国会質問

<第189通常国会 2015年07月01日 内閣委員会 16号>




○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 内閣官房・内閣府スリム化法案について質問いたします。
 最初に、何問か大臣にお尋ねをいたします。
 今回の法案は、内閣官房、内閣府の事務のスリム化を図ると言われております。
 内閣法と内閣府設置法を見てみました。そうしますと、内閣法において、内閣官房の主任の大臣は内閣総理大臣であります。内閣官房長官は、内閣官房の事務を統括し、所部の職員の服務につき、これを統督する役割を担うとされています。また、内閣府設置法におきましては、内閣府の長は内閣総理大臣であり、内閣府の主任の大臣として分担管理事務をつかさどるとされており、内閣官房長官は、内閣総理大臣を助けて内閣府の事務を整理し、内閣総理大臣の命を受けて内閣府の事務を統括し、職員の服務について統督するとあります。
 そうなりますと、内閣官房、内閣府の事務のスリム化法案の審議なのに、内閣官房の主任の大臣であり内閣府の長である総理大臣が出席し答弁することがないばかりか、内閣官房の事務を統括し、内閣府の事務を整理する内閣官房長官も出席し答弁する、そういうことになっていないわけであります。
 これは率直に言っておかしいんじゃないかなと思うんですが、大臣はいかがですか。

○有村国務大臣 塩川委員にお答えいたします。
 私が答弁をさせていただく妥当性、その根拠についてお尋ねをいただきました。
 この法案については、内閣総理大臣から、内閣官房、内閣府の業務の見直しに関する事務を行政改革担当大臣に担当させるとの内閣総理大臣指示書を明確にいただいておりまして、この指示に基づきまして、行政改革担当大臣の職責をお預かりしております私が取りまとめております。この見直しの担当が私であるために、この法案に関する国会審議も担当しているという次第でございます。
 なお、かつて、確認をいたしましたら、民主党政権下においても同様の取り扱いがなされているというふうに理解をいたしております。

○塩川委員 実際、事務を統括するそういった内閣官房長官自身が忙しさをよく把握しているというか実態をよく認識しておられるわけで、そういう実情についてお聞きしたいわけです。そういうことこそ、しっかりとした議論の中身も伴う。
 スリム化だけではなくて、後でお話しするような、そもそも内閣官房、内閣府の事務、業務が膨らんできている、そういう実態というのが当然あるわけで、そういう中で官房長官がどういう役割を果たしているのか、どういうふうに認識しておられるのか、こういったことについてきちんと話してもらうというのは、審議を深める上で重要なことじゃないかなと思うんです。
 そういう点でも、本来は官房長官がしっかりと答弁に当たるべきものだということを思うんですが、もう一回、いかがでしょうか。

○有村国務大臣 いま一度御報告をさせていただきますが、今回、官房長官がお忙しいから私が担当しているというわけではございません。あくまでも指示書に基づいての、明確な根拠がございますので、答弁に当たらせていただいている次第でございます。
 なお、この内閣委員会で官房長官もお呼びになれますので、この法案は私が担当させていただきますが、官房長官が答弁を外しているというわけではなくて、御党の御質問にもしっかりとお答えになっているお姿は日常的なものかと理解をいたしております。

○塩川委員 法案審議に当たって、内閣官房長官が当たるべきじゃないのかと率直に思うわけです。まさに内閣官房の事務を統括する、内閣府の事務を整理するという役割ですから、そういった事務、業務というのは一体どうなっているのかというのを法案との関係でしっかりとただす機会こそ必要であります。
 この間の第二次安倍内閣、菅官房長官のもとで、本来官房長官が所掌、所管をするそういった事務、業務にかかわる法案が、官房長官が答弁に出てこないという場面が多いんですよね。例えば秘密保護法のときもそうでありました。あるいは、今議論しております安保法制の中身というのは、内閣官房でつくったものであります。まさに官房長官自身が中心を担っているわけで、過去、例えば、こういった法案についても、有事法制のときですとか、あるいはイラク特措法ですとかテロ特措法の改正案ですとか、こういうときにはいずれも内閣官房で当たっているということでいうと、官房長官が答弁に立っているんですよね。
 そういう意味でも、最近は、何とか法制担当大臣というか、要するに、法案にある意味特化をしたような大臣の配置という格好で、ほかの大臣を答弁要員にして、官房長官が答弁者になることを避けるようになっているということが実態としてあるんじゃないのか。私はそういうのはおかしいと思います。
 そういう点では、有村大臣にもう一度お聞きしますけれども、私はやはり、内閣官房、内閣府の事務の統括をし、あるいは整理をするという官房長官が本来しっかりと答弁に立つ必要がある。この間、そういう意味では、内閣官房に係る法案について内閣官房長官が答弁に出てこないというのはおかしいと思うんですけれども、その点について、憲法六十三条でも言う国務大臣の国会出席義務にも反するものじゃないかと率直に思いますが、いかがでしょうか。

○有村国務大臣 歴代の官房長官の政府代表としての国会への答弁と比して、現在の菅長官が国会の答弁が少ないという認識は持っておりません。本当に国政全般にわたって官房長官としての本来の職務を精力的におやりになっているという印象でございまして、今回の法案に関しては、私は指示書に基づいて、私が責任を持って答弁をさせていただきます。

