国会質問

<第189通常国会 2015年05月28日 政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会 3号>




○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 公職選挙法の改正案について質問をいたします。
 今回の法案は、選挙権年齢等の十八歳への引き下げを行うものであります。
 そもそも、選挙は民主主義の根幹であり、国民、有権者の参政権にかかわる問題であります。憲法十五条は、国民の固有の権利として選挙権を保障しております。これは、国民が主権者として政治に参加する機会を保障するものであり、国民主権、議会制民主主義の根幹をなすものであります。
 歴史的に見れば、議会がない時代から国民の要求、運動が広がり、議会が開設をされ、その議会に民意を真に反映させるため、普通選挙権、婦人参政権などを実現してまいりました。
 日本共産党は、一九二二年の党創立の直後から、十八歳以上の全ての男女に対する普通選挙権を掲げてまいりました。党綱領でも十八歳選挙権を実現すると定めて、その実現に力を尽くしてきました。
 今回、選挙権年齢が二十歳以上から十八歳以上に変わることで、二百四十万人の有権者がふえることになり、それは、さらに幅広い民意が議会に反映されることにつながり、議会制民主主義の発展につながるものと考えております。
 十八歳以上の国民は、既にさまざまな分野で社会的権利を持ち、労働や納税などの義務を負っており、それにふさわしく政治に参加する権利としての選挙権を保障することは当然だと考えます。
 国会図書館の調査によれば、国際的に見ても、百九十七の国・地域の議会の選挙権年齢は、約九割の国・地域において選挙権を十八歳までに認めております。選挙権年齢を二十歳からとしている国・地域というのは、日本を含め十四しかありません。十八歳選挙権は世界の大勢であります。
 そこで、最初に、自民党の提出者にお尋ねをいたします。
 十八歳選挙権に関する政策について、自民党においては選挙権年齢の引き下げを政策で掲げたことがあるのか、あるということであれば、その時期や理由について御説明をいただけますか。

○船田議員 塩川委員にお答えいたします。
 お答えの前に、ちょっと私の方から共産党の皆様に申し上げたいのでありますが、今回の公職選挙法の改正案で選挙権年齢を十八に下げるということについて、もともとは、国民投票法の改正あるいは国民投票法の制定、そういうものから実はスタートしたことでございまして、この点について、これは当然憲法改正の手続でございます。そういうことで、共産党さんあるいは社民党さんがこれに対しては反対であるということで来られました。
 ですから、その流れからして、今回の公職選挙法改正におきましても、申しわけありませんでしたが、共産党の方々あるいは社民党の方々を中に入れない形で、つまり、七党二会派の合意に入らないという形で事を進めてしまったということがありました。
 この点につきましては、そういう経緯があったので、我々とすれば、それはやむを得ないのかなという気持ちもありますけれども、また一方で、先ほど塩川先生がおっしゃったように、共産党は結党当初から、選挙権年齢十八歳からということをおっしゃっていたわけでありますので、この点については当然敬意を払うと同時に、これまで我々が十分に共産党の皆様あるいは社民党の皆様の御意見をこの点においてしっかりいただくということがあるいは不十分であったということで、この場をかりまして、おわびといいましょうか、お話をしたいと思った次第でございます。これがまず第一でございます。
 そして、具体的に、私ども自由民主党としましては、この選挙権年齢の引き下げ、十八歳への引き下げということについては、これまでの各種選挙において、これを公約あるいはマニフェスト、そういうもので言及したことは残念ながらございませんでした。
 しかしながら、その後、これまで御説明申し上げましたように、国民投票法の改正案あるいは今回の選挙権年齢の引き下げ、こういうことを各党とともに合意してきた、そういう中において、我が党の中で、政策審議会、政務調査会それから総務会、こういうところで機関決定をずっとしてまいりました。
 正直言いまして、その機関決定が、我々、選挙権年齢の引き下げを初めて自民党として、機関として認めた、こういうことでございますので、この点を御理解いただきたいと思っております。
 以上でございます。

○塩川委員 その経緯をこの後の質疑の中でもただしていきたいということで今質問しているわけでありますが、自民党の公約、マニフェストにおいて、選挙権年齢の引き下げについて言及したことはないというお答えでございました。
 それとの関係で、今も一部御説明されているところでありますけれども、自民党としてみずから政策で掲げてこなかった選挙権年齢の引き下げの法案を今回提出した理由について、改めて確認的にお尋ねをいたします。

