭に置いておるわけでございます。
 こうした考え方を踏まえまして、個別法でございます先ほどの官公需法におきましても、一般的な考え方に準じまして、例えば発行済み株式の二分の一以上を同一企業が所有していない、あるいはその総数の三分の二以上を大企業が所有していない、あるいは大企業の役員または職員を兼ねている者が役員数の二分の一を占めていない、こういったものを中小企業と考えておりますので、先ほどの、これに当たらないみなし大企業につきましては、基本的な考え方としては官公需法の想定している範囲ではないと考えております。
 これは徹底されていないという御指摘もございますので、今後、官公需実績の取りまとめ方針をまとめていきますけれども、その際に、官公需契約見込み額・実績等取りまとめ要領に明記いたしまして、各省庁に対して周知していきたいと考えております。

○塩川分科員 官公需の中小企業契約の実績に大企業の子会社が入っていた、これらの中小企業の受注機会の確保を正確に把握することができないということであります。
 今答弁のありましたように、大企業の子会社、いわゆるみなし大企業については、官公需法の支援対象となる中小企業から除くような明確な基準として、今お話しいただいたような中小企業基本法第三条にある独立した中小企業者という規定を踏まえて、発行済み株式の総数または出資価額の総額の二分の一以上が同一の大企業の所有に属していない、あるいは三分の二以上が複数の大企業の所有に属していない、また役員構成においてその二分の一以上を占めていない、こういう規定を設けるということ。これは、従来、経済産業省、中小企業庁において、いわゆるみなし大企業を除くという、独立した中小企業者という考え方の定義として一般的に使われているものということでよろしいんでしょうか。

○北川政府参考人 これは、一般的に、我々、それに即してやってきたつもりでございまして、さまざまな補助金交付要綱などにもこのようなものを書いているところでございます。

○塩川分科員 中小企業への補助金の交付要綱などに記載をされているもの、それを援用してということだと思います。
 こういう点で、中小企業庁は、官公需法における中小企業の範囲として、このような中小企業補助事業におけるみなし大企業を除く規定を援用し、大企業の子会社を排除し、独立した中小企業者を支援の対象とすることを明確にするということであります。
 この趣旨を、関係府省のみならず、地方公共団体やその他の政府機関、これらに対してもしかるべく周知を図ることが必要だと思うんですが、この点についてはいかがでしょうか。

○北川政府参考人 この官公需法に基づくさまざまな考え方については、毎年、関係省庁のみならず、地方自治体にもお知らせをして周知を図っていくということでございますので、同じようにしてまいりたいと思います。

○塩川分科員 わかりました。
 次に、官公需契約実績の中小企業向けの比率を高めていくという点で、今、分子の話をしたわけですが、分母の方についてお尋ねをいたします。
 これは、先週の金曜日に予算委員会でお尋ねをした件でもありますが、官公需契約実績額の取りまとめに当たって、二〇〇九年度以降、予定価格が政府調達協定の適用基準額以上のものは官公需契約の対象範囲の対象外とするよう措置をしてきた、このことを先週の予算委員会でも取り上げたところであります。
 これは、実際には、WTOの政府調達協定の適用基準額ということですから、国の場合であれば物品で千三百万円とか、地方では二千七百万円、建設工事であれば国で六億円、地方では二十億円、一般サービスでは国が千三百万円、地方は二千七百万円ということです。国等の基準でいえば中小企業者は十分契約が可能なような、そういう規模の金額にもなっているわけであります。
 そこで、中小企業庁にお尋ねします。
 こういった契約額がこのWTO政府調達協定の適用基準額以上ということになれば、一律に中小企業の受注機会の確保を図る対象から外すことになるんじゃないのか、各府省が中小企業や小規模事業者が受注しやすい発注とする工夫を怠ることになりはしないか、この点を強く懸念するわけですが、この点についてはどのように受けとめておられますか。