○塩川委員 第二次安倍内閣以降でも、先ほど言ったような秘密保護法もありますし、今回の法案もありますし、安保法制もありますし、官房長官が本来所掌するような事務に当たって、そこから出てくる法案について官房長官が答弁に立たないというのがこの間はっきり見えてきているわけで、私は、率直に言って、官房長官の国会出席義務のスリム化なんじゃないか、そっちの方が問われるんじゃないかということを思いますし、内閣官房の事務を統括する官房長官の説明責任や国会答弁義務を免れようとするこういうやり方というのは許されないということを申し上げておくものであります。
 次に、今回の法案が出される上で、一月の閣議決定がございました。内閣官房、内閣府の業務の見直しについてでは、内閣が取り組もうとする政策課題により機動的に対応し、重要政策に関する司令塔機能など本来の役割を十分発揮できるようにするとして、この法案が提出されているということです。
 内閣官房に関する重要政策に関する司令塔機能というのは、平成九年、一九九七年の行政改革会議の最終報告にあります内閣官房の五つの機能、企画立案機能、最高、最終の調整機能、情報機能、危機管理機能、広報機能、このことを指しているのかなと思うんですが、この点についてお答えいただけないでしょうか。

○有村国務大臣 お答えいたします。
 内閣官房の役割につきましては、平成十三年の省庁再編の土台となった行政改革会議の最終報告で、内閣の補助機関としての機能のほかに、国政の基本方針を立案すること、また、新たな省庁調整システムにおける最高、最終の調整をすること、そして、情報収集、分析をすること、危機管理、広報という機能を担うものというふうに整理をされております。
 今ほど委員から御指摘をいただきました重要政策に関する司令塔機能とは、内閣官房、内閣府が内閣、内閣総理大臣を助けるために行う内閣の重要政策に関する企画立案、総合調整を意味するものであり、省庁再編時に整理された内閣官房の機能で申し上げれば、国政の基本方針の企画立案、最高、最終の調整がそれに当たるものだと承知をいたしております。

○塩川委員 そうすると、情報機能とか危機管理機能とか広報機能というのはそうではないということですか。

○有村国務大臣 直接当たるものとは認識しておりません。

○塩川委員 企画立案機能というのは、例えば、ちょうど昨日閣議決定もされました、経済財政諮問会議の骨太方針ですとか、産業競争力会議、日本経済再生本部の日本再興戦略の二〇一五改訂版ですか、そういうもの、要するに、いわば成長戦略の策定などもこの企画立案機能に含まれるということでいいでしょうか。

○有村国務大臣 そのとおりの理解でおります。

○塩川委員 先ほど、危機管理機能というのは今言った司令塔機能には含まれないということなんですけれども、そうすると、危機管理機能についても、いわば司令塔機能に入らないということであれば、今後、スリム化をする対象として見直しの対象となるということでしょうか。

○山下政府参考人 今回見直しを行いましたのは、先ほど申し上げた企画立案、総合調整に関する事務がいろいろふえてきたものについて見直しをしたということでございます。
 お尋ねの危機管理の部分につきましては、そういう意味では、これは、今申し上げております内閣官房、内閣府に集まってきております企画立案、総合調整機能とは別の、内閣官房の機能と認識をしております。

○塩川委員 危機管理機能にかかわるような内閣官房の役割について、要するに、今後ということでもいいんですけれども、そういった見直しの対象とするということはあるんですか。

○山下政府参考人 組織や事務につきましては、一般的に、当然、必要に応じ見直すということになりますので、そういうこともあり得るとは存じます。
 ただ、今回見直しを行いましたのは、一般的に、内閣の重要政策に関する企画立案、総合調整に関する事務が集中してきたことに対する見直しでございますので、今回そこの範囲に入っておるわけではございませんが、一般論として、当然、見直すということはあり得るとは存じます。

○塩川委員 一般論と言いますけれども、基本は、今言ったように、企画立案機能それから総合調整機能に係る事務についての見直しということでやるものだし、今後もそういう方向で見直しをしていこうということですから、危機管理機能については、特段、今の時点で直接の見直しの対象となっているわけではないということであります。
 その上で、人員について確認なんですけれども、この前、池内議員の方で、内閣官房副長官補の分室についての質問をいたしました。今回、内閣官房副長官補の本室のことについてお尋ねするんですけれども、三人の副長官補の方がいらっしゃって、内政、外政、事態対処・危機管理担当の三つということなんですけれども、その人数について、本務で当たっている方、併任の方、その併任のうち常駐の方、その人数についてそれぞれ御説明いただけませんか。

○林政府参考人 お答え申し上げます。
 平成二十七年度の内閣官房副長官補室の本室における本務者、併任者及び常駐併任者についてのお尋ねでございます。
 三人の副長官補がおります。内政の担当それから外政の担当の副長官補のもとにおります者が、本務者が四十九名、併任者が二百二名、うち常駐の併任者が百七名となっております。そして、もう一人の副長官補で事態対処・危機管理担当をしております副長官補のもとにおります者は、本務者が七十名、併任者が百十六名、そのうち常駐併任者が二十九名というふうになっております。

