国会質問

<第190通常国会 2016年03月18日 環境委員会 4号>




○塩川委員 日本共産党を代表して、独立行政法人環境再生保全機構法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。
 本法案は、環境研究総合推進費に関する業務を独立行政法人環境再生保全機構に移管し、同機構に推進費の配分業務や審査、評価業務等を行わせようとするものです。
 本省から切り離された機構の業務とすることで、環境政策の行政ニーズを反映した研究を進め、成果を得られるかは大いに疑問です。
 また、本法案によって、推進費は、運営費交付金として機構に交付されることになります。独法への運営費交付金が削減されているもとで現状の予算規模が維持、確保される保証はありません。
 こうした業務移管は、弾力的、効率的な運用の観点から可能な限り独立行政法人への移管を求めた研究開発力強化法二十七条に基づくものです。政府は、研究開発の成果の最大化や効率的な運営体制を強く求めてきており、本法案は、人の健康の保護と生活環境の保全を目的とする環境研究を成果第一主義にゆがめかねません。
 本法案は、機構に新たな業務を追加するとしていますが、受け皿である機構への十分な人員増などの対応は示されていません。機構は、追加される業務をこなすために内部で人員を融通するほかありません。これでは、現在機構が行っている大気汚染や石綿健康被害の被害者に対する補償業務や補償予防業務へしわ寄せが行き、これらの業務水準が低下し、国民の健康に対する権利が後退することは避けられません。
 ぜんそくなどの公害健康被害や石綿健康被害は深刻であり、被害者の方からはその解決、予防策の拡充が求められています。機構が行うべきは、補償、救済事業と予防事業の拡充であり、例えば、ぜんそくなどの公害の実態調査や治療費への助成、補償の拡大などです。
 以上の理由から、本法案に反対を表明し、討論を終わります。