○北川政府参考人 官公需法に基づきまして各府省の実績を取りまとめているわけでございますけれども、平成二十一年度実績を取りまとめる際に、特に大型の契約については官公需法の対象から除外して集計していくということと一旦いたしました。その際、一つの基準として、委員御指摘のWTO政府調達協定の適用基準を示したことも事実でございます。
 このときは、中小企業にとりましてより受注の可能性が高い調達範囲というものを想定いたしまして、その中において受注割合を確実に高めていこう、こういうことを念頭に置いて絞り込んだものと考えているわけでございます。
 なお、この際、実際の受注金額は、平成二十年度の四兆一千六百五十二億円から平成二十一年度には四兆一千九百三十二億円となっておりまして、受注額自体は向上しているということでございます。
 しかしながら、もとより、WTO政府調達協定の適用基準額以上の調達につきましても、この協定あるいは会計法令との整合性を確保しながら、中小企業、小規模事業者の受注機会の増大に努めることは重要と考えておりまして、こうした趣旨、すなわち、今後、政府調達協定の適用基準額以上の調達につきましても、官公需法の趣旨、また中小企業、小規模事業者の受注の機会の確保というものが適切に反映されるように、平成二十六年度実績の取りまとめ要領を見直しまして、各府省の事務契約に反映するように周知を図ってまいりたいと考えております。

○塩川分科員 先ほども紹介しましたように、中小企業者であっても、例えばWTO政府調達協定の建設工事、国の場合は六億以上という線がありますけれども、六億ぐらいの規模、五階建て、八階建てぐらいの建物であれば、大体そのぐらいの金額に行くわけですよ。中小の建設業者でも当然受注、契約が可能な規模であります。ましてや、物品やサービスで千三百万円となれば、これは十分中小企業者の仕事に入るわけですから、それを、その基準額以上だったら分母から外しちゃったら、中小企業者への受注の機会を確保するという官公需法をそもそも空洞化することになるじゃないかということであります。
 見直しということであれば、もともと取りまとめの要領のところに表書きをつけていたわけですよね。この表書きのところに、官公需契約の対象範囲から除いていいよという例示として、例えば、予定価格が政府調達協定の適用基準額以上のものなどと書いてあるわけです。ですから、ここには別に、建設工事という限定、つまり大規模という限定もなければ、そういう意味では、物品やサービスの千三百万円以上だって、この書き方であれば含まれるわけです。
 ということは、今後その実績を取りまとめるに当たっては、この括弧にあるような、政府調達協定の適用基準額以上のものは対象範囲として除いてもいいよ、この部分はもう削るということでいいんですか。

○北川政府参考人 済みません。そこはちょっと技術的なことになりますので、よく検討して、いずれにいたしましても、まず分子がふえていくということも念頭に置きながら、中小企業、小規模事業者の受注の拡大に資するように見直してまいりたいと思います。

○塩川分科員 もう一回お尋ねしますけれども、要するに、WTOの政府調達協定の運用基準額という線引きで、各府省が実績を取りまとめるときに、その線引きを気にしなくていいよということでいいんですか。

○北川政府参考人 調達に当たっては、そのような趣旨でございます。

○塩川分科員 適用基準額以上でも十分中小企業が受注可能なんだと。
 そういう意味では、官公需法、あるいはその具体化の契約の方針においても、合理的な形での分離分割の発注の工夫ということがうたわれているわけですから、そういった規模にすることも含めて中小企業者の受注機会の確保を図る、こういう取り組みということで、しっかりとした対応を改めて求めておくものであります。
 次に、建設産業の問題について国土交通省にお聞きいたします。
 今、建設産業が抱える大きな二つの問題、危機があるんじゃないのかと私は思っております。
 一つは、やはり地域に根差す建設・住宅業者が大変疲弊をしている。大手のゼネコンや大手のハウスメーカーや、こういうところが収益を伸ばしたとしても、実態とすれば、重層下請構造のもとで現場の中小業者の皆さんが大変苦労しておられる。そもそも、建設工事というのは地域性のあるものですから、そういった地域の中小建設業者をしっかりと支えることが必要なのに、そこが大変疲弊しているという問題があるということと、もう一つが、若年者がこの業界に入ってくることを避ける、入職を回避する、こういう事態があるということが言えると思います。
 この点で、私がここでお尋ねしたいのが、こういう若い世代の方、若年者が建設産業に入職し、安心して一生働き続けることができる仕組みづくりが必要だということであります。
 この間、国交省は、公共工事の設計労務単価の引き上げを行ってまいりました。しかし、現場はどうか。
 例えば、この二月にも設計労務単価の引き上げが行われましたけれども、そのとき、建設労働者、技能労働者の労働組合であります全建総連がコメントも出しております。この全建総連のコメントでは、全建総連の賃金調査結果や全国の県連、組合での組合員からの聞き取りから、賃金の上昇傾向は確かに見られるものの、職種や現場、地域による偏りも大きく、比較的上昇幅が高いゼネコン、野丁場、鉄筋コンクリートのような建物をつくる現場でも、設計労務単価の水準には及ばず、組合員もその実感を得られていない、これが現場の実感、実態であります。
 そこで、国交省にお尋ねします。
 公共工事設計労務単価を引き上げているけれども、現場の建設労働者がそれに見合うような賃上げを実感できていない。設計労務単価を引き上げたにもかかわらず、なぜ現場の建設労働者の賃上げに反映されないのか、この点についてはどのように受けとめておられますか。

