国会質問

<第190通常国会 2016年03月08日 環境委員会 2号>




○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。おはようございます。
 きょうは、石炭火力発電の問題について質問をいたします。
 この間、石炭火力発電所の新設が相次いでおります。石炭火力発電所は、最新鋭の発電所でも、天然ガスを燃料にしたLNG火力に比べて約二倍近い温室効果ガスを排出するとされております。新規に建設されれば、何十年にもわたってCO2を排出し続けることになり、パリ協定で合意をした地球温暖化対策にも逆行するのではないかという批判の声が上がっております。
 最初に環境省にお尋ねしますけれども、二月九日の環境大臣と経産大臣の合意、電気事業分野における地球温暖化対策について、この内容について簡単に紹介をしてもらえますか。

○梶原政府参考人 電力分野におきます実効ある地球温暖化対策について、丸川環境大臣から、林経済産業大臣と御相談された結果につきまして、二月九日に公表されたところでございます。
 中身につきましては、大きく四点ほどあるのではないかなと思っております。
 まず第一点目は、電力業界の自主的な枠組みが発表されております。これにつきましては、引き続き実効性、透明性の向上等を促していくということでございます。
 そして第二点目。加えて、政策的な対応といたしまして、これまで両省間で検討してまいったわけでございますけれども、経済産業省が、省エネ法に基づきまして、火力発電所について、エネルギーミックスと整合的な運転時の発電効率のベンチマーク指標等を設定する。そして、加えて、エネルギー供給構造高度化法に基づきまして、非化石電源の割合につきまして、エネルギーミックスと整合的な数値を設定する。そして、これらを指導、助言、勧告、命令を含め適切に運用すること、これにより、エネルギーミックス達成に向け責任を持って取り組んでいただくということとしておるところでございます。そして、こういったような取り組みによりまして、電力業界の取り組みの実効性を確保するということでございます。
 また、三点目でございますけれども、こういったような取り組みが継続的に実効を上げていくかどうか、毎年度、進捗状況をレビューいたしまして、目標の達成ができないと判断される場合には、施策の見直し等について検討するということとしております。
 こういった全体を含めまして、最後でございますけれども、二〇三〇年の二六%削減を達成するように取り組んでいくということでございます。

○塩川委員 電力業界としての自主的な枠組みがあり、経産省を含めた政策的な対応を行って、その上で環境省としてもしっかりとこの問題についてチェックも行って、場合によっては必要な対策もとるという話であります。ベースになるのは、やはり電力業界の自主的な枠組みであるわけです。
 そこで、お尋ねしますが、電事連を中心とした電力業界は、低炭素化社会実行計画の目標達成を進めるとしておりますが、そのために電気事業低炭素化社会協議会を設立したと聞いております。
 環境省にお尋ねしますが、このスキームにおいて、協議会の会員事業者ごとの取り組み計画というのは公表されるんでしょうか。

○梶原政府参考人 御存じのとおり、協議会におきましては、各社ごとの対応計画について出されて、中で御審議をされるというふうに聞いております。
 そして、取り組みにつきましては、全体としての取り組みの評価が公表されるものだと考えてございます。

○塩川委員 各社ごとの計画は協議会の中で審議ということで、出てくるのは丸めたものというお話であります。事業者ごとの責任ある分担がどうなのか、不透明、不明確ではないのかということを指摘せざるを得ません。
 また、今、電力自由化が始まっている、そういう競争のもとで、個社ごとのそういった取り組みというものをどのように達成するのか、そういう見通しというのはあるんでしょうか。

○梶原政府参考人 個社ごとの取り組みでございますけれども、協議会の中におきましては、会員企業から個社ごとの取り組み計画を提出され、そしてそれぞれが実施されていくわけでございますけれども、それぞれの実施状況につきましては、チェックを行い、そしてその見直しも含めてなされるというふうに考えております。
 また、省エネ法の規制、そしてエネルギー供給構造高度化法の規制につきましては、それぞれの発電事業者あるいは小売事業者にかかります。そういう意味におきまして、そういう指導もしっかりと経産省の方からなされるというふうに理解をしております。

○塩川委員 行政指導の範囲ということでもありますけれども、命令云々といっても改善命令ということですから、実際に措置命令とかという段階に行くのかどうかというところも、この点では曖昧であります。
 お聞きしたのは、電力自由化のもとで、競争下で、実際に達成する見通しというのは立つんだろうか、そういう疑問なんですけれども、その点はいかがですか。