○塩川委員 この内政担当と外政担当、これを分けてという数字は出ないものなんですか。

○林政府参考人 それは難しゅうございます。
 今、副長官補室で抱えている課題は、内政、外政、両方にかかわる課題が多うございまして、その職員は、内政副長官補の指示のもとで、しかし、外交的な考慮もありますので、外政担当の副長官補にも相談しながら業務を進める、こういったものも多くございまして、分けることは難しゅうございます。

○塩川委員 この内閣官房副長官補本室の事務について、今回のいわばスリム化の対象として俎上に上ったところというのは、具体的にどういうものがあるんでしょうか。

○林政府参考人 お答え申し上げます。
 内閣官房副長官補室の本室の事務も検討の対象になっております。
 実際、今回の法案に盛り込まれております道州制特別区域推進本部の事務でございますけれども、こちらについては今回の法案で内閣府に一元化するということになっております。

○塩川委員 そういう形で、幾つか見直しということで内政、外政関係はあるんだと思うんですけれども、事態対処・危機管理担当のところというのは、直接今回見直しの対象ということではありませんので、手を触れていないということがあります。
 そういう場合に、やはり、成長戦略に資するような企画立案機能というのを、まさに重点的にそこに力を入れようということでもありますから、そういった事務、業務がまさにメーンの仕事として当然あるでしょうし、また、国家安保戦略等々、そういう基本方針の策定のこともありますし、そういったいわば成長戦略や国家安保戦略のような企画立案機能というのは、より充実する方向でというのがこの狙いということが当然あると思います。危機管理機能などについても、直接は今回の見直しの対象としないということが今法案の目的として挙げられると思います。
 そこで、実際に、どういう事務というか、どういう企画立案との関係で会議体が動いているのかというのをお聞きしたいんですけれども、官邸のホームページの中に、総理、副総理、または官房長官を構成員とする会議の一覧表があります。これは、この三者が直接入らないような場合も含めて、その他ということで列挙をしている。全部で八十七あると承知をしていますけれども、この八十七の会議のうち、第二次安倍内閣以降に発足した会議は幾つになるか、教えてもらえますか。

○林政府参考人 お答え申し上げます。
 八十七のうち、第二次安倍内閣発足以降置かれた会議は五十でございます。

○塩川委員 首相官邸ホームページに掲載されている、総理、副総理、または官房長官を構成員とする会議、全部で八十七ですけれども、第二次安倍内閣以降でつくったのが五十ということで、約六割が第二次安倍内閣でつくられた会議ということです。まさにそこで大きく膨らんでいるということがあるでしょう。
 そこで、この八十七の会議の中で、下部の組織、サブ組織も含めて、会議開催数が多いものということでお聞きしたいんです。
 規制改革会議と経済財政諮問会議、それから日本経済再生本部、これは下部には産業競争力会議が入っているわけですけれども、この三つの会議の開催数について教えてもらえますか。

○林政府参考人 先生、経済財政諮問会議、産業競争力会議、規制改革会議のそれぞれの開催回数という御質問ということで承りました。
 まず、経済財政諮問会議の開催回数でございますが、第二次安倍政権発足以降では五十九回となっております。次に、産業競争力会議は、実は日本経済再生本部の下部組織でございますが、この開催は百回となっております。それから、規制改革会議は百七十三回となっております。

○塩川委員 規制改革会議が百七十三回、日本経済再生本部、産業競争力会議を含んで百回ということですが、経済財政諮問会議の五十九回というのは、いわば経済財政諮問会議本体の開催数だと思うんですよ。そのもとに、「選択する未来」委員会とか、たくさんサブ組織があると思うんですけれども、その合計について教えていただけますか。

○前川政府参考人 御説明申し上げます。
 経済財政諮問会議とその種の専門調査会の関係なんですけれども、経済財政諮問会議はいわば本会議主義をとっておりまして、専門調査会は名前のとおり専門的なことを調査するということでございます。したがいまして、先ほど先生が御指摘になりました骨太の方針であるとか、あるいは年末の予算編成の基本方針、これらは全て経済財政諮問会議本会議のみで審議をしております。
 御指摘のありました「選択する未来」委員会とかというのはありますけれども、実は、その開催回数は今持っておりませんが、そもそも経済財政諮問会議で議論していることは、専門調査会とは少し離れて本会議で議論している、そういう制度設計をしたのがもともとでございますので、そういう事情にあるということを御理解いただきたいと思います。

○塩川委員 ホームページをクリックすれば、経済財政諮問会議のところに、今言った「選択する未来」委員会ですとか、いろいろな専門調査会等出てくるわけですよ。ですから、そこは一体のものであって、当然、本体の会議の方で議論するたたき台も含めて行っているわけですから、そういう数を数え上げれば百三十九回になるわけです。
 あと、例えば、それ以外でも多いのが、国家安全保障会議で五十九回、健康・医療戦略推進本部が五十八回、大体この五つぐらいが開いている回数が多い会議体ということになります。
 このように、会議開催数の多い経済財政諮問会議、日本経済再生本部、規制改革会議というのが、いわば経済産業政策の司令塔機能、または実際の調査等々を行う実動的な部隊の役割を果たしていると思うんですが、そういう理解でよろしいでしょうか。

