国会質問

<第189通常国会 2015年07月08日 内閣委員会 18号>




○塩川委員 私は、日本共産党を代表して、重要施設等の周辺地域上空における小型無人機の飛行禁止法案の原案及び修正案に反対の討論を行います。
 本案は、ことし四月二十二日に総理官邸屋上で、小型無人機、いわゆるドローンの落下が発見されたことを契機としたものです。
 内容は、国会議事堂、総理官邸、最高裁等をレッドゾーンと設定し、国政の中枢機構だからという理由だけで、その上空で小型無人機の飛行をさせる行為を禁止し、処罰するものです。実際の飛行による危険や被害の内容を問わず、ただ小型無人機を飛ばす行為に対して直ちに懲役刑を含む刑罰を科すことは、刑罰法規としての合理性を欠くものです。
 肝心の小型無人機の定義について、「航空の用に供することができる機器であって構造上人が乗ることができないもののうち、遠隔操作又は自動操縦により飛行させることができるもの」と抽象的に定めているだけで、小型としながら、その大きさの規定もないなど、規制する対象は不明瞭です。この点で、修正案は、対象とする機器の範囲を広げていますが、定義が不明瞭であることに変わりありません。
 定義に関して、本案の小型無人機と、政府が提出予定の航空法改正案における無人航空機では、定義が異なるということが審議を通じても明らかとなりました。法律によって定義が異なれば、混乱を招きます。
 レッドゾーンに指定する外国要人の所在する場所は、国賓来日や国際会議などの期間を区切って各地で指定するものであり、これを周知できるのか疑問が残ります。同時に、外国要人の所在場所を周知することにもなり、かえって要人警護に支障が生じる懸念も残ります。
 法案は、対象施設敷地の周辺三百メートルをイエローゾーンと設定し、この地域で小型無人機を飛行させた場合、排除命令違反に対して懲役を含む刑罰を科すことにし、イエローゾーンでの警備強化を行うものです。こうした警備強化が、国会、官邸周辺での国民の請願行動や集会等に影響を及ぼす可能性も否定できません。
 日本民間放送連盟は、「取材・報道活動に配慮した規定がなく、非常時における国民の情報アクセスの妨げになるおそれがある」と憂慮しています。国民の集会の自由、言論の自由、表現の自由が脅かされないかとの懸念は拭えません。
 修正案は、危機管理行政機関などにレッドゾーンを拡大していますが、このような法体系のままレッドゾーンを拡大することは、国民の知る権利や正当な業務を広範囲に制限することにつながり、認めることはできません。
 最後に、ドローンなど小型無人機が一般に購入できるようになり、人口密集地での墜落事故や盗撮によるプライバシー侵害などが起きているもとで、今必要なのは、国民生活への具体的な被害に対応し、国民の安全対策の観点からのルールづくりです。官邸周辺の警備強化のために、とにかく刑罰規定を導入することに突出した本法案は認められません。
 以上の理由から、本案原案及び修正案に反対を表明し、討論を終わります。