○梶原政府参考人 電力の自由化ということでございますけれども、環境保全上の対応につきましては、それとは独立をした形で、先ほども言いました省エネ法でありますとかエネルギー供給高度化法が適用されますし、また、自由化を前提とした上で、業界におきましても協議会が立ち上げられ、対応が図られていくということだと理解をしております。

○塩川委員 電力自由化で新規参入の事業者がたくさんふえてまいります。今のこの協議会は三十五社で、いわば電力事業者、小売事業者の全てを網羅するかというと、そういうわけではありません。
 そういう点でも、新規参入の電力小売事業者というのはカバーできるんでしょうか。

○梶原政府参考人 協議会の加盟社でございますが、現時点におきまして、九九%以上、小売電気事業者としては電気量でカバーをされております。
 そして、この業界につきましても、今後とも、新規の事業者さん、小売事業者さんが出てくることにつきましては、それを前提として、そういったような人たちが協議会に入っていただけるように取り組まれる、そしてまた、その旨経済産業省におきましても指導をしていただくということで理解をしております。

○塩川委員 そういう点では、協議会に参加しない事業者についても自主的な枠組みになって、いわば指導の範囲であって、何らかの規制や枠を定めるということにまで至っていないわけであります。実際、電力自由化のもとで安いのがいいという話にどんどんなっていけば、結果とすればCO2が減らないということにもなるわけです。
 そこで、大臣にお尋ねをいたします。
 このように電力業界が協議会をつくって温室効果ガスの低減対策に取り組むといいますが、枠組みはやはり自主的な取り組みであります。各事業者の目標が明らかではありません。今回の対応策というのが、環境省が石炭火力を容認したんじゃないか、こういうメッセージにつながるのではないかと思うわけですけれども、そうは思いませんか。

○丸川国務大臣 電力業界の自主枠組みに関しては、私ども、まず、ずっとお願いしてきたところ、規制の作成、また枠組みそのものをつくることについて御尽力をいただいたということについては一定の評価をしておりますが、やはり一方で政策的な措置が必要であるということで、我々としては、経済産業省にも御相談を申し上げて、経済産業省の方で政策的な措置、先ほどございました省エネ法またエネルギー供給高度化法について新しく基準を設け、また、運用についてもこれを達成すべく徹底していただくということになったわけでございます。
 石炭火力については、今後、当然一度つくりますと長くそれが影響する可能性があるという一方で、実際にこの規制の基準をクリアしていく上で、果たして計画が実際に実行に移されるのかどうか、計画というのはつまり増設の計画という意味でございますけれども、あるいは、古い施設がコストに見合うのかどうかといった個々の事業者の判断がございましょうし、その中で、果たして、効率の悪い施設設備、こうしたものを維持していくことがマーケットの動きに見合うものかどうかというのは、個別の電気事業者の判断の中でこの基準をクリアするために努力がなされるものというふうに理解をしております。

○塩川委員 マーケットというお話がありましたけれども、しかし、電力自由化のもとで新規の参入が相次いでいるという状況の中でこういった矛盾が広がっているわけですから、やはり個社の自主的な枠組みに依拠する上でこのスキームというのが本当にワークするのかということは問題ではないのかということを言わざるを得ません。
 もともと、石炭火力発電所のアセスに対する環境大臣の意見、二点、ずっと去年述べてきたわけですけれども、こういった目標を達成するために石炭火力のCO2排出量をどのように削減するのか、こういう点についてずっと昨年指摘してきたわけですけれども、率直に言って、個社単位で見て、担保する仕組みが不十分だということは言わざるを得ません。効率の悪い発電所を停止させる強制力にもなっておりませんし、電力会社などに排出削減を義務づけるというものではない、そういう点での実効性が伴わないということを言わざるを得ません。
 石炭火力の総発電量に占める割合を二〇三〇年に二六%程度に引き下げるなど、温室効果ガスの排出を三〇年までに一三年比で二六%削減するという政府の国際的な約束も達成することが困難になると言わざるを得ません。
 こういった点でいいますと、大臣にお尋ねしますが、今回の石炭火力発電の新設の容認というのは、二〇五〇年までに八〇%の温室効果ガスの排出削減を目指すという目標と相入れないんじゃないのかと率直に思いますが、どのようにお考えですか。

