国会質問

<第189通常国会 2015年06月03日 内閣委員会 11号>




○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 女性活躍推進法案について質問をいたします。
 安倍総理は、成長戦略スピーチの中で、女性の活躍は成長戦略の中核をなすものと述べておられます。その秋の臨時国会の所信表明演説では、この国会を成長戦略実行国会と位置づけて、世界で一番企業が活躍しやすい国づくりを目指すことを打ち出しました。
 そこで、有村大臣にお尋ねしますが、この総理の言う成長戦略の中核をなす女性の活躍というのは、この世界で一番企業が活躍しやすい国づくりに資するものということなんでしょうか。

○有村国務大臣 塩川委員にお答えいたします。
 日本における最大の潜在力であります女性の力を発揮できるようにすることというのは、本格的な人口減少社会にもう突入しております、とりわけ、これから格段に割合が落ちていく生産年齢人口が大幅に減少する中では、御本人の希望がかなうということでは、自己実現の意味でも大事ですし、また、人材確保、社会の活性化、企業の競争力、そういう意味でも、持続可能性を実現する上で極めて大事だというふうに思っております。
 この点については、総理と直接お話をさせていただきました。成長戦略の中で女性活躍を位置づけることによって、今まで、特定の人は関心を持っていたけれども、それ以外の人には必ずしも響いてこなかったこの分野の応援団を新しく、力強くふやすためにも成長戦略の位置づけをしたい、そういう女性活躍を前に進めるための総理なりの極めて冷徹な戦略というのがあったということを知らされました。
 そういう意味では、御本人の希望がかなうこと、それから、これから人口がますます減っていく社会の持続可能性を維持すること、そして、世界における日本の競争力を維持すること、つながっていくものだと認識をしています。
 女性の活躍を推進することで、男女ともに仕事と家庭を両立できる、全ての人にとって暮らしやすい社会づくりにもつながるというふうに認識をしていますので、そもそもは、長時間労働の是正や、今ほど議論がありましたハラスメントがない社会をつくっていくという社会の豊かさを実現する上でも、前に進めていきたいと考えております。

○塩川委員 こういった、総理が女性の活躍について成長戦略の中核をなすものと述べているわけですけれども、榊原経団連会長は、女性の活躍は企業が厳しいグローバル競争を勝ち抜くための重要な戦略だと、企業の経営戦略、競争力強化の観点で女性の活躍を語っているわけであります。このように経済界の発言と安倍総理の発言が符合しているという点も、しっかりと見ておく必要があると考えます。
 そこで、一昨年、二〇一三年秋の臨時国会では、世界で一番企業が活躍しやすい国を目指して、国家戦略特区制度を創設しました。その国家戦略特区制度の一つとして、今国会で審議中の国家戦略特区法改正案に盛り込まれている外国人家事支援人材の活用について、平副大臣にお尋ねをいたします。
 この法案のベースとなったのは、日本再興戦略改訂版の二〇一四であります。そこでは、外国人家事支援人材の活用についてどのように位置づけているのか。この法案のたてつけについて御説明をいただけますか。

○平副大臣 塩川委員にお答えをいたします。
 委員御承知のとおりでございますが、現行では、外国人家事支援人材については、外交官や高度人材などの外国人に雇用される場合にのみ入国、在留が認められています。国家戦略特区における特例は、関係行政機関と地方自治体により適正な管理体制を構築した上で、国家戦略特区内において家事支援サービスを提供する企業に雇用される外国人家事支援人材の入国、在留を許可するものでございます。

○塩川委員 この法案をつくるのは、この成長戦略、日本再興戦略の改訂版二〇一四で書かれているわけですけれども、その中には、「外国人家事支援人材については、現在、外交官や高度人材などの外国人に雇用される場合にのみ入国・在留が認められているが、」御説明があったところですけれども、「女性の活躍推進や家事支援ニーズへの対応、中長期的な経済成長の観点から、」「所要の措置を講ずる。」とあります。
 そこで、重ねてお尋ねしますけれども、なぜ外国人家事支援人材の活用特区が女性の活躍推進となるんでしょうか。