○吉田(光)政府参考人 お答え申し上げます。
 公共工事の設計労務単価につきましては、平成二十五年四月の一五・一%、また、昨年二月の七・一%に続きまして、委員御指摘のとおり、ことしの二月、またさらに四・二%の引き上げを行わせていただいたところでございます。
 この三度にわたる労務単価の引き上げが現場の技能労働者の賃金水準の上昇という好循環につながるよう、私どもも、建設業者団体に対し、繰り返し、適正な賃金水準の確保を要請してきたところでございます。こうした取り組みもございまして、現場の技能労働者の賃金は上昇傾向にあるというふうに理解してございます。
 先般発表になりました厚生労働省の平成二十六年の賃金構造基本統計調査によりますと、職別工事業、建設業の大工、型枠、とび等でございますけれども、これの男性生産労働者の年間賃金総支給額は、対前年比で八・九%伸びているということでございます。同様の製造業の三・七%と比較しましても高い伸びになっているというふうに考えてございます。
 引き続き、適切な賃金支払いの要請等を通じまして、賃金上昇の動きが下請も含めた技能労働者にも確実に行き届くよう努めてまいる考えでございます。

○塩川分科員 もともと、建設労働者、技能労働者の方の賃金自身が、製造業の労働者よりも極めて低いわけですよ。二五%、四分の一ぐらい低いという実態ですからね。多少は上がったといっても、もともと土台が低いということを前提に考えなくちゃいけません。
 同時に、設計労務単価そのものは大きく引き上げたわけですから、さらに、国交省も、民間の団体、大手ゼネコンを含めて、事業者の方に対して、民間の仕事についてもしっかりと賃上げを図れるような、技能労働者の確保が可能となるような、そういう要請も行っているわけですから、そういう意味でも、トータルで、公共、民間合わせて全体として底上げを図っていくということが、実際に、低い賃金が大幅に上がった、こういう実感が得られるようなところにしていくことこそ必要なわけで、そうなっていないのはなぜなのかというところをもう一回聞きたいんです。

○吉田(光)政府参考人 建設業は、五十万弱の業者がございますけれども、大変裾野の広い産業でございます。発注者と元請の関係、また元請と下請の関係というようなこともございます。
 まず、受注者において、発注者からダンピングというようなことをなくして、適正な価格で受注をする。賃金も、適正な形で下請に、また最後、建設労働者の方に行き渡るようなことが必要だというふうに考えてございます。
 そういった取り組みを、私ども、いろいろな角度から取り組んでいるというところでございます。