○前川政府参考人 私の方から経済財政諮問会議について申し上げます。
 諮問会議は、平成十三年の中央省庁等改革で、内閣及び内閣総理大臣の補佐、支援体制の強化を図るため、経済財政政策に関する重要事項について、有識者等のすぐれた識見や知識を活用しつつ、内閣総理大臣のリーダーシップを十全に発揮することを目的として、内閣府設置法に基づきまして内閣府に設置された合議制機関でございます。
 諮問会議につきましては、先ほど御指摘がありました昨日閣議決定された骨太の方針の策定など、その役割を十分に発揮しているものと考えております。

○塩川委員 ばらばら答えられても困るので、この三者がどういう有機的な関係にあるんですかということが聞きたいんですけれども、今のままだと三つがそれぞれ答えるだけですから、ちょっと率直に答弁として意味がないなと思います。
 第二次安倍内閣が発足して最初の安倍総理の就任記者会見のときに、経済再生の司令塔として日本経済再生本部を創設する、経済財政諮問会議も再起動すると述べておられます。この日本経済再生本部のもとに産業競争力会議が設置をされました。
 あわせて、明けた二〇一三年の一月に規制改革会議を設置し、その翌日の第一回の規制改革会議では、安倍総理より、日本の経済再生、成長戦略実現のために規制改革に果敢に臨んでいくという意思表明がなされるとともに、改革の実現に当たって、規制改革会議と産業競争力会議との連携を図っていく旨の発言があったわけです。
 つまり、この三者の関係というのが、財政、金融、経済政策の総合的、戦略的な司令塔である経済財政諮問会議と経済再生の司令塔である日本経済再生本部の両者が連携をして司令塔機能を果たすようになっている。日本経済再生本部のもと、産業競争力強化や国際展開に向けた成長戦略の具現化と推進を図るというのが産業競争力会議であり、経済社会の構造改革を進める、政府流に言いかえれば、経済成長を妨げている政府の規制を見直して必要な規制改革を進めるというのが規制改革会議であります。安倍総理は規制改革会議と産業競争力会議との連携を図っていくとの発言を行っているのは、さきに示したとおりであります。
 こういった有機的に結んだいわば経済政策の司令塔ですけれども、第二次安倍内閣の発足の直後に、日本経団連が「国益・国民本位の質の高い政治の実現に向けて」という提言をしております。その中では、政策の司令塔の確立が必要である、省庁の縦割りを排し、国益に沿った改革を進めていくことが重要である、かつては経済財政諮問会議が大胆な改革を遂行した、第二次安倍内閣は同会議を復活させるとともに、日本経済再生本部を設置した、政官民が一堂に会した司令塔において、横断的な改革を迅速に断行していく必要があると述べています。政策の司令塔の確立について、安倍内閣と日本経団連は軌を一にしているものであります。
 政官民が一堂に会した司令塔と経団連も言っているわけですけれども、そこで質問ですが、経済財政諮問会議と産業競争力会議、それから規制改革会議の議員の総数と、うち民間出身者の方の数を教えていただけますか。

○前川政府参考人 恐縮ですが、順次御説明させていただきます。
 経済財政諮問会議ですけれども、内閣府設置法第二十二条で、民間有識者の人数は議員総数の四割未満であってはならない旨規定されておりまして、現在の構成も十人中四名ですので、ちょうど四割でございます。

○岡本政府参考人 お答えいたします。
 産業競争力会議でございますけれども、全部で十八名のメンバーで構成されております。うち民間有識者の人数は九名で、率は全体の五割となっております。

○刀禰政府参考人 お答えいたします。
 規制改革会議につきまして、委員は十五人、専門委員は十六人でございます。その中に、国及び地方の公務員の方はおられません。

○塩川委員 今の規制改革会議は……(刀禰政府参考人「公務員はおらない、全部民間人です」と呼ぶ)ということですね。
 経済財政諮問会議が四割、産業競争力会議は五割、規制改革会議は専門委員も含めて全員ということで、もちろんこの民間出身の方には学者、有識者の方も含まれているわけでありますが、経済財政諮問会議には経団連会長が入っておられます。そのサブ組織にも、経団連の現役の副会長や、副会長、副議長出身企業の代表の方が入っています。
 また、安倍内閣でとりわけ重視されています産業競争力会議は、経団連副会長、副会長出身企業がメンバーとなっており、サブ組織にも財界、大企業代表が入っております。規制改革会議では、経団連副会長出身企業からメンバーが入っており、サブ組織のワーキンググループにおいても経団連副会長出身企業から入っているところです。日本経団連の会長、副会長を初めとして、大企業経営者など民間出身者が多数を占めるという状況にあります。
 次に、事務局の人数ですけれども、同様に、経済財政諮問会議、産業競争力会議、規制改革会議の事務局の人数と、そのうち民間出身者の数がどうなっているのかを教えてください。

○前川政府参考人 諮問会議でございますけれども、諮問会議の庶務は、私、経済財政運営担当の政策統括官部局がやっておりまして、そこの部局の実員は四十四名でございまして、民間出身者はおりません。
 なお、この実員の枠外でございますけれども、非常勤の一般職として六名の民間出身者が在籍しております。
 以上でございます。

○岡本政府参考人 お答えいたします。
 産業競争力会議でございますけれども、事務を処理するのは、内閣官房の日本経済再生総合事務局でございます。実員数は六十三名で、民間出身者は五名、比率は全体の約八%となっております。