○丸川国務大臣 二〇五〇年に八〇%削減するという、ここを目指していく上においては、我々としては、既存の取り組みの延長では達成できないというふうに考えておりまして、革新的な技術の開発はもとより、それを社会に実装していくこと、また、社会構造、ライフスタイルの変化、こうしたものに長期的、戦略的に取り組んでいかなければならないということを考えております。
 長期戦略懇談会においても、その絵姿を示していく上で、例えばリスクについても触れられておりますし、またCCSということについても触れられておりますけれども、特に石炭火力を含む電力の低炭素化については、やはりCCSの実用化を含めて検討していくということを考えております。

○塩川委員 今、気候変動長期戦略懇談会の提言のお話もいただきました。やはり、そこのポイントというのは、二〇五〇年までの残りの年数を踏まえると、四十年以上稼働すると言われている火力発電所に投資をするということが極めて大きなリスクを伴うことなんだ、そういう観点での対策こそ必要なんじゃないのかということなんですが、改めて、いかがですか。

○丸川国務大臣 先生御指摘のとおり、この気候変動長期戦略懇談会の御提言の中に、「新規の火力発電への投資、特に初期投資額が大きく排出係数の高い石炭火力発電への投資には大きなリスクが伴うことをあらかじめ理解しておく必要がある。」ということが書かれております。
 これは、環境省自身がこのリスクを認識して、これから向き合っていくということはもちろんでございますが、同時に、今新しい基準を設けていただいた中で、電気事業者個々にも、この課題を自分たちの経営判断の中でしっかりと認識していただくことになるんだろうと思います。
 リスクというものを考えない経営というのはありませんので、我々も努力をしていきますし、また、電力事業者の皆様におかれても、この自主的枠組みと、そして経済産業省に設けていただいた今回の基準とその運用の中で、しっかりと透明性の確保、また実効性の確保に取り組んでいただくよう、我々も促してまいります。

○塩川委員 リスクについて電気事業者も経営判断することになるだろうということですけれども、その前提として、政府の方がこういう石炭火発について基本的に容認姿勢なのではないのかということがリスク判断にも影響を与えるんじゃないのかということを指摘しておきたいと思います。
 今世紀後半に温室効果ガスの人為的排出を実質ゼロにするというパリ協定の合意に反するものになりはしないのか、こういうことが厳しく問われているわけで、石炭火力容認の方針というのは撤回をすべきだと考えます。
 というのも、やはり、この間の新増設計画をどう見るかということがあります。
 環境省にお尋ねしますが、この間の石炭火力発電所の新増設計画というのはどのようになっているでしょうか。

○梶原政府参考人 各社の公表資料をもとに環境省にて把握しているところでございますけれども、現在、新増設が計画されている石炭火力発電所は、全国で三十五カ所四十一基、容量にいたしますと約千八百万キロワットでございます。

○塩川委員 三十五カ所四十一基、容量では千八百万キロワットということであります。
 これが全て実行されると、老朽火力が稼働四十五年で廃止と想定しても、二〇三〇年には約五千九百万キロワットの容量になるとなっております。二〇三〇年度の削減目標、四千五百万キロワットを大きく上回ることになります。
 大臣にお尋ねしますが、こういった石炭火力発電について、主要国を見ると、エネルギー対策や温暖化対策として、石炭火力抑制の方針を出しています。日本の石炭火力発電の新設計画というのは、こういう世界の流れにも逆行するものではないかと考えますが、いかがですか。

○丸川国務大臣 まず、新設計画が相次いでいるということは事実でございますが、一方で、これを実際に実行されるかどうかということについて、あるいは稼働させるときにどのような状況で稼働させるかということについては、当然、今回新しく経済産業省で設けていただいた省エネ法のベンチマークをどうやって守っていくかということを念頭に置かなければならないのではないかというふうに我々も考えます。
 御承知のように、この省エネ法のベンチマークを守っていただくと考えた場合には、当然、石炭火力だけでエネルギーを供給していただいていたのではクリアできないわけでありまして、その社においてどのようなエネルギー効率の達成の仕方をするかということを、石炭火力以外の発電方法でも知恵を絞らなければいけないわけでございます。
 計画そのものを出されるときには、当然、初期投資のコストや回収年数、また、燃料供給の安定性、環境負荷などを考えて、それぞれ経営判断をされてのことだと思いますけれども、当然その中に、今回我々が経済産業省とともに示させていただいたものについては念頭に置いて、今後この計画について検討されるのではないかと理解をしております。