○船田議員 お答えいたします。
 今日まで、特に我々は、国民投票法につきましては、平成十九年に、当初自公民、三党の合意に基づいてこれを国会に出そうということで議論してまいりましたが、残念ながら、民主党さんが途中で離脱をされまして、そのために、自民、公明のみで最初の国民投票法を成立させた。しかし、その中で、ストッパーはついておりました、条件はついておりましたけれども、本則として、国民投票年齢は十八歳以上にする、そういう決定もさせていただきました。
 ただ、これは、なかなか自民党の中で大きな声というものにはならなかった。しかし、一応、政審、総務会を通しまして、機関決定をさせていただいたわけであります。
 公職選挙法についての具体的な動きということについては、これは正直、改正国民投票法、つまり昨年の春の通常国会においての各党との話し合い、そういう中でこのことが具体的に動き出したということでございました。
 それにつきましては、我が党の中におきましても、私が会長をやっております憲法改正推進本部というところで相当議論をさせていただきました。
 また、これは公職選挙に関することでございますので、自由民主党の中の選挙制度調査会、そことの合同ということで議論をさせていただき、そして、各党の皆さん、ほとんどの政党の方々がこの公職選挙においての選挙権年齢は十八が望ましい、こういうことで合意を得られるような状況になりましたので、我々としてもそれを自民党の中で了解をとって、機関決定して、そしてこの七党二会派の合意にこぎつけた、こういう状況にありました。

○塩川委員 今お答えがありましたように、今回の選挙権年齢引き下げの法案というのは、本法案の提案理由説明で既に船田提出者がお述べになっているように、昨年六月に超党派の議員立法として成立した日本国憲法の改正手続に関する法律の一部を改正する法律の附則に定められた選挙権年齢等の引き下げの措置を講ずるとあるとおり、改憲手続法の附則第三項を理由に提出された法案であります。まさに、改憲手続の具体化の一環として提出をされたという経緯がある。
 六党提出の十八歳選挙権法案というのは、先ほど船田提出者もお述べになっていましたように、第一次安倍内閣、二〇〇七年のときの改憲手続法を強行成立させる、それに当たって改憲の国民投票法の投票年齢を十八歳とし、同法施行後、選挙権年齢を十八歳に引き下げるとしたことに端を発したものであります。
 重ねて船田提出者にお尋ねをいたします。
 率直に言って、今国会での法案についての、この問題についての議論が倫選特の理事懇、理事会でも行われましたけれども、本法案の提出理由に、改憲手続法の附則第三項によることを明記しているということでいえば、国民投票の前の国政選挙において十八歳選挙権を実施しておきたいという改憲派の意図のもとで今国会の成立を急いでいる、そういう中での審議となっているのが実態ではありませんか。このことについての受けとめをお聞きしたい。

○船田議員 お答えいたします。
 公職選挙法の改正による選挙権年齢十八歳以上、これを提案させていただいておりますが、確かに、これのきっかけとしては、国民投票法の成立あるいは改正ということがあったことは事実であります。
 しかしながら、私たちの七党二会派の合意というものは、決して国民投票の制度を動かす、あるいは、もちろん当然ながら、それは憲法改正の原案を発議する、そういうことを急ぐということとは全く別の問題、やはり民主主義の一層の発展のため、そして特に若い人々の声を政治にしっかり反映させなければいけないな、そういうことが内部において相当議論をされました。
 我々としては、確かにきっかけはそうであったかもしれないけれども、実際にこの法案を提出する、その主な理由というのは、これは憲法改正云々ということではなくて、やはり民主主義の一層の発展のため、若い人々がもっと政治に関心を持ち、そして若者のための政治ができるように、こういったことが大きな理由としてあるということを指摘したいと思います。

○塩川委員 船田提出者と安倍総理の話の中身などが報道されておりますけれども、この間の経緯というのは、やはり本案の成立を急ぐのは、改憲を進めたい安倍政権の思惑に沿ったものと言わざるを得ません。十八歳選挙権の実現は当然のことでありますが、その動機が余りにも悪過ぎると言わざるを得ません。
 次に、自民、民主、公明の提出者にお尋ねをいたします。
 国民の政治参加の一つとして、政党への加入が挙げられます。我が党を含め、主要政党は皆十八歳以上を入党年齢の要件としております。
 この間の改憲手続法の議論も重ねてこられた三党にお尋ねしますけれども、十八歳以上としている入党の理由は何なのか、簡潔にお答えいただけますか。

○船田議員 お答えいたします。
 我々自由民主党は、入党の年齢を満十八歳以上といたしております。
 その理由としましては、我が党の総裁選挙の選挙権を有する者、いわゆる選挙人資格が条件がございまして、二年間党費を継続して納めた者で日本国籍を有する二十以上の者とすると規定をしております。これは総裁公選規程の六条にあります。このことから、満十八歳以上の者で党費を二年継続して納めていただければ、二十から総裁選挙の選挙人資格が得られる、こういうことで、さかのぼって十八歳から入党ができる、このように決めた次第でございます。
 なお、この条件としては、これまでの選挙権年齢が二十以上であるということを前提とした制度であるということを申し上げたいと思います。