○平副大臣 まず、先ほど、経済界からも女性の登用、女性の活用が成長に資するという御指摘がありましたが、企業経営はやはり多様性がないと社会の変化に対応し切れないということで、今ダイバーシティーということもありますが、そういったことで、やはり女性の感性を企業が活用していくということは、企業にとっても、危機管理上も、また成長戦略上も重要なんだと思います。
 そこで、何で外国人の家事支援人材が必要なのかということですが、いずれにしても、男性にしろ女性にしろ、家事といったものをどちらが負担するかは別として、家事を担うのか、もしくは、家事は外注して、ほかの人にお金でやってもらってその分仕事に専念をしたい、そういった生き方も当然あるんだと思います。今ライフスタイルが非常に多様化をしておりますので、さまざまなそういう需要に対していろいろなオプションを用意していくということが重要なんだろうというふうに思います。
 女性に限って今御質問でございますので、お答えをすれば、例えば、私はばりばり仕事をしたいんだ、でも家事もしなければいけないんだという方がいらっしゃると思います。その際に、日本語がしゃべれるか英語がしゃべれるかは関係ない、どちらでもいい、家事支援のスキルが高ければどちらでもいいんだという方もいらっしゃると思います。そういう方には、こういった外国人家事支援人材がある、そういうサービスがあるということは非常に活用しやすいということになろうかと思います。
 また、そのばりばり仕事をしたいという女性以外でも、主に家事をやっているんだけれども、少し家事の負担から解放されれば、ほかにいろいろやりたいことがあるんだ、例えば、習い事をしたい。また、その習い事が将来教える側に回るかもしれません。そういったときにも、さまざまなサービスがあれば女性の活動の領域が広がる、そして、それがひいては成長につながっていくということだろうと思います。

○塩川委員 女性の活躍推進の点について、冒頭、有村大臣の答弁にもありましたけれども、女性の活躍推進に当たっては長時間労働の是正とハラスメントをなくすということもお話しになりました。
 そうしますと、今のお話を聞いていますと、この特区というのは、家事の外注です、仕事に専念する、ばりばり働いてもらうということですから、女性活躍の推進を銘打った特区というのは、女性活躍の推進といいながら、長時間労働の是正の観点というのはないということですか。

○平副大臣 それぞれが時間のマネジメントをどうするかということだと思います。
 例えば、女性の企業家であれば、その二十四時間をどう使いたいかというのはそれぞれ自由でありまして、何も、何時から何時まで働け、そのために家事は外注しろというような、そういう社会があるのかどうかわかりませんが、働き方は極めて多様なわけですから、女性がタイムマネジメントをするときに、自分が働く時間をもっととりたい、もしくは余暇の時間をもっととりたい、家事は外注をしたい、そういうニーズも確実にあるんだろうと思いますので、あくまでオプションをふやす、そして特区において試行的にやってみるということだと思います。

○塩川委員 オプションをふやすという言い方をされましたけれども、でも、そもそも女性活躍の推進というのであれば、長時間労働の是正だということは有村大臣が述べておられたところで、今回の女性活躍の推進を銘打った特区というのは、労働時間短縮の観点はない、長時間労働是正の観点がないということであれば、女性も目いっぱい働くということになりかねないというのは平副大臣もおっしゃっていたところであります。(平副大臣「言っていません」と呼ぶ)いやいや、ばりばり仕事をしたいということを先ほどおっしゃいました。(平副大臣「余暇も楽しむと言いました」と呼ぶ)仕事に専念するということをおっしゃいました。(平副大臣「タイムマネジメントをすると私は言いました」と呼ぶ)質問しておりません。
 労政審の建議にもあるとおり、女性の活躍を阻む要因の一つが長時間労働であります。日本男性の有償労働時間はOECD最長で、家事労働時間は韓国に次いで下から二番目だと聞いております。女性も男性も、長時間労働の是正で家事、育児をともに担える職場環境をつくることこそ必要で、そういう点でも、育児、介護分野への財政投入など、公的責任を果たすことも極めて重要だということを指摘しておきます。
 さらに言えば、今国会に政府が提出をしております長時間労働を野放しにする労働時間法制改悪は断じて認められないということも申し上げておくものであります。
 この特区に関して、厚生労働省にお尋ねをしますが、日本政府は家事労働に関する条約を批准しているんでしょうか。