○刀禰政府参考人 お答えいたします。
 内閣府の規制改革推進室の室員は、現在合計三十七人でございます。そのうち、民間出身者として十七人の室員がございます。比率としては四六%になると存じます。

○塩川委員 お答えいただきました。
 経済財政諮問会議については、非常勤の方、自治体からの方もいらっしゃいますので、その方も含めればトータルで五十六人で、そのうち民間の方が六人ということです。経団連からおいでの方もいらっしゃいます。産業競争力会議では、楽天ですとかみずほなどの銀行関係、規制改革会議も銀行や保険会社等々たくさん入っております。
 この場合の民間は、民間企業、大企業からの出向者の方ということであります。民間企業出身者が一定割合を占めるようになっています。安倍内閣の経済政策の司令塔を担う中枢に、経団連役員企業など大企業出身者が重層的に入っているということが、こういうところからも見てとれるわけです。
 その上で、具体的な例として、農協改革についてお聞きしたいと思います。
 安倍内閣が岩盤規制に突破口をあけると言っている分野として、雇用、労働、医療、農業と挙げられているわけですけれども、その農業分野、とりわけ農協改革に関してお尋ねをします。
 官邸には、総理を本部長とし、関係閣僚が参加をする農林水産業・地域の活力創造本部が置かれています。その第四回の会合、二〇一三年の八月八日ですけれども、そこでは、産業競争力会議や規制改革会議等の議論の進捗を踏まえ、検討内容を調整、追加していくとあります。
 そこでお尋ねしたいのは、なぜこういう農業分野の改革、農協改革を含むこの改革について産業競争力会議や規制改革会議等の議論の進捗を踏まえなければいけないのか、その理由について教えてもらえますか。

○刀禰政府参考人 規制改革会議の関係につきましてお答えいたします。
 規制改革会議は、内閣総理大臣の諮問に応じまして、経済社会の構造改革を進める上で必要な規制のあり方の改革に関する基本的事項を総合的に調査審議する事務をつかさどることとされております。
 そして、その会議におきまして、農業の分野についても思い切った規制改革に取り組んでいく必要があるとの議論が過去において行われたところでございます。
 平成二十五年九月より、農業ワーキング・グループにおきまして本格的な議論が行われましたが、その中で、現行の農協法では、中央会による組織、事業、経営の指導、監査の実施など、単協、連合会に対する指導権限等が規定されており、その見直しは、まさに経済社会の構造改革を進める上で必要な規制のあり方の改革であると考えられたところでございます。
 このような考え方、経緯を経まして、規制改革会議において農協改革が精力的に議論されたものでございまして、規制改革会議の検討項目として適切であると考えております。

○塩川委員 経済社会の構造改革として農協改革が必要だということなんですけれども、そういう規制改革会議の議論を踏まえてということが重要なんだという話なんですが、いろいろな会議体があるわけですけれども、そういう中で何で農協改革を規制改革会議で取り扱うことになったんでしょうか。

○刀禰政府参考人 お答えいたします。
 それぞれの会議体におきまして、それぞれの設置の目的がございます。規制改革会議におきましては、先ほど申し上げましたような、もともとの事務をつかさどるということになっておりますので、その中で、規制改革会議として、委員の皆様の御議論の中でこの問題を取り上げるということになった経緯でございます。

○塩川委員 規制改革会議と産業競争力会議の議論のすみ分けみたいなものというのはあるものなんですか。その辺がちょっと、整理がつくようであれば教えてほしいんですが。

○刀禰政府参考人 お答えをいたします。
 規制改革会議と産業競争力会議、それぞれが設置されておるわけでございますが、いろいろなこれまでの議論の中でも、連携をして議論を行うということで行われております。例えば農地中間管理機構の議論などは、それぞれの合同会議なども開かれまして議論を行っているということもございます。
 また、それぞれの会議で、それぞれのテーマについて決定をされたものについて議論を行っておりますけれども、事務方同士もいろいろな形で意見交換も行っておりますし、連携をしながら議論を行っているというところでございます。

○塩川委員 いや、私の質問は、違いは何なのかというところなんですよ。
 産業競争力会議の方は、どうですか。

○岡本政府参考人 お答えを申し上げます。
 先ほど先生からもお話がありましたけれども、競争力会議は、我が国産業の競争力強化、国際展開に向けた成長戦略の具現化ということでありまして、地方を見渡しましても、農業というものは非常に重要な成長戦略の具体的なテーマであるということで議論をしてきております。
 先ほどお話がありましたように、連携という意味では、規制改革会議の岡議長、競争力会議の方のメンバーにも入っていただいております。そういう意味で、規制改革会議の議論と競争力会議の議論を橋渡ししていただくような御意見をいただくということから、メンバーにも入っていただいて、農業の問題についても議論をさせていただいておるところでございます。

