国会質問

<第189通常国会 2015年05月27日 政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会 2号>




○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 きょうは、有権者の投票機会の確保、選挙の公正性、公平性の確保を求める立場から、選挙の現状認識と政府の施策についてただしたいと思います。
 最初に、幾つか数字で教えていただきたいんですが、国政選挙の投票所数の推移について、二〇〇〇年と二〇〇五年、それから二〇一四年の各衆院選における投票所の総数がどうなっているのかについて、まずお答えください。

○あかま大臣政務官 お答えいたします。
 国政選挙、二〇〇〇年、二〇〇五年、二〇一四年の投票所数というお尋ねでございます。
 二〇〇〇年、平成十二年が五万三千四百三十四カ所、二〇〇五年、平成十七年が五万三千二十一カ所、二〇一四年、平成二十六年が四万八千六百十七カ所となっております。

○塩川委員 二〇一四年の総選挙の投票所総数というのは、十年前の二〇〇五年に比べても、一割も減少しているわけであります。
 次に、午後八時となっております投票所の閉鎖時刻を繰り上げた投票所数の推移についてですが、同様に、二〇〇〇年、二〇〇五年、二〇一四年の各衆院選における閉鎖時刻を繰り上げた投票所数と、その全投票所に占める割合についてお答えをお願いします。

○あかま大臣政務官 お答えをいたします。
 それぞれの年における閉鎖時刻を繰り上げた投票所ということでございます。
 二〇〇〇年、平成十二年が四千六百四十四カ所、二〇〇五年、平成十七年が一万二千九百五十七カ所、二〇一四年、平成二十六年が一万七千百八カ所となっております。
 その投票所総数に占める割合でございますが、二〇〇〇年が八・六九%、二〇〇五年が二四・四四%、二〇一四年が三五・一九%となっております。

○塩川委員 今お答えいただきましたように、投票所が八時となっているものを早める、七時になったり六時になったり、そういった投票所というのが、二〇〇〇年のときに八・六九%、それが、昨年の二〇一四年では三五・一九%と、三分の一を超えるという大きな割合に今至っております。大幅に増加をしたわけであります。
 昨年の総選挙、例えば群馬県などでは、繰り上げ率が九九%とお聞きをしております。人口三十万人を抱える前橋市や高崎市のような大都市部でも、全投票所で閉鎖時刻が繰り上げられているということであります。
 そこで、大臣にお尋ねいたしますが、このように、都市部を含めて三分の一を超える投票所で投票時間が短縮されるというのは、国民の基本的な権利である選挙権、投票権の行使を大きく制約することになっているのではないのか、この点についての御認識をお尋ねいたします。

○高市国務大臣 まず、投票時間の繰り上げ、投票所閉鎖時刻の繰り上げでございますけれども、これも地域住民の生活パターンから、早朝から昼にかけて投票が集中しているという理由、それから、都市部も含めてという委員の御質問でしたけれども、特に中山間地では、夕方から夜間にかけて投票に危険が伴うことというのが主な理由として挙げられております。背景は、やはり高齢化や過疎化など人口減少の影響もあるかと思います。
 しかし、投票の権利というのは、これは民主主義の基礎的な部分でありますから、各選挙管理委員会には、投票所の設置や投票時間の設定に当たって、投票人の投票機会の確保に十分配慮するように、これまでも累次にわたってお願いの文書を発出いたしております。

○塩川委員 山間地域ですとか高齢者が多いとかそういうお話もありますけれども、今紹介しましたように、高崎市、前橋市、そういった大都市部でも、全投票所が繰り上げているわけです。それというのは、やはり投票機会を失うことになりはしないのか、損ねることになりはしないのか。そこはいかがですか。