○塩川分科員 発注者、元請の関係、元請、下請の関係というお話がありました。要するに、重層下請構造のもとにありますから、そういう意味では、発注者がこうしましょう、元請がこうしましょうと言っても、単純に、末端の、最先端の現場で働いている労働者の方の賃上げに行き届いていないという構造的な問題があるんだという前提で、これをどうするのかということが問われているんですよ。
 私の地元の埼玉で、埼玉土建一般労働組合、全建総連加盟の労働組合の建設労働者のアンケートを拝見いたしました。二十代の方なども、賃金が低い、低過ぎる、ガソリン代も出ないし生活が大変だ、こういう声とか、三十代の方なども、賃金が安く結婚できない、工程重視で休日作業を迫られる、またベテランの方の中にも、若い人が新しく始める仕事として建設業に魅力がなさ過ぎる、金がよいようには見えないし、三K職場としか見えていない。こういった声にどう応えるのか。
 その点でも、重層下請構造のもとで、末端の、現場の最先端の労働者の賃上げをどのように実現していくのか、そこでの踏み込んだ対応策というのはあるんですか。

○吉田(光)政府参考人 建設業を取り巻く厳しい環境は、この十数年続いてきたわけでございます。こういった厳しい環境の中で、なかなか各企業、人ですとか資機材をみずから抱えることが難しくて、これを外部化し、アウトソーシングしてきた。このことが重層構造をより促進したといったようなことがあろうかと思っております。
 まず、各企業においてしっかりと若者を雇用していただく、採用していただく、そういった環境を整えることが重層構造の是正にもつながるというふうに考えてございます。
 そういった観点から、まずは、民間発注を含めまして、元請さんのところでしっかりとダンピング受注を防止していただく。また、労務単価がございましたが、そういった単価を引き上げていく。また、社会保険の未加入の問題といったようなこともございます。こういった環境を整えていく。
 また、各企業が雇用していく、そういった新たな投資をする上に当たっては、やはり仕事の将来の見通しを確保していくというようなことも必要でございます。そういった意味では、一定の事業量を確保していく、そんな総合的な取り組みをこれからもしっかりと続けていく。
 そういった、若者に入っていただけるような就労環境を整えていく取り組みを進めていきたいというふうに考えているところでございます。

○塩川分科員 その点で、昨年六月に担い手三法が成立いたしまして、その後施行もされました。この中で、いわゆる品確法におきまして、担い手の中長期的な育成、確保のための適正な利潤が確保されるようにする、こういうことが明記をされたということは極めて重要だと思います。
 それを本当に現場で、つまり働く皆さんのしっかりとした賃金を前提にして、積み上げで必要な金額を確保していく、こういう対応こそ必要なわけで、そういう意味でも、実際に現場で働く皆さんが、賃上げが可能だ、あるいは社会保険料の改善を含めて福利厚生などにおいても安心して入ってくることができるという、改善策を図るという点での踏み込んだ対応というのはどうですか。

○吉田(光)政府参考人 委員御指摘のとおり、昨年の通常国会におきまして、公共工事の品質確保とその担い手の中長期的な育成、確保を図ることを目的といたしまして、品確法、入契法、建設業法のいわゆる担い手三法の改正が行われたところでございます。
 この改正品確法におきまして、その基本理念において、下請契約を含む請負契約の適正化ですとか、また、賃金その他の労働条件、安全衛生その他の労働環境が改善されるように配慮されなければならない、こういったことが規定されたわけでございます。このことは大変重要な意味があるというふうに受けとめておるところでございます。
 これを受けまして、先ほども申し上げましたけれども、まずは、発注者におきましてはダンピング受注を防止していただく、また、公共発注でしばしば見られます歩切りといったようなものを根絶していく、そしてまた、市場ですとか施工の実態を的確に反映した積算に基づきまして、適正な利潤が確保できるような予定価格を設定していただく、こういったことが求められると思っております。
 また、受注者の方におきましても、適正な額の請負代金での下請契約を締結していただいて、さらに、賃金その他の労働条件、安全衛生その他の労働環境の改善に努めていただくといったようなことが求められると思っております。
 品確法の改正を受けまして、その運用の共通の指針となる運用指針を先般取りまとめたところでございます。こういった運用指針の徹底等を通じまして、建設業における担い手の確保、育成にしっかりと取り組んでまいりたいと考えてございます。