○塩川委員 余り、違いの話としてよくわからないんですけれども。
 要は成長戦略ですよね。新しい産業を起こしていこう、競争力強化だというのがどちらかというと産業競争力会議で、規制改革会議というのは、経済社会の構造改革という話がありましたけれども、政府流の言い方では、経済成長を妨げている政府の規制を見直す、そういうことなのかな、そういう対象として農協が俎上に上がったということだと思います。
 そこで、実際に平成二十五年九月以降、ワーキング・グループで、農業についての思い切った改革が必要だというような議論が始まったということなんですが、ただ、第一回の規制改革会議、平成二十五年の一月のときに、ニチレイの浦野委員、今は相談役でしょうか、が、今までほとんど触れられることがなかったのだが、農地法の問題とか、あるいは経済事業と金融事業を一緒にやっている農協の問題とか、そういったところにもきちんと触れると発言をしておられます。いわばアグリビジネスの関係者の方から農協改革を行うという最初の提案があったということが、ここに見てとれるのではないでしょうか。
 そこで、実際、この規制改革会議において、農業ワーキング・グループのメンバー及び専門委員には、農協の関係者の方というのはいるんでしょうか。

○刀禰政府参考人 お答えをいたします。
 農協の関係者というお話でございます。
 その言葉自体は幅広い概念でございますので、組合員も指すということであれば、委員及び専門委員に農協の組合員も含めた関係者がおられるかということは承知をしておりませんが、現職の農協役員ということでございますれば、委員及び専門委員から提出された履歴書を拝見する限り、農協関係者というのはおられないというふうに承知をしております。

○塩川委員 農協関係者はいないということ。
 あと、この規制改革会議において、農協改革に当たって、協同組合原則についての議論というのは行われたことがあるんでしょうか。

○刀禰政府参考人 お答えいたします。
 規制改革会議におきまして、農協改革と国際協同組合同盟の協同組合原則との関係について議論が行われたことはございません。

○塩川委員 いわば協同組織の機関の協同組合における協同組合原則について、そもそものその立脚点についての議論はないということです。
 それともう一つ、ワーキング・グループの議論の中で、全中の指導あるいは監査というのが地域農協とか単協とか構成員たる農業者に対して弊害をもたらしたという事実について、具体的な指摘というのはあったんでしょうか。

○刀禰政府参考人 お答えいたします。
 突然の御質問ではございますけれども、今御指摘のございましたような、全中の監査等について農業関係者からの具体的な意見があったということは承知をしておりません。

○塩川委員 ですから、全中の指導、監査について問題だという事実について、具体的な指摘というのがないんですよ。
 そうしますと、農協法案というのは、相互扶助、助け合いの組織である協同組合の自主と自立というものを踏み破るものだ、農協関係者を置き去りにして、今紹介をしたような財界人が主導する規制改革会議が押しつけたものと言わざるを得ません。
 大臣にお尋ねをしますが、このように、農協改革といいながら、農協の当事者の意見も聞かずに、トップダウンで規制改革会議が議論を進めて、それをたたき台に政府が法案を出される、こういったやり方ということが、大臣がおっしゃっておられる司令塔機能なんですか。当事者の意見も聞かないで、トップダウンでやるというやり方が司令塔機能なのか。

○有村国務大臣 お答えいたします。
 今委員がおっしゃいましたけれども、当事者の意見を聞かないでというところでございますが、私の理解が間違っていなければ、規制改革の中の農業ワーキング・グループにおいて、JAグループから七回のヒアリングを行っていらっしゃいます、平成二十五年十一月から平成二十六年十一月、一年間に。金丸座長ともお話をしましたけれども、かなり丁寧にお話をされているという印象を持っております。
 そういう意味では、当事者の意見を聞かないというような認識は私どもは持っておりません。

○塩川委員 要するに、訴えている中身の話ですけれども、協同組合原則についての議論もない、あるいは全中の指導、監査に問題ありということについての事実に基づく指摘もないということが、当事者の声も聞かないという実態を示しているじゃないかということを言っているわけです。
 要は、規制改革会議の議論というのが、農協改革において規制を外し、株式会社が自由に農地の取得ができるようにする、その方向性を示すものでもありますし、JAの信用、共済事業の分離も狙われているところで、アグリビジネスの企業や銀行、保険会社の関係者が農協改革に深くかかわっているという点は極めて重大であります。
 規制改革会議と産業競争力会議の議論が優先をされて、その結果、財界代表の意向を反映した政策が決定をされる、こういったやり方というのが、個別政策に限らず、きのう閣議決定をした骨太ですとか日本再興戦略ですとか規制改革実施計画というのもまさに企画立案たるものですが、財界、大企業のメンバーが入っての中身ということを指摘しておくものであります。
 そこで、次に、こういった基本方針の企画立案に当たって、財界や大企業のメンバーが入って議論をリードしているだけではありません。安倍内閣は財界と二人三脚になって行動している、その例として、総理の外遊のことを取り上げたいと思います。
 第二次安倍内閣以降、安倍総理は、歴代総理の中で最も外遊が多い総理となっています。日本再興戦略の重要な構成部分であるインフラシステム輸出戦略で、トップセールスというのを強調されております。
 そこで、質問は、第二次安倍内閣発足以降、民間人を同行させた総理外遊について、その訪問期間、訪問国、会社、団体の数、人数というのを明らかにしていただけますか。