○高市国務大臣 この繰り上げも、よほど特別な理由があるときには仕方がございませんけれども、実際に八時まで投票していても、その間人が来ないとか、その時間帯の交通事情が悪いとか、そういった特別な事情がある場合には仕方がありませんけれども、都市部でそういった理由がない場合に投票所の閉鎖時刻をむやみに繰り上げてしまうということになりますと、これは投票人の投票の機会を奪うことになります。
 各選挙管理委員会には、地域の実情にきちっと応じて対応していただくこともお願いしておりますし、そして、仮に、実際に八時まであけておくニーズがないような地域であっても繰り上げをする場合には、きちっとそれが有権者の皆様に徹底できるように、投票券、入場する券にちゃんと書いておいてもらうなどの対策をとってほしいということも要請をいたしております。
 都市部について、むやみな繰り上げというのは決して好ましいことではありません。

○塩川委員 都市部において、むやみな繰り上げというのはやはり好ましくないというお話でございました。
 確かに、例えば、財団法人の明るい選挙推進協会、明推協がアンケート調査を行っております。この数字を見ますと、例えば直近ですと、国政選挙では二〇一〇年の参議院選挙ですが、午後六時以降の投票者は全体の九%。また、そのうち二十代、三十代というのが、一五・二%の方が六時以降に投票しておられるんですね。全体の八割の方が午後八時までの投票を希望している。
 また、二〇一一年の統一地方選挙に、やはり明推協が行ったアンケートを見ても、六時以降に投票している人の割合というのは、二十歳代が一三・三%、三十歳代が二三・三%、四十歳代が一八・四%ですから、若年世代において午後六時以降の投票者が非常に多い。
 若年者の投票機会の確保のためには、繰り上げというのは逆行しているということも指摘をしなければなりませんし、投票時間の繰り上げについては、今のままでよいという方が、有権者のアンケートでも八割を超えているというのも出ております。繰り上げというのが有権者の要求にも反するものだということも言えると思います。
 その点で、例えば、二〇一五年三月号の選挙時報で、総務省選挙部管理課選挙管理官による総選挙の総括が書かれておりました。昨年末の総選挙ですけれども。
 その中では、投票所閉鎖時刻について、閉鎖時刻繰り上げは、選挙人の投票の機会を奪うことにもなりかねず、極めて慎重に判断する必要がある、一部には、閉鎖時刻繰り上げが投票率の低下の一因ではないかとの声もある、現在繰り上げを行っている団体にあっては、次回の選挙に向けて、いま一度検討をお願いしますとあります。
 この総務省の選挙管理官の総選挙総括ですけれども、ぜひこの点で大臣の方から、それぞれ地方団体、選挙管理委員会にそういう訴えをお願いしたいと思っているんですが、投票所閉鎖時刻の繰り上げを行っている自治体に対して、繰り上げの見直しを働きかける、そういうお考えはありませんか。

○高市国務大臣 私の名前で発出することについてはやぶさかではございません。
 二十六年十一月二十五日も、選挙部長の名前でございましたけれども、やはり、投票所の開閉時間の繰り上げまたは繰り下げについて、特別の事情がある場合に限られているところでありということで、選挙の行われる時期や地域の実情を精査し十分な検討を行って厳正に対応する、必要に応じて十分に説明するよう努めることといったこと、それからまた、各種広報媒体の活用により、あらかじめ十分な周知を行うことも書いてあります。
 選挙人の混乱も起きてはなりませんし、その時間帯が危険だとか、ほとんど投票人が来られないとか、特別な事情がない限りは、むやみに繰り上げをする、これは決して好ましいことではありませんので、さまざまな機会に周知はしてまいりますけれども、やはり問題があると考えましたら、大臣名での通知も行わせていただいていいかと考えております。

○塩川委員 国政選挙ですから、全国一斉、一律に行われます。それで投票時間に大きな差があるということが、本来、国民の投票機会の確保という点では、これはあるべき方向ではないのかなと思っております。
 そういう点でも、こういった投票時間について、今、市区町村が決めることができるという地方分権一括法のスキームもあるということですから、そういう点でのあり方について、少なくとも国政選挙ではしっかりと投票機会を確保する、大都市部で繰り上げたようなところについてはしっかりと見直しをしてもらう、こういうことについては、やはり国政選挙の執行に当たっても責任を持つ大臣としての通知などを改めてお願いしたいと思います。
 それと、投票機会の確保が重要ということを考えたときに、こういった国会議員選挙執行に当たって国が負担する選挙経費の削減というのをこの機会に見直すべきではないのか。
 二〇一三年に選挙執行経費の基準法が改定をされて、投票所経費、開票所経費が減少いたしました。その前回改定時からの減少について、減少率がどうなっているかについて御説明をいただけますか。