○塩川委員 お聞きしたのは、日本の新設計画というのは、全体として抑制方向になっているほかの主要国など世界の流れに逆行しているんじゃないのかという問いなんですけれども。改めてお答えください。

○丸川国務大臣 私どもがアセスメントをやらせていただく上においては、今後も、最良技術が採用されているかということと同時に、国の計画、目標と整合的であるかという点については、引き続きチェックをさせていただきます。
 この目標というのは、まさに二〇三〇年度の削減目標の達成を確実にするために、電力業界の取り組みの実効性を確保していただけるかどうかということも含めてということになりますし、また、今後、省エネ法の達成についてもしっかりと、経済産業省の方になりますけれども、運用を見ていくと同時に、それがどう進捗しているかということについては毎年環境省でも確認をさせていただきますので、こうしたことを通じて、アセスメントもでございますけれども、その後の運用についてもしっかりと目を光らせてまいります。

○塩川委員 諸外国との対比ではどうですか。

○丸川国務大臣 それぞれの国にそれぞれのお取り組みがあろうかと思いますけれども、今我が国は、約束草案として出させていただきました二〇三〇年に二〇一三年度比二六%減というものと表裏一体となっておりますエネルギーミックス、これの達成をするために必要となる対策をまずもって電力部門において導入させていただく。これをまずクリアすることを念頭に、これから取り組みをさせていただきます。

○塩川委員 お答えがありませんけれども、アメリカなどでは二〇〇五年比で三〇年までに火力発電から出るCO2を三二%減らすとか、ドイツでは石炭火発五カ所の操業停止をし再生エネルギーで代替をするとか、イギリスは二〇二五年までに石炭火力を全廃すると発表している。こういった中で、日本の対応というのは本当に逆行しているということが見てとれるわけであります。
 そこで、大臣は、新設計画はたくさんあるけれども、その新設計画が実行されるのかということで、ベンチマークのお話もされたわけであります。でも、そもそも何でこんなに新設計画のラッシュなのかということがあるんですよね。日本において石炭火力発電の新増設が相次ぐというのはなぜなのか、そこをお聞きしたいんですが、いかがですか。

○丸川国務大臣 先ほども少し触れさせていただきましたけれども、一般に、発電所の新増設を計画するに当たっては、初期投資のコスト、投資の回収年数、また燃料供給の安定性、そして環境への負荷などを勘案して、個々の電気事業者において発電方式あるいは燃料種の選定がなされているというふうに理解をしております。
 現時点において、なぜ石炭火力発電所の新増設計画が相次ぐのかということについてですが、これは、それぞれの事業者がそうした観点から選択をした結果のものであるというふうに判断をしております。

○塩川委員 個々の事業者の経営判断というお話だと思うんですけれども、そうじゃないと思うんですよ。そもそも、今、安倍政権そのものが石炭火力発電に力こぶを入れているからじゃないでしょうか。
 安倍政権が、成長戦略であります日本再興戦略、この改訂二〇一四などを見ても、「高効率火力発電の導入推進及び国際展開」とありますし、「高効率火力発電の導入をさらに促進する。」とか、「公的金融支援やトップ外交を通じアジア・東欧等の新興国へ普及させる。」と述べているわけです。つまり、国内においても火力発電についての導入推進と同時に、石炭火発の輸出、国際展開、こういうことも安倍政権のもとの成長戦略でうたっているわけですよね。
 ですから、個々の電気事業者の経営判断ではなくて、石炭火力発電の新増設計画が相次ぐというのは、このような政府による石炭火力推進政策があるからなんじゃないですか。

○丸川国務大臣 海外における対応についてでございますが、これは、燃料供給の安定性あるいはコスト的な制約等を抱えておられる諸外国において、同じ石炭火力でも、より効率の高い、我々の高い技術を採用したものがCO2の削減に貢献するという意味においてなされているものと理解をしております。
 一方、我が国の国内においてどうかということについては、これは、まさに個々の事業者の判断、そして電力の自由化を見据えた個々の事業者の判断ということになろうかと思います。