○大西政府参考人 家事労働に関する条約、ILO第百八十九号条約というのがございますが、我が国は批准しておりません。

○塩川委員 政府は、企業に雇用される外国人家事労働者には労基法が適用されるということもおっしゃっておられますけれども、外国人家事労働者に対してその利用者が、指揮命令関係が発生するという問題が出ます。利用者が家事代行事業者との請負契約を逸脱する指揮命令を行わないという担保があるのか、こういう点でも問題があり、外国人家事労働者の権利を守る措置も明らかではありません。そういう点でも、ハラスメント、どうこれを行わないようにしていくのかというその仕組み、措置についても明らかになっていない。
 日本政府は、ILOの家事使用人に関する条約は未批准ということで、この特区で就労する外国人労働者の労働条件、これは主に女性ということが想定されるわけですけれども、女性の労働条件が劣悪となるという懸念もあるというのが、今回の特区の大きな懸念の点だと言わざるを得ません。
 平副大臣にお尋ねしますけれども、先ほど私が紹介しました日本再興戦略の文章の中で、家事支援ニーズへの対応という観点ということも述べておったわけですけれども、このような家事支援ニーズ、政府として利用者のニーズ把握というのは行ったんでしょうか。

○平副大臣 ニーズの把握でありますが、例えば、事業者側からは、しっかりとしたスキルを持った家事支援人材が欲しい、その際に日本語がしゃべれるのか英語なのかということは余り問わないと。また、この需要はますます拡大をしていくといった話も聞いております。

○塩川委員 ですから、事業者のニーズは聞いているかもしれないけれども、利用者のニーズについては把握をしていないんですよ。ですから、参入するような事業者については、どんなことが今ニーズでありますかというのは経産省などがお聞きになっているということを聞きましたけれども、利用者のニーズ把握というのは行われていないんです。それなのに何でこういう特区をつくるのかということがあります。
 では、そもそも利用者のニーズも把握していないこういう施策というのは、一体どういうきっかけで、誰の要望で具体化をされたのか、言い出したのは誰か、わかりますか。

○平副大臣 済みません、ちょっと言葉が足りませんでした。
 事業者というのは、多分、今、塩川先生がおっしゃったのは、人材を派遣する会社というふうに把握されたかもしれませんが、企業、いわゆるグローバルにいろいろな展開をしている企業等では、そういったグローバルな人材、もしくは日本人であってもそういう活躍する人たちがいて、英語がしゃべれる家事支援人材が足りないという声を聞いているということで、決して、いわゆる業をなす、人材派遣業をなす人たちの要望ということではないということです。
 あと、誰が言い出したかは、済みません、把握をしておりません。

○塩川委員 一連のこの経緯、特に産業競争力会議で議論があったわけですけれども、直接お話が出てくるというのは、長谷川閑史氏、産業競争力会議での雇用・人材分科会の主査をされておられる方の発言が直接の最初ではないでしょうか。
 二〇一四年の三月の経済財政諮問会議、産業競争力会議の合同会議で、長谷川氏は、「育児・家事支援サービスの利用促進について、特に女性が社会で活躍するのに際して育児・家事サービスのニーズは高い」「外国人エグゼクティブや日本人の高額所得者には非常に評価の高いフィリピン人等のいわゆるナニーのニーズも高いと思われる。」「一定の条件を課した上で育児・家事支援での在留資格を与えること等も御検討いただきたい。」、これがだから具体化にぐっと来ているわけですね。
 ただ、ここの「ニーズ」というのも具体的な把握が前提なのかどうかというのは、ここを見る限りでもわかりません。先ほど、企業の話では、いわゆる人材派遣の業者とは違うという言い方をされましたけれども、でも、直接の利用者の方のニーズの把握というのはされていないというのは同じことであります。
 この点でいえば、要求が出されている団体には在日米国商工会議所もありまして、「日本人女性の就業を促す外国人家事労働者の雇用に向けた移民法の改正を」、こういった要望なども出されているところであります。
 私、率直に思うんですけれども、今回の特区というのが、入管法の規制緩和になるわけですけれども、外国人労働者の拡大のための規制緩和のいわば突破口の一つにしようとしているんじゃないのかというふうに率直に受けとめているんですけれども、いかがですか。

○平副大臣 移民については、単純な移民ということに対しては、自民党を初め与党でも、慎重論、もっと言えば反対の意見が強いと思います。
 一方で、東京とか大阪とかで、今回、国家戦略特区で想定したのは大都市でありまして、大都市はグローバル化をしていく中で、英語をベースにビジネスや日常生活をしていく中で、日本は、家事支援人材でさらに英語もしゃべれるというところが非常に薄いものですから、そこのニーズには応えられていないということもあるんだというふうに思っています。
 そういった意味では、英語がしゃべれる家事支援人材が必要だというのはかなり広く認識をされていることではないかなと思います。決して企業側から言われたからとかそういうことではない、そういう認識を持っている人はたくさんいるんだと思います。