○伊藤政府参考人 お答えいたします。
 第二次安倍内閣のもと、平成二十五年四月から本年一月までの間に安倍総理の外国訪問に参加した民間企業等の関係者につきまして、外務省として把握しておりますのは、次のとおりでございます。
 平成二十五年四月二十八日から五月四日、ロシア、サウジアラビア、アラブ首長国連邦及びトルコ訪問の際、総勢百十八社、三百八十三名に御参加いただいております。
 平成二十五年五月二十四日から二十六日、ミャンマー訪問の際には、総勢四十三社、百十七名に御参加をいただいております。
 平成二十五年八月二十四日から二十九日、バーレーン、クウェート及びカタール訪問の際には、総勢九十二社、二百十名に御参加をいただいております。
 平成二十五年十月二十八日から三十日、トルコ訪問の際には、総勢十社、三十五名の御参加。
 平成二十六年一月十日から一月十四日、コートジボワール、モザンビーク、エチオピア訪問の際、総勢四十七社、百二十一名の御参加。
 平成二十六年一月二十五日から一月二十七日、インド訪問の際、総勢二十八社、七十七名の御参加。
 平成二十六年七月六日から十二日、ニュージーランド、オーストラリア、パプアニューギニア訪問の際は、総勢三十九社、四十三名の御参加。
 平成二十六年七月二十六日から八月四日、メキシコ、トリニダードトバゴ、コロンビア、チリ及びブラジル訪問の際、総勢六十八社、二百五十九名の御参加。
 平成二十六年九月六日から八日、バングラデシュ及びスリランカ訪問の際、総勢三十五社、百五十一名の御参加。
 平成二十七年一月十六日から二十一日、エジプト、ヨルダン、イスラエル及びパレスチナ訪問の際、総勢四十六社、百六十名の御参加。
 以上でございます。

○塩川委員 今御紹介いただきましたように、第二次安倍内閣発足以降、経済ミッションを行った外遊だけで十回に及びます。訪問国は延べ二十七カ国、会社数は延べ五百二十六社、延べ参加人数は千五百五十六人にもなります。
 続けてお尋ねしますが、こういった外遊に当たって、政府専用機を活用するわけですけれども、政府専用機に民間人を乗せて同行させたという総理外遊というのは、第二次安倍内閣の以前にはあるんでしょうか。

○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
 平成二十五年四月二十八日から五月四日までの安倍総理のロシア、中東訪問のときに、経済人、同行の方に政府専用機に御同乗いただいておりますけれども、それ以前に政府専用機に民間企業関係者を乗せた総理外遊はございません。

○塩川委員 そういう意味では、第二次安倍内閣発足から、安倍総理が政府専用機を使って、政府専用機は二機あるでしょうから、一機は総理が乗って、もう一機にというか、その辺の分担はあるんでしょうけれども、そういうように、いわば安倍総理が前のめりで推進をしているということであります。
 平成二十五年の四月、五月の総理外遊というのは、今答弁ありましたように、初めて政府専用機に経済人を乗せてトップセールスを行ったものであります。ロシア、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、トルコを訪問し、百十八の企業、三百八十三人が参加という大規模な経済ミッションでありました。
 原発の売り込み外交が大きな話題となりました。アラブ首長国連邦、トルコと原子力協定で合意をし、サウジアラビアと交渉に合意をしたと聞いていますが、そういうことでよろしいでしょうか。

○伊藤政府参考人 お答えを申し上げます。
 平成二十五年四月二十八日から五月四日のロシア、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、トルコへの総理の御訪問についてのお尋ねがございました。
 委員からお話がございましたとおり、その訪問に際しましては、民間企業から百十八社、三百八十三名の経済ミッションに御同行をいただいたところでございます。
 特に、民間の経済ミッションが参加をされた行事という観点から申し上げますと、ロシアにおきましては、日ロ首脳の昼食会への御同席やロシア直接投資基金主催の会合に加えて、エネルギー投資環境、医療、極東シベリア開発分野における協力の文書の署名ということにも御関与をいただいたところでございます。
 また、中東におきましては、当時のサルマン皇太子の晩さん会への御出席、あるいはアラブ首長国連邦におきましても、皇太子主催の晩さん会への御出席、日・UAEビジネスフォーラムにも御出席をいただきました。また、トルコにおきましては、日・トルコ合同経済委員会、日・トルコ首脳会談への同席をいただいたところでございます。
 トルコにおきましては、委員から御指摘がございましたように、原子力発電における協力ということも一つのテーマとして総理に御訪問をいただいたところでございます。

○塩川委員 原発外交でかかわっているということについて、一部でありますけれどもお答えもありました。
 時間がないのでちょっと進みますけれども、この総理外遊のときには原発メーカーの方も御一緒されたんでしょうか。

○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
 平成二十五年四月二十八日から五月四日の御訪問についてのお尋ねでございます。
 その外遊に参加をされた企業の中には、原子力発電の事業に関与しておられる企業も含まれております。