○武正議員 塩川委員にお答えをいたします。
 民主党も、一九九八年の結党以来、十八歳の年齢をもって党員としての資格を有するとしております。
 先ほどのお話の中でも、二〇〇〇年五月に、「十八歳以上に大人としての権利と責任を」と題して、成年年齢、そして十八歳選挙権、少年法の適用年齢を十八歳未満に引き下げると政策文書もまとめておりまして、過去三度、法案も提出してきた。
 そういう中で、十八歳という年齢が自己の意思を確立している年齢であること、十分な政治的判断能力が備わる年齢であることといった考えから、十八歳以上としております。

○北側議員 公明党におきましても、結党以来、党の綱領、規約の中で、党活動に参加する者は十八歳以上というふうに決めさせていただいております。
 また、選挙権年齢の引き下げについては、貴党と同様でございまして、もう早い段階から十八歳選挙権の実現を目指しております。国会の方でも、一九七〇年ころから取り上げさせていただいておりますし、以降、十八歳選挙権の実現を推進してきたという立場でございます。
 そういう立場からも、党員となる資格については十八歳以上というふうに早い段階からさせていただいております。

○塩川委員 その理由について、直接のお答えのない方もありましたけれども、民主党の武正提出者のように、自己の意思を確立し、判断能力が備わっている、まさに、十八歳以上の国民に政治を担う意欲と力量がある、政治に参加する権利があることを認めているものであります。
 そうであるならば、若い世代の政治参加という点から見ても、選挙権年齢を引き下げるだけではなく、被選挙権も引き下げることが必要ではないか。参政権は、特定の候補者を応援し投票する選挙権だけでなく、みずからが候補者となり政治に参加する権利も当然含まれております。
 歴史的な文書でありますけれども、我が党が戦後、一九四六年に発表した憲法草案には、「第三章 国会」の中で、「代議員として選挙され、かつ代議員を選挙する資格は、政治上の権利を有する十八歳以上のすべての男女に与へられる。」としており、国政における選挙権、被選挙権とも十八歳以上としているところであります。
 近年の傾向としても、被選挙権年齢も十八歳に引き下げている国もあり、下院の選挙権、被選挙権年齢を十八歳としている国は、イギリス、ドイツ、フランス、カナダ、ロシア、オランダ等々となっております。
 そこで、自民、民主、公明の提出者にお尋ねしますが、各党の入党資格が十八歳以上であるように、十八歳以上の国民に政治を担う意欲と力量があり、政治に参加する権利があることを認めている以上、選挙権年齢だけではなく、被選挙権年齢も引き下げていく、こういうことが当然求められるんじゃないのか。今の二十五歳ですとか三十歳の区切りを引き下げていく、こういうことについて今検討すべきときにあるのではないか、この点についてお答えをお願いいたします。

○船田議員 今までは選挙権の年齢のことでございましたが、被選挙権ということになりますと、なかなかにわかに、二十あるいは十八というのはどうだろうかという意見は、我が党内にはあると思っております。
 個人的な見解でございますが、やはり、選ぶ方としての能力、そういったものは、これまでも議論してまいりましたように、これまでの二十から十八に引き下げても、それは、具体的に政治を考え、そしてどの候補者に入れるかということをみずから考えて投票する能力を持ってきているということで十八にこれからしていこうという状況でございますが、被選挙権、すなわち選ばれる側、そういう立場の人々は、社会的な経験であるとか、あるいはまた、さまざまな、思慮深さであるとか、そういったものがやはり備わる必要があるのではないだろうか。そういう場合には、やはり選挙権の二十あるいは十八というものよりはもう少し高い年齢から被選挙権が始まるのが私は妥当ではないかと。
 ただ、現状のように、衆議院議員が被選挙権二十五、参議院、知事が三十というこの年齢の違いとか、あるいは三十という年齢の高さ、そういったものについては少し是正する必要があるのではないかというふうに思っております。

○武正議員 塩川委員にお答えいたします。
 先ほど来、提出者の中で、被選挙権年齢については議論していないというふうにお答えをいたしましたが、これでこの法律が成立をし、施行され、実施されるときに、十八歳、十九歳の投票が非常に高いものであるというようなことが、先ほど申し上げましたような有資格であるということから、被選挙権年齢の議論、これをやはり同時に行っていく機運が盛り上がるのではないかというふうに期待をいたします。
 民主党では、党の政策として被選挙権年齢の引き下げを掲げたことはありませんが、ちょうどこの間、四月二十六日に、千葉市でのイベントで、岡田克也代表から、投票はできるけれども政治家には十分でないという考え方が果たしていいのか、検討に値するテーマだというようなことで触れたことがありますので、この点も触れておきたいと思います。

○北側議員 この法案が成立をいたしまして十八歳選挙権が実現をいたしましたならば、今委員のおっしゃったように、被選挙権の年齢、現行の三十歳もしくは二十五歳という年齢の引き下げについて、ぜひ政党間での協議を進めさせていただきたいと思っております。

○塩川委員 国政選挙において、選挙権年齢の十八歳引き下げとともに、被選挙権年齢の十八歳引き下げも同時に進めることが若者の政治参加を保障する上でも重要ではないかということを指摘し、きょうの質問を終わります。