○塩川委員 もともと、あの女性活躍推進の文脈の中で、この外国人の家事労働者の活用を述べたのは、安倍総理その人であります。
 昨年の一月のダボス会議におけるスピーチにおいても、多くの女性が市場の主人公となるためには、多様な労働環境と、家事の補助、あるいはお年寄りの介護などの分野に外国人のサポートが必要ですと述べ、また、産業競争力会議の議員でもある竹中平蔵さんも、女性の躍進については、総理もおっしゃっていた外国人の労働の活用がセンターピンだ、こういう言い方もしておられるわけですね。
 ですから、成長戦略のため外国人労働者の活用を進めようという意図というのはこういうところにもあらわれているわけで、これでは、本当の意味での女性活躍にも逆行することになりはしないのかということを言わざるを得ません。
 外国人家事支援人材の受け入れというのが、財界や在日米国商工会議所が女性の就労を促すという名目で具体化をされたものであり、世界で一番企業が活躍しやすい国づくりを目指して企業の競争力を高めるという観点での女性活躍ということでは、本来の目的をたがうということを言わざるを得ません。
 その上で、もう一つお尋ねしたいのが、今度は厚生労働省にお聞きしますけれども、この女性活躍推進法案を準備するに当たって、労働政策審議会雇用均等分科会の報告があります。「女性の活躍推進に向けた新たな法的枠組みの構築について」の参考資料、「企業規模別にみた管理職・社員の女性割合」というのがあります。そこには、「管理職に占める女性の割合は、大企業ほど低い。」「同様に、女性の従業員の割合も、大企業ほど低い現状にある。」と指摘をしています。
 そこで、数字で教えていただければありがたいんですけれども、企業規模別の女性の正社員比率を、千人以上ですとか、五百から九百九十九人、それでパーセントで結構なんですけれども、教えていただけますか。

○安藤政府参考人 企業規模別の正社員の女性比率でございます。
 総務省統計局労働力調査、平成二十六年の数字で申し上げますと、千人以上規模で二三・二%、五百から九百九十九人企業で二八・五%、百から四百九十九人企業で三二・一%、三十から九十九人企業で三二・二%、一から二十九人企業で三六・七%となっております。(塩川委員「二十五年」と呼ぶ)二十六年の数字でございます。

○塩川委員 今お答えいただきましたように、企業規模が大きくなればなるほど女性の正社員比率が低い。中小企業も決して高いわけではない、低いわけですけれども、大企業ほど女性の正社員の割合が低い。
 その理由は何かについて御説明いただけますか。

○安藤政府参考人 済みません、詳細な分析をしたわけではないんですけれども、一つの理由として考えられるのは、大企業ほど、正社員の供給源となる女性の新規学卒者の採用割合が低いということが挙げられるのではないかと考えております。
 具体的に数字を見ますと、先ほどの数字とはちょっと年度はずれますけれども、平成二十二年度の雇用均等基本調査によりますと、新規学卒採用者に占める女性の割合が二〇%未満である企業割合が、五千人以上規模で三九・九%、千から四千九百九十九人企業で二八・〇%、三百から九百九十九人企業で一五・二%、百から二百九十九人企業で五・五%、三十から九十九人企業で一・六%、十から二十九人企業で二・七%というようなぐあいになっております。

○塩川委員 今数字でお示しいただいたわけですけれども、では、新規学卒者の採用割合が低い理由というのは何なんですか。

○安藤政府参考人 これもまたちょっとデータによる分析を行ったわけではないんですけれども、例えば大企業ほどコース別雇用管理の実施割合が高く、いわゆる総合職における女性の採用比率が低いといったようなことも影響しているのではないかと考えております。

○塩川委員 分析を行っていないということでもあるわけであります。
 大臣は、大企業ほど女性の正社員比率が低い、中小企業も決して高いわけではない、低いけれども、それ以上に大企業が低い、こういう現状についてはどのように受けとめておられますか。

○有村国務大臣 突然の御質問でございますけれども、大事なポイントだというふうに思います。
 多くの人事採用関係者が、成績だけを見ると女性が上位を占める、けれども、男性頑張れよというような、率直なお話をしてくださいます。
 二〇二〇・三〇という目標にも関係することですが、女性が優秀であること、能力的に遜色はないということを皆さん率直に認められながらも、でも、長時間労働ということを前提にした中では、ライフイベントでどうせやめちゃうんじゃないかという怖さもあってその数値にとどまっているのではないかというふうに、これは生活実感として思います。
 だからこそ、長時間労働ということを是正しなければ、女性の活躍の真に日本社会に根づくことは難しいと再三申し上げておりまして、ここは本丸だというふうに認識をしております。