○塩川分科員 ぜひ、しっかりとした対応を求めるものです。
 関連して、大臣にお尋ねします。
 特に、地方、過疎地などにおきましては、農林水産業と同時に建設産業が雇用、地域の経済を支える大きな力となっております。冒頭お話ししましたように、建設産業というのは、本来、その地域の木材、材木などを活用して、その地域に根差した建築、建設などを行っていく、そういうものであったわけであります。その意味でも、地域を担う上でも、また、そもそも地域に根差した産業である建設産業の振興をしっかりと図っていくということが地方の地域おこしにもつながっていく道だと思います。
 大手ゼネコンが外から仕事をとるような、そういうことではなくて、地場の建設業者の皆さんがしっかりと仕事を確保できるような、官公需の面でも地元優先の受注、中小企業への優遇策、こういった自治体の独自の取り組みというのをしっかりと支援することが重要だと思うんですが、大臣のお考えをお聞かせください。

○高市国務大臣 私も、所信表明で、為替変動に強い地方の経済構造をつくっていきたいという旨を述べました。まさに地産地消というものがそのベースに来ると思います。地元の材料を使って、木材もそうです、それを使って家を建てていきましょう、そしてまた地元の食材を地元でしっかりと消費していきましょう、こういった足腰の強い経済構造をつくっていくということは、委員御指摘のとおり、とても大切なことだと思います。

○塩川分科員 まさにその地域資源の活用という観点で、そこで働く皆さん、そして中小企業の力を引き出していく、こういう取り組みということが今大いに求められることだと思います。
 その点で、やはりTPPの問題というのが、大きく言ってもさまざま、農林水産業に対しての影響も重大ですし、政府調達の関係でも、今、地方の団体にしますと、国の政府調達協定に関する運用基準額が地方にも適用されるんじゃないのか、こういう心配の声というのがあるわけです。
 そういう点で、最後に大臣にお尋ねします。
 今、例えば北海道などは、政府調達の見直しにより、地元優先等の政策的優遇ができなくなるなど影響が生じた場合は、雇用面に影響を与えるおそれがある。つまり、政府調達協定で地方の運用基準額が国の基準に引き下げられてしまう、建設工事でいえば二十億円が六億円に引き下げられるんじゃないのか、こういう懸念があるわけですね。そうしますと、地方の中小企業を優遇する自治体の独自策がとれなくなるんじゃないのか、こういう心配の声があります。
 長野県も、WTO政府調達に比べて調達の範囲が拡大した場合に、地元中小企業に優先的に発注する政策、官公需とか障害者関連事業所などへの政策を維持することができないのではないのかという懸念を表明されておられます。
 そこで、大臣にお尋ねします。
 TPPの交渉によって、今言ったように、地方の基準額が引き下げられる、地元中小の優先策がとれなくなるのではないのか、自治体の地元中小優先の政策への障害となるのがTPPではないのか、この点についてぜひ伺いたいと思います。

○高市国務大臣 TPPの交渉の具体的内容については、TPPの秘密保持契約がございますから、詳細についてここで述べるようなことはできません。
 しかし、私は、政府調達の分野というのは日本にとってかなり強みがある分野でもあると思っております。既にWTOの政府調達協定に加盟している国、TPP交渉参加国の十二カ国中四カ国でございますから、非常に新興国市場に向けて日本が攻め込んでいける、そういう分野でもあるかと思います。その場合、パッケージ型のインフラシステム輸出などを行っていけば、これは、地方の企業にも、また中小企業にもメリットがある可能性はあると思います。TPPの内容にかかわらず、日本にとって必ずしもデメリットばかりの分野ではない、むしろ攻めの分野ではあると思います。
 それから、内閣官房において、かなり、これまで地方六団体を含む関係団体に対しての説明会の開催もしていただき、また、意見提出の機会の提供も行ってきており、また、地方公共団体の議会から提出される意見書を通じて地方の意見を聞いてきておりますから、国益また国民益の最大化に向けて、地方の意見も踏まえながらの交渉が必ず行われることと私は確信いたしております。

○塩川分科員 攻め込んでいくのは、大手の企業が地方の中小企業の仕事の分野へ攻め込んでいくんだ、こういうことが問題となると改めて指摘し、地方を壊すTPPはきっぱりとやめよということを申し上げて、質問を終わります。