○塩川委員 今お答えがありましたように、原発メーカーの東芝や日立、三菱重工業がそろって参加をしております。
 私は、今、福島の現状を考えれば、東電福島第一原発事故の収束もしていない、また、多くの被害者、被災者の方がいらっしゃる、その賠償の問題が解決をしない、もとの生活を取り戻すことができない、そういった中で、原発再稼働もとんでもない、原発輸出など国民の理解を得られない。こういうことを推進する今の原発輸出のあり方そのものに対して国民が厳しい批判の声を上げているということを受けとめるべきであります。
 経済ミッションでは、原発輸出だけではなくて、トルコでは、ボスポラス海峡の横断地下鉄ですとか、イズミット湾の横断道路橋の受注なども行っています。
 また、次に大規模な総理外遊というのが、二〇一四年七月から八月の中南米訪問でした。同行した経団連会長が、今回の総理訪問は中南米諸国と我が国との交流拡大に向けて新たな歴史を切り開く画期的なものだった、その歴史的な訪問に我々経済界が同行できたことを大変うれしく思っていると述べておりましたが、そこで行われたことはTPPの推進であります。EPA、TPPにより日本企業の投資環境を整備するよう要請しているものでした。
 いわば、そういった実利につながる大企業の幹部を連れて外遊に行く。安倍内閣の成長戦略にある、企業の稼ぐ力、世界で一番企業が活動しやすい国づくりというのは、まさに大企業の要望に応えるものというのがここの実態にもはっきり見えてくるんじゃないでしょうか。
 こういった経済ミッションに民間人が同行する場合、誰が選考するのか、その選考基準はどういうふうになっているのか、わかりますか。

○伊藤政府参考人 お答えを申し上げます。
 総理大臣の外遊時の経済ミッション参加企業の選定についての御質問でございます。
 参加企業をどのような形で選定するのかということについては、総理の御訪問の目的や意義、それぞれの訪問国への日本企業の進出状況、二国間の経済関係、こういったことを踏まえまして関係省庁等から広くお声がけをさせていただいております。これに応じていただいた企業の方々に御参加をいただいている、こういう現状でございます。

○塩川委員 こういった総理外遊時の経済ミッションの同行者の選定について、昨年の一月二十九日の日本経済新聞にこういう記事が紹介されていました。「「今度の首相外遊に御社の社長に同行してもらいたい。誰にも相談せずに、返事は私のこの携帯にお願いしたい」。ある商社の渉外担当は、経済産業省幹部からこんな勧誘を受けた。」ということです。以前は経団連がメンバーや段取りを整える窓口だったが、今の安倍政権では首相補佐官の長谷川榮一氏が企業のリストをつくり、経産省が対象者を一本釣りで勧誘するといいます。
 官邸におります長谷川総理大臣補佐官・内閣広報官が、経産省初め関係省庁を通じて企業に幅広く声をかける、そういう段取りをしているということでしょうか。

○伊藤政府参考人 お答えを申し上げます。
 繰り返しになるところもございますけれども、総理の御訪問の目的、意義、訪問国への日本企業の進出状況等を踏まえながら、関係省庁等から広くお声がけをさせていただいております。
 このお声がけは、オール・ジャパンで幅広い分野で当該国との経済関係を強化していく、そこにどう貢献できるか、あるいはトップセールスというその総理の御訪問の趣旨にかなうか、官民連携をどういう形で推進していくのか、こういう幅広い観点から、関係する省庁から企業の方にお声がけをし、これに応じていただいた企業に御参加をいただいているということでございます。

○塩川委員 二〇一四年の経団連夏季フォーラムで、安倍総理自身がこの経済ミッションについて、成果を上げていますから、お誘いをしたら、ぜひわかったと言って応じていただきたいと述べているというので、要するに、官邸側からお誘いがあって断らないでねということをわざわざ経団連のフォーラムで発言をしておられるわけですから、人選は総理の意向で官邸サイドが行い、官邸からの呼びかけに企業側が応ずる形になっているというのが実態であります。
 有村大臣には、所感で結構なんですが、一言お聞きしたいんですけれども、こういった今私が紹介しました総理のトップセールスというのは、実態とすれば、今までやったことがない政府専用機に財界人の方に乗ってもらって、各地におけるさまざまな経済ミッションを果たすことになる。そういったときに、やっていることといえば、トルコを初めとした原発事故の教訓をないがしろにするような原発輸出の推進であり、また武器輸出の問題が問われるような事例もありました。
 日本農業や地域経済を破壊するTPPを推進する、こういった総理のトップセールス、それがいわば今の内閣官房、官邸の機能強化の中で行われている。私は、そういった官邸の機能強化というのは、国民生活よりも大企業の利益を優先するものになっているということが明らかだと思うんですが、大臣の率直な御意見をお伺いいたします。

○有村国務大臣 突然の御指名でございますけれども、やはり、デフレを脱却する、そして経済を再生させる、それから東日本大震災の復興、また被害ということを最小化させるということを大変重要な安倍内閣の目的にしているわけですから、それに資するもの、また、国富ということで、そのような原資になるための国富を満たすためにも、あらゆる手段を当然ながら合法的に進めていくというのは安倍内閣にとって極めて大事な価値であり、私は、御指摘のようなそごは見当たらないというふうに認識をいたしております。

○塩川委員 前のめりになっているのは明らかであるわけで、安倍内閣の経済政策の基本方針や重要、重点政策をつくり上げる過程を見ても、歴代トップの回数になる外遊に大企業や財界人を連れていくトップセールスにしても、安倍内閣の実情というのが、いわば財界の財界による財界のための内閣ということが見えてくる。そういったのが官邸機能の強化の実態じゃないのか、国民生活にそれで目を向けているのかということが厳しく問われるということを申し上げて、質問を終わります。