○あかま大臣政務官 執行経費基準法の平成二十五年改正の前と後での伸び率をということでございます。
 執行経費基準法の平成二十五年改正前後の伸び率については、投票所経費については、市の投票区で選挙人数が二千人以上三千人未満であるものの基準額で見ますと、衆議院選挙が二〇・四%の減、参議院選挙が二〇・九%の減となっておるところでございます。
 また、開票所経費については、市の開票区で選挙人数が三万人以上四万人未満であるものの基準額で見ると、衆議院選挙が二七・〇%の減、参議院選挙が同じく二七・〇%の減となっておるところでございます。

○塩川委員 今お答えいただきましたように、投票所経費というのは二割以上削減がされ、開票所経費は三割近くが減らされているという点では、選挙経費が大幅に減少しております。
 大臣にお尋ねしますが、こういった選挙経費の削減というのが、投票所数の減少ですとか、また閉鎖時刻の繰り上げに拍車をかけているんじゃないのか。そういった点でも、しっかりと投票機会の確保、繰り上げについても見直しをするというのであれば、こういった予算の削減そのものの見直しが必要なんじゃないのかと思いますが、いかがでしょうか。

○高市国務大臣 投票所に係る経費につきましては、これは執行経費基準法において、投票所数に応じて交付するなどの財政措置が講じられております。
 近年、投票所数が減少しているということもございますけれども、これはむしろ経費面からの影響というよりは、過疎化による選挙人数の減少ですとか、あと、市町村合併などを契機とした投票区の見直しなどによるものだと思っております。
 しかし、投票区の見直しによってまたなかなか投票に行きにくくなっちゃったという声も聞いておりますので、これも、しっかりと各選挙管理委員会に対して、有権者にとって一番投票に行きやすい環境をつくっていただくように改善をお願いしております。
 それから、選挙の管理執行をしっかりしていただくために、必要な予算ですとか、あと選挙事務に従事していただく人員、これを確保することは重要であります。
 他方で、効率的な経費の支出、ここにも努めていく必要がございますので、事務の効率化に向けた取り組みもまた重要だと考えております。
 ですから、例えば、備品購入を一時借り上げで対応できないかということを検討するですとか、各投票所の時間帯ごとの投票者数を踏まえた機動的な人員の配置を行うなど、さまざまなコスト削減の努力もしていただきながら、必要な予算、人員の確保に努めてまいりたいと思っております。

○塩川委員 衆院選における選挙経費の予算額というのが、引き下げ前に実施された二〇〇五年総選挙時は七百六十四億円、それが二〇一四年は六百二十八億円に激減をしております。
 こういったものが、少なからず、現場での作業の効率化など合理化という名目で、実際にその投票機会を制約するような事態につながっているんじゃないのか。そういう事態も生まれているわけですから、そういう点でも、必要な予算額を確保する、減らしたものは戻していく、こういうことを今改めて求めていくときだと思います。
 こういった投票時間について、先ほど群馬県の例を紹介しました。毎日新聞が報道しておりましたが、群馬県では唯一、午後八時まで投票を受け付けているのが、みなかみ町の月夜野地区だということです。九投票所で行っているそうですが、地区の関係者の方が、たとえ一人でも有権者の権利を奪ってはいけないと述べていたということが紹介をされております。
 国が、この立場で選挙事務を行う選挙管理委員会などを支援すべきであり、選挙経費削減を見直して、有権者の投票機会確保のために力を尽くすことを強く求めておくものです。
 もう一つ、選挙の開票作業など、選挙事務のミスがふえている問題についてお尋ねをいたします。
 二〇〇五年と二〇一四年の衆院選において、管理執行上問題となった件数、いわゆる選挙事務のミスの件数を教えていただきたい。
 また、二〇一四年衆院選における選挙事務ミスのあった都道府県の数についてもあわせてお願いをいたします。