○塩川委員 それは大臣の率直な感想として受けとめました。
 同時に、そもそもこういう現状になっていることについて、わざわざ労政審の参考資料の中に、そういう企業規模別のデータで示しているわけですよね。大いに政府としても検討してもらいたいわけですよ。なぜこんなことになるのか。コース別云々の話もちょこっとありましたけれども。やはり、こういう現状がこのままでいいのかという話になってくると思うんです。その意味でも、政府として真摯に、こういった事態についてどうなっているのかということをしっかりと分析して、それに対する対応策を考えるということであります。
 その意味でも、今回の法案でその点はどうなのかということですね。
 私たちは、民間企業に対する目標や改善計画などの義務づけは、大企業だけが対象では不十分で、例えば百人以上の規模の企業を対象に、採用に占める女性比率や、管理職、役員における比率、男女賃金格差、非正規の比率、産休等の制度の利用状況などの公表、改善に向けた数値目標とそのための具体的な取り組みを含む計画の策定の義務づけが必要だと思います。男女格差が大きい大企業には実施報告の提出を求めることも必要だということ訴えてまいりました。
 その点で、こういった企業規模別、大きいほど女性の採用比率が低いという現状について、大企業に対して、こういう現状を企業として率直に分析してもらって、公表もし、女性正社員比率を高める数値目標を持つように義務づけるということも行わないんでしょうか。

○有村国務大臣 御趣旨のポイントは理解します。
 女性の活躍に向けては、採用から登用に至る各ステージにおいてさまざまな課題があり、その課題を乗り越えていく中でも、女性自身のライフステージ、ライフスタイルの変化がございます。その状況というのは、業種によって、また個別企業ごとに、また御本人のライフステージごとに実に多種多様でございます。ゆえに、一律の項目について数値目標の設定を義務づけるのではなくて、状況把握、課題分析の結果を踏まえ、各社あるいは各業界の課題解決を図るためにふさわしい項目について、個々に目標を設定していただくことが妥当であるというふうに考えております。
 本日の御質問でございますが、やはりある意味ではガラス細工で、そこを何とかということで、労政審も含めて、民間も含めて御協力をいただいてここまで来ていますので、そういう意味では、彼らの自主性ということもたっとびながら、国全体で、強制力を持っていく、確実に進めていくことも必要かというふうに思っております。

○塩川委員 財界の要望もあって義務づけの部分について曖昧になっている部分もある、そういう点でも、私は、この現状から出発したときに、やはり率先してやるということが必要なんじゃないのかと。榊原経団連会長なども女性の活躍推進と言っているのであれば、まさに足元の会員企業においてしっかりと対応してもらうという点では、ふさわしく行うということについて改めて求めていくということも今本当に重要だということを強く思うところであります。
 今回の法案提出の背景には、そもそも安倍総理が述べているように、社会政策の文脈ではなく、成長戦略の中で女性を活用しようという安倍政権の経済政策があります。財界も、女性の活躍は女性のための施策ではない、企業の競争力を左右する経営戦略、日本経済の持続的な発展を可能とするための成長戦略そのものであると提言をしています。
 安倍政権の女性政策は、企業の競争力を高めるための、女性の活躍ではなく活用ということであり、その方向に私たちは反対であります。
 現状は、ジェンダーギャップ指数が百四十二カ国中百四位となっているとおり、先進国として恥ずべき状況であります。働く女性の二人に一人が非正規雇用であり、賃金は男性の半分にすぎません。働く女性の四割以上が年収二百万円以下です。それは将来の無年金、低年金につながるものであり、女性の貧困は無視することができません。
 法案は、こうした現状も反映し、男女共同参画社会基本法の理念に基づくことを目的に明記した上で、事業者や国や地方公共団体に、女性活躍推進のための現状分析と、それに基づいて、数値目標等の行動計画策定とその公表、女性の活躍の現状に関して職業選択に必要な情報の公開を義務づけています。
 女性活用の側面もありつつ、これらは、不十分ながらも、おくれている女性の社会進出を進め、働く女性の労働条件向上を図る上で前向きな方向を持ったものであり、この点を評価し、私どもは賛成とするものであります。
 女性たちは、強い日本を取り戻すという安倍政権の野望のために都合よく利用されることを望むはずがありません。
 日本共産党は、女性への差別を解消し、男女がともに人間らしく働き、暮らす、ルールある社会実現のために力を尽くすことを述べて、質問を終わります。