○塩川委員 高効率火力発電の導入推進ということをうたっているわけですから、当然、国内も視野に入れた政府の成長戦略になっているわけです。加えて、国際展開ということで輸出もやりましょうと。ですから、海外への石炭火発の輸出という点でも、国内でしっかりと火力発電を推進するということが輸出においても大きな推進力になるということが、そもそもの成長戦略のスキームだということであるわけです。
 そういう意味では、日本再興戦略の具体化でありますインフラシステム輸出戦略の改訂版が出ておりますけれども、その中では、先進的な低炭素技術の海外展開支援として、高効率火力発電や原子力発電など、我が国の先進的な低炭素技術を活用し、インフラの海外展開を促進するとうたっております。
 安倍総理自身が国際会議で石炭火力発電の活用を宣伝しております。アジアの資源とも呼ぶべき石炭をもっと効率的に活用してはどうでしょう、石炭火力発電は、世界の発電量の四割を担うにもかかわらず、地球温暖化の元凶のように言われ、敬遠されがちです、アジアならではの石炭火力の分野で、伸び行くエネルギー需要に応えていきたい。
 世界を見渡せば、石炭火発については、これを抑制していこう。そういう意味でも、海外への投資についても、石炭火発推進については抑制をしていく、やめていく、こういう例なども出ているわけですよね。でも、日本は逆に、海外への石炭火発の輸出、インフラシステムの輸出、こういったことについて、まさに安倍総理がトップセールスで推進している。
 これはやはり世界の流れに逆行する推進政策となっているんじゃないかと思いますが、違いますか。

○丸川国務大臣 国内政策と今海外における対応がリンクしているかどうかということについては、私はまた別のことだろうというふうに理解をしておりまして、途上国の中には、やはり経済性、今申し上げたコストの面あるいは供給の安定性ということ、あるいはエネルギーアクセスの確保という観点から、石炭火力をまだ選択せざるを得ない国があるという認識でございます。
 これを事実として踏まえますと、より効率的な石炭火力の発電設備の導入を支援することも現実的かつ効果的な地球温暖化対策の一つであるという認識のもとに、日本の技術を生かしてそこに貢献するということが海外での対応であると理解をしております。

○塩川委員 いや、ですから、成長戦略そのものでは、日本再興戦略に書いてあるように、「高効率火力発電の導入推進及び国際展開」ということで、一体なんですよ。そもそもパッケージなんです。別のものじゃありません。
 だからこそ、政府とすれば、国内における高効率の石炭火発の導入推進も図るし、そういう技術を持って海外にも展開していこうという方針であって、今問われているというのは、このインフラシステム輸出戦略においては、それぞれの分野において日本企業の海外受注額の推計まで行っているんですよ。現時点、二〇一〇年時点でどれだけの実績があるのか、二〇二〇年にどれだけの実績を上げるのか、そういう推計まで出しているんですよね。その一つの分野として電力分野がある。原子力はまた別な項目が立っていますけれども、電力分野については、世界の関連投資額は年平均約二・二%の拡大が見込まれるとして、十年間で倍以上の海外受注拡大を目指すとしているわけです。いわば、政府が目標を持って石炭火力推進政策を行っているということになるんじゃありませんか。
 これは経産省という話なのかもしれませんけれども、政府としては一体で取り組んでいる話だと思いますよ。違いますか。

○丸川国務大臣 御承知のとおり、まさに海外の対応については、一義的に経済産業省がお取り組みになるということでございます。
 国内の件につきましては、もう先生御承知かと思いますけれども、発電する側においては、エネルギー効率のベンチマーク、これをクリアするためには、やはり石炭火力だけでは無理でございまして、まさに二〇三〇年のエネルギーミックスと整合した基準に対して努力していただけるような、最終的には命令、あるいは、これを達成できないとなれば施策の見直しまで我々は視野に入れて臨ませていただくものでございまして、これからもしっかりと、その点については、毎年の進捗状況を確認し、努力をしていただけるように政府としても取り組んでまいります。

○塩川委員 政府の成長戦略として、国内における高効率の石炭火発の導入推進だけじゃなくて、国際展開で大きく輸出をふやしましょうと言っているときに、率直に言って、ベンチマークというのは機能するのか、こういうことがまさに問われているんじゃないでしょうか。
 日本再興戦略に基づいて石炭火力のプラント輸出を進めるために、国内でも石炭火力の建設を進めるということにならざるを得ない。これは、原発の輸出のためにも国内の原発再稼働を目指すのと、率直に言って、同じ構図だと言わざるを得ません。世界で一番企業が活躍しやすい国づくりを目指すアベノミクスというのが、地球温暖化対策に逆行するものと言わざるを得ません。安倍政権の進める原発再稼働、原発輸出と石炭火力推進政策を改めて、省エネと再生可能エネルギーの急速な普及を図る政策へと抜本的に転換することを求めて、質問を終わります。