○あかま大臣政務官 お答えいたします。
 国政選挙の都度、各選管より、管理執行上問題となった事項について報告をいただいているところであります。これは、各選管において、今後の事務の参考として利用してもらうために取りまとめております。
 二〇〇五年及び二〇一四年の衆議院選挙において報告のあった件数でございますが、二〇〇五年、平成十七年が六十四件、二〇一四年、平成二十六年が百九十四件でございます。
 また、報告があった都道府県数ということでお尋ねでございますけれども、二〇一四年の衆議院選挙に際して、都道府県または当該都道府県内の市町村における管理執行上問題となった事項について報告のあった都道府県は、四十一都道府県となっております。

○塩川委員 二〇〇五年が六十四、二〇一四年が百九十四ということで、この十年近くで三倍に増加をし、ほとんどの都道府県内で選挙事務ミスがあったということは極めて重大であります。選挙の公正を損なうことにもつながりかねません。
 この間、例えば二〇一三年の参議院選挙のときに、高松市の選管での不正開票事件がありました。昨年末の総選挙では、仙台市の選挙管理委員会においても不正事件がありました。選挙への信頼を揺るがす不祥事事件が相次いだことは極めて重大で、こういった事件の背景に、私は、開票時間の短縮を求める、そういうプレッシャーがあったことは明らかではないかと思うんです。
 その点でも、開票事務に要する時間が、二〇〇四年の参院選で六・五時間、二〇〇五年の衆院選で六時間、二〇〇七年の参院選、二〇〇九年の衆院選以降は五時間、二〇一三年の参院選以降は四時間ということで、このように開票事務に要する時間がどんどん短縮される、それに伴った予算措置も減らされていく、そういったことが、結果として、開票時間の短縮のプレッシャーの中でミスをふやしているということにつながっているんじゃないのか。この点について大臣はどのように受けとめておられますか。

○高市国務大臣 最近の一番とんでもないのは、先ほど委員がおっしゃった高松市や仙台市の事例のように、単なるミスじゃなくて、選挙事務に携わった職員が不正を行うという事案が発生したことで、これは、選挙への信頼を揺るがしかねない、ゆゆしきことだと思います。
 個別のミスの原因でございますけれども、多くは、事務従事者の確認誤りですとか思い込みであったということでございます。
 管理執行上問題となった事項については、現在、全国の選管で情報共有を図っておりますので、各選管で、これら他団体でどういう状況、どういう思い込みがあったか、どういう確認誤りがあってミスが発生したか、そういった事例を参考にしながら、適切な管理執行に努めていただきたいと思っております。
 総務省としましても、報告件数が多かったミスについては重点的に注意喚起をしておりますので、引き続き、あらゆる機会を捉えて、各選挙管理委員会に選挙の厳正な管理執行を要請してまいります。
 開票の効率化ということについては、これはしっかりとなされるべきであると思っております。しっかりと開票は効率的に、最近は昔と違って随分機械などもよくなっておりますので、きっちりと効率的にやっていただきつつ、思い込みですとか単純な事務連絡ミスによる選挙の管理執行の公正性や厳正な手続が損なわれるということがないように、しっかりと注意喚起をしてまいります。

○塩川委員 開票事務に要する時間がどんどん短縮をされるという中で、開票作業の正確さよりも速さを優先するようなことが、こういった事態につながっているんじゃないのかという重大な懸念があるわけであります。これを是正する必要がある。
 この間、インターネット選挙の利用も始まり、十八歳選挙権もきょうから議題となります。選挙事務を担う選挙管理委員会などの役割が重要で、有権者の投票機会の確保、確実、正確な事務の実施のための十分な予算と人員の確保というのを求めたい。執行経費の大幅な削減というのが、民主主義の根幹である選挙の公平性、公正性を担保できなくなるおそれがあってはならない。
 私たちは、政党助成法の廃止法案も提出をしております。この後、審議入りをすることにもなります。この程度の予算というのは、政党助成金を廃止すれば十分に賄うこともできるわけで、こういった点でのしっかりとした予算の確保を改めて求めて、